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【5社事例】採用広報にも!今話題の「ポッドキャスト」とは?活用術もお届け

自身のライフスタイルに合わせて「ながら聴き」ができ、興味・関心に沿った様々なコンテンツを気軽に楽しめることから、人気を高めつつある音声コンテンツ市場。

中でも、昨今AppleやSpotify、Googleなど大手プラットフォームが相次いで参入し、盛り上がりを見せているのがポッドキャスト市場です。2019年にはポッドキャスト配信サービスとして知られる「Anchor」もSpotifyに加わり、プロだけでなく個人も気軽に番組をスタートできる環境が整いつつあります。

さらに、最近では企業がオリジナルの番組を立ち上げ、経営者やメンバーの声を採用候補者に届けたり、開発の裏側をファンに向けて発信したりするなど、ポッドキャストを「広報」のいち手段として活用する事例が増えています。

そこで今回は、ポッドキャストを使いこなしている5社の事例をお届けいたします。どの企業も、アイデアと運用の工夫がすごく参考になります。自社にも役立つ活用法がきっと見つかると思いますので、ぜひご覧ください。

<目次>

  • 採用など企業活動での利用が広がる「ポッドキャスト」。その魅力とは?
  • 音で「らしさ」を伝え、候補者や顧客をファンに / 10X
  • 音声の文字起こしで、記事コンテンツも同時に発信 / STORES
  • GoogleアンケートやQ&Aを活用してリスナーと関係構築 / Ubie
  • 個人のパーソナリティに紐づいた多種多様な企画を運用 / Takram
  • Notionページとサムネイル画像の作成で、拡散性を担保 / XTech Ventures

採用など企業活動での利用が広がる「ポッドキャスト」。その魅力とは?

あらためて、「ポッドキャスト」とはインターネット上で聴くことができるアーカイブ型の音声コンテンツの総称です。

その名前自体は「iPod」と「broadcast」が組み合わさった造語で、Apple社の音楽プレイヤー「iPod」の流行とともに2000年代前半に登場しました。しかし、当時はブログサービスが広く普及していたことや、その後も、X(旧Twitter)やFacebookといったSNS、YouTubeなどの動画コンテンツ市場が人気を博していたため、「音声コンテンツ」を楽しむユーザーは一部に限られていました。

しかし、コロナ禍に登場し大きく注目された音声SNS「Clubhouse」により、自宅で音声コンテンツを楽しむ人が急増したことや、「Apple Podcast」「Spotify」「Amazon Music」「Google Podcast」などの大手プラットフォームがポッドキャストに関連したサービスを開始したことで、ここ2、3年で急速にポッドキャスト市場の裾野が広がったとされています。

そして、この広がりと共に、企業の広報活動におけるポッドキャスト利用も増えています。その背景には、記事や動画コンテンツよりも制作コストが少ない点、加えて、リモートワーク環境ではなかなか求職者に伝えづらい社内の雰囲気やメンバーの人柄など、「リアル」な面を手軽に伝えられる点などが挙げられます。

現在では、15-29歳の28.1%がポッドキャストを毎⽉利⽤しているとされ、加えて、「ポッドキャストユーザーとYouTubeユーザーとの⽐較では、 ポッドキャストの方が若年層の⽐率が⾼く、情報感度、年収ともに⾼い」とする調査結果もあり、これらのユーザー特性をふまえても、企業が広報活用できる可能性が十分にうかがえます。

※参考:「PODCAST REPORT IN JAPAN ポッドキャスト国内利用実態調査2022」(株式会社オトナル,株式会社朝日新聞社)

以下、先ほどお伝えしたポッドキャストのユーザー特性に加え、ポッドキャストが企業の広報活動におすすめな理由を4つまとめてみました。

1.「ながら聴き」ができるので、リスナーの再生完了率が高い傾向にある

ポッドキャストは家事や通勤時、休憩時間などのスキマ時間に聴ける手軽さが一番の魅力です。また、ジャンルやテーマを絞ることで、特定の層に深く訴求できる点もポイントであり、リスナーの「再生完了率」が高い傾向にあるとされています。

