浜田 俊さん
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  • 浜田 俊

データドリブンな組織を作るには?トップ主導で分析重視カルチャーを育てよ

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データドリブンな組織文化

業界を問わず、企業はデータを活用して多くの意思決定を行い、新たな価値の創出に取り組んでいます。

センサー、ウェブサイト、販売活動まで、事業のパフォーマンスを計測するのに必要な情報が次々と数値化されています。その影響のひとつとして、企業内におけるデータサイエンティストにますます注目が集まっています。

しかし、ほとんどの組織においてデータサイエンティストは一部の小さな集団にすぎません。データ主導の「分析重視カルチャー」を醸成するには、データサイエンティストが専門機関としての小さな枠から飛び出し、部署の垣根を飛び越えた横断的なトレーニングや管理を行う必要があります。さらに、「分析重視カルチャー」を醸成するためには、使用するツールや雇用プロセスも再考しなければなりません。そして、こうした改革はトップから始める必要があります。

ステップ1:データの解放、権限の共有

トップ主導の「分析重視カルチャー」を育てるには、これまで上層部のみが握っていたデータに関する権限を全社員に共有する必要があります。

それは、全従業員が自ら自分たちの抱える疑問に対してデータを使って答えを導き出き出せるようにすることを意味します。

従来の分析は、専門のチーム内でのみ管理されていました。しかし、会社全体にアクセス可能なツールと正しいトレーニングを提供し、データへのアクセス権を付与 (最高レベルの機密情報は除く) することで、全社員が自分たちの抱える疑問に対処できる組織になります。そして、そのような組織が築けるかは、トップのリーダーシップにかかっています。

オープンデータ

ステップ2:データ分析の基礎からトレーニングを実施

ただし、全従業員がデータ分析を行えるようになるには、通常より多くのトレーニングを必要とします。

データ分析ツールの機能以外にも学ばなければならないことは数多くあります。より視野を広げてクリティカル・シンキング分析的好奇心データの可視化に必要なスキルなど、関連分野における基礎を身につけることが重要で、外部の専門家を招いてトレーニングを行うと良いと思います。このような基礎があると、ツールのトレーニングはより深い意味を持つようになります。

ステップ3:データに基づいた回答を要求する

社員に必要最低限の情報のみを開示する閉鎖的な体質から、総力を挙げて問題解決にあたる組織体制への移行はトップが主導する必要があり、そうでなければ全体の移行を台無しにしてしまうことになります。

全社員への権限の付与は心地悪く感じることがあることを認識したうえで、徐々にその文化が定着し、それが当たり前になるようなステップを踏んでいくことが重要です。

そのために、経営陣はまずデータに基づいた回答を社員に要求することから始めましょう。意見を聞くのではなく、データと事実に基づいたコミュニケーションを推奨し、それを全社員の共通意識として根付かせることが目標です。

個人の主観に基づいた回答は認めず、データの解釈や活用についての議論が生まれやすい環境づくりを一丸となって進めていくことが重要です。そして、それはトップにいる経営陣が日々データを使い、分析プロセスや社内で行われるべきコミュニケーションの模範を示すことではじめて実現します。

データに基づいたコミュニケーション

ステップ4:データに基づいた評価

また、こうしたデータ主導の文化を会社に浸透させるうえで重要なステップとして、従業員がデータに基づいて評価されるようになる必要があります。評価シートはデータが載っていなければなりません。これにより、データに基づく成果に対する報酬設定が容易になります。全社的なデータに基づく競争を設けることも有効な手段です。こうすることで、経営陣がより広範囲にわたってデータに基づく成果に対する報酬を設定できるようになります。

ステップ5:データ主導のマインドを持った人材の採用

これらを社内で実施する一方で、データ主導のマインドセットを持った優秀な人材を積極的に採用することも大切です。データ主導文化を社内に根付かせるには、会社が求める価値観を体現できる人材を雇用して、既存の社員に足りない部分を補っていく必要があります。もちろん、このプロセスにおいてもデータが重要な役割を担います。しかし、最新ツールの使い方を習得している候補者が必ずしも優秀な人材だとは限らないということを念頭に置いておくべきでしょう。なかにはツールの使い方などの技術的スキルを必要とするポジションもあるでしょうが、全社員共通で求められるもっとも重要なスキルがあります。それはクリティカル・シンキングです。

クリティカル・シンキングを評価するためには、データサイエンティストやデータアナリストだけでなく、すべての採用候補者にデータに基づくテストを行うべきでしょう。その違いは結果に如実に現れ、回答によって候補者が提示されたデータに対してどんな疑問を組み立てられるか、それらを回答できる熟練度があるか、データに関連・付随する質問をたずねたかがわかります。

データテスト

社員が自ら分析をするデータ主導の文化を育てる上で重要なもうひとつの要素が好奇心です。採用候補者の好奇心の度合を測る簡単な方法の一つは、「トイレがどのように機能するか?」をたずねることです。

この質問は唐突なように思えますが、実はとても効果的な質問です。人はトイレに多くの時間をかけます。しかし、どれだけの人が実際に時間を使って、トイレがどのように機能するかを考えて、答えを導き出したことがあるでしょうか?

この質問は候補者の学歴や経歴に一切関係なく、全員が平等な立場で答えられるうえに、往々にして彼らの殻を破ることができる素晴らしい質問でもあります。多くの求職者は事前に考えてきたような答えをたくさん用意していますが、トイレに関する質問の模範回答を用意している人はほとんどいないでしょう。

この質問をすることで、面接者の好奇心の度合と個性という、どんな雇用や企業文化にも重要な2つの側面を把握することができます。

まとめ

結局のところ、分析重視カルチャーを持ち込んで広めることは、一朝一夕にできるようなことではなく、長期間のプロセスであるということです。しかし、トップのリーダーシップによって今日から始めたなら、一年後には驚くほどの進歩が見えるでしょう。適切なテクノロジーを導入し、その使い方を会社の全員に教え、データをすべての会話の基本にするという数少ない施策で、分析重視カルチャーへ向けた会社組織による舵取りが可能となります。そして、それはすべて会社トップから始まるのです。

分析重視カルチャー

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