黒田 悠介さん
  • コラボレーター
  • フリーランス 人間中心ビジネスデザイナー(HCBD)
  • 黒田 悠介

ビジョンから逆算する事業構想

  • -
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    -
  • tweet

普段、私はベンチャー企業の新規事業立ち上げにジョインしてアドバイザリーをすることが多いのですが、そのアプローチは大手企業のそれとは大きくことなる、ということを意識することが多いです。一番大きな違いが現れるのは、ベンチャーにおける「ビジョンからの逆算」という考え方でしょう。

ビジョンからの逆算する事業創造

ベンチャー企業の多くは、大手企業に比べて明確なビジョンを持っていることが多いです。むしろ、ビジョンしか無いと言ってもいい。ベンチャー企業が優秀な人材の集まりから始まったとしても、時間が経てば人はいくらでも入れ替わっていくし、オフィスも移転を繰り返します。ベンチャー企業の同一性は理念と、それを強烈に掲げる経営者によって保たれているのです。

だから、ベンチャー企業の新規事業は、ビジョンに根ざしていなければいけません。仮に実現可能性が高くても、ビジョンに無関係な事業だとしたら、その会社がやる意味がないのです。事業がビジョンの実現に必要なものであれば、社員も納得して取り組みますし、採用ブランディングにもプラスに働きます。既存の技術やブランド、販路などの経営資源から導かれることが多い大手企業の新規事業の発想とは、大きく異なるポイントです。

事業をビジョンから逆算するには、「今やっていること」と「ビジョン」の間にある乖離を明らかにしなければなりません。もちろん「今やっていること」もビジョンの実現のために行われているはずです。しかしそれでも、新規事業を立ち上げようとしているからには、現在の事業をこれまでのペースで進めているだけでは不足していると考えられるからです。

関連記事>>「DISRUPTION®」思考法がイイ!自分が何をなすべきか、アイデアを棚卸ししてみましょう。

場合によっては、事業構想の過程で「事業指針としてのビジョン」を作り上げる場合もあります。既に企業が掲げているビジョンがあっても、あまりに抽象的では事業の方向性を決める羅針盤にはなり得ません。例えば「全ての人に幸せを届ける」といったビジョンでは、誰にも何も届けられません。ですが、「高齢者の外出をサポートし、高齢社会を豊かにする」というビジョンであれば、新たな一歩を踏み出す指針になります。

必ずしも具体的である必要はありませんが、少なくとも実現に向けて誰にどんな価値を提供すれば良いのか、ということくらいは分かる程度の「事業指針としてのビジョン」 を用意するのが良いでしょう。

ビジョンだけでは飯は食えない

現状とビジョンの間に橋をかける事業を考えていると、夢物語のような事業構想になりかねません。そのため、実現可能性や市場成長性といった検証を行う必要があります。しかし、市場調査のような既に顕在化した傾向を分析する手法に頼ってはいけません。競合も同じようなことを考えて、同じような事業を展開し、結果的に競争過多の状態(レッドオーシャン)になってしまいます。レッドオーシャンを勝ち抜く意気込みで臨むのもありですが、生存確率が低いので、賢い戦略とは言えません。

関連記事>>半信半疑の事業の方が結果的にうまくいく理由

レッドオーシャンを避けるためには「顕在化していない、自分だけが気がついている真実」を見つける必要があります。誰よりも早く変化の芽を発見して賭けることで、ブルーオーシャンを開拓し、先行者利益を享受できます。「変化の芽」を発見することは簡単なことではありませんが、見つけようとする姿勢は持ち続けるべきです。

人間観察から変化の芽を見つける

では、どのようにすれば「変化の芽」を見つけられるでしょうか。ひとつの方法は、大きなパターンを見つけることです。これまで社会がどのように移り変わってきたのかを知ることで、これからどんな変化が起きるのかを予測することができます。過去に起きた出来事という点を結び、線として捉えて、そのパターンを予測すれば、顕在化していない変化も予見できるでしょう。

関連記事>>変化のパターンは3つ。一方通行、回帰、振動

しかし、このパターンによる予見は大きく外れる場合もあります。より地に足が着いたもうひとつの方法としては、「観察」という手法があります。事業の対象や取り巻く環境をつぶさに観察することによって、洞察を得る方法です。

こちらのほうが時間と手間がかかりますが、確実性が高いです。このような人間観察から事業やプロダクトを生み出す手法に、デザイン思考と呼ばれるものがあります。最近では注目度が高まっており、セミナーや書籍などで取り上げられることも増えてきました。

デザイン思考という名前から誤解されやすいのですが、思考法というよりは実践のプロセスを体系化したものです。そのため、正しい方法で行うことができれば、どんな事業においても再現性のある成果をもたらしてくれるはずです。

  • -
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    -
  • tweet