加えて、最近ではSNS上で配信者とリスナーの交流が生まれたり、Discord等のツールを活用したコミュニティが形成されるなどの事例も増えつつあり、コアな「ファン」を醸成できるツールとしての期待も高まっています。

2.「生の声」を通じて、社内の雰囲気を届けることができる

リモートワーク環境下では求職者に伝えづらい社風やメンバーの人となりを、「生の声」を通じて届けられる点もポッドキャストならではの魅力です。新入社員の声や社内会議の様子を一部オープン化したコンテンツなども、採用候補者にとっては参考材料になります。また、面接でよく聞かれる質問を予め収録し、選考時に送るといった活用方法もおすすめです。

さらに、求職者がなかなか直接話すことのできない経営者の声を直接届ける手段としても有効です。経営者の声を届けるコンテンツは、組織が拡大してきた際に「社内広報」の手段としても活用できるでしょう。

3.テキストや動画コンテンツと比較して、手軽に始めることができる

ポッドキャストはスマートフォンやZoomなどの録音機能を使って収録し、クオリティに強くこだわらなければ少しの編集で配信が可能なため、テキストや動画コンテンツよりも制作コストが低い点が魅力です。コンテンツの多くは15分〜30分ほどで構成されており、その場合の収録時間は1時間ほどで完結できるため、スピーカーの拘束時間が少ないことから社内のメンバーを巻き込みやすい点もメリットでしょう。

また、音声を文字起こしして後ほどテキストコンテンツを作成したり、Zoomで録画データを作成しておけば「ビデオポッドキャスト」としてYouTube等のプラットフォームで展開できるなど、一度の収録で複数のコンテンツを制作することも可能です。

4.文脈を削ることなく、ストーリーを届けることができる

ポッドキャストは、テキストコンテンツと比較して前後の文脈も含めた形でストーリーを届けることができるため、書き手の解釈が挟まったり、情報の一部だけが切り取られて誤解が生まれるといった懸念が少ない点も魅力です。昨今、X(旧Twitter)を通じて社員が積極的に発言する機会が増えている一方で、企業側で情報をコントロールすることが難しいとされ、その対応策としてもポッドキャストが注目されています。

以上4つの理由から、ポッドキャストが企業の広報活動の手段として有効であると感じていただけたのではないでしょうか。採用、企業ブランディング、ファンとの交流など、ぜひ目的に合わせて活用してみてくださいね。

▼ポッドキャストを含めた「音声マーケティング」については、こちらの記事でもご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
急拡大する「音声マーケティング」市場を知る。実践事例【5選】をご紹介 – SELECK

音で「らしさ」を伝え、候補者や顧客をファンに / 10X

2017年の創業以来、「10xを創る」をミッションに掲げ、ネットスーパー・ネットドラッグストアのプラットフォーム「Stailer」を提供する株式会社10X。

同社は、将来的な採用候補者をメインターゲットとして、「10Xのファンを増やす」ことを目的にポッドキャスト番組「10X.fm」を運用しています。この番組では「リアルな今の『10X』を伝える」をコンセプトに、メンバーの方々が入れ替わりながら、会社や事業がグロースしていく中での学び・悩み・チャレンジなどをテーマに発信されています。

同番組のコンテンツ企画にあたっては、大きく二つの点を意識しているといいます。

まず一つ目は、「10Xのリアルな面」を等身大で伝えることです。同社はブログやSNS等で、テキストベースでの社員紹介といった企画を展開していましたが、採用候補者から「ちょっと怖そう」「ハードルが高そう」と思われるケースが多いことに課題を感じていたそうです。

そこでポッドキャストを通じて、実際に入社したメンバーに対して率直な10Xに対する印象を聞き出し、採用候補者に「共感」してもらうことを重視しているとのこと。音声だからこそ、「人間味」が伝わる点に魅力を感じているそうです。

そしてもう一点は、運用負荷をなるべく軽くし、継続しやすくすることです。採用候補者の転職タイミングは読めないため、低コストな運用で安定的に更新し、候補者と長く接点を持ち続けること、そしてコンテンツを「ストックしていく」という意識が重要とのこと。

