高野 秀敏さん
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スタートアップ、ベンチャーの採用力を高める③ 面接は営業交渉の場!鍵は本音を引き出すこと

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スタートアップ、ベンチャー企業において、多くの企業が苦労している「採用」。前回の記事では、企業の認知度を上げる施策をいくつかご紹介させていただきました。

3回目の今回は、採用活動のメインイベントである「面接」における、本音を引き出すヒアリングの重要性とその方法、細かいテクニックまで、さまざまなポイントを解説したいと思います。

▼過去の「スタートアップ、ベンチャーの採用力を高める」連載記事はこちら

① 「デキる風」の若手をまず採用せよ!

② 自社ブランディングのための活動をせよ!

人事面接はデメリット?採用担当がするべきこと

面接官にはビジネスパーソンとして魅力的な人を当てることが重要だ、と前回も書かせていただきましたが、ぜひ欲しいと思う候補者の場合は、できればトップ自身が一発目から面接に登場するのが理想です。

実際に、インテリジェンス社、USEN社、U-NEXT社と何度も上場されている宇野 康秀社長は、以前「採用に3割の時間を使っている」とおっしゃっていました。

逆に、よくある失敗パターンは、社長が現場に権限委譲をしているケースです。権限委譲をしている以上、どういう人を採用するかも全て現場に任せている。任せているというより、もはや確認もしなくなっている。

そういった状況の中、一次面接に現場の人間が対応することで、会社の魅力が候補者に伝わらない。結果的に辞退をされてしまう、というケースはよく見かけます。

インタビュー

スタートアップの場合は、営業のような現場の方が人事を兼任しているケースも多いですよね。すると問題になるのは、「自分より優秀だと思える人材を社長にあげてくる部下」が、本当になかなかいないことなんです。

現場では「デキる」人材でも、人の評価が適切にできるとは限らない。もしくは下手をすると、優秀な候補者に意図的にNGを出してしまっているケースもあるんです。このようなケースが「少なくない」ということを、経営者には認識いただきたい。

だからと言って「現場に任せるな」という意味では一切ありません。採用の緊急度と重要度が特に高いタイミングがあると思います。そのような時はどうか、社長が自ら陣頭指揮をとってもらいたい、ということです。

30名以上の会社だと、人事担当者がいて、人事面接を設定することも多いかと思います。ただその場合、プロセスがひとつ増えてしまうデメリットがあります。ですので、この場合にも欲しいと思われる候補者のときは、はじめから社長面接を設定したほうが良いです。

人事担当者の役割は面接に出るというより、つなぎの時間に候補者に話しかけて、本音を引き出すこと。「採用するために必要なことがすべてできる人」が理想です。

口説き上手で、誰に面接をしてもらうのが良いかを知っていて、条件が悪ければ交渉力もあり、その人を採るためのミッションを全力でできる人ですね。もし社内にそのような人材がいない場合は、その部分をエージェントに任せるという選択肢もあります。

面接は、イコール営業交渉の場所である

実際の面接で一番重要になるのは、ヒアリングです。しっかりとヒアリングをしていると、その人が何をしたいのか、何ができるのかが掴めてきます。そうすることで初めて、「うちの会社に来ればそれが叶うよ」という落とし文句を言うことができます。要は営業と同じなのですが、意外とそれができていないことが多いです。

特にベンチャーの場合は、面接官が熱くなって持論を展開し過ぎてしまうことがよくあります。でも大切なのは、話すより「聞く」ことです。候補者にとっては自分の話を聞いてもらえた方が好印象につながりますし、面接官がいくら熱く話しても逆効果になってしまう可能性もあります。

ヒアリング

面接官には、他にも注意すべきことがあります。まず、会社の戦略についてなど、自分でははっきりと答えられないことを聞かれたとき。そういった場合には、「わからない」と答えてしまっていいんです。「ただ私としてはこういう風に思います」と、しっかり現場感を伝えられる人がいいですね。

