• 株式会社Timers
  • CTO
  • 椎名 アマド

敢えて「15%」の時間を使う!売上に直結しないUX改善を、チームで推進する方法とは

  • -
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    -
  • tweet

〜「ユーザー視点では明らかに改善した方が良いが、目先の数字には影響しない」そんな改善を、組織全体で進める仕組みをご紹介〜

通常、事業を展開する上で、1番に追い求めるものは売上だ。そして、それに紐づく指標をKPIとして設定し、日々追い続ける。

そんな中、「この施策をやってみたいが、短期的な数字には影響しないのでなかなか実行できない...」というケースも多いのではなかろうか。

「恋愛」「家族」という2つの領域で、スマートフォンアプリを運営する株式会社TIMERS。同社においても、一時期、数字を追うあまり、それに直結しないアクションをなかなか実行できないという課題があった。

そこで、メンバーから改善の提案を吸い上げ、実行を進める「UX meeting」という取り組みを2017年1月頃より開始。これまで100以上のアイデアが起案され、その中で実際に15〜20のアイデアが実行されたという。

今回は同社でCTOを務める椎名 アマドさんに、プロジェクト管理ツール「Asana(アサナ)」を活用したUX meetingを進める仕組みや、今後の課題も含めた、リアルなお話を伺った。

「恋愛」「家族」という領域で、2つのアプリを開発

僕は、2012年にCTOとして弊社を創業しました。

僕たちは「古き良きを新しく」というビジョンを掲げ、約30名程で、あらゆる人間にとって普遍的な価値を持つ領域で、2つのアプリを開発しています。

1つ目は、「恋愛」をテーマにしたカップル専用アプリ「Pairy(ペアリー)」です。写真やカレンダーの共有、チャットなどができる、カップルの生活を支えるアプリです。

▼カップル専用アプリ「Pairy」

2つ目は、「家族」をテーマにした子育て家族アプリ「Famm(ファム)」です。0〜6歳くらいのお子様を持つ家族向けのアプリで、写真や動画を蓄積し、それをフォトカレンダーにして、離れて暮らす家族などに届けることができます。

▼子育て家族アプリ「Famm」

Pairyは2012年、Fammは2014年にリリースして、共に累計で数十万ダウンロードしていただいています。

短期的な数字には現れない改善を進める「UX meeting」を開始

アプリのリリース後は、改善を繰り返しながら、月額での課金や写真を印刷する際のスポット課金を通したマネタイズを進めてきました。

そして、どちらもある程度軌道に乗ってきたこともあり、2017年1月頃から「短期的な数字に影響はないけれど、これを作ったらユーザーが幸せになるよね」という改善を進める「UX meeting」という取り組みを始めました。

というのも、一時期は、ビジネスKPIを強く意識して開発をしていたんです。ですが、「数字に見えないところで、もっとユーザーを幸せにできるんじゃないか」という声が社内から上がっていたんですね。

このままだと、長期的には絶対に進めた方が良いような小さな改善には、一生取り組めないよね、という話になって。

そのため、短期的な指標だけに捉われない改善を進める場所を用意しようと考え、UX meetingを始めました。

アイデアのブレスト、実装時のToDo管理にはAsanaを活用

具体的には、週1で有志のメンバーが10人ほど集まって、「こういうことをやりたい」というアイデアを提案しています。

▼実際のUX meetingの風景

参加者はエンジニアとデザイナーが中心ですが、問い合わせ対応や、デバッグの中での気づきを改善に活かすべく、カスタマーサポートや品質管理のメンバーにも出てもらっています。

アイデアはUX meetingの場で起案するのではなく、普段の業務の中でふと思い立ったタイミングで、「Asana(アサナ)」というプロジェクト管理ツールに登録するようにしています。

▼プロジェクト管理ツール「Asana(アサナ)」

例えば「ヘルプページを見やすくしたい」というように、一言レベルでアイデアを登録して、それがミーティングのアジェンダになるイメージですね。

そして、弊社の代表がMTGのファシリテーションをしているのですが、「◯◯さんのこのアイデアは、実際にどういう内容ですか?」と言う風に、起案者にアイデアの詳細を話してもらいます。

