黒田 悠介さん
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「パターン」を発見し10年後を読む、大局的思考法とは(後編)

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前編では、新規事業を構想するうえで変化のパターンを見極めることが重要であることをお伝えしました。その変化のパターンには3種類あり、それらは「一方通行」「回帰」「振動」です。「一方通行」についてはムーアの法則を例に出して説明しました。

「パターン」を発見し10年後を読む大局的思考法とは(前編)

後半では、「回帰」と「振動」という変化のパターンについてお伝えします。

変化のパターン

変化のパターンその2 「回帰」

一方通行だと思っていた変化が、逆転して元に戻るケースがあります。そういった変化タイプが回帰です。完全に元通りになることはないですが、変化が一方的ではなく、可逆的なケースというのは実はたくさんあります。

多くの場合、先にあった変化を駆動する因子に対して、後から別の因子が介入してきたことによってこの変化が起こります。例えば、私のような個人事業主の人数推移は回帰に当てはまります。

時間軸をさかのぼって考えると、産業革命以前は多くの人が個人事業主だったわけです。日本でも戦後に大企業ができる前は、個人事業で食べている人が多くいました。八百屋だって床屋だって農家だって個人事業主なわけで、それらの一部が大企業の雇用にとって変わられていったのです。

そうして減っていった個人事業主はこのまま減り続けるのか、というと実はそうではありません。むしろ個人事業主の数は増え続けていて、今後もさらに増えていくと考えられます。インターネットの普及によって、個人が企業と同等の影響力を持つようになってきましたし、働き方も多様化してきていることが原因のひとつです。

この個人事業主の人数推移が起きた背景を考えると、機械化による産業構造の変化を、インターネットという因子が逆転させた構図になります。こういった回帰のパターンをビジネスに活かす場合には、回帰が終わった後に何が起きるのかを予想することが有効です。

ただし、回帰だと思っていたものが実は次に紹介する「振動」だったというケースもあるので、見極めには注意が必要です。

変化のパターンその3 「振動」

実はもっとも多い変化のパターンが、この振動だと思います。2つの状態の間を長い時間かけて切り替わっていく変化パターンです。変化を駆動する因子に対して、抑制のフィードバックが後から遅れてやってくる場合に起きます。

ちなみに、抑制のフィードバックがリアルタイムの場合には漸近していくので、振動しません。その場合は一方通行で、ある均衡点に達した後は変化がなくなります。

実は先に説明した他の2つのパターンも長い時間軸で見ると振動であるケースがあります。その意味で振動は最も包括的な考え方でもあります。私たちが一方通行や回帰だと思っていた変化でも、数十年、数百年のスパンで考えれば実は振動であるかもしれません。

例えば地球温暖化は、地球の気候変動の振動を短い時間軸で切り取った見方に過ぎない、という学説が有ります。温暖化という一方通行の変化と思い込んでいたものが、気候の大きな振動的変化の一部をとらえただけに過ぎないという例です。

同じように、地球の人口は増え続けていますが、増えすぎれば食糧が不足して人口は減っていきます。そして一定の数を下回ると今度はまた増えていく、という振動が起きるはずです。

振動はスパンが長すぎて捉えきれなかったり、捉えたとしても人の一生では一方通行や回帰のパターンとしてしか体験されない場合もあります。しかし新規事業の場合にはそこまでのスパンで考えるケースは少ないので、数年から10年程度の周期の振動パターンを活用する意識をすると良いと思います。

変化のパターンを見極めて事業に活かす

駆け足でしたが、変化のパターンを3つご紹介しました。あなたの事業が前提としている変化は、一方通行、回帰、振動のどれに当てはまりますか? 別のパターンである可能性はありませんか? その業界はどんな変化のパターンの途上にいますか?

是非一度、変化のパターンを見出すこのような 大局思考で自身の事業構想を見つめなおしてみてください。

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