- ユナイテッド株式会社
- コーポレートカルチャー本部 採用育成部 マネージャー
- 松永 友貴
自ら手を挙げて「昇格」宣言!自律的な成長を全力サポートする「グレードアップ宣言」
〜昇格者数が「2倍」に!次のグレードに上がるために、1人ひとりの成長を後押しするユナイテッドオリジナルの育成支援制度とは?〜
多くの企業では、社員の育成を最重要課題のひとつと捉え、様々な育成制度を打ち出している。しかし、実際に「人が育つ」ためには、どのような社内制度が最適なのだろうか。
アドテクノロジー・コンテンツ・インベストメントの3つの領域を中心に事業を展開し、現在437名(連結)の従業員を有するユナイテッド株式会社。
同社では2015年より、自ら「ユナイテッドの中核人材となって(会社を)引っ張っていく」と宣言した社員の自律的な成長を、会社として全力でサポートする「グレードアップ宣言」の運用を開始した。
具体的には、宣言者の役割・グレード(職階)別に、「次のグレードに上がるために必要だが、現業だけでは身につきづらい」スキルと目線を獲得するためのカリキュラムを用意。
現在(※2018年6月時点)、全社員のうち37%の社員がこの制度を利用し、昇格者数が前年の2倍になるなど、高い効果を上げているそうだ。
今回はコーポレートカルチャー本部にて育成を担当する松永 友貴さんと、実際にグレードアップ宣言を通じて昇格した佐藤 真之さんに、同社のグレードの仕組みとグレードアップ宣言について、細部まで赤裸々に語っていただいた。
あと一歩成長するために「足りないもの」を気付かせてくれる
松永 私は新卒でユナイテッドに入社し、現在7年目です。最初の3年半は、広告部門で広告の運用を担当していました。
その後、現在所属するコーポレートカルチャー本部の立ち上げに参画し、最初は主に新卒採用を担当していました。今期からは育成がメインの業務となっています。
佐藤 私は2009年に、現在の4分の1ほどの規模だったユナイテッドに入社しました。現在は「adstir(アドステア)」というSSP(※)を運営する事業部で、責任者をしています。
※SSP(Supply Side Platform):オンライン広告において、メディアの広告枠の販売・広告収益の効率化や、収益の最大化を支援するツール
事業責任者という今のレイヤーになったのは昨年の4月です。グレードアップ宣言が始まった時に宣言をして、2年後に事業部長に昇格しました。
グレードアップ宣言をすると、会社が指定したグレードごとのプログラムに参加することができます。
このプログラムは、現業の延長線上では身につかないようなことを重点的に学べるということが特徴です。
例えば、営業として売上目標をずっと追っているとします。そこから事業部の責任者になってその事業をスケールさせていくとなると、視点が全然違いますよね。
事業責任者となると、より事業の持続可能性を考えて、売上以外のこともバランスよく見ていかなければいけない。ですがその視点は、現業の延長線上ではなかなか身につかないんですよね。
こうした「グレードを上げるために自分に足りないもの」や、「1段上の視点」に気づかせてくれ、挑戦させてくれる機会を会社が提供してくれるのはすごくありがたいなと思います。
役割とグレードをかけあわせ、18に分かれるグレードを運用
松永 そもそも弊社のグレードは、縦軸と横軸でマトリクスになっています。まず縦軸は、大きく総合職、エンジニア職、デザイナー職という役割で分かれていています。
さらにそれぞれがリーダーシップを発揮する「L(Leadership)職」と、専門的なスキルを発揮する「P(Professional)職」の2つに分かれており、合計6つの軸になっています。
ここに横軸で、「グレード」があります。グレード1、2、3、4、そして執行役員という5段階になっており、例えば新卒でビジネスサイドに入ると、総合職の「G4」からスタートすることになります。
L職とP職に関しては、グレード2に上がるタイミングから自分で選択します。グレード3までは「一人前になる」ということが主になっていて、2になって初めて「マネジメントをするか」「個人の力を組織に還元していくか」を選択します。
L職でもP職でも、最終的には所属する部署、そして会社のビジョンを達成するというゴールは一緒です。ですが、そこへのアプローチが違うんですね。
L職のメンバーはいかに組織の成果を最大化させるかを考え、P職であればいかに個人の成果を最大化して組織に還元するか、を考えます。
また、グレードごとに「これができる状態」ということが細かく定義されています。
例えばL職のグレード1ですと、「戦略立案と実行」「組織創り」「人材育成」「ユナイテッドグループ最適」といったことを求めます。これが全グレード分あり、合計18通りありますね。
それに加えて総合職のP職及びエンジニアやデザイナーに関しては、より細かいスキルマップも作成しています。
「挙手制」の育成支援制度を導入したことで、年間の昇格者数が倍増!
