• WAmazing株式会社
  • 代表取締役社長
  • 加藤 史子

SNS拡散のトリガーは「限定感」にあり!WAmazingのインバウンドマーケ戦略の裏側

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〜成田空港での「無料SIM配布」と、戦略的な口コミ拡散が起爆剤!半年で1万人の訪日旅行者が利用した、WAmazingのマーケティング戦略〜

リソースの限られた新規事業やスタートアップでは、プロダクトやサービスの有用性を検証した上で、最適なタイミングでマーケティング投資に踏み切る必要がある。

2017年2月1日より、香港・台湾からの訪日旅行者に向けた観光アプリ「WAmazing(ワメイジング)」を展開する、WAmazing株式会社。

同アプリは、積極的な広告投資などを行っていないにも関わらず、およそ半年間で1万人の旅行者に利用されたという。

その背景には、旅行者の一番の課題である「モバイル通信」に着目し、成田空港に設置した「無料SIMカード受取機」をユーザー獲得の起爆剤としたこと、そしてSNS拡散を狙った戦略的なパブリシティの獲得があった。

さらに同サービスは、2017年8月14日にAndroid版もリリース。今後の広告投資を見据え、現在は「Kaizen Ad(カイゼン アド)」を活用した、Facebook動画広告の効果検証なども行っているそうだ。

今回は、同社で代表取締役社長を務める加藤 史子さんに、WAmazingのマーケティング戦略について、詳しくお話を伺った。

社内の新規事業ではなく、スタートアップとしての挑戦を選んだ

私は新卒でリクルートに入社し、2016年の6月末に退職するまで、18年以上勤めました。そして退職翌日の7月1日に、間髪入れずにWAmazingを創業したという経緯になります。

退職する直前は、リクルート内のじゃらんリサーチセンターで、マーケットの研究・調査を行い、事業やプロジェクトを立ち上げるR&Dグループの課長をしていました。まさに観光・旅行業界の領域で、新規事業に携わってきましたね。

大企業の中の新規事業も、スタートアップとしての独立起業も、結局は「手段の違い」だと考えています。私の目的は、観光産業を日本の基幹産業にすることで、地域の経済活性のお手伝いがしたいということです。

その中で今回、起業を選んだ理由は、まずスピード感です

WAmazingがターゲットとする訪日外国人のマーケットは、昨年対比1.2倍ほどで伸びている成長市場になります。

そこで戦う上で、大企業の資本や人材力は魅力的です。しかし、他にも有力な既存事業が多々ある中で、最速のスピードを実現することは難易度が高いかもしれない、と考えました。

そういった背景から、リクルート時代には片目で見てきたスタートアップ市場で、資金調達も含めて挑戦するという手段を取ることに決めました。

半年で1万人以上の訪日外国人が利用した「WAmazing」

WAmazingは、訪日外国人向けのマッチングプラットフォームです。日本を訪れた外国人の方がWAmazingのアプリを使うと、宿泊施設といった、観光に必要なものをインターネット上で手配することができます。

▼香港・台湾からの訪日旅行者に向けた観光アプリ「WAmazing」

WAmazingがターゲットとするのは、訪日外国人の中でも自分で飛行機や宿の手配をする「自由個人旅行者」という人たちです。昨年、日本には約2,400万人の旅行者が来日していますが、その中でも自由旅行者はおよそ半分ほどになります。

更に、その自由旅行者のおよそ3割が香港・台湾から来日していて、中国大陸からの人より多くなります。こうした背景から、現在はターゲットを香港・台湾に絞って展開しています。

彼らは「書き文字」としても繁体字という同じものを使っていますし、地理的にも近くてマーケティングが一緒にやりやすいということもありますね。

マーケティング施策に関しては、積極的な広告宣伝はこれからになります。と言うのも、今年の8月まで、サービスがiPhone版のみの展開だったんです。ですが実は、台湾では8割、香港では6割以上がAndroidユーザーなんですよ。

しかしそれでも、2017年2月1日のサービス開始から半年ほどで、3万件以上のインストールをいただき、1万人以上の旅行者の方にアプリを利用していただくことができました。

WAmazingが提供するプロダクトが必要とされているかどうか、という仮説が証明できたので、これからマーケティングに本格投資していくための下地ができたと思っています。

口コミの起爆剤は、「自分たちだけ無料」という限定感!?

これまでのマーケティング施策としては、まず成田空港での無料SIMの配布があります。

訪日外国人の方が一番困っている「インターネット通信環境」を無料で解決する、という仕組みです。これは認知を広める手段、ユーザーを集めるひとつの起爆剤として考えています

▼実際に成田空港に設置されている無料SIM機の配布機

「確実に日本に来る」旅行者との接点を生むための施策として、最も入港数が多い成田空港からまずはスタートしました。今後、無料SIM機の設置は、他の空港にも拡大していく予定です。

他の集客手段は、ほぼ口コミになります。実は現在、WAmazingを使っていただいている方の8割は、口コミでサービスを知った方なんですよ。

とは言え、口コミも最初の火種は必要です。そこで2月1日のサービス開始のときには、パブリシティの獲得を狙い、戦略的にPRを実施しました。結果的に、台湾・香港を合わせて20以上のメディアに取り上げてもらうことができたんです。

