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歴代2位の来場者数!360度VR動画にも挑戦、サンリオピューロランドの動画マーケ施策

〜2016年度に、オープン以来2番目となる来場者数を記録。ファミリー層だけではなくF1層をターゲットとした、サンリオピューロランドの動画マーケティングとは〜

1990年のオープン以来、サンリオのキャラクターと触れ合える場所として親しまれてきた、屋内型テーマパーク「サンリオピューロランド」。

同テーマパークを運営する株式会社サンリオエンターテイメントでは、その認知を拡大し、来場者数を増やすための様々なマーケティング施策を行っている。

特に2013年以降は、ターゲットをファミリー層だけではなくF1層にまで拡大し、動画活用などを含めた新しい手法にも積極的にチャレンジしていくようになったという。

例えば直近では、「InstaVR(インスタブイアール)」を活用した360度VR動画を制作。まるでパーク内にいるかのような臨場感のあるコンテンツによって、海外の展示会を中心に大きな反響を獲得したという。

そういった活動の成果として、2016年度にはオープン以来2番目となる180万人が来場。綜合ユニコムが発表した「全国の主要レジャー・集客施設 入場者数ランキング 2017」においても、第4位にランクインしている。

今回は、同社の動画マーケティング施策を中心に、志賀 優子さんに詳しいお話を伺った。

営業部とともに、ピューロランドの「来場者数」を追いかける

私は2016年4月に、サンリオエンターテイメントに入社しました。入社以来、マーケティング課で、主にプロモーションを担当しています。

私たちが運営しているサンリオピューロランド(以下、ピューロランド)は、サンリオのライブキャラクターと身近に接することで、その世界観を体験できる屋内型のテーマパークです。

ショーやパレードも本格的に作り込んでいるので、小さなお子様から大人まで、楽しんでいただけるようになっています。

▼実際のショーの様子

マーケティング課は、社内では営業部に属しています。それは私たちが、「ピューロランドの来場数」という、営業と同じ目標を追っているためです

その目標に対してマーケティング課は、Webも含めた横断的な販促、宣伝、広報活動を行っています。

追っている一番大きな数字はまず、「どれだけ媒体に露出できたか」ということですね。それに加えて、自分たちの活動が来場者数に対してどれだけ影響を与えられたかも、できる範囲で計測しています。

例えば新しいプロモーション動画を公開したら、その後1週間ほど、来場者数が見込みからどれだけ増えたかをチェックします。

ピューロランドはテーマパークなので、EC等と違い、情報の露出から来場までに時間の幅があります

これまでの数字を見ていると、例えばある動画がバズったとすると、まずピューロランドのWebサイトへのアクセスが増えます。その後、だいたい露出から3〜5日後に、来場者が増えるパターンが多いです

ただ施策によっては、「動画だけ跳ねて、来場にはつながらない」という場合もあるので、そういった動きは常にチェックしています。

ファミリーからF1層にターゲットを拡大したことで、来場者数が増加

マーケティング施策として動画を活用するようになったのは、2013年くらいからです。

ピューロランドのキャラクターは2Dではなくライブキャラクターなので、以前から、静止画だけではピューロランドの世界観は伝わらないと考えていました。

その中で、時代的にもだんだん動画のインフラが整ってきて、情報の受け取り手にも抵抗がなくなったと判断できたので、YouTubeやTwitterなどのSNSで動画の発信を始めました。

▼サンリオピューロランドの公式YouTubeアカウント

また当時はちょうど、ピューロランドのターゲットをファミリー層だけでなく、いわゆるF1層(※)に拡大し始めたタイミングでした。

※広告・放送業界のマーケティング用語で、20歳から34歳までの女性。

ターゲットには、ファミリーはもちろん入っています。ただ、家族の中で誰にリーチするべきかというと、やっぱり「ピューロランドに行こう」と決めるお母さん達です

そういった方にもしっかり情報を届けていけるように、若手の男性俳優をキャスティングしたショーを上演したり、フォトスポットを増やしたり、といった施策を始めました。またマーケティング領域でも、新しい挑戦をどんどん行っていくようになりました。

