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創業88年の電機メーカーの「情報改革」武器はEvernote、書類・画像・名刺まで一元管理

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〜昭和3年創業の老舗メーカーが、オンラインノート「Evernote」を導入。ペーパーレスと、情報の透明化を実現させた事例〜

テクノロジーがこれだけ進化した現代でも、情報の管理がアナログで、オフィスに書類が溢れている会社は少なくない。

男前アイロン」などの商品で知られ、今年で創業88年を迎える老舗の電熱機器メーカー、株式会社石崎電機製作所。同社も、つい3年前までは同様の課題を抱え、「欲しい情報にすぐにアクセスできない」という状態にあったという。

そこで同社では、オンライン上でドキュメントを管理できる「Evernote(エバーノート)」のビジネスプランを全社導入し、それひとつで会社の情報管理に革命を起こすことに成功した。

従業員の年齢層が20〜70代と幅広い中で、議事録、日報、プロダクトの図面やデザインといった画像データ、そして名刺まで、Evernoteで一元管理できる仕組みを構築できたという。

今回は、同社でその情報改革を行った成田 真弥さんと、デザイナーとしてEvernoteを使いこなす森 光瑠さんに、ツールの導入・浸透のプロセス、そして具体的な活用法を伺った。

社内での情報共有が、「封筒」と「管理票」で行われていた3年前

成田 私は2013年に、石崎電機製作所に入社しました。弊社は電熱機器を取り扱っている老舗メーカーなのですが、当時、社内でのやり取りはかなり「アナログ」でした

石崎電機製作所の成田 真弥さん

Eメールや社内サーバーを通してメッセージやデータの受け渡しはされていましたが、資料の多くは印刷され、手渡しで共有されていました。

例えば、ある資料を距離の離れた事業所の社員に共有する場合、まずは資料を印刷して封筒に入れ、受け渡し用の管理票を封筒に貼りつけます。その事業所へ移動する社員が封筒を持ち出し、受取人はそれを受領したら日時を記入して判子を押す。このような方法で、情報共有のログを残していたんです

かなりの情報を紙ベースで原本保管していたので、「あの資料が見つからない」といった問題も多く発生していました。

例えば、30年前に企画した商品の図面を見たいとします。でもそれはボロボロの旧倉庫に置かれていて、特定の社員しか、どの図面がどこにあるのかわかっていない。

石崎電機製作所の成田 真弥さん

そこで必要な際には、ベテラン社員にお願いして倉庫から見つけてきてもらって、その巨大な図面を分割してスキャンする…。こんな感じだったので、必要な情報にすぐアクセスする、ということができていなかったんですね

他にも、例えば商談記録は、営業マンが週報をワードで作成し、上司にメールで提出していました。特定のメンバーにしか共有されないので、横つながりの情報共有も、まったくできていませんでした

「新創業」の1期生として、情報共有の課題に挑む

成田 入社当時はこのように、正直言って非効率な情報共有をしていたのですが、ちょうどその頃、弊社の三代目の社長が「新創業」というスローガンを掲げて会社の改革に乗り出したんです

それまでは、電熱機器という分野で、どちらかというとプロダクトアウトで事業を展開していました。「機能ありきで組み上げた結果、こういった製品ができました」という感じで、確かに品質の良い商品を作っていたのですが、顧客志向の製品企画やマーケティングはあまり行われていませんでした。

▼過去の製品カタログ

過去の製品カタログ 石崎電機製作所

▼現在の製品ホームページ

現在の製品ホームページ 石崎電機製作所

そういった状況を変革していくために、マーケティングコミュニケーションへの注力が、戦略のひとつとして挙げられました。そしてその実行のため、大量の情報を可視化する必要が出てきたんです

そこで導入したのが、「Evernote(エバーノート)」です。もともと個人的に課金ユーザーとして数万単位のドキュメントを保存していて、便利さは実感していたので。 他のツールとも比較検討したのですが、結局予算と自由度、また、構築が必要なく、小さく始められるといった理由から、Evernoteのビジネスプランを導入することになりました。

従業員は20代〜70代!全員に使ってもらうカギは、個別レクチャー

成田 最初は、私が当時所属していた営業部のメンバー5、6名で使い始めました。企画書やデザイン、顧客に関するドキュメントをEvernote上で保存するように、まずは習慣付けをしていきました。

それと平行して、全社的に使ってもらうために、社員1人ひとりに直接レクチャーを行いました。最初は部署ごとに教えていたのですが、やっぱり大人数相手だと、理解が追いつかない人のフォローが難しんですよ。そこで個別に日程を組み、1人あたり4時間ほどかけて使い方を説明しました

石崎電機製作所の成田 真弥さん

その際にはまず、「なぜEvernoteを導入するのか」という説明から行っていきました。「会社の資産である情報を、全員でしっかり活用できるようにするため」の取り組みであることを伝えることで、目的をきちんと理解してもらうよう心がけました。

最終的には、20代から70代まで全員が活用できるようになり、大ベテランの社員が、「LINE」を使っているお孫さんに「俺はEvernoteを使ってるんだ」と自慢したという話も聞きました(笑)。