また、面接官が基本的な質問さえもできていない、というスキル面の課題がある場合には、あらかじめ面接の型を決めておく方法も効果があります。

最初に会社案内をし、次に質問をして、転職理由や自分の強みや弱みを聞く。そして自分たちの会社に対して何ができると考えているか、と聞くような流れをあらかじめ決めておくということですね。また、聞き上手な営業を面接に同席させることも、有効かと思います。

ボタンの掛け違いによる機会損失は「本音」を引き出せていない

ヒアリングが重要な理由は、面接はスクリーニングの場であると同時に、候補者のモチベーションを上げる場でもあるからです。

どうしたらこの人が来てくれるのか、ということは人によって異なると思うので一概には言えません。しかし、自分が心の底で期待していることが転職でクリアされると納得すれば、通常は安心するはずです。なので、本音を引き出せるかは、とても重要なポイントとなります。転職には誰にでもネガティブな側面があるはずです。そこをうまく話してもらえるかがキモだと思います。

その人に、これから10年働いてもらえるかどうかは誰にもわかりません。従って、1年で自社に貢献する成果が出せるかが、内定の判断で良いと思います。

それが見えない場合は、内定を出すことはオススメできません。入社してもすぐに辞めてしまうケースは、面接の段階で「本音」が引き出せていないことで起こるボタンのかけ違いが非常に多いです。お互いにとって不幸な結果にならないためにも、本音を引き出せるかどうかは、とても重要なポイントになるのです。

本音を引き出す面接テクニックとは

ヒアリングをする際に、これを言えば「一発で本音を引き出せる」、というようなキラー質問はありません。どちらかというと、本音で話しやすい雰囲気作りの方が大事です。

カマをかけることもありますが、その場合は事前にその人の情報を集めておくことが必要です。FacebookやTwitterは、チェックしておいた方がいいと思います。ただし時間もかかりますし、良い人を判別できるというよりは、ダメな人を判別できる位なので、そこまで重要ではないです。

それよりも、面接官同士で情報共有をしっかり行うことの方がはるかに重要です。面接で良かった点、懸念点、思考性。このような情報を細かく共有できているかで「本音で話しやすい雰囲気」を作れるかどうかが決まります。ですので、採用力の高い会社は総じて、面接の詳細をきちんと記録していることが多いです。

面接官も、事前情報を元に面接に挑んだほうが、より踏み込んだ質問ができるようになります。 情報を持っていると、相手の心に突き刺す話し方ができます。例えば「将来新規事業に携わりたい」という希望を持っている候補者であれば、新規事業のチャンスがあることを伝えるなど…。最後に一言入れることで、入社を決めてもらいやすくなります。

面接の前後も、会社のビジネスマナーはチェックされている

面接の場面では、社員のビジネスマナーも見られています。あってはならないことですが、面接官が遅刻してしまう場合は、面接前と後の両方でお詫びをするなど、細かく心配りを忘れないでください。

面接場所で候補者を待たせるのも、印象は良くありません。すぐに担当者が現れる会社は、仕事ができる印象を与えます。10分くらい平気で待たせる会社もありますが、私だったら「帰ろうかな」と思います(笑)。お見送りのエレベーター前での対応についても、ドアが閉まる瞬間まで頭を下げているかであったり、細かい部分まで見られていると思ったほうが良いでしょう。

内装にはとにかく工夫を!社内が整理整頓されていることも重要

また、オフィス環境も言うまでもなく会社の印象を左右するポイントです。やはり整理整頓されていない会社というのは、マイナスの印象を与えます。スタートアップやベンチャーは立派なオフィスに入居しているわけではないことが多いので、お金をかけずに内装を整える工夫があると良いと思います。

ここまで採用力の高い会社が取り入れている、面接におけるポイントをご紹介しました。最終回となる次回は、採用力を高める「内定」の出し方について書かせていただければと思います。

▼過去の「スタートアップ、ベンチャーの採用力を高める」連載記事はこちら

① 「デキる風」の若手をまず採用せよ!

② 自社ブランディングのための活動をせよ!

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