Sean Osawaさん
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アトラシアン流 プロダクトマネージャーの「顧客インタビュー」に役立つフレームワーク【連載/第4回】

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チームが成長するにつれ、最大の課題は技術的なものではなくなってきます。最大の課題は、顧客についての共通理解を構築することです。

もし、顧客について共通の理解を構築できれば、すべてが上手く収まります。

・ロードマップの調整と優先順位付けに対する理解が得られる。

・構築したすべての機能が的を得たものになる。

・顧客が問題の存在に気付くよりも前に課題を修正し、顧客サポートを未然に減らすことができる。

・顧客のニーズを早く理解し、問題に深く感情移入できる。

・もし Web サイトを制作するのであれば、情報が豊富で明確になる。

簡単に言えば、よりシンプルで素晴らしい製品をデザインし、開発できるのです。

では、顧客についての共通理解をどう構築したら良いでしょうか。分析ツールを使用して、顧客を定量的に調査することは非常に重要です。

ただし、データを見ても、ユーザーがなぜその行動をするのか、またユーザーのゴールは何か、について理解することは難しいです。例えば、ダッシュボードの利用率が20%だったとしても、「なぜ20%なのか。そして80%のユーザーはなぜダッシュボードを利用しないのか。」ということはわかりません。

そのため、顧客と直接会話をして具体的な課題を聞き出す定性的調査「顧客インタビュー」も非常に重要となります

今回は、顧客についての共通理解を構築するためにアトラシアンで使用している「顧客インタビュー」の方法をお届けします。

顧客インタビューはひらめきを与えてくれる?!

顧客インタビューは、「ひらめき」を与えてくれます。顧客と話すことで問題と機会に気付くことができ、うまくいけばチームメンバーと共通理解を持つことができます。それでは、顧客インタビューを実施し、問題と機会の共通理解をチームで共有し、最終的なアクションに結びつけるためにはどうすればよいでしょうか?

顧客インタビューで聞いたことを箇条書きで共有するだけでは不十分

顧客インタビューで聞いたことを箇条書きにしてチームに共有するだけでは、顧客の問題や機会に対する共通理解の構築にはほとんど貢献しません。

では、どうすれば問題や機会に対する共通の理解ができるでしょうか。

  1. ユーザーインタビューで得た観察結果を箇条書きする。ただし、その内容をそのままチームと共有しない。

  2. 観察結果から問題を解釈し、パターンに分類する時間を取る。なお、問題をまとめる報告書は「機能の要望」ではなく、「顧客の意図」が書かれていることが重要。徹底的にユーザーは何をしようとしているか考える。それこそが、解決する必要のある問題である。

  3. 問題と機会を結びつけ「この問題を解決するにはどうすればよいか?」ということを考える。

アトラシアンではこのステップを顧客インタビューピラミッドというフレームワークに落として実行しているので、具体例で見ていきましょう。

顧客インタビューピラミッドを使おう

過去数年間にわたり、私たちはアトラシアンでは、ユーザーインタビューに「顧客インタビューピラミッド」というフレームワークを活用してきました。このフレームワークは「観察結果を伝える(Communicate observations)」「問題を解釈する(Interpret problems)」「機会につなげる(Connect opportunities)」の3つに分かれています。

▼顧客インタビューピラミッド

事例を使ってこれを実行してみましょう。

現在が2002 年であると想像してください。世界にはまだ Twitter も Facebookもなく、「いいね!」ボタンも存在しませんでした。そんな時にソーシャル・ネットワークを構築しようとしているとします。

顧客インタビューピラミッド①:観察結果を伝える

インタビューから戻ってきたら、ピラミッドの一番下に、観察結果を箇条書きにしましょう

【具体例】

素晴らしいソーシャルネットワークのアイデアについて顧客にインタビューを行い、以下のことが分かりました。

  • 多くの人が写真を共有している
  • その写真にはたくさんのコメントが残される
  • コメントには、たくさんの笑顔のエモーティコンとともに「素晴らしい!」「+1」「これが見たかった!」などの感想が寄せられるとともに、議論もまざっていることがある。

顧客インタビューピラミッド②:問題を解釈する

観察結果を伝えたら、その次のステップはユーザーの問題を解釈し、似たものはグループ化して包括的な問題としてまとめましょう

【具体例】

観察結果から以下のことがわかります。

共有された写真に対してユーザーは感想を素早く伝えたいが、Eメール経由では素早く伝えられない。

顧客インタビューピラミッド③:機会につなげる

次にすべきことは、問題を今後の機会につなげることです。これは次に取り組むべきことの意思決定に役立ちます。

【具体例】

顧客インタビューより、人々は写真を交換したりコメントを残したりする「永久的な」場所を欲しがっていることは明らかです。

そして、これを受け、チームはアイデアについて議論しました。記事を「気に入った」「+1」「元気を出して」「これが好き」といったボタンを設置したら良いのではないかというアイデアが出ました。

以上が顧客インタビューピラミッドです。

1.観察結果を伝える

2.問題を解釈する

3.機会につなげる

このステップで顧客インタビューを進めましょう。

顧客インタビューピラミッドを実行するためのドキュメント

顧客インタビューピラミッドは、テンプレートとなる簡単なドキュメントを作成することにより、簡単に始められます。

アトラシアンのプロダクトマネジメントチーム内で、テンプレートを簡単に作成しました。過去のインタビューや人気のトピックを簡単に見つけることができ、過去のすべてのインタビューを参照できるようになっています。

【顧客インタビューテンプレートの内容】

  • 背景 インタビューを実施した経緯。話をした相手。彼らの役割についての背景や、製品の使用方法など。

  • 会社について
    インタビューをした人の会社の事業内容

  • 見つかった問題の目次
    インタビューで見つかったすべての問題の一覧

各問題について

  • ユーザーによる機能の要望ではなく、ユーザーの意図を明確に述べる
  • それが問題であると結論に導いた考察内容。 これらの見解の内容を提供するのに役立つスクリーンショット、録音または実例を含める
  • その問題を解決するために必要なものを提供する。JIRAなどのプロジェクト管理ツール内にある関連エピック、タスクまたは機能リクエスト、へのリンクを記載する。ここでの大きなメリットは、次回 JIRAを開くとすぐにインタビュー内容からコンテキストを得られ、ユーザーの問題に関する共通理解の構築に役立てることができるという点である

単に問題を観察するだけではなく、時間をかけて問題を製品の機会に結び付けるつもりであれば、顧客インタビューはすべてのプロダクトマネージャーにとって最も価値あるリソースの 1 つになります。インタビューのフィードバックをアクションにつなげるために、一貫性のある分かりやすい媒体を用いて、これらの洞察をチーム内で共有しましょう。

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