そのため、できるだけコーナー化できるテーマを企画し、運用がラクに回る仕組みづくりを意識しているといいます。具体的に、現在の連載企画として運用されているものには「新入社員紹介」「CFO山田の部屋」「エンジニアの部屋」などがあります。また、収録時間は1時間弱、音声の編集も業務委託のメンバーを含めたチームを編成し効率化することで、「運営疲れ」にならず継続できるよう意識しているのだそうです。

一般的に、スタートアップは「代表の声」が大きくなりがちなイメージがありますが、ポッドキャストでは様々な社員の方が登場することで、個々人の人となりが伝えられる点も魅力なのだとか。

加えて、ポッドキャストは「立ち上げ」と「体制づくり」に労力がかかる印象ですが、PRチームや外部パートナーの協力を得ながら、番組の進行管理や音声の編集、数値を元にしたPDCAサイクルの構築を行い、定常運用できる体制を整えているといいます。

さらに、配信後は定期的にエピソードごとの数値を振り返って再生数が多い企画を分析し、ゲストやエピソードの内容を調整しているとのこと。数値はポッドキャスト配信ツールの「Spotify for Podcasters」でチェックし、各プラットフォームでの数値(再生回数・完了率)をGoogleスプレッドシートで可視化しているといいます。

▼ポッドキャスト配信ツール「Spotify for Podcasters」

それと同時に、出演メンバーに対してリスナーからの反響や感想などもフィードバックし、社内に還元しているとのこと。X(旧Twitter)や配信ツールで設定できるQ&A、アンケートなどを使えばリスナーの声を拾えそうですね。

これらの工夫を通して、採用面でも徐々に変化が出てきているのだとか。まず、採用候補者に関しては、選考の受け始めから内定後のフェーズにかけて多くの方に視聴してもらえている傾向があるそうで、「ポッドキャストを通じて、会社の雰囲気を知ることができている」といった声が多いとのこと。

また、入社後に関しても、社内広報の一環として新メンバーを紹介する機会にもなっているといいます。同社は現在100人超えの組織規模へと成長し、全員を把握することが難しい環境下でありながら、約30分の新メンバー紹介コンテンツは社内でも多数の方が聞いているそうです。

さらに、同社の顧客であるスーパーやドラッグストアなどの小売業界の方からも反応があるのだとか。すでに関係性のある顧客だけでなく、ポッドキャストを通じて商談につながったケースもあるといいます。採用面だけでなく、ビジネス面においても「ファン」を獲得し、大きな効果を発揮していることからも、ポッドキャスト運用の成功事例の一つといえるでしょう。

音声の文字起こしで、記事コンテンツも同時に発信 / STORES

「Just for Fun」をミッションに掲げ、ネットショップ開設・POSレジ・キャッシュレス決済・オンライン予約システム・アプリ開発など、お店のデジタル化を総合的に支援する「STORES」を展開するSTORES 株式会社。

同社は、エンジニアをメインターゲットとして、採用候補者と継続的な接点を持つことを目的に、ポッドキャスト番組「論より動くもの.fm」を運用しています。

同番組は、CTOを務める藤村さんがホストとなって、技術や技術にまつわらないことについてざっくばらんに話すというコンセプトで運用されており、基本的に社内のメンバーをゲストとして収録が行われています。

元々、候補者と継続的な接点を持ちたいという思いがありながら、藤村さん自身がブログ記事で発信するには工数がかかってしまい、頻度高くコンテンツを公開することが難しいと感じられていたとのこと。そこで、工数を最小限に抑えつつも、情報をしっかり届けることができるポッドキャストの運用を決めたといいます。

そのコンテンツの企画にあたっては、継続発信を最優先として「準備しすぎないこと」を意識しているそうです。そのため、藤村さんが社内で発信している内容から、社外向けにも伝えられそうなことを拾うようにしているとのこと。加えて、収録前の事前打ち合わせも5〜10分ほどで済ませ、すぐに収録を行っているのだとか。