松永 弊社には以前にも育成支援制度はあったのですが、当時は「指名制(選抜)」のプログラムだったんですね。
そうすると自分の意思ではないので、どうしても「受け身になってしまう」という課題がありました。
そこで2015年1月から、早期にユナイテッドの中核人材を育成するために、「グレードアップ宣言」という育成支援制度を開始しました。
これは挙手制の育成支援制度で、「ユナイテッドの中核人材となって(会社を)引っ張っていく」と自ら意思表示をした人に対して、会社として全力でサポートするというものです。
この制度をスタートしてから、年間の昇格数は以前の倍以上になりました。
「グレードアップ宣言」をすると、そこからグレード毎にそれぞれ決められた「育成対象期間」に入ります。
その期間中は、会社が指定したプログラムや自ら希望した外部の講座などを受けながら、昇格のためのスキルアップを目指します。
佐藤 私は制度が始まってすぐに手を挙げたのですが、その時は自分と同じグレード2のL職で15人ほどが宣言していました。そこから実際に昇格したのは、約3分の1です。
プログラムは、次のグレードに上がるために必要な目線や能力を身につけるものなので、グレードによって内容も難易度も異なります。
僕が実際に参加したプログラムの一例としては、ある経営に関する書籍を読んで、グループでワークショップをする、といったものがありました。
こうしたワークでの内容が査定などにつながることはないですが、それぞれのグレードに担当の役員がついていて、1人ひとりが具体的なフィードバックをもらうことができます。これは非常に良い機会でしたね。
松永 グレードと職種に応じて、プログラムの内容は全く違います。例えば、資格取得のように継続的に学習するものもあれば、横断的にメンバーが集ってコンペ形式で行うものもありますね。
また、育成対象期間中に昇格しなかった場合は、部署異動や配置転換を検討します。その人にとって今よりも適正があるポジションが存在する可能性が高いためです。
「グレードアップ宣言」は、現業から離れて自分を見つめ直す時間
佐藤 仕事って、区切りがないじゃないですか。新しいことを学ぶための時間ってなかなか作りにくいと思っていて。
その中で、現業だけでは身につかない部分を会社がサポートしてくれる制度は本当にありがたいです。
日々、目の前の業務に集中していると、「改めて今の自分に足りないものを考える」という機会はなかなかつくれないものです。
また、マネジメント目線で見ても、チームメンバーがグレードアップ宣言を通して、1つ上の視点を意識するようになっているなということを実感しています。
現業を通じて伸ばしてあげられることと、全く違う伸び方をするんですよね。
メンバーの育成を一時的ではなく、色々な立場・角度から会社として支援してくれるということも、組織の強化につながっていると思います。
松永 制度の内容は、毎年見直してブラッシュアップしています。今期は、より「上に上がる」意思のあるメンバーを集めたいなと思い、そのように内容を組みました。
例えばグレード2の中で「ずば抜けている」人をグレード1のプログラムに組み込むなど、内部競争を強めるような施策も展開していく予定です。
佐藤 グレードごとに求められているものも違うので、上のグレードに参加させてもらうとすごく刺激になりそうですよね。
変化の激しいネット業界でも、変わらないのは「企業文化」
松永 我々コーポレートカルチャー本部としては、「採用して終わり」ではなく、入社したメンバー1人ひとりの自己成長や自己実現に貢献したいという思いがあります。
ネット業界は特に変化が激しいので、個人の業務はもちろん、会社のメイン事業もどんどん変化していきます。実際に今やっている事業は、どれも私が入社した時には始まっていなかったものばかりです。
この先もどんどん変わっていくでしょうし、そうであるべきだと思っていて。でもその変化の中でも変わらないものは、企業文化であり、それを創っていく人です。
ユナイテッドでは今後も、「日本を代表するインターネット企業になる」というビジョン実現のために、メンバー1人ひとりの成長を加速させる取り組みを続けていきます。(了)
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