こうした取り組みの結果、2016年度は180万人の来場者数を記録することができました。これは、オープン以来2番目に多い数字になります

6秒動画「Vine」を活用した、特設Webサイトをオープン

このようなマーケティングの新しい施策のひとつとして、2014年7月に公開したのが、6秒動画の「Vine(バイン)」(※現在はサービス終了)を使った特設Webサイト「ピューロのうわさ100」です。

▼特設サイト「ピューロのうわさ100

サンリオのキャラクターやピューロランドにまつわる100のうわさを、1つずつ6秒間のVine動画で紹介したものになります。

ピューロランドって、まだ「どういう場所なのか」を知らない人が多いんですよね。その魅力をなんとか伝えられないか、という背景から、この企画が行われました。

そしてその手法として、当時、10代後半から30代の女性にフューチャーされていた「Vine」を使うことにしました。

掲載したうわさの中で、最もリアクションがあったのは「マイメロディの湯切り」でしたね(笑)。

こういった取り組みに対するネット上の反応は、常にチェックしています。今ではソーシャルメディアモニタリングツールの「Meltwater(メルトウォーター)」を使って、SNS上やメディア上の声を集めています。

▼「Meltwater」の画面イメージ(サンプル画像)

「InstaVR」の活用で、臨場感のある360度VR動画を制作

また今年に入って、新しい試みとして「InstaVR(インスタブイアール)」を使った360度VRコンテンツを制作しました。

動画はやはりテーマパークと相性が良いのですが、もっと臨場感を伝えられるような手段として、VRが合うのではないかとずっと思っていました。

そして去年の冬に、海外の展示会に出展するという話が出てきたので、そのときにVRコンテンツを持っていこうと考えたんです。

そこで動画制作会社の方に相談し、今回は3種類のVRコンテンツを制作しました。

まずはVRコンテンツのメニューとしての機能を持たせた、ピューロランドの入り口でキティちゃんが迎えてくれるもの、次にうちの目玉でもあるパレード「Miracle Gift Parade」、そして、ピューロランド内で必ずキティちゃんに会えるアトラクション「レディキティハウス」の動画です。

▼実際に制作されたVRコンテンツ

今回は360度のVR動画を制作したので、視聴者の方は本当にピューロランド内にいるような、臨場感を体験できるようになっています。例えばパレードは、ちょうど最前列で見ているような体験ができます。

▼実際に360度VR動画を視聴している様子

今回、InstaVRを活用したことで、撮影画像の書き出しが非常にスムーズでしたね。ロケハンをした次の日にはモックができていたので、それを見ながら本番撮影のイメージを湧かせることができました。また、実際に撮影をしてからVR動画ができるまでも、約2日でしたね。

そして完成した動画を、2月に「SANRIO EXPO」というサンリオの展示会にテスト出展しました。専用端末を4台設置して皆さんに見ていただき、次にタイの展示会でも出しました。

動画って、情報量が多いので言葉で説明しなくても「見るだけ」で伝わるので、本当にグローバルツールみたいな感じですよね。特になかなかピューロランドに来場する機会がない海外の方には、非常に刺さっていたと思います。

現在、この動画は専用アプリでしか見られないのですが、いま一般のアプリとしてiOS版、Android版を公開する準備をしているところです。

認知の拡大を目指し、常に新しいチャレンジを行っていく

また最近では、レシピ動画メディアのDELISH KITCHENとタイアップを行いました。実際にピューロランド内のレストランで販売しているキャラクターモチーフのカレーを、ご家庭でも作れるようなレシピにアレンジした、プロモーション動画を制作したんです。

▼DELISH KITCHENとタイアップした、プロモーション動画

このような新しい挑戦も、どんどん行っています。同じことをしていても、なかなか認知は広がらないので…。DELISH KITCHENさんは、うちではなかなかリーチできていなかった層を市場としてお持ちだったので、今回一緒にやらせていただいた形です。

実際の動画制作に関しては、「今はこういう動画がいいですよ」というトレンドを教えていただけたので、制作は基本的にお任せしました。やっていただきたい内容だけ、盛り込んでいただいた感じですね。

他にも、いまは、Webサイトのアクセスをトラッキングすることで、どんな人にどんなオンラインクーポンが活用されたか、といったデータも収集しています。このようなデータを用いたマーケティング活動も、これからどんどん行っていきたいですね。(了)

©2017 SANRIO CO., LTD.

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