そして、同社の運用におけるユニークな点として、音声の配信だけに留まらず、同時に文字起こし記事を作成して公開している点が挙げられます。

▼「STORES Product Blog」の「論より動くもの.fm」カテゴリ

文字起こしをする工数はかかる一方、SNSと相性が良いブログ記事の方が拡散性が高いため、番組自体の認知拡大にも繋げられているそう。そして、普段ポッドキャストを聞く習慣がない人にもリーチでき、実際に「文字起こしがあって嬉しい」といった声もあるといいます。

今では無料で使える文字起こしツールも増えていますが、同社ではエンジニアの方が文字起こしツールを内製しているのだとか…!ポッドキャストの運用にあたって、ここまで社内の方を巻き込んでいるのはすごいですよね。

※詳細はこちら:音声文字起こし技術で業務効率化: Google Text to Speech と OpenAI Whisper の活用

これらの工夫と運用を通して、「いつもポッドキャストを聞いてます」と様々なシーンで声をかけてもらう機会が増えているといいます。

実際に、入社された方が STORES の「テックマニフェスト・バリュー」を理解してくれていると感じることが多いとのことで、企業が大切にしたい価値観を、音声を通じて手軽に伝えられるのはやはりポッドキャストの魅力ですね。

番組の運用を担当されている加藤さんも、たまに「論より動くものに出ている『えんじぇるさん』ですよね?」と声をかけられることがあるそうで、「そうやってお声がけいただける際は、全く他人のような感じがしません」とお話しされていました。これも「温度感を伝えられる」音声メディアだからこその距離感かもしれませんね。

GoogleアンケートやQ&Aを活用してリスナーと関係構築 / Ubie

一般生活者が自身で症状や病気を調べられる症状検索エンジン「ユビー」や、医療機関向けの診療支援パッケージ「ユビーメディカルナビ」などを展開している、ヘルスケアスタートアップのUbie株式会社。

同社は、採用広報や企業ブランディングを目的に、「Bizchat.fm」と「devchar.fm」の二つのポッドキャスト番組を運用しています。

「Bizchat.fm」は、同社の共同代表の久保さんがホストとなり、スタートアップ業界を取り巻くビジネスの話題をテーマにトークする番組です。ゲストには、同社の共同代表の阿部さん、もしくは社外のスタートアップに在籍されている方やVCの方に参加してもらい、収録が行われています。

トークの内容はゲストに合わせて分かれており、阿部さんとの収録の際には、同社の事業のことや、組織や制度を作った背景を「想い」と一緒に伝える場にしているとのこと。採用候補者に向けた対外的な発信に留まらず、社内広報としても機能しそうな企画構成ですね。

そして、社外の方にゲストとして参加してもらう際には、起業や事業開発など、スタートアップにまつわることを様々な角度から深掘りするような企画を展開しているそうです。最近では、おすすめの本をひたすら紹介するという企画も行われたのだとか。(※参考:創業から今までに読んだおすすめの本〜組織編〜#36

もう一つの番組、「devchat.fm」でも久保さんがホストとなり、基本的には同社のソフトウェアエンジニアやプロダクトマネージャーにゲストとして参加してもらいながら、技術的な観点から社内で取り組んでいることや、課題解決のプロセス、その後の社内の反応などを語ってもらっているとのこと。最近では、Generative AIの活用事例や今後の動向をテーマにした番組も配信されています。

そして、それぞれの番組の運用にあたっては、大きく二つの点を心がけているとのこと。

一つは、「スタートアップ」という軸でリスナーに興味を持ってもらえそうな企画を心がけている点です。そのためにも、ビジネストレンドを踏まえてゲストをアサインしたり、テーマを設定しているのだとか。実際に、番組タイトルに「スタートアップ」というワードや、トレンドになっているキーワードを入れたエピソードは、再生回数が高い傾向にあるのだそうです。

もう一つは、発信を継続するために、まずは「自分たちが楽しむこと」を大切にしている点です。過去、「アドベントカレンダー」などの企画を実施し情報発信を強化していく中で、やはり「テキスト」ではなく「音声」で伝えるコンテンツの方が、久保さんの性に合っていると感じられているのだそう。

