浪方勇希さん
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日本で外国人を採用する際に知っておくべき「6つ」のこと

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はじめまして、企業の外国人採用を専門にサポートしている浪方勇希です。外国人の採用支援に携わって約4年になります。これまで500名以上の外国人と面談し、日本での就職・転職の相談に乗ってきました。その活動によって得た経験や知識を、皆さんのお役に立てるように記事を配信していきたいと思います。

第一回の今回は、「日本で外国人を採用する際に知っておくべきこと」をご紹介したいと思います。

経産相によると、情報サービス業の従業員は約100万人おり、うち外国人は約3万人。国内のIT技術者の数は頭打ちであるため、政府は2020年に外国人のIT人材を6万人まで倍増させる目標を掲げています。今後は情報サービス業に限らず、外国人の採用や活用が積極的に進められていくでしょう。

一方で、外国人を雇用するに際には、法律関係の知識(ビザなど)も身につける必要がありますし、人事・評価制度もグローバルな視点で見つめ直す必要が出てきます。

そこで今回は、日本企業が外国人の採用・活用でより高い効果を上げるための手法についてお伝えします。よくある課題を踏まえながら、採用時に「企業側が確認しておくべきこと」と「求職者に伝えておくべきこと」に分けて解説していきます。

企業側が確認していくべきこと

①日本語能力を確認する

「国籍に関わらず優秀な人材を採用していきたい」という考えから、外国人と日本人とを同じ選考フローで採用している企業が数多く存在します。しかし、外国人の採用時には次の3つを確認する必要があります。

1つは、当たり前のように思えるかもしれませんが、日本語能力(実力)をしっかりと確認すること。外国人の日本語能力を図る基準として、日本語能力試験があります。

これは、日本語を母国語としない人を対象に日本語能力を認定する検定試験です。取得者は、履歴書に「日本語能力試験◯級(N1~N5)」と記載しています。

しかし、ここで注意しておきたいことは、日本語能力試験の結果と、本当の実力は必ずしも一致するとは限らないということです。日本語能力試験1級を取得していても、会話(イントネーションや発音)や業務資料の読解が困難な方がいます。

一方で、日本語能力試験を受験していない方でも日本語が流暢な方もいます。そのため、採用の際は、面接での会話力評価とあわせて、実際の業務で使用するドキュメントを読解できるかを必ず確認しましょう。

②履歴書・職務経歴書の中身を確認する

日本で就職を希望する外国人のなかには、履歴書・職務経歴書に「起業経験」あるいは「母国の知人や親族の企業で就職をしていた経歴」を記載しているケースがあります。

日本国内の企業とは異なり、履歴書・職務経歴書に記載のある企業のホームページを確認しても現地語で公開されている場合が大多数です。そのため、採用時には必ず候補者の実務内容や業務スキルを確認してください。

③在留資格を確認する

多くの在日外国人は、日本に滞在できる資格と期間に制限が設けられています。 そのため、外国人を採用する際は在留資格と在留期間を必ず確認してください。

  • 就職活動がうまくいかず、大学卒業後も就職活動を継続している(新卒/第二新卒採用時)
  • 次の就職先は見つかっていないが、既に前職を退職し転職活動をしている(中途採用時)

上記のような場合には、本人の所有する在留資格が既に効力を失っている場合がありますので、特に注意が必要です。

企業側が伝えておくべきこと

④自社の外国人の受け入れ体制について伝える

外国人の受け入れ体制について、求職者にしっかりと説明することが重要です。外国人の方は、志望企業に外国人の社員が働いているかどうかについて関心があります。同じ外国人の方が、どのような仕事を担当しているか、キャリアパスはどうか、なぜその企業で働こうと思ったか等を知りたいのです。

そのため、外国人の社員がすでに勤務している場合は、選考の過程で面接などに登場させると、企業の印象をアップさせることに繋がります。そのほか、海外勤務の経験のある社員とコミュニケーションを取ってもらうことも効果的です。

これらいずれも持ち合わせていなくても、大丈夫です。困ったことがあったら何でも聞いて欲しい、何でも聞いてよいという社風を外国人の候補者に感じてもらうことが、入社後の企業と外国人の社員との関係を円滑に保つポイントになります。

⑤評価制度についてしっかりと伝える

日本企業では特に、長期雇用や年功序列の人事制度がいまだに広く浸透しています。そのため、外国人からすると、評価基準の曖昧さや実績と昇進のギャップに戸惑いを感じてしまいがちです。こうした状況が生まれるのは、会社側が外国人の社員に自社の評価制度を明確に伝えきれていないことが原因と言えます。

ここでお伝えしておきたいことは、外国人が企業の評価制度に着目する理由は、昇格・昇給が第一の目的では決してないということです。

彼らが知りたいことは、それらの根拠なのです。つまり、(今後も日本で働いていくことを考え)現在担当している業務と自分のスキル、給与の根拠を確認したいのです。

日本人同士では暗黙の了解であっても、文化の異なる外国人に対しては、1つひとつの仕事に対する明確な評価基準を論理的に説明し、それを体裁としてではなく実行していく必要があるのです。

⑥社内制度(給与から天引きされる各種保険やみなし残業制度)についてしっかりと伝える

当社の転職相談に来る方の割合として、「キャリアアップのため」に次いで多いのが、「内定時の条件と実務が異なるため」転職をしたいという方です。

こういった転職理由が生じる背景は、必ずしも企業側だけに原因があるとは言い切れません。実際には、給与から天引きされる各種保険やみなし残業制度の理解不足、あるいは採用時に提示していなかった臨時的な業務に対する耐性の不足など、企業と外国人の社員とのミスコミュニケーションによるところが大きいです。

また、外国人によっては、日本の大手企業は◯◯、中小ベンチャー企業は□□というように企業規模と待遇や給与、労働環境のイメージが固定されている方もいます。そのため、外国人を採用する際には、自社の特徴や方針を明確に伝え、理解してもらうことが必要になります。

まとめ

企業における外国人の活用に際しては、「社内公用語を英語に切り替える」「制度や既 存の仕組みを抜本的に改革する」といったようなことは、実は必要ないのです。評価の付け方や社員のキャリアプランなど、外国人社員が気付いた点に対して、企業として少しずつ海外のエッセンスを加えていくことが大切なのです。

これは、文化や価値観が異なるからこそ発見できる視点であり、企業が外国人の社員を採用するメリットともいえます。

外国人を雇用することは、企業体制のグローバル化や日本人社員の内なる国際化、あるいは、労働環境の見直しに大きく貢献することになります。

文化や価値観の違いを知ることはコストではなく、企業としての競争力を高めるよい機会と捉えてみてはいかがでしょうか。

多様な文化や価値観を取り入れ、それを企業活動の原動力に変換していくことが、日本の企業でも今後益々求められていくのだと思います。

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