• 株式会社GOODROID
  • 代表取締役社長
  • 松田 和彬

開発納期は遅らせない!たった15人が1年半で、40本のゲームをリリースできた理由とは

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〜洗練された開発プロセスによって、15名の社員で1年半に40本ものカジュアルゲームのリリースを実現している事例〜

時代と共に、Webサービスやアプリのデザイン・仕様は、どんどんリッチになってきている。そしてそれに伴い、開発期間も半年〜1年以上と、長期化する傾向がある。

そんな中で、15人という少人数ながら、1年半に40本ものカジュアルゲームをリリースしている会社がある。「圧倒的おもしろカンパニーへ!」を企業理念に、「オネェ学園~乙女部へようこそ~」「もやしびと」など、スマホ向けゲームを制作している、株式会社GOODROIDだ。

納期通りのリリースを可能にしているのは、しっかりと定型化された開発プロセスと、メンバーが自分の役割を超えて補い合う姿勢だという

今回は、同社代表の松田 和彬さんと、デザイナーの安田 将さんに、ゲームのアイディア出しから実際の開発の過程、そしてリリース後まで、アプリ開発のプロセスを余すところなく伺った。

「とにかく多くのサービスを作る」ため、GOODROIDを創業

松田 サイバーエージェントに2009年に新卒で入社し、長い間フィーチャーフォンやスマートフォン向けゲームのプロデューサーをしていました。ただ、時代と共にゲームの内容がどんどんリッチになり、1本開発するのに1年ほどかかるようになってきて…。

GOODROID 松田 和彬さん

僕としては、「できるだけ多くのサービスを作って世に出したい」という思いがあったので、1年で1本では物足りなかった。そこで「とにかくたくさんのアプリを作ろう」と、2014年10月に、子会社としてGOODROIDを立ち上げました。

現在は社長をしながら、プロデューサーとして現場にもコミットしています。「企画を通すかどうか」の最終決定や、リリース後のマネタイズが主な担当ですね。

安田 僕は2014年に新卒でサイバーエージェントに入り、スマートフォン向けゲームのデザイナーをしていました。そして運良く、その年の10月にGOODROIDの立ち上げに呼ばれて。

それまでは、ゲームの攻撃エフェクトを作る「エフェクト職人」だったのですが(笑)、いまはキャラクターデザインも含めて、ゲームの見た目に関するあらゆるものをデザインしています。

GOODROID 安田 将さん

弊社を代表するキャラクター「もやしびと」を生み出せたり、ゲーム全体に関わることができるので、とても楽しいですね。

松田 「もやしびと」は、安田の落書きを僕が見て、「この絵、面白いじゃん」という感じで企画が始まったんです。それが海外でも、100万ダウンロードを超えるほどのヒットになりました。

▼ 落書きから生まれたヒット作「もやしびと」

もやしびと

思いつきレベルのアイデアを、スプレッドシートで共有

松田 ゲームのアイデアは、Googleスプレッドシートにまとめています。社員全員が思いつきを気軽に書き込めるようにしているので、すぐに50個、100個と集まりますね。

▼ アイディアが書き込まれたスプレッドシート

アイディア

そのスプレッドシートの中から、私や他のプロデューサーが面白そうなものを深掘って、企画案を作り上げていきます。

「秒速で1億円 貢ぐ男」というゲームも、そのスプレッドシートに書いてあった「ATM男」という4文字から始まりました。ただ、アイデアは本当に一言レベルの思いつきで書いているので、99%以上はボツになるのですが(笑)。

開発はプロデューサー・デザイナー・エンジニアの3名体制で

松田 弊社は現在、エンジニア7人、デザイナー4人、プロデューサー3人、そして全体をマネージメントしている人が数人といった構成です。

実際に企画がスタートすると、プロデューサー・デザイナー・エンジニアが3名1組のチームとなって開発を進めていきます。常に4、5本の開発が、同時並行で進んでいます。

ひとつの開発が終わると、自然とまた同じメンバーで次のゲームも作っていくことになります。これは、開発スピードを速められているひとつのポイントかなと思います。何本も一緒にゲームを作っていると、「あうんの呼吸」で物事を進めていけるようになるんですよ。

2ヶ月で作りきれるように、不必要な機能は削る

松田 弊社では1.5ヶ月から2ヶ月という開発期間を最初に設定してしまうのですが、今まで納期がズレたことはほとんどありません。作っているゲームはフザけたテーマのものも多いのですが(笑)、開発自体は「ピリッ」としているんです。

最初に仕様を固め、エンジニアとデザイナーがRedmineでタスクとスケジュールをすべて可視化します。

▼ スケジュール管理は「Redmine」で

Redmine

そこで開発期間が長くなることがわかれば、2ヶ月に収まるように話し合います。不必要な機能を削ったり、仕様のある部分を他のゲームから流用したりして、期間を短くします。