そのため、話題性やリスナーへの配慮はしつつも、運営のモチベーションを保つべく、「再生回数が伸びそうかどうか」以上に、「自分が興味のある話かどうか」の観点で企画を考えているそうです。

そして、同社のポッドキャスト運用でユニークな点は、Spotify for Podcastersの「エピソードのQ&A」機能やGoogleフォームを使用して、リスナーの方と関係構築を行っている点です。これらのツールを活用して、次回のテーマを募集したり、寄せられた質問や感想をもとにリスナーと対話したりすることを心がけているとのこと。

▼番組ごとにGoogleフォームを活用した「お便りフォーム」が用意されている

これらの運用を通じて、採用候補者との関係構築に留まらず、選考中の人のアトラクトにも繋がっているのだとか。実際に、ポッドキャストを通じて社内の雰囲気を感じてもらうことで、組織や事業について共感し、面接に進んでくれる人が増えている印象もあるそうで、約2年ほど続ける中で手応えを実感してきているといいます。

ポッドキャストをスタートさせた当初は、ROI(投資収益率)は求めずに、中長期の施策として情報発信の回数を増やしていくことを目標として設定していたとのこと。結果的に、今では「会社のプレゼンスを高めることができている」とも感じているそうで、ポッドキャストは拡散性や即効性が他のコンテンツと比較して小さい点を踏まえても、やはり「運用を継続させる」ための工夫が重要だと感じますね。

個人のパーソナリティに紐づいた多種多様な企画を運用 / Takram

未来をつくる人、変化を生み出す組織のパートナーとして、デザインの力でイノベーションを生み出すデザイン・イノベーション・ファームTakram。

同社は、バリューのひとつとして掲げる「Thought Leadership」を体現することを目的に、ポッドキャスト番組「Takram Cast」を運用しています。この番組では、Takramのメンバーがデザイン・テクノロジー・ビジネス・文学などの話題を幅広く展開する形で、 毎週月曜日に30分前後のプログラムを1〜2本配信しています。

一般的にポッドキャストのコンテンツは、SpotifyやApple Podcastなどのプラットフォームを通じて視聴されますが、同社はフィルター機能や関連コンテンツの表示機能が実装された専用サイトも公開しています。

▼同社のポッドキャストコンテンツが集まったサイト「Takram Cast」

同社の特徴として、専門領域が多岐にわたり、ユニークな方々が多く所属されていることから、コンテンツのテーマとしてはトレンドやマーケティングに軸足を置かず、メンバーのパーソナリティに紐づいたストーリーやトピックスを選んでいるとのこと。

また、ミーティングで盛り上がった話の延長で収録をしたり、自身が深掘りしたいテーマについて自発的に社内外の方に打診して収録を行うなど、「雑談OK」といった自由なスタンスを設けることで、継続的に発信できているのだといいます。

よって、進行上で多少のスクリプトを用意することもあるものの、基本的には企画書などを作成せずに、誰でも自由に収録・公開できるような環境を整えているそうです。

さらに、企画ごとにサムネイルのデザインが分けられている点も、Takramさんらしいこだわりを感じます。リスナーとしても興味に合わせて番組を探しやすく、嬉しいポイントですね。

加えて、番組の運用にあたっては、更新を維持するべく編集の工数を下げることを大切にされているといいます。

具体的には、基本はノイズをカットするだけで録って出しで配信することを意識して収録しているとのこと。収録方法は、オフラインであればiPhoneに元々インストールされているアプリ「Voice Memos」を活用し、オンラインの場合はZoomのレコーディング機能と有線のイヤホン+マイクで収録するなどして、収録体制を簡素化しているそうです。

さらに、コンテンツの拡散・周知にあたっては、X(旧Twitter)やニュースレターを活用。既存のリピーターを中心にTakramやコンテンツに興味をもってもらえるように、同社のコミュニケーション指針「Tone of Voice」を守りながら、ファンに語りかけるような文面でお知らせすることを意識しているのだといいます。