このようにメディアに取り上げてもらえた理由のひとつは、そもそも台湾と香港の方が、日本に関心が高いということがあると思います。

例えば香港の人口は700万人ほどですが、昨年はそのうちの184万人が日本に来ているので、およそ3人から4人に1人は訪日いただいているということになります。

また、今回はサービスが香港・台湾「のみ」の展開だという限定感も、SNS等で口コミが広がった理由のひとつだと思っています。

実際にFacebookのコメントなどでも、「大陸(中国のメインランド)は関係ない、俺たちだけだ」みたいな投稿がたくさんあったんですよね。

実はこういうことが起こるのではないか、ということは、一応最初から想定をしていました。「必要なものが自分たちだけ無料」ということは、拡散のトリガーになりやすいんです。

リクルート時代に立ち上げたサービスで、日本人の若者向けの「マジ☆部」というものがあります。ある年齢限定の無料サービスを提供するものなのですが、これが完全に同じ構造なんです。

例えば「マジ☆部」の中の「雪マジ!19」というサービスであれば、日本の200ヶ所のスキー場で、19歳限定でスキー場のリフト券が無料になります。

「19歳だけ」と言われると限定感がすごくあるので、最初はパブリシティでネットニュースや新聞、テレビなどに多く取り上げてもらえたんです。その後、サービスの対象ユーザーの間で、口コミが爆発的に広がりました。

WAmazingでは、実は同じことを海外向けにやっている、ということになります。

初めての広告投資に、「Kaizen Ad」を使った動画広告を選択

このように、基本的には口コミからのオーガニックな集客がメインですが、今後マーケティングへの投資を行うに先駆けて、「Kaizen Ad(カイゼン アド)」を用いたFacebookの動画広告にも試験的に取り組みました。

Kaizen Adは、Kaizen Platformさんが運営する、動画広告の配信から効果検証、改善といったPDCAを回していくためのサービスです。世界各国のクリエイターにクリエイティブの制作を依頼できる部分が、海外向けのサービスであるWAmazingとは非常に親和性が高いと考えました。

今回はおよそ2週間の期間を区切って、合計9パターンの動画広告をA/Bテスト的に配信しました。

具体的には、サムストップ画像(A)と呼ばれる冒頭の画像を4パターン、さらにメイン動画(B)、ぶら下がり動画(C)をひとつずつ制作し、それを組み合わせる形でパターン分けを行いました。

▼実際に作成した4パターンのサムストップ画像(A)

そしてそれぞれ3秒再生率、10秒再生率、さらにCPIを計測して、結果を比較しました。

まずわかったのは、BCを組み合わせたサムストップ画像のないものが、最も3秒再生率、10秒再生率が高いということです。

それらの数字が高いと、Facebook上での露出回数が増えるため、最終的に一番効果があったのはBCパターンでしたね。

▼各パターンの再生率などを比較した結果

ただ実は、一番CPIが良かったのは、最初に「無料SIM」をうたったサムストップ画像があるパターンでした。ですがこちらは、3秒再生率があまり良くなかったんです。するとFacebookによって、露出が抑えられてしまうんですね。

ここから得た仮説は、「無料」を早めにうたうのは良いが、画像ではなく動画スタートの方が成果が出やすい、ということです。そこで現在は、BCパターンの途中にAを差し込むような形を考えています。

我々の学びとしては、「やってみないと本当にわからない」ということです。サムストップ画像がなくて、いきなり飛行機が飛ぶ動画で始まる広告が一番良い、ということは、実際の数字がなければ合理的に説明しにくいですよね。

やはり、事前の思い込みで広告を当てるのは難しいなと。数パターンのクリエイティブを作って、ユーザーの反応で決めるということが、一番効率的なんだなと改めて感じましたね。

今後は、ユーザー接点を拡大するためのチャレンジを行っていく

このようにこれまでは、あくまでもマーケティング投資を抑えながら、ユーザーニーズを検証してきました。

そして、先日、8月14日にはAndroid版の提供をスタートし、同時に新たな機能として、日本の宿泊施設、約1万軒がWAmazingアプリ内で予約可能になりました。これでようやく、マーケティングに踏み込んでいく準備ができたかなと思っています。

今後のチャレンジとしては、WAmazing上の観光コンテンツをどんどん充実させていきたいですね。

と言うのも、旅行者の方は365日のほとんどを、当たり前ですが母国で暮らしているんですよね。すると今のWAmazingのアプリは、旅行が終わって帰国したあとは不要なアプリになってしまいます。

もちろん、台湾香港の方はリピート率が高く、訪日の間隔も短いので2度目も3度目もWAmazingをご利用いただける仕組みにはなっています。

しかし、日本への旅行が具体的に決まってない人にも、日本の最新の観光情報をメディアとしてお届けできれば、母国にいる間もユーザーリテンションを保てるのではないかと考えています。

具体的には、訪日版のキュレーションメディアのようなイメージで検討しているところです。アプリサービスなので、必要なときに検索して到達されればOKというWebサービスとは少し違い、ユーザーのそばに居続けることができるUXの設計が重要です。

今後もスピード感を持って、どんどんサービスを成長させていきたいですし、それを一緒に追いかけてくれる仲間も募集中です!(了)

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