• 株式会社京橋ファクトリー
  • 執行役員 CIO
  • 新道 雄大

Webメディア運営を支える広告管理は面倒? 自動化に最適なGoogle DFPを使い倒せ!

今回のソリューション:【DoubleClick for Publishers(ダブルクリックフォーパブリッシャーズ)】

〜無料で始められる広告管理ツールを活用して、広告の出し入れ作業が効率化されただけでなく、広告を出稿したいセグメントに切り分けて配信できるようになり、営業力の強化につながった事例〜

Webメディアの運営において、広告収入はマネタイズの大きなポイントとなる。できるだけ純広告を優先しながらアドネットワークを併用することが望ましいが、その場合に課題になるのは広告担当者の運用にかかるコストやナレッジの属人化だ。

Webメディア「ビール女子」を運営する株式会社京橋ファクトリーは、2013年設立のスタートアップだ。ビール女子はオープンから2年でありながら、絶妙にセグメントされた「ビール好きな女性」へのアプローチに成功している。そんな同サイトの広告配信を支えているシステムが、Googleが提供する「DoubleClick for Publishers(ダブルクリックフォーパブリッシャーズ、以下DFP)」だ。

同社で広告運営を担当する新道 雄大さんによると、DFPの導入によりすべての純広告とアドネットワークを一元管理できるようになり、さらに広告ごとのパフォーマンス解析も容易になったのだという。新道さんに、DFP活用法をお伺いした。

Webメディア「ビール女子」を運営するスタートアップに入社

学生時代は生物統計学を専攻していまして、修士課程まで生物を学んでいました。卒業後は某食品メーカーに勤務したり、実家に戻って畑を耕したり(笑)。その後医療系の会社にも入ったのですが、ちょっとアカデミックすぎて水が合わないな、と感じ、やめてしまったりと。今考えてみるとフラフラしていました(笑)。

そんな時に京橋ファクトリーで働いていた知り合いから、アンケート集計の手伝いを頼まれたんです。それがWebメディア「ビール女子」の、ビールに関する調査でした。私はプログラムも書けたので、それから色々と手伝うようになりました。そして2014年に、こちらに正式に移って来たという経緯になります。

今はサイトのアクセス解析にはじまり、エンジニアリングからバックオフィスの業務まで幅広く担当していて、結果的に、様々な経験をしてきたことが今、すごく活かせているという実感が得られています。少人数のチームということもあって、メンバー間にはなんでも話し合って何でも共有し合うフラットな雰囲気があります。IT業界は新しいアイデアをどんどん試していけるところが、自分には合っているのかなと感じていますね。

無料でも使える、そして安心感から広告サーバーGoogle DFP導入

以前はビール女子の広告については、広告枠に手作業でコードを入力して表示させていました。その方法だと、設定できる人間も限られますしスピード感もない。さらに細かい設定もできなければ、情報も取れない、例えば、地域を絞って配信することもできませんでした。ナレッジの蓄積ができないことと、作業の属人化が課題でしたね。

広告パフォーマンスの分析は、高い解析ソフトを導入すればもちろん可能です。でも弊社はスタートアップであることもあって、できる限りお金をかけずに、誰にでも使いやすい仕組みを作りたかったんです。ちょうどその時アドネットワークを検討しているタイミングでもあったので、何かひとつアドサーバーを入れようという話になり、導入を決めたのがGoogleが提供しているDoubleClick for Publishers(以下、DFP)です。

世の中の広告管理ツールは、基本的に有料で、アドネットワークを運営している会社さんが提供しているものも多いです。そういったものですと、なんとなくその会社さんのネットワークが優先されるんじゃないかという疑問も出てきて。最終的にはGoogleが運営しているという安心感と、基本的に無料で始められるというコスト面から、DFPを導入することにしました。

DFPの活用で広告の管理業務が効率化し、営業的な効果も!

DFPは、一言で言うとGoogleが提供する広告サーバーです。複数の広告の中から自動的に単価の高いものを選んで配信してくれるので、広告の収益性を上げることが可能になります。実際に弊社でも、導入によってアドネットワークを使った広告の収益面があがりました。

ただ弊社ではどちらかと言うと純広告に注力している部分があるので、DFPによって純広告でも色々な切り分けの出し方ができることを評価しています。出したい広告をすべてDFPに登録すれば、それぞれをどのように表示するかということを設定できます。例えばちょっと予算が足りないお客様に、「地域限定で配信しますか?」 といった提案ができるので、営業にも活かせています。

更に、管理コストの削減にも効果がありました。ビール女子の場合は、大手メーカーさんを中心に純広告が埋まっていることが多いのですが、それらを一元管理することで広告の出し入れ作業がスムーズになりました。

広告効果の測定もDFPで!クリエイティブの改善にもつながる

DFPはレポート機能も充実していて、地域や時間、曜日で広告ごとのクリック率やインプレッション数などを見ることができます。弊社では1週間から2週間単位で、それぞれの数値を確認しています。

広告単位ではなく、リンク単位でも比較が可能です。例えば同じ広告主であっても、文字の大きさや色合い、写真の量といったクリエイティブの違いによる効果の変化も測定できます。弊社は自社でバナー広告などを制作を行っているので、その改善のためのPDCAを回すスピードもアップしました。

ビール女子の傾向として面白いのは、同じ場所に同じインプレッション数で「ビール」とそれ以外の広告を掲載した場合、やはり「ビール」の広告のほうがクリック率が高くなります。狙ったセグメントを集客している実感がありますし、逆にビール以外の広告を掲載する際には見せ方を工夫する必要があると感じています。さらに訪問者が金曜の夜はみんなが飲みに行っているらしく(笑)、それが数字に現れている部分もありますね。

とは言えなかなかすべてを予測できるわけではないので、そういった場合には自動的にクリック率が高いものを選んで配信してくれる「ダイナミックアロケーション機能」が役立ちます。自動A/Bテストのような感じで、いくつかデザインの異なる広告をセットしていくと、自動でランダム配信ができます。手で出し分ける必要もなく、それぞれのクリック率も出せますので、ダイレクトに改善につながる便利な機能です。

基本無料から始められるDFP スタートアップにはオススメ

DFPの管理画面がちょっと重い時があるのが難点ですね。広告枠を認識させるのにタグを入れてから1日ほどかかってしまうこともあるため、新しい広告枠を作る際には早めに作っておく必要があります。レポートを出すにも時間がかかるので、このあたりは改善を期待しています。

DFPはインプレッション数によって課金されるシステムで、DFPスタンダードであれば、広告の表示回数が月間9000万回未満であれば、料金は無料です。小さいビジネスをやっているスタートアップだったり、これからWebメディアを始めたい方には最適だと思います。広告の管理や効果測定に課題をお持ちの方はぜひ使ってみることをオススメします。

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