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スコアリング不要!?「適切なコミュニケーション」で実現するインバウンドマーケとは

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今回のソリューション:【HubSpot/ハブスポット】

〜スコアリングやインサイドセールスといった「用語」にとらわれず、インバウンドマーケティングの本質を実践することで、問い合わせを激増させている事例〜

営業電話やダイレクトメールなどで、企業から顧客を追う「アウトバウンド」な活動に対して、自ら情報を求めて自社サイトを訪問した顧客に、サービスや製品への関心を持ってもらう「インバウンドマーケティング」。

導入への興味はあるものの、難しい専門用語やたくさんの手順に、戸惑う人も多いのではないだろうか。

ソーシャルメディアマーケティングに関するコンサルティングなどを行う、株式会社コムニコ。同社は、2012年に「HubSpot(ハブスポット)」を導入し、インバウンドマーケティングを他社に先駆けて開始した企業のひとつだ。

結果的に、問い合わせが月間1件あるかないかだった状況から、今では安定して月に20件以上の問い合わせを獲得できるようになった

その背景にあるのは、手段に縛られずに「見込み顧客と適切なコミュニケーションをとる」という本質だけを考えた、一貫したマーケティング戦略だ。

今回は、同社でインバウンドマーケティングを担当している本門 功一郎さんに、ブログやeBookといったコンテンツの作り方から、オンライン上でのコミュニケーションのあり方まで、詳しく話を伺った。

※インバウンドマーケティングの概要を知りたい方はこちらから

海外で注目されていた「インバウンドマーケティング」に着目

私がコムニコにジョインしたのは2010年で、当時はまだメンバーは6、7人でした。マーケティングをやりたくて入社したのですが、せっかくベンチャーに来たからにはいろいろな経験を積むことも大事だと思い、最初は営業をメインにさまざまな業務に関わりました。

株式会社コムニコ 本門 功一郎さん

当時はソーシャルメディア自体の認知度も低く、アポを取るのにも必死でした。今では考えられませんが、1人当たり月40件のアポを目標にして、展示会での名刺交換などをしていましたね。

今では弊社もインバウンドでのマーケティングが中心になっていますが、そのきっかけは代表の林がその考え方に注目していたことでした。

2012年の当時では日本ではまだまだ浸透していなかった考え方ですが、どうやらHubSpotという会社が提唱している画期的なマーケティングの概念らしい、ということで私もウォッチしていたんです。

ちょうどその頃に日本語版のインバウンドマーケティングの本が出たこともあり、そのタイミングで飛びつき、理解を深めていきました。

疑問を残しながらも、愚直にインバウンドマーケに取り組む

インバウンドマーケティングは画期的な考え方だと言われていましたが、正直なところ最初はピンときませんでした。メール配信やブログを経由した発信は、すでに実施している企業もありましたし…。これまでのマーケティングとどう違うのか、イメージがつかなかったんです。

株式会社コムニコ 本門 功一郎さん

ただ、当時はこちらからの営業活動が必要な状態で、Webからのお問い合わせは月に1件あるかないかでした。このままでは、売上を増やすためには営業の人数を増やすしかない、という状況になることは目に見えていました

そこで、インバウンドマーケティングに対しての疑問は残っていましたが、何も手を打たないと変わらないので、やってみることにしました。初めはもう、愚直に手順に従うのみ、という気持ちでしたね。

コンテンツ作りには、お客様とのやりとりが活きる

インバウンドマーケティングを実践する、といっても実際は私ひとりでした。ソーシャルメディアに関するブログ「We Love Social」を開設したのですが、どんな内容を書けばいいのか、四苦八苦していましたね。

迷った結果、営業経験を活かして、お客様からよく聞かれがちな質問に回答するようなコンテンツを作っていきました

例えば、Facebookの仕様変更について、「タイムラインの表示が2カラムから1カラムに変わった背景は何ですか?」という質問がありました。Facebookの中の人ではないですが、公式リリースや海外のメディアを調べてお答えし、そういった情報をコンテンツ化していきました。

改めて考えると、コンテンツを作るのも、営業活動と変わらないコミュニケーションと言えると思います

株式会社コムニコ 本門 功一郎さん

営業中にいただいた質問を、口頭かメールで回答するか、それともブログで回答するかはお客様が課題を解決できるなら大きな違いはありません。ですから、「よく聞かれるのでまとめてみました」という感覚でブログも書いていました

リードを獲得するためのeBookも、以前開催していたセミナー内のエッセンスを凝縮して作っています。なので、営業の延長線上にコンテンツがあり、カスタマーリレーションの一環だと意識していました