これまでのポッドキャストの運用を通じて、リスナーの方と新たなプロジェクトをスタートさせたり、採用にあたってもカルチャーギャップが生まれにくくなった実感があるそうで、採用とビジネスの両面において効果を感じられているといいます。

また、事業範囲が広いことや、メディアに露出するメンバーが固定化されていたことから、以前は社外の方から「なかなか内側が見えない」といった声をもらうことが多々あったとのこと。

しかし、ポッドキャストを運用し始めてからは、露出が少なかったメンバーの発信機会が増えただけでなく、現在取り組んでいるプロジェクトの具体やプロジェクトで試みた独自のメソッドなどを公開することで、社外の人から「Takramへの解像度が上がった」といった反応をもらう機会も増えているといいます。

手軽に収録・発信できるからこそ、社内外の多くの人を巻き込んで情報発信ができる点もポッドキャストの魅力かもしれませんね。音声を通じた企業ブランディングを実現している好事例だと感じます。

Notionページとサムネイル画像の作成で、拡散性を担保 / XTech Ventures

シード及びアーリー・ステージを主な投資対象とし、BtoBからBtoCまで幅広い投資実行をするベンチャーキャピタル、XTech Ventures株式会社。

同社は、スタートアップエコシステムでのプレゼンス向上を目的として、ポッドキャスト番組「スタートアップオフレコ対談」を運用しています。この番組では、同社の代表を務める手嶋さんと、ゲストであるスタートアップ業界の経営者や投資家といった方々の対談を配信しています。

コンテンツの企画にあたっては、「企画として成立し、価値があるか?」を常に考えることを大切にしているそうです。そのため、単にリスナーの数を増やすことを目的に、有名な方をゲストとして招いて既出の話をすることは避けつつ、その上で特に以下の4点を意識して企画しているとのこと。

  1. ゲストから希少価値が高い話を聞き出すこと
  2. ゲストとの関係値によって対話内容を調整すること
  3. 出演いただくタイミング
  4. ゲストにとって出演メリットがあるようにすること

4点目の「ゲストにとっての出演メリット」の例としては、ゲストが拡散したいニュースを持っているタイミングで収録・発信を行ったり、採用に関する情報を積極的に発信してもらうなどして、お互いにメリットがあるよう心がけているといいます。

また、コンテンツの拡散にあたっては、ポッドキャストのリンクを添付するだけでは内容を想起しづらく、リスナーの興味を引くことは難しいのではないかという考えのもと、ドキュメントツール「Notion」を活用して、各エピソードごとの紹介ページと、SNS展開用のサムネイル画像を作成しているそうです。

個々の配信ごとにサムネイル画像を作成されている丁寧さには驚きですね…!実際、ポッドキャストは拡散するのが難しいといった声をよく聞くので、少し手間をかけてでもぜひ参考にしたい施策です。

▼Notionで作成された「ポッドキャスト エピソード集

▼番組のサムネイルや概要、アジェンダ、出演者、参考サイトなどの情報がまとまっている

また、番組を継続させるためにも、いくつかの工夫を行っているとのこと。まず、コンテンツとして差別化が図りやすい「ゲストを招いた対談形式」にすることで、企画にかかるコストを下げているそうです。

ゲストとの日程調整や企画等が必要にはなりますが、毎回ゲストが異なれば番組の新鮮さも保てますし、ゲストのファンの方にも聞いてもらえれば新規リスナーの獲得にも繋がりそうですね。

さらに、社内で企画・収録・配信のオペレーションを作りあげ、継続できる体制を整えているそうです。特に、ゲストが決まって日程調整が完了した後のオペレーションを型化することで、配信スケジュールにズレを起こさず隔週で公開できるようにしているとのこと。

同社ではこれまでのポッドキャストの運用を通じて、スタートアップ業界のイベントに参加した際に声をかけてもらう機会が増えている実感があるといいます。同時に、起業家の方々から相談されるケースも増えているとのことで、ポッドキャストを通じて業界内での認知向上に成功した事例だと感じます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。どの事例も独自のノウハウがあり、参考になりそうですね。すでにポッドキャストを活用されている方はもちろん、これから始めようと思っている方もぜひ参考にしてみてくださいね。(了)

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