• 株式会社ビズリーチ
  • ビジネスマーケティング部 部長
  • 茂野 明彦

月の商談数が4倍に!声とスピードで勝負する、ビズリーチ流インサイドセールスの極意

〜成長を続けるビズリーチに学ぶ!成功するインサイドセールスチームを作るための「3つのポイント」とは〜

インