Kouji Anzaiさん
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ホームページが Web メディアとして生まれ変わる - VOGUE サイトリニューアル

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サイトリニューアルとそのポイント

長年使ってきた Web サイトのリニューアルには、それなりの動機が伴うはずです。コンセプトの変化、ターゲットの変化、環境の変化など、さまざまな動機があるでしょう。世界的ファッションメディアである VOGUE は 2014 年 4 月に大幅な Web サイトのリニューアルを敢行しました。これには、以下のようなポイントが含まれています。

  1. ブランディングの強化
  2. モバイル訴求

ここでは、ウェブフォントに関わるものをピックアップし、実際に行われた施策とその効果をご紹介します。

ブランディングの強化

VOGUE で最も大切にしているものはブランド価値です。読者との接点は雑誌、PC、モバイルなどさまざまですが、そのすべてを合わせて「VOGUE」というひとつのブランドを形成しています。タッチポイントが違ってもブランドイメージが変わらないようにする。これはリニューアルで最も力を入れたポイントでした。

雑誌の誌面でこだわり抜いて選んだフォントを使っていても、Web サイトではそれが使えない。しかも、Web サイトは環境によって標準のフォントが変わってしまうという問題点もあり、ブランドイメージがぶれてしまっていました。

これを解決したのが Web フォントです。Web フォントを使うことで、誌面と同じ書体での表現が可能になりました。特に、VOGUE を象徴するロゴの書体である「FB Miller Display」を効果的に使っています。

「FB Miller Display」は大きなサイズでの使用を想定したセリフ体です。「セリフ」とは文字のストロークの端に付けられた小さな飾りのことで、これがない書体はサンセリフ体と呼ばれ、Helveticaや Univers などが代表格です。この中でも、Miller Display Light はその優雅さがファッションや美容などの分野で好まれています。

モバイル訴求

近年、表示デバイスの多様化により Web デザインの世界でもさまざまなデザイン的、技術的方法論が実践されています。レスポンシブデザインやリキッドレイアウトなどがそれに当たります。

Google は 2015 年 2 月に、モバイルフレンドリー対応を Web サイトの検索順位の要素とすることを発表しました。その対応方法として最も好ましいのがレスポンシブデザインの採用、二番目にモバイル専用ページの作成をあげています。

しかし、VOGUE はあえてレスポンシブデザインには対応せず、モバイル専用サイトという道を選びました。その理由は、それぞれのデバイスが使われる場面を考慮して、情報の出しわけをしているからです。

通勤電車の中ではスマートフォンでライトな情報を、お昼休みには PC 向けにリッチな表現で。そこで気になった情報は週末に自宅で雑誌をじっくりと読んでもらう、といったふうに、消費者のライフスタイルまでを考え一貫した体験を提供するコンテンツ作りを目指しているのです。 Google の発表当初はレスポンシブデザインのサイトが増えましたが、その後、ここで取り上げている VOGUE と同じようにブランディングの視点からモバイル専用サイトの割合も増えてきているように感じます。

リニューアル効果

これらの施策を行うことで、実際に結果もついてきています。2015 年 3 月には女性ファッション系サイトで No.1 に、2015 年 9 月には月間 2,200 万ページビュー、250 万ユニークユーザーで過去最高を記録しました。

また、サイトの大部分に Web フォントを利用することで、画像文字作成の工数が大幅に削減されています。特に、ファッションメディアとしてのブランドと情報の伝達性を両立する必要があるWeb メディアにとって、書体を揃えることとテキスト情報を保持することを両立することはたいへん重要で、Web フォントがなければ実現できませんでした。

まとめ

このように、リニューアル前はブランドイメージの統一が環境的にも難しく、ポータルサイトとして機能していたホームページが、多様なデバイスで一貫した体験を提供する Web メディアへ進化したことで、大幅なアクセスの増加を達成し、更にブランド力を強化したのです。

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