開発初期、仕様書は「未完成」 全員で補い合いながら進めていく

安田 実際に開発を進めていく上で、納期を守るには、メンバー同士の「補い合い」がポイントです。例えば弊社では、プロデューサーが作る仕様書は、初めの段階では完成されたものではありません。むしろかなり、ラフなものが多いです。

仕様書はGoogleスライドで作成し、誰でも編集できるように公開しています。デザイナーやエンジニアが「こうしたほうがいいのでは?」という情報を補足しながら、開発作業を進めていきます

▼ Googleスライドを使って「みんなで作る仕様書」を実現

仕様書

これを、「仕様書が完全でないから仕事が進められない」と考えたり、あるいはプロデューサーに「仕様書の中身が不足しているので直してください」と言っていたら、どんどん開発が遅れてしまいます。

そうではなく、みんなが他のメンバーに対する「思いやり」を持って、積極的に補い合って仕事を進めています。そうすると、次第にできる仕事の幅が広がっていくので、結果的に補い合うための能力も身についていきます

松田 安田は、「思いやり」の精神が強すぎて、今では、Cocos2d-xも使えるデザイナーになりました(笑)。モックまで自分で作ってしまうこともよくあります。

モック、α版、β版を経て、2ヶ月でリリースする

松田 開発フローは、モック、α版、β版と進んでいきます。

まずモックですが、そのゲームの面白さの肝になる主要画面のみプレイできる形で、2週間ほどで作ります。

その期間で、プロデューサーは要件を固めて、仕様書を仕上げていきます。エンジニアやデザイナーは、自ら仕様書を補いながら、プログラムを書いたり、デザインを起こしてモックを作ります。

次に作るα版は、ゲームのループがひと通り遊べるようになる段階です。これも2週間ほどで作ります。

最後のβ版には3週間ほどかけて、データ引継ぎ機能やTwitter投稿などのサブ機能を追加します。こうして、開発プロセス全体は2ヶ月ほどに収めるようにしています。

例えば、最近リリースした「オネェ学園~乙女部へようこそ~」は3月末に企画が決まり、6月頭にリリースできました。

▼最近リリースされた「オネェ学園~乙女部へようこそ~」

オネェ学園

企画の放棄はせず、必ずリリースしてユーザーの反応を見る

松田 今までに40本ほどのゲームをリリースしていますが、企画を途中で放棄したことは1度もありません。

開発途中で「微妙だな」と思うことはありますが、やはりゲームは出してみないとユーザーの反応は分からないので、まず出すところまではやり切ります

リリース時には、App StoreやGoogle Playでの見え方に注意していて、アイコン画像とタイトルを何十パターンも用意しています。

それをApp Storeに埋め込んだ画像を見比べて、その中から目にとまり、ついタップしたくなるようなパターンを慎重に選んでいます。

▼ App Storeでの見え方を慎重に比較検討

App Store

リリース後は「継続率」を見て、3日ほどで今後の戦略を判断

松田 リリース後は「継続率」を見ます。インストール翌日の継続率が70%、1週間で40%ほどあると、とても優秀ですね。この数値を越えていれば、ヒットしてユーザーも残ると判断できるので、機能追加も検討します。

他方で、継続率が悪ければ、いくらユーザーを集めても、すぐに離れてしまうので意味がありません。継続率が良いのか悪いのか、リリース3日ほどで判断して、継続率が悪ければ、「忘れて、次行こう!」という感じできっぱりと諦めます(笑)

今まで40本ほどのゲームを作ったなかで、「大成功」だと考えられるのは1割ほどでしょうか。ただ、カジュアルゲームは通信量が少なくサーバーのコストは安いですし、運営も不要なので、リリース後はほぼ放置できます。すると、何かの弾みでいきなり流行ることもあります

なので、どんなゲームも完全に死んでしまった訳ではありません。ユーザーが少しでもいれば、ゲーム自体は残しつつ、とにかくたくさん作るという戦略をとっています。

今後も、たくさんの面白いサービスを世に出していく

松田 たくさんゲームを出してきたことで、徐々にどのようなものが当たりそうか、つかめてきました。こういうゲームを出せば、Twitterで話題になって、そこからバズが始まって...というイメージが湧くようになってきています。

安田 弊社のゲームには、Twitterへのシェア導線がいろいろな場所に置かれていることもあって、リリース後はずっとTwitterでエゴサーチをしています。

GOODROID 松田 和彬さん 安田 将さん

例えば、「このもやし、ちょっと気色悪い」とか(笑)、一言添えてくれる人も多くて。そうやってユーザーの生の声が聞けることが、ゲームを作っていて一番楽しいことですね。

松田 サービスをたくさん作っていくことに楽しみを感じるので、GOODROIDを立ち上げてからの1年半は本当に毎日楽しいです。

今後も、「圧倒的に面白いサービス」を生み出すべく、どんどんとユニークなゲームをコンスタントにリリースしていきたいと考えています。(了)

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