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リリース後の仮説検証が鍵!プロダクト思想に根ざす、THEOフルモデルチェンジの裏側

〜仮説ほど、ユーザーは「合理的」ではなかった!?ロボアドバイザーによる投資一任運用サービスTHEOの、フルモデルチェンジの舞台裏〜

スマートフォンで1万円から資産運用を始められるその手軽さから、リリース後わずか1年9ヶ月で、ユーザー数が2万人を突破した「THEO(テオ)」

同サービスを提供する株式会社お金のデザインは、1人ひとりのお客様により最適な運用サービスを届けるため、2017年8月にフルモデルチェンジを実施

「おまかせモード」を搭載し、最低投資金額を10万円から1万円に引き下げたことで、主要KPIである「積立運用の利用者」の占める割合が、2倍以上に増加したという。

そのサービス開発初期から同社に参画し、現在もプロダクトマネージャを務める梶田 岳志さんは、「THEOを『預金に代わる、新しい選択肢』として使っていただくため、今回のモデルチェンジに踏み切った」と語る。

今回は、THEOの立ち上げ背景から、フルモデルチェンジの舞台裏について、お話を伺った。

金融知識のないところから、THEOのサービス開発に参画

私は、インターネットサービス企業で有料会員向けのサービス開発に携わった後、2015年の秋に、弊社に転職してきました。

その当時は、まだプロダクトの形もなく、開発が徐々に始まりつつあったような状況でして。開発チームは、エンジニア2人と私の3名体制でした。

弊社は、もともと金融出身の人間が集まって起業した会社なんです。そこに、私も含めWebの人間が入ってきたのですが、お互いの専門を理解するのが難しくて。「仕様が全く決まらない…」みたいなこともありましたね(笑)。

私自身、入社するまでは資産運用をしたことがなかったので、最初の頃はポートフォリオ理論などの本を読んで、金融の基礎知識を勉強していました。

そして、2016年2月、約半年の開発期間を経て「THEO(テオ)」をリリースしました。

目指すのは「預金に代わる、新しい選択肢になる」こと

THEOは、ロボアドバイザーによる投資一任運用サービスです。お客様の経済状況に応じたポートフォリオで、独自のアルゴリズムから「国際分散投資」での運用を行っています。

▼投資運用ロボアドバイザー「THEO(テオ)」

リリース当初は、「ビジネスとして成立するのかどうか」を検証することが一番重要だと考えていました。

そこで、リスティングやFB広告などを使って集客し、どのくらいコンバージョンするかということを計測していましたね。

また、サービスを開始した当時から大切にしているのが、「預金に代わる、新しい選択肢になる」ということです。

これは、無くなってはいけないお金まで投資するのではなくて、円預金の形で眠っているお金を運用に回すという考え方です。

その移し替えに加えて、毎月の貯金をTHEOで運用することで、貯金と投資を同時に行っていただきたいと考えています。

ですので、プロダクトの主要KPIのひとつとしては、毎月の積立利用者数を追っています。今回のフルモデルチェンジでは、このKPIを伸長させることを狙いました。

変更点は主に2つありまして、「THEOにおまかせモード」の搭載と「1万円からの少額投資」を可能にしたことです。

ユーザーに対する仮説にズレを感じ、新サービスを提供開始

「おまかせモード」は、お客様に定量的なアンケートにのみ回答をしていただいた上で、ポートフォリオの中身は我々にお任せくただくというサービスです。

なぜこの機能を追加したかというと、当初ユーザーに対して立てていた仮説に、ズレを感じてきていたからなんですね。

と言うのもTHEOでは、運用スタート前にユーザーに質問をし、それに回答してもらいます。その回答を元にポートフォリオをユーザーに提示して、それを後からカスタマイズできるようになっています。

最初に質問を作成した時は、その内容には「定量的なもの」「定性的なもの」どちらも含まれていました。例えば前者は金融資産額、後者は「手持ちの資産価値が2割下落したらどうしますか?」といった内容です。

定性的な質問を入れていたのは、THEOの初期ペルソナである「合理的な判断をする人」は「合理的に回答する」という仮説を持っていたからです。

例えば「手持ちの資産価値が2割下落したらどうしますか?」という質問に対して「チャンスと思って買い増します」という回答が来るとします。

するとその方を「長期的なリターンのために一時的なリスクを厭わない方だ」と判断して、リスクを多くとる資産運用を行うなど、その結果を活かすことができます。

ですが、実際の回答を見てみると、その仮説が正しくないのではないかと感じるようになって。

例えば、年齢や金融資産額の面ではインフレリスクを不安視する理由が薄いお客様が、「インフレリスクをとても心配する」と回答していたり。資産運用の観点からすると「合理的」とは言えない回答が多かったんですよ。

ということはつまり、定性的な質問から判断したり、お客様がご自身でポートフォリオをカスタマイズ可能にしてしまうと、最適な資産運用が出来ないのではないかと考えました。

そこで今回、質問項目を定量的なものだけに絞り、その回答をもとにTHEOがポートフォリオを自動設定する「おまかせモード」を作ったんですね。

▼定量的な質問項目(左)と自動設定のポートフォリオ(右)

最低投資金額の引き下げで、積立利用者の割合が2倍以上に!

また、もうひとつ、最低投資金額を10万円から1万円に変更したのは、少しでもTHEOを始めるハードルを下げたい、という意図がありました。

初期の投資金額を少なくし、毎月1万円からの積立を可能にすることで、よりスムーズにお客様にTHEOを使い始めてもらえればと考えたんですね。

これによって、KPIにしていた積立を設定する利用者の割合は、以前の2倍以上になりました。

一方、最低投資金額の引き下げによって、新規の申し込み数そのものが桁違いに増えたかというと、そういう訳ではありませんでした。

これは、おそらく「資産運用を始める」ということ自体がハードルで、極端な話それが1万円から1000円、100円になっても変わらないと思うんです。

この点では、金額というよりも「信頼」や「安心」がキーワードになるのかなと思っています。

「信頼」や「安心」を作り、より多くの人々へTHEOを届けたい

THEOは、まだ発展途上にあるプロダクトです。金融サービスとして備えるべき機能に、まだ不足している部分があるので、まずはそういう「足りないパーツを作る」ことが第一だと考えています。

また、運用会社としてはお客様に最適な運用を提供し、将来的に大きな経済メリットをお届けできるようにしたいという想いがあります。

そのためには、お客様に対しても、例えば「毎月の積立をお願いします」とか、「大きな値動きがあっても我慢して長い目で見てください」といった、色々なお願いをすることになります。

言わば「ロボアドバイザーは感情を廃した合理的な運用を行います。だから、ロボアドバイザーを使うお客様も合理的な行動を取ってください」とお願いしているんですね。

ですが、自分自身のことを振り返ってみても、「合理的な行動を取る」ということは不可能に近いものです。私も、運用資産が一時的に値上がりしたとき、何度出金しようと悩んだかわかりません。

他にも、弊社のセミナーに足を運んでくれたお客様が、そのセミナー後に運用を始めてくださるといったこともあったんですね。

こうした直接のコミュニケーションによる「信頼」や「安心」というものは、合理的な行動を取っていただくことにおいて、極めて重要なヒントだと考えています。

ですので、資産運用をより多くの人々に普通に使っていただくために、「信頼」や「安心」をサービスの中でも作っていきたいですね。(了)

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