また、Evernoteの導入と同時期にiPadも支給しました。それによって「新しいものを触ってみたい」という気持ちをかき立てられたことも、今思えば浸透の後押しになったのだと思います

 私はいま入社2年目で、デザイナーをしています。入社したときには既にEvernoteを全社で使いこなしていたので、情報共有に課題を感じたことはないんですよね。

石崎電機製作所の森さん

特に私のような若手のメンバーですと、上司や先輩とのコミュニケーションにもなかなか気を使います。でもEvernoteがあることで、カジュアルに情報を共有できる仕組みが整っていることが、とても便利です。

シンプルながらも、簡単に情報を整理できる「Evernote」

成田 Evernoteは本当にシンプルで、基本的には「ノート」と呼ばれているドキュメントをどんどん書いて保存し、共有をしていきます。ビジネスプランであれば、管理者がノート単位で編集や閲覧の権限を切り替えられるので、コンプライアンス上も安心です

▼「ノート」の使用例

ノート 石崎電機製作所

次に、それらのノートをまとめる「ノートブック」という、フォルダのような機能があります。弊社では部署ごとに、掲示板、ToDo、アイデア、議事録、商品情報、といったノートブックを作り、ドキュメントを分類しています。

▼「ノートブック」の使用例

ノートブック 石崎電機製作所

また、各個人が自由に「親フォルダ」のようなものを作成できる、「スタック」も便利です。複数のノートやノートブックをグループ化できる機能なのですが、個人のアカウントのみに紐づくので、各々が使いやすいように自由に整理できます

情報を埋もれさせないため、タイトルやタグ付けに「ルール」を

成田 Evernoteの運用の仕方として、例えば個人やスタートアップ企業等は「なんでも放り込む」使い方も有意義だと思いますが、当社のように、デジタルツールに疎い方も含む幅広い世代で運用する場合は、ある程度のルール作りが大切だと感じています。例えば弊社の場合、どのノートを読めばいいのかが一瞬で分かるように、タイトル付けにルールを設けています

例えばタイトルの最初に「個装箱:◯◯◯」などとノートの中身を端的に表すワードを入れたり、タイトルの最後に【ラフ】【ドラフト】【最終】といった進行度を表すステータスを記入することで、校正担当でない営業マンは【最終】だけ確認すればよい、などと判断がつくようにしています。

石崎電機製作所の成田 真弥さん

また、個別のノートに付与できる「タグ」にもルールを設けています。あとから検索する際に、タグは非常に便利なんですよ。そもそも「活用するための情報共有」なので、情報を埋もれさせないように、タグ付けを欠かさないでほしいということを最初から徹底しました

弊社の場合は、プロダクトの種類も豊富ですし、情報が多岐に渡るんです。そこであくまで最低限のルールとして、顧客名や商品名、品番、といった基本情報をタグ付けするようにしています。

▼「タグ」の使用例

タグの使用例

すると、例えば特定のプロダクトに関するミーティングの際に、品番だけをタグ検索すれば、全員が必要な情報を手元のiPadで確認できるわけです。今ではもう、会議に紙の資料はまったく使わなくなりました

▼「タグ」で特定の型番を検索する様子

タグ 石崎電機製作所

共有した書類をベースに、チャットでコミュニケーションも取れる

 Evernoteを使うと、「共有」が非常にラクにできます。

私の場合、ラフやドラフト等のデザイン制作の段階ごとに、営業や開発や品管といった他部署の方々に確認をしてもらうんですね。そのときにまずはノートに意匠データや補足情報を入れて、校正やチェックをしてもらいたい関係者に「ワークチャット」でノートへのリンクを飛ばして、「いつまでにご確認ください」と依頼しています。場合によってはノート内にメンバー表とチェックボックスを設けることもあります。

▼「ワークチャット」の使用例

ワークチャット 石崎電機製作所

Evernoteの場合、デザインや写真など画像データの閲覧性が高く、いちいちダウンロードする手間もありません。さらにワークチャットがあることで、疑問点なども気軽にやりとりできるので、とてもスマートです

依頼事や、期日があるものは必ずワークチャットを飛ばすというルールになっているんですね。そうすることで、承認の履歴などをしっかりと残しておくこともできます

Evernoteでの成功体験を踏まえ、今後はより一層の業務改革を

成田 その他にも活用している機能として、気になる記事を共有できる「Web クリッパー」や、社内会議で使える「録音」、「名刺管理」などがあげられます。特に名刺は、「ScanSnap Evernote Edition」というスキャナーから転送すると、Evernoteの名刺テンプレートに自動でテキスト化されるので、とても便利なんです。

今後は、Evernoteではカバーしきれないタスク管理やスケジュール管理なども、どんどん変えていきたいと思っています。顧客分析はいまだにエクセルに頼っているので、そういったデータをもっと活用できるようにしていきたいです。

このように効率化を進めることで、「質実剛健」なものづくりから生まれた弊社の製品を、もっと多くの方に届けていく土台の部分を強化していければと思っています。(了)

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