黒田 悠介さん
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  • 黒田 悠介

「1杯1円のコーヒー」はイノベーションと言えるか?トレードオフを解消するアイデアの重要性

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イノベーティブな新規事業は、世の中の課題を解決するものです。課題の解決方法には様々な方法があり得ますが、大きく分類すれば「いい解決方法」と「わるい解決方法」があります。

では、「いい解決方法」「わるい解決方法」を分けるものはなんでしょうか。

例を挙げて考えてみましょう。例えば、多くの人にコーヒーを楽しんでもらおうと、コーヒーを1杯1円で提供することはイノベーションと呼べる「いい解決方法」でしょうか。

多くの人は条件付きで「はい」と言うことになると思います。その条件は「美味しければ」「十分な満足感が得られれば」というものです。

つまり、イノベーションとは、課題を単純に解決するだけではなくて、同時には成り立つのが難しい「制約条件」もクリアしていなければならないということです。

1杯1円にするだけならカンタンなんです。ごく単純化して考えると、100円で提供しているコーヒーを100倍に希釈すれば完成です。でも、これでは美味しくないし、コーヒーを飲んだ満足感は得られないでしょう。

「1杯1円なのに美味しい」という両立が難しい条件を同時に満たしているからこそ「それはすごい」となるわけです。

自動運転車はなぜイノベーションなのか

既にイノベーションだと思われている事例についても考えてみましょう。自動運転車はなぜイノベーションと呼ばれているのでしょうか。それは、トレードオフを解消しているからです。単純に「人間が運転しない自動車」というだけではイノベーションではありません。

人間が運転しない自動車

であるにも関わらず、

安全性を担保している

という点がイノベーションなんです。

1円コーヒーと同様に、両立が難しく「あちらを立てればこちらが立たず」の状態をトレードオフと言います。このトレードオフを解消するところにイノベーションの芽があります。

ニーズが満たされないで残っている理由

ニーズから事業アイデアを発見する方法はよく知られています。しかし、そのニーズにトレードオフがなければ、ニーズを満たす事自体はとてもカンタンなんです。誰でもできます。イノベーションでもないし、事業機会ではありません。

例えば、「Airbnb」は、余っている部屋を価値化したいユーザーと旅行中にもっと異文化体験がしたいというユーザーのニーズから始まりました。でも、両者がカンタンに出会うことができていたのなら、そのニーズは即座に満たされ、事業機会として残っていなかったはずなんです。

しかし、実際には両者が出会うコストはとても高かった。だからこそ、出会いのコストを最小化すると同時に両者のニーズを満たすこと(トレードオフの解消)がAirbnb事業機会になり得たわけです。

あなたの事業アイデアがトレードオフを解決しているかどうかを考えてみましょう。解決する課題とトレードオフの関係にある事柄はなんでしょうか?

トレードオフの例

事業で満たそうとしているニーズに対して「トレードオフ」の関係にある「制約条件」さえもクリアしてしまうことが、イノベーションの条件です。例えば以下のようなトレードオフを解決できれば素晴らしいイノベーションだと思います。

  • 「料金が100円」にも関わらず「高級レストランと同等の料理が食べられる」
  • 「自宅にいる」にも関わらず「高い質の医療が受けられる」
  • 「自動車である」にも関わらず「環境に優しい」
  • 「ロボットである」にも関わらず「高度に認知的な作業ができる」
  • 「手間のかかる業務」にも関わらず「安価に完遂することができる」
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