黒田 悠介さん
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その意思決定、バイアスかかってませんか?新規事業で回避したい4つのバイアス

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新規事業は無数の意思決定の積み重ね。何ひとつルーティン作業になっていないがゆえに、意思決定の質こそが事業戦略の鍵を握っています。

事業戦略という言葉は「何をするか」という側面から語られることが多いですが、実は「何をしないか」という意思決定の方が、数としては多いです。100のアイデアのうち、限られたリソースで実行できる1つを選択するということは、すなわち99のアイデアを実行しないという意思決定でもあります。

意思決定は「何をしないか」ということが多い

新規事業の場合、意思決定のときに手元にある情報は不足しています。意思決定に必要なすべての情報が集まるまで待っているのでは遅い。情報が揃うころには競合が同じようなことをやっているでしょう。

まだ殆どの人が気がついていないような世の中の動向に着目し、情報が少ないなかでも意思決定して進む企業にこそ、事業機会は味方します。

このように意思決定の質とスピードは新規事業において重要です。しかし、その意思決定を邪魔するものがあります。それはあなた自身の脳が引き起こす様々なバイアスです。

意思決定にはバイアスがかかる

ここでいうバイアスとは、非合理的な意思決定を引き起こす脳の特性です。バイアスの存在は、脳の機能を考えると理解しやすいです。

生物にとって脳の基本的な機能は、危機回避とそれによる生存です。危機が訪れたときに確実に回避するためには、生存に関連しない些末な事象や意思決定に関する脳内の処理を最小限にする必要があります。

事業に関する意思決定は、「生物としての人間」にしてみたら生存を脅かすものではありません。仮に事業におけるマネタイズの方法を変える意思決定をしたとしても、飢え死にしたり天敵に狙われるわけではありません。

だから、脳はできるだけその意思決定にパワーを使わずに、バイアスによって非合理な形でもいいから簡単に済ませたい。バイアスは、脳が用意した意思決定支援ツールなのです。問題なのは、その生存のためのバイアスが、事業の生存においては必ずしもプラスに働かないということです。

たくさんのバイアスの存在が研究によって明らかにされていますが、ここでは新規事業の意思決定において特に気をつけたいバイアスを4つ紹介したいと思います。

1.確証バイアス

確証バイアスは、脳のバイアスの中で最も有名かもしれません。例えば「このビジネスモデルはイケるぞ」という先入観を一度持ってしまうと、偏った情報を集めてその先入観を補強するという脳の特性です。

事業アイデアに対するネガティブな情報は無視されてしまう点でとても危険なバイアスです。世界をシンプルに見るためのバイアスなので、生物の生存にとっては都合が良いのですが。

このバイアスは強固なので、第三者からの視点から定期的にアドバイスをもらうなど、バイアスの外側から意見をもらえる状況を作るのがよいでしょう。

2.サンクコストバイアス

すでにお金や時間を支払ってしまったという理由だけで損な取引に手を出し続ける脳の特性がサンクコストバイアスです。サンクコストとは埋没費用とも言います。 ギャンブルにハマるのも同じバイアスが働いています。

新規事業においては、ピボットしなければならないタイミングにも関わらず、既存のやり方に投資してきたコストがムダになると感じてピボットを躊躇する、ということに繋がります。

その場合、「コストではなく投資」「失敗ではなく学習」という前向きな捉え方をすると、このバイアスから逃れることができます。

3.内集団バイアス

内集団ひいきとも呼びます。自社のメンバーに対し、他社のメンバーに比べて優れた評価をしてしまう脳の特性です。実際には優劣の差がなくても、この内集団バイアスは発生します。

社内で十分に議論した内容に対して社外の人間からネガティブな指摘があったとしても、この内集団バイアスによって無視されてしまうことがあるので注意が必要です。

また、事業において都合の悪いことが起きると「外部要因」のせいにして、良いことが起きると「内部要因」のおかげだと考えてしまう原因帰属の誤りも、この内集団バイアスが引き起こしています。事業構想の段階から社外を含め多くの人とディスカッションしておくと回避しやすいバイアスです。

4.バンドワゴン効果

元々群れで行動する生物にとって、このバンドワゴン効果は回避が難しいものです。みんなが良いと言っているものが良い、という他者の意見や行動に迎合してしまうのがこのバンドワゴン効果。

「バンドワゴン」は行列の先頭を走る楽隊車のことを指します。そこから、英語で言う「バンドワゴンに乗る」という言葉は、日本語の「勝ち馬に乗る」に近い意味を持ちます。

新規事業においては多勢に与することはレッドオーシャンへの突入を意味するため、このバイアスは意識的に回避すべきです。マイノリティになることを恐れず賛否両論を受け入れて我が道を進む大胆さが必要です。

無意識に働くバイアスを回避し、事業を成功に導く

4つのバイアスをご紹介しました。どのバイアスも無意識で働きますが、事業の成功にコミットする強い意志や仕組みによって回避することができます。バイアスを回避して建設的な意思決定を行うことで、事業を成功に導きましょう。

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