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  • IoTイノベーションセンター マネージャー
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IoTで、オフィスが進化!ビーコンの活用で社員と職場を「見える化」する取り組みとは

~これが次世代の働き方!?IoTのフル活用で、勤怠や備品の管理、会議室の運用までを改革した事例〜

「IoT(Internet of Things)」という言葉が、バズワードになって久しい。そしてモノとインターネットをつなぐ技術の活用は、今やあらゆる業種に広がっている。

しかしIoTに興味があっても、実際に取り組む「第一歩」のイメージが持てていない方も、実は多いのではないだろうか。

2006年の創業後、IoTやビッグデータ、クラウドインテグレーションの領域で様々な事業を展開する、株式会社ウフル。

▼IoTをはじめ、様々な領域で事業展開するウフル

同社では、オフィスという最も身近な環境で、IoTを使った社内環境の整備を行った。現在は従業員190名中、本社に勤務する150名にビーコンを貸与して、備品や会議室の利用状況を全て「見える化」しているという。

今回は社内でIoT導入を推進した松浦 真弓さんに、IoTのさまざまな活用例から、そのポイントまで詳しく伺った。

山積みするオフィスの課題を、「IoTの実験場」として捉える

弊社には「IoTイノベーションセンター」という、IoTの導入を検討しているお客様に、必要なサービスを提供する部署があります。

私は1年前にウフルへ入社して、現在、IoTイノベーションセンターのマネージャーを務めながら、社内の働き方改革にも取り組んでいます。

そして、社内の環境の改善と、IoTの実証実験の一環として、2016年11月ごろから、オフィス内の課題をIoTで解決する取り組みを始めました。

これまでに取り組んだ課題は、大きく2つあります。まず、社内の共有備品が行方不明になってしまうことです。

特にPCやルーター、台車はなかなか返却されないこともあり、全社メールで捜索願いが出されていました(笑)。中には、紛失してしまったものもありましたね。

次に、会議室の予約です。と言うのも、弊社の会議室は社外の方との打ち合わせを優先するため、社員のみの会議では、事前予約は行わないルールになっています。

そのため、社内ミーティングで会議室を利用したいときには、毎回、部屋が空いているかを見に行く手間が発生していました。

「ビーコン」の導入で、備品のレンタル状況を見える化!

まず共有備品についてですが、備品をレンタルするときは、保管用のロッカーにある専用PC上のExcelに、毎回「社員名・貸出⽇・返却⽇・社員番号」を入力する必要がありました。

▼以前はロッカーにある専用PCで、備品を管理していた

どうしても、それを毎回入力するのが手間で…。「ちょっと借りるだけなら」と記録をつけずに借りて、その結果紛失してしまう、といったことがありました。

そこで始めたのが、社員と備品にビーコンを取り付け、それぞれの位置情報を取得する施策です。オフィス内の33箇所に、データの送受信機を設置して、社員と備品の現在の位置を取得しています。

▼ビーコンの付いた社員証

▼社内に設置された送受信機

それを自社のアプリケーションを使ってマッピングすることで、Web上から社員や備品の位置を、ほぼリアルタイムで確認できるようにしています。

▼Web上のオフィスの地図に、社員の位置がマッピングされる

この仕組みを使うと、クラウド上に社員や備品の位置が記録されるため、備品が外に持ち出されても、「最後に誰が持っていたのか」がわかります。

備品の的確な管理を目的としてスタートしたこの取り組みでしたが、実は、最も「便利だ」という声が多いのは、「社員の位置」の検索です。

弊社はフリーアドレス制のため、電話の取り次ぎや、相談をしたいときにしばしば社員を探すことがありました。いまでは位置情報が常に可視化されているので、それがとても楽になりましたね。

「プライバシー」という心理的ハードルを乗り越えられた理由は…

社員へのビーコン貸与は、最初は10名ほどの小規模から試していきました。

そこからオフィス内の全社員への配布に拡大していったのですが、最初は説明なしにただ配っていて。そうすると、やはりプライバシーが侵害されると思ったり、机に入れっぱなしだったりと、身につけてくれない社員もいました。

そこで朝礼で、実際に社員のリアルタイムの位置情報を見せて便利な使い方を説明しました。また、業務時間中のオフィス内でのみ社員の位置をトラッキングすることで、プライバシーにも配慮していることを、私自身の体験として伝えていきました。

こうした成果を実際に見せることで理解と活用が進み、実験に快く協力する社員が増えていきました。現在は、東京オフィスの社員約150名が全員、ビーコンを身に着けて仕事をしています。

「照度センサー」で会議室の空室状況を検知!

次に、会議室の予約です。もともと弊社では、デジタルサイネージを活用して、全10室の会議室の利用状況を可視化していました。

しかし、リアルタイムに利用しているかどうかの状況を反映するものではなかったので、ミーティングが早く終わった場合などに、「表示上は満室だが、実際には空いている」といった無駄が発生していました。

そこで、今、その会議室に人がいて、会議に利用しているかどうかを検知するため、「照度センサー」を設置することにしました。

▼会議室に設置された照度センサー

設置するデバイスは、カメラやサーモセンサー、扉の開閉センサーなども検討しました。ただ照度センサーは設置が手軽で、安価です。また、弊社では会議室を利用しないときは電気を消すルールがあるので、中に人がいるかどうかは「部屋の明るさ」で判断できます。

サイネージ上には、部屋が明るいか、暗いか、つまり、その会議室が利用されているかどうかが表示されます。ですのでそれを見て、短時間の社内会議でも気軽に会議室を利用することができるようになっています。

▼デジタルサイネージがリアルタイムで、人の存在を検知する

他にも応用例として、会議室の「ホワイトボードマーカー切れ」の自動検知も考えています。書けなくなったマーカーを破棄したとき、それをマーカー置き場に設置したセンサーで検知して、自動で次の会議室の利用者に、マーカー補充の依頼が通知されるような仕組みです。

このように、一度ベースとなるIoTプラットフォームを構築すれば、用途に合わせて、さまざまな機能を足していくことができます。働きやすさや業務効率向上のための取り組みを、今後はさらに増やしていきたいですね。

IoTは、市販品を活用しながら「まずやってみる」ことが重要

IoTを導入する上で大切なことは、「初めから満点を目指さないこと」だと考えています。

弊社でも最初は「データが取れない」「センサーが壊れた」「レイアウト替えのときに受送信機が撤去されてしまった」といった感じで(笑)、失敗を重ねながら少しずつ取り組んできました。

▼試行錯誤を繰り返しながら、オフィスのIoT化を進めた

また、自社だけですべてをやろうしないこともコツだと思います。市販のデバイスやソフトウェアを利用したり、専門家の意見も聞きつつ、できることから試していくのが良いのかなと。

IoTはデータがなければ、可視化も分析もできないので、まずは必要な情報を貯めていくことが第一です。そのためには「まずは小さくても良いので始めてみる」ことが必要になります。

今後は、オフィス以外の場でも、もっとIoT活用の範囲が広がるように、色々と試していきたいですね。実際、弊社が運営に携わるIoTパートナーコミュニティでも、2017年7月から、「オフィスIoTワーキンググループ」が活動を開始する予定です。

弊社だけでなく、パートナー企業の皆さんと、弊社を実験場としたオフィスでのIoT活用や、そのビジネス化に取り組んでいきたいですね。(了)

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