田向 祐介さん
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  • 田向 祐介

ドッグフーディングしながらサービスを開発するメリットと、気をつけていること

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ドッグフーディングとは、開発したサービスを開発者自身がユーザとして日常的に使うことを指します。

サービス開発の中で、ユーザの本質的なニーズや使い勝手などを見極めることは非常に重要であると同時に、非常に難しいものでもあります。そのためのひとつの手段として、ドッグフーディングがあります。

ドッグフーディングの必要性とメリット

サービス開発の現場で、実際のニーズと合致していない機能開発をしてしまうことはよくあり、それを防ぐためにドッグフーディングは非常に有効です。

ドッグフーディングすることで、以下のようなメリットがあります。

  • 実際に使うシーンにフィットした機能を開発することができる
  • システム全体の操作感として、使い勝手の良いものになる
  • 使い勝手の悪い部分に気付きやすく、また改善のモチベーションも高い

機能は満たしていても使いにくいシステムというのは多々あるかと思いますが、そのひとつの原因として、実際に開発している人たちが、そのシステムをユーザとして使っていないがために気づいていないという可能性があります。そしてドッグフーディングでは、それを防ぐことができます。

例えば弊社の場合、boardというサービスを開発・運営しているのですが、これは見積書・請求書などの書類作成から営業管理・経営管理までをカバーするようなサービスで、元々、自社の経営をしていく上で、Excel管理を卒業しつつ、経営上必要な売上の予測管理をしていくために開発を始めました。

そのため、boardは、当初から現在まで一貫して、企画や開発に弊社の経営者自身が深く関わっています。

実際に業務・経営をしている人が仕様を考えて開発することで、リリース前から、よりリアルに近い形で検証して改善を繰り返すことができます。

ただ、ドッグフーディングをしていて、気をつけないといけないなと感じていることがいくつかあります。

自分・自社に最適化されすぎてしまう

自分たちが開発しているサービスには、当然そこにこだわりや自分の習慣があるかと思います。

boardの場合では、見積書や請求書作成という機能自体というよりは、書類関連の業務フローや、経営における数字の分析の仕方などは、組織によって異なることも多いです。すると、自社でドッグフーディングを繰り返すことによって、自分自身に最適化されすぎてしまう可能性もあります

よくありがちなのは、「ほら、便利でしょ!」って押し売りする感じになってしまうパターンですね。

開発者自身がユーザであれば「自分としてはこうだと思う」という思いはかなり強く持っていますが、「これが自分の会社だけのことか、それともある程度幅広く活用できるのか」というのは何度も自問自答するようにしています。

自分たちの判断が間違っていることもある

自分たちが当事者のサービスだと、自分と関係がない分野のサービスを開発している場合に比べると、考え・感覚にそれなりに自信を持ってやるケースが多いように思います。

ユーザさんからの意見はもちろん重要ですが、それが常に正しいとは限らないですし、サービスとしての方針などもあるため、全てを受け入れることができるわけではありません。

そのため、ある程度自分の判断基準に照らし合わせて、対応有無を検討することになります。その際、自分が当事者のサービスだと、自分を過信しすぎて判断を間違ってしまうケースがあります

自分たちでドッグフーディングして判断したことが、必ずしもベターでないケースもあるので、それは頭に常に置くようにしています。

初めてその機能を見た時の感覚を失う

機能追加にあたって、仕様を考えて、実装して、使ってみて改善して、というプロセスを経ると、「その機能を初めて見た時」の体験を思い出せなくなっていきます。 もうその機能について、散々考えている状態ですからね。

初めてその機能を見た人がどう感じるのか。わかりににくくないか、そもそもその新機能の存在に気が付くのか。これはかなり難しい問題です。

そのため、弊社のboardの開発においては、開発者とテスト担当者は完全に分けており、テストをするメンーバはTrelloで機能の概要を知っているレベルで、実際にテストをする時まで、画面すら見たことがないことがほとんどです。

そこで疑問に感じたことなどを上げるようにして、この問題に対して気づけるようにしています。

新規ユーザに対する考慮

自分自身でもそのサービスを使っていると、初めてサービスを使う時というのを想像ができなくなってしまいます。

どんなサービスでも、そのサービスがどういうコンセプトがあって、どういう特長があるのかを理解してもらえるかというのは、有効に使っていただく上では不可欠かと思います。 正しく特長が伝わっていなくて、使われなくなってしまうパターンが一番残念ですからね。

前述の機能追加のケースとは違い、社内のメンバーはすでに自分のサービスを知っている状態ですので、なかなかこの問題に気づくのは難しく、ドッグフーディングで解決できないものです。

ドッグフーディングでカバーできないユーザビリティの問題があるということを頭に入れておくことが重要かと思います。そこで、お問い合わせ頂く内容が非常に重要になってきます。

boardのお問い合わせは、今のところ全て私(=開発者)が回答しています。そうすることで、リアルタイムに状況を肌で感じることができ、また要望の内容・傾向なども頭に入りますので、それに応じて対応していくようにしています。

まとめ

ドッグフーディング自体は、本当に大事だと思っています。やはりその業務を経験したことがない人に業務を効率化するシステムは作れないと思いますし、経営をしたことがない人が経営者の欲しい数字はわからないと思います。

とは言え、それを過信しすぎると落とし穴があるので、自分自身の判断を疑うスタンスや、ユーザさんの反応を肌で感じることができる位置にいることが大事ではないかと思います。

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