Kazuhiro Okunoさん
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「アクションにつながらない」データは捨てよう!データドリブンを目指す組織の現状って?

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はじめまして、ドーモ株式会社でシニアソリューション・コンサルタントをしています奥野です。今日は組織がデータドリブンを目指す上での現状の問題点について探っていきます。

実はスポーツの世界は、ビジネスの世界よりも一歩早くデータドリブンに進化しています。今ではリアルタイムに選手の動きを把握することが始まっていて、ラグビーの選手はGPSをつけて試合に臨むチームもあります。

それと比較すると、ビジネスの世界は「データドリブンに意思決定する」とはいえども、まだまだその真価は発揮できてはいないと思います。今日は具体例を出しながら、ビジネスのデータドリブンを目指す組織の問題を考察してみました。

アクションに繋がらない数字を取っていても仕方ない

最近、「データドリブン」という言葉をネットやイベントなどでも聞くようになりました。でも多くの企業はまだまだデータドリブンになるために動き始めた、くらいだと思います。本当はデータを集めて、分析するだけではデータドリブンとは言えません。

結局のところ、データを見ることによって次のアクションが変えられないならば、、データを中心に組織が駆動しているとは言えません。さらに改善アクションの効果までしっかりと測定し、リアルタイムに改善が進んで行くPDCAが重要なのではないかと思います。

私たちのお客さまでも同じようなことを考えている方がいらっしゃったようで、「アクションにつながらないデータは溜めるだけコストだから捨ててしまえ」と言っていました。これは本当におっしゃる通りだなと思います。

専門化していくデータ分析

ビジネスインテリジェンス(BI)の歴史を考えると、ひと昔前まではデータを見るだけで価値となっていました。しかし、それだとアドホックな分析ができないということになって、結局深い分析などは人間に依存してしまうことになっていました。

ですが、時代の移り変わりは早いもので今ではアドホックな目的のためにデータを扱うということも可能になってきました。いわゆるアジャイルBIツールのようなものです。これは特定の分析をするのがとても簡単になっていて、問題の原因を探るためにデータの深くまで潜っていくことができるようになっています。

これは非常に価値のあるもので、データサイエンティストにとっては統計解析ツールと肩を並べるほどに手放せないツールだと思います。これによってデータサイエンティストの仕事というのは劇的に効率的になりました。

スポーツ界のデータドリブンはどう進化しているか

ただ、これだけではまだデータドリブンなビジネスを展開する上では不十分ではと思っています。データを中心としたPDCAを回すのがどういうことかを簡単にスポーツを例にして考えていきたいと思います。

スポーツであれば、「改善アクションが終わった後に振り返る」という時代はすでに終わっているんですね。以前は各チームにスコアラーの方がいて、試合中のデータをすべて取っていて、試合が終わるとそれを分析して監督やコーチに渡していました。

野球ですと、この選手は内角に弱いとか、バレーボールだとチームのセッターは右サイドにトスをあげることが多いとか、サッカーではある選手のパス成功数や後半にバテやすいなどです。試合を通したあらゆる情報を分析して次の試合に臨んでいました。

もちろん、これらのデータは有用なものなんですが、スポーツって毎回条件が変わるんですよね。それまでの試合と全く同じ状況というのは起こり得ないんです。天気や温度が変わるとバテやすさも変わるし、選手の体調が良くなることもある。相手の選手の成長や作戦の変更もありえます。

こうなるとやっぱり過去のデータの効果は限定的になってしまいます。優勝を目指すチームが「今回の試合は負けたけど学びが多かったからよかったね」なんて毎回言ってられないですよね。

なので最近のスポーツ界のデータの扱い方というのは、試合中にデータを分析するんです。各選手の走行距離やボールタッチ数や移動範囲なんかを常にリアルタイムで取っている。その日の選手の体調であったり、試合展開とか突発的なアクシデントとかもありえます。

突然怪我してしまうとか、レッドカードをもらって退場になってしまうとか。試合ごとに異なる外部条件まで加味しながら戦略を練っていくことがスポーツの世界で求められています。そうすることで勝率というのも上げていくことができるわけですよね。これはビジネスの世界でも全く一緒かなと思っています。

PDCAを早く回すことの積み重ねが圧倒的な差になる

ビジネスの世界の現状を一つ考えてみましょう。 データドリブンで進められないというのは、言い換えればPDCAサイクルが長くなってしまい、現場で改善アクションができないということです。

目指すべきスタイルとしては、広告やCMなどのキャンペーン中に実績を収集して分析していく。その中で、チャネルごとの予算の再分配であったり、出稿コンテンツを差し替える、キャンペーンを延長する、中止するなどのアクションの判断が簡単にできることです。

このアクションも更に改善することができるので、PDCAの回り方がとても早いですし、効果も大きくなるわけです。

これまでのキャンペーンは終わったあとに分析して次回のキャンペーンに活かすということやっていました。でも、スポーツと一緒でビジネスの世界でも外部要因の影響を考えないといけません。世間の流行や関心は移ろいますし、突然の競合の出現や景気の変動などいろんな条件が変わってくる。

これもやっぱりキャンペーン中に実績を分析して、計画と比較して改善策を練り、その効果をまた分析してさらに改善していく。こういう動きが後々、圧倒的な差になって出てくるんです。

現状のPDCAはどう動いている?

キャンペーンのPDCAサイクルについて考えてみましょう。まず、キャンペーンの目的は何なのか計画を作るかと思います。続いてどのようなチャネルを狙ってキャンペーンをするのかを考えます。広告を打つなら、どんなコンテンツをどこで配信するのかなど決めることはたくさんありますね。

そして効果測定です。実際にやられている方はわかると思うのですが、そのキャンペーンの実績を取るためにはいろいろなデータソースから集めてこないといけません。アドネットワーク、解析ツール、CRM、マーケティングオートメーションツールなどなど。いろいろなデータソースが登場してきます。一通り集まってやっと効果測定が始まります。

これがけっこう厄介で、チャネルごとの実際のROI、投下した予算と売り上げの比較をやろうと思うと複数のシステムを跨がないといけないんですよね。なんとか効果測定ができたと思ったら、今度は効果測定の結果を関係者同士で共有して、次のアクションを決定していきます。

結果がいい場合も悪い場合もあると思いますが、なんでうまくいったのか、どうしてうまくいかなかったのかというのを分析して、改善のためにはどうすればいいのかというアクションをみんなで検討して合意を取っていく。これが一般的なPDCAだと思います。

多くの人に確認しながら行うPDCAでは遅くなってしまう

ただ、このようにデータを中心としたPDCAを回そうとすると、プロセスのあちこちに溝みたいなものがあって、クイックにこのサイクルが回らなくなっているんじゃないかと考えています。どういうことかというと、複数のデータをまたぐような複雑な分析はやはりデータサイエンティストの力も必要になったりします。

しっかりと分析しようと思うと、「キャンペーンの目的ってなんだっけ?」とか「どんなスケジュールでやったんだっけ?」とか企画を遡った情報が必要になってきます。そうでなければ、異常値が出たのは分析できても、なぜそのようなことが起こったのかわからないんですね。

売り上げが0になっていて、それが異常なのは明らかにわかるのですが、なぜそんなことになっているのかはわからない。現場に聞いて「ああ、システムが止まってしまっていたんだ」というのがやっとわかる。このようにデータを分析して効果測定をするためには、そのキャンペーンのコンテクスト(文脈)も知らないといけない。

でも企画段階のプランであれば、ワードとかパワポで作られているものが多くて、企画のコンテクストはデータサイエンティストが分析するデータベースに入っていないんですね。だからデータサイエンティストはメールやらあれやこれやで、いろんな人と時間を取って確認しないといけない。データや必要な情報が点在していると、どうしても分析のスピード感は出てきません。

データは誰がいつ見るべきなのか

データサイエンティストはどこの会社でも多忙で貴重な人的リソースです。こうやってデータやコンテクストの手戻りが多くなってくると、彼らは他で優先すべき仕事もあるので結局スポーツでやっているようなキャンペーン中の解析というのはできない。キャンペーン後に「このキャンペーンは良かったですね、こっちはダメでしたね」という振り返りで終わってしまう。

このPDCAサイクルの中で、人間がデータを確認するまで異常に気がつかないというのももう一つ大きな問題かと思います。「売り上げがどうなっているのか確認しよう」となって、データを見て、「うわぁ、やばい」というような感じですよね。

かと言って、データと毎日毎日にらめっこしているのも時間の無駄になってしまう。気づくのが遅れても機会損失になる。ではいつデータを見て、どういうやり方で異常を察知するべきなのかというのが、これからの重大なテーマになるかと思います。

問題が色濃く出る「会議」の在り方

最適な改善アクションが現場で行われない問題の原因は会議の形にもあります。結果的に改善アクションを決める場所はリアルタイムとは程遠い、会議室です。事件は現場で起こっているのに、改善アクションを決めるのは会議室になっているわけです。

分析したデータをレポート用にエクセルに落として、プレゼンの準備をしてデータの確認から始まる形が多いですが、様々な関係者が全員データを理解するのに時間がかかってしまって、課題を話し合う時間が制限されてしまう。

場合によっては「また次の会議でやりましょう」ということになりますが、関係者も多いので日程の調整もできない。こうなると当然キャンペーン中の振り返りなど不可能に近くて、振り返りはキャンペーン終わった後に行うということが当たりまえになってしまうわけです。

こうなってしまっているのが、企業のPDCAの現状ではないかと思います。PDCAは確かに回っているんですけど、すごくサイクルが長くて、遅い。この問題を現場から解決しないといけないと思います。

今日あげた問題は、リアルタイムにデータを共有できない、現場で改善アクションが起こせないというものを取り上げました。この問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか?次回の記事では解決策について書いていきたいと思います。

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