その上で、実装の是非やスケジュール感、担当者を決めていく形ですね。MTGで実行することが決まれば、「これは◯◯さんと一緒にやる」という風に担当者が決まります。

Asanaは、アジェンダをそのままToDoに移行させることができるため、アイデアを登録する場所としてだけでなく、その後のToDo管理にも活用することができます。

そのため、ミーティングでは新しいアイデアについて話すだけではなく、既に実行中のリストも確認して、進捗チェックにも利用しています。

▼アイデア登録だけでなく、その後のToDo管理ツールとしても活用

改善には15%の業務時間を活用し、細かい効果計測は行わない

また、UX meetingを通して、いざ改善を進めよう!となったのに、「プロジェクトが忙しくて全くできないです」となってしまっては意味がないですよね。

そのため、弊社では業務時間の15%の枠を、改善の実装業務のために確保しても良いというルールを設けています。

もともとUX meetingを始める前から、「いつ手をつけようか悩むような技術的な負債を片付けられる時間」として、15%の業務時間を使っても良いことにしていたんですね。

具体的な例でいうと、スピード重視で開発したコードをきれいにするリファクタリングであったり、レアケースで発生しているバグの調査などです。

そこに充てていた時間を、UX meetingで採用された改善の実装時間にも使ってもらうようにしました。

実際に改善されたもので、特にユーザーに喜ばれたのは、フォトカレンダーの注文履歴を見れるようにしたことですね。

注文時には「注文が完了しました」という形で、メール通知が届くのですが、過去の全ての履歴を閲覧できるページは特になかったんです。

また、履歴ページの実装後も、「何を注文したのか見にくい」という声をいただいたため、タップしたらカレンダーにズームできるように作り直しました。

このように、UX meetingを行ったことで「改善した方が良いが、直近の主要な数字には影響はしなさそうな実装」を進めることができました。

また、「実際、どれくらい使われたか?」といった改善後の効果測定については、関係する数字を一応チェックするくらいで、会社として細かく追ってはいません。

そもそも「短期的には数字に現れる影響はない改善を通して、ユーザーを少しでも喜ばせたい」というコンセプトから始まっている取り組みであることが、その理由です。

逆に、これは短期のKPI向上に結び付かないUX改善だと言い切ってしまって、「だけど、UX的にはそうあるべきだから」という認識を合わせながら進めています。

15%をフル活用すべく、85%の生産性を高める仕組みを作る

こうやって、改善のアイデアが毎週出てきて、それがどんどん実装されるのは、メンバーのサービスに対する熱意が強いからだと思います。

そのためには、皆が実際に自身でアプリ利用していることが大切ですね。

もちろん全員がカップルであったり、お子さんを持っている訳ではないのですが、例えば、自分の愛車の写真をカレンダーに入れて使っているメンバーもいます。

そうやって、実際にアプリに触れているからこそ、「ここはもっとこうした方が良い」というポイントが見えてくるのだと思います。

一方で、当然課題もあって。業務時間の「85%と15%」の配分が厳密に守られるかというと、なかなか難しい部分もあります。

本当はUX meetingで出た改善を進めたいのだけれど、メイン業務が忙しくて....という場面も、実際にありました。従って、今後のテーマは、こういった課題を仕組みでカバーしていくことだと考えています。

15%ルールのようなものは、どこの会社でもある取り組みだと思うのですが、実際に実行するとなると簡単ではありません。

これは絶対に銀の弾丸が存在しない課題ですし、短期的な数字を追うことと、それにはすぐに影響が出ない改善のバランスをどう取るかは、永遠に悩み続けるテーマだと思います。

なので、上手くいかない課題が何なのかを吸い上げて、ベンチャーらしく、常にそれらに対してアクションを打っていける組織にしていきたいですね。

そして、僕たちのサービスを通して、少しでも多くの方々を幸せにすることが出来ればと思います。(了)

SELECKからの特典

SELECKでは、これまで400社を超える先端企業の「ベストプラクティス」を取り上げてきました。

そこで今回、2017年にあなたの働き方がワンランク上がるようなツールをまとめた、2017年版「生産性向上ツール」厳選ガイドを作成しました。

ぜひダウンロードして、業務に活用してみてはいかがでしょうか。

2017年版「生産性向上ツール」厳選ガイドのダウンロードはこちら

  • -
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    -
  • tweet