• 株式会社プリズムプラス
  • 代表兼プロデューサー
  • 弥谷 陽史

サークルみたいな会社の99.9%は潰れる!?創業1年で労務・経理基盤を整えた理由

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今回のソリューション:【経理宅配便】

〜創業1年目にして、「会社」としての体裁を完璧に整えた、株式会社プリズムプラスの「起業哲学」と、その具体的なノウハウを公開〜

ベンチャー・スタートアップ企業にとって、ひとつの大きな壁が、しっかりとした「会社組織」を作ることだ。

友人とサークル的に始めた会社であっても、いずれは「会社組織」としての体裁を整えなければ、それ以上は成長できなくなる。それどころか最悪の場合、「地盤」の弱さのために、企業全体が土台から崩壊してしまうことにもなりかねない。

最先端のCG映像制作に強みを持つ、創業2年目のベンチャー企業、株式会社プリズムプラス

会社をサークルみたいにしたくなかった」と語る同社代表の弥谷 陽史さんは、入念に起業を準備し、労務・法務・経理などについて、創業時から盤石の体制を整えた。そこで活用したのが、「経理宅配便」や「MINAGINE(ミナジン)」といったツールだった。

結果的に会社としての信用が得られ、資金の借り入れや社員の確保がスムーズに進み、会社の順調な成長が可能になっているという。

今回は、弥谷さんに、その独特の起業哲学から、それを実現するために利用したサービスやツールまで、存分に語っていただいた。

セガ・サミーのCGディレクターを辞め、プリズムプラスを起業

新卒でセガ・サミーに入社し、まずはCG系のデザイナー、続いてディレクターを担当しました。100人ほどが関わる、売上も何百億にのぼるような仕事のディレクションも経験しましたね。

ただ、いろいろな仕事を経験し、社内で自分の信用が上がってくる中で、この技術をもっと他のことにも使いたくなってきたんです。

株式会社プリズムプラスの弥谷 陽史さん

リアルタイムCGという世界において、私を含め今のプリズムプラスのメンバーたちはゲームや映像など既存のマーケットにとどまることなく、この技術が「インフラ」になるのではないかと考えたんですね。

そんな中で、仲間内でも「やろう」という声が起業前からどんどん大きくなっていった。それがプリズムプラスの創業のきっかけとなりました。

ちなみに、プリズムプラスは、インドやバングラデシュの会社の社長と組んで立ち上げました。最初から海外の人と一緒にやろうと思ったのは、日本人だけの組織では、今後海外では勝てないからです。それなのに日本人だけでやろうとするのが、日本人の悪いところですね

「会社をサークルにはしたくない」、その理由とは

立ち上げるときに一番気をつけたのが「いかに会社をサークルにしないか」ということです。

サークルみたいな会社っていっぱいあるじゃないですか。たまに成功している例もあるんですけど、そういうのは多分1,000社に1社くらいですよ

はじめに仲間だけでサークルみたいにやっているうちは、時給換算すると500円みたいな、労基なんてあったもんじゃない環境でもいいかもしれない。

でも、それじゃ長くは続かないんですよ。いざ事業が成長フェーズに入ったとき、そんなんじゃ、人が集まらないどころか、どんどん辞めていく。信用がなくて金融機関からお金も借りられない。

要するに、それでは事業の成長に不可欠なヒトもカネも集まらないんです。

挙げ句の果てには、経理が辞めちゃったり、残業代未払いで訴えられたり。せっかく面白いことをやっているのに、そんなことで足元をすくわれてしまう例をたくさん見てきました。

だから、起業するときには、法務や労務や経理など、そういうおろそかにされがちな部分を、絶対にきっちりしようと考えました。地味かもしれないですけど、立ち上げの頃は、面白いことなんてひとつもしなくていいんです。

株式会社プリズムプラスの弥谷 陽史さん

そういった会社としての基盤作りに、時間もお金も投資したので、起業準備にはかれこれ3年ほどかかり、創業1年目も、まずは「急成長しても耐えられる会社」としてのシステムを作ることに力を注ぎました。

起業って本来それくらい時間がかかるものなんですよ。仕組みをゼロから作っていかなければならないので、パッとはやれない。「よし、起業するぞー!」みたいなノリで起業しちゃうのは、バカですよ。

バックオフィスに、辻・本郷税理士法人を幅広く活用!

仕組みづくりで意識したことのひとつが、「効率化」です。スタートアップは、全て自分達でバックオフィス業務を行うのは不可能に近いので、適宜アウトソースしつつ、きっちりとした仕組みを作ってきました。

まず、経理面では、辻・本郷税理士事務所さんの「経理宅配便」を活用しています。小規模の事業者向けなのですが、売上・仕入・経費の伝票を郵送するだけで、面倒な経理業務をすべて代行してくれるサービスです。

ちゃんと信頼できる税理士事務所さんにお願いしつつ、経理業務を全てアウトソースできるので、費用対効果はとても良いと思います。

あと、辻・本郷さんはインドやバングラデシュに支社があって、海外法務にも知見をお持ちなので、そちらに関してもお世話になりました。最初に様々な契約のフォーマットをいただけたので、インドやバングラデシュのパートナーとの業務契約がスムーズに進みましたね。

勤怠管理には細かい権限設定が可能な「MINAGINE」を利用

労務については、まずしっかりとした就業規則を佐藤労務士事務所さんにお願いして作成していただきました。

前職では非常に詳細に渡った就業規則があったのですが、そちらも参考にさせていただきながら、弊社でも結構分厚い就業規則を作りました。やはり、労務管理が会社の基盤だと思ったからです。

勤怠管理には、大手さんもよく利用している「MINAGINE(ミナジン)」というシステムを使っています。

以前はタイムカードを切っていたのですが、切り忘れなども結構あって。私が社員のタイムカードを毎日はチェックできないので、週に1回とか、月に1回とか見るんですが、結構チェックが大変なんですよ。

MINAGINEはクラウド型の勤怠管理システムで、タイムカードと同じように社員たち自身が勤怠の記録をつけていくのですが、閲覧の権限設定が細かいのがよいところです。私は全員の勤怠が見られます。部長は、その部下全員を見られる。ディレクターはそのチーム全員を見られるといった感じです。

このように細かい権限設定を用いて、勤怠のチェックをすべて直属の上長に任せることで、勤怠を毎日チェックできるようにしているんです。

▼MINAGINEでの勤怠管理画面

MINAGINE

私1人で毎日全社員を見るのは無理ですが、各上長が自分の部下の分をチェックするだけなら、無理なく続けていくことができるんですね。

あと、MINAGINEは労働法務に強いことも良いところで、例えば、残業が多すぎる場合などはアラートを送ってくれるので、適切な労働環境の整備にも役立っています。

人事規則の制定や給与振込の計算といった、その他の労務管理に関しても、佐藤労務士事務所さんにすべてお任せしています。給与計算については、MINAGINEのデータを、佐藤労務士事務所さんに送れば、自動的に給与振込みがなされる仕組みにして、効率化を図っています。

会社としてしっかりすると、いい人が集まり、しかも辞めない

こういった会社としての基盤の整備の効果は、2年目になってハッキリしてきました。ちゃんと会社としての体裁を整えることで、一部上場企業で働いていた方が、安心して中途入社してくれるんです。家族の理解が得やすいのだと思います。

さらに、その人たちがまた知り合いを連れてくるので、採用について、いい循環が生まれています。会社としてしっかりしていて、しかも、やっていることも面白いからだと思いますが、弊社ではまだ辞めた人もいないんですよ。

細かな実績を積み重ねることで、金融機関の信頼を得る

内部の体制をしっかりすることと合わせて、外部からの信用を得る努力もしています。

前提として、ベンチャーって信用がないじゃないですか、すごく信用ないんです。そこにどうやって信用をつけるか。

弊社の場合なら、ひとつは、就業規則を含めた、社内の労務管理をきっちりとしていること。次に、辻・本郷さんにしっかりみてもらった資産。それらに加えて、帝国データバンクの企業年鑑に載るっていうところで、ちゃんとした企業なんですよっていうところをアピールしています。

これらの細かな実績の積み重ねによって、金融機関から、お金を借りやすくなっています。そのおかげで事業展開のスピードを速めることができています。

株式会社プリズムプラスの弥谷 陽史さん

金融機関って、お金を貸す相手の会社が、理念や将来の展望でどんなにいいことを言おうが、これぽっちも聞いてないんです。

そんなものは、いくらでも嘘がつけるので、金融機関の方は「そうなんですねー。ハハハ」っていいながら、目が死んでるみたいな感じで流すと思いますよ(笑)。

あと、サークルみたいな会社がよく出してくるワケのわからないグラフも信頼を得る上では役に立たないと思います。「これから急成長して5年後には上場します!」みたいなグラフなんですけど、「いま1年で500万しか売上ないのにどうやって上場するんだ、こいつら」(笑)って感じですよね。

やっぱり金融機関は、現にある数字と肩書きみたいな「あるもの」しか見ないので、それらをどう揃えるかが重要です。

さらに会社の基盤を強化し、CGがインフラとなる社会を作りたい

今のところ、会社の仕組みづくりのゴールは、私がいなくても会社が回るようにすることです。そのようなシステムをしっかり作ることが、サークルではない「会社」を作ることだと考えています。

具体的な事業内容としては、弊社はいまふたつの車輪で前進しています。1つはCGの受注生産で、すごく伸びています。ただ、これだけだとあまり面白くなく、わざわざ起業した意味がない。

それで、今進めているのがリアルタイムという技術に特化したプロジェクトです。こちらはいまVCからも資金を調達しています。

受注で稼いだお金をリアルタイム技術の研究開発に投入し、そこで得られた技術を受注業務に活用する。このような両輪で会社を一気に成長させるつもりです。

会社を通じて実現したいのは、ゲームや映画などのエンタメ領域にとどまっているCGの技術を、医療や建築などなどの方向にも広げることです。CGがインフラになるような世界を実現したいと思っています。

その先で、最終的には、映画マトリックスみたいな、その中に人間が入れるCGの世界を作りたいですね。(了)

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