こうした背景から、コンテンツ作りの体制も徐々に変化していきました。今では、お客様とやりとりをしているメンバーの半分以上がブログを書いています。営業の他に、コンサルティングのメンバーにも、企業のソーシャルメディア担当者のニーズにあったコンテンツを作ってもらっています。

▼株式会社コムニコが運営するブログ「We Love Social」

コムニコ We Love Social

もちろん、そういう種類のコンテンツだけだと、目先の課題に寄ったコンテンツばかりになってしまいます。

ソーシャルメディアのリーディングカンパニーとして認知してもらうためのコンテンツというのも必要で、これはもう少しオピニオンに近い業界の話、「これからのソーシャルメディアの未来」や海外の事例調査といった情報を提供しています。

目的はリード獲得ではなく、「コムニコさんはソーシャルメディア業界の最先端の情報を持っているよね」と認知してもらうためです。そのため、業界のキーマンにシェアされるかというのは、意識していますね。

コンテンツの次は、「ライフサイクルステージ」の考え方を導入

そうしてコンテンツによるリードの獲得が回り始めたのですが、そこで得られた見込み顧客については、細かいセグメント分けはしていませんでした。

しかし、2013年にHubSpotのカンファレンスに参加して、ライフサイクルステージというものがあることを知りました。マーケティング業界のキーマンが、見込み顧客が購買に至るまでのプロセスをステージに分けて理解し、ステージに合ったコンテンツを用意すべきだと語っていました。

まだサービスを知っただけの人、商談になりそうな人、それぞれをステージを分けて適切なコミュニケーションを取ることが重要だと気付いたんです。カンファレンスから帰国し、急いで自分たちのサービスのライフサイクルステージについてまとめました。

▼潜在顧客は単なる「訪問客」から、実際の「顧客」へと順次ステップアップしていく

ライフサイクルステージ

具体的には、ソーシャルメディアマーケティングを知っていただいている状態から、サービスの検討段階までにステージを分けました。そこから、どういうお客さんが案件化する可能性が高いのかを決めていきました

スコアリングもインサイドセールスも不要?

マーケティングオートメーションの世界では、スコアリングやインサイドセールスが注目されています。見込み顧客をナーチャリングして、案件化していく役割ですね。ですが、私たちは現状では取り組んでいません。

理由は、コムニコは起点がeBookとお問い合わせの2つで、どのライフステージにいるのか明確なため、かえってスコアリングが機能しないことも多いからです。

リードスコアリングは、リード獲得からクロージングまでのデータを駆使することで成立します。ですが、現時点では今までのブログの閲覧履歴を見てカスタマイズする、といったコミュニケーションが取れるだけで十分対応できています。

インサイドセールスも同様に、今のところは実施しなくてもマーケティングと営業の連携が取れています。見込み顧客がブログをいくつか見ていて、「ソーシャルメディアの中でも特にFacebookに興味がある」ということはHubSpotで確認できるので、営業もだいたいのニーズを把握することができています。

例えば、Facebookページ開設方法や用語紹介などの初歩的な記事をたくさん見ていれば、ページ開設を検討していると考えられます。それに合わせてコミュニケーションを取っていけば、必ずしもインサイドセールスを専門で置いて、アポを取っていくという必要は無いと考えています。

手法から入らず、考え方を実施していくことが重要

マーケティングオートメーションは、スコアリングなどの手段から入るのではなく、インバウンドマーケティングの基本的な考え方から出発することが重要だと思います。

テレアポはアウトバウンドだからやってはいけない、インサイドセールスは絶対に置くべき、ということではないと思うんですね。コミュニケーションの場が変わっただけで、方法はいくらでもあると思うんです。

ブログをいくつか見てくれていて、Facebookの広告運用について悩んでいると思ったら連絡を取る。

ただ、いきなり営業から「Facebookの広告運用についてお悩みのようですね」と連絡が来ても良い印象はないですよね(笑)。メールで「ページを拝見させていただきましたが、出稿ミスが起きているようです。何かサポートできますか?」と課題に耳を傾ける。

株式会社コムニコ 本門 功一郎さん

こうやって興味関心がある人を集めて、一方的でないコミュニケーションをとっていく、差し支えなければ営業もしていく、というのがインバウンドマーケティングの基本的な考え方に則った行動だと思います

きちんとライフサイクルステージを考えて、見応えのあるコンテンツを用意して、お客様の課題とサービスがマッチすればご提案させていただく、ということを大事にしています

「マーケティングだけでは完結しないマーケティング」と言うと矛盾があるのですが、インバウンドマーケティングには営業的な要素も混じっているので、さらに営業部門とも連携しながら、進めていきたいと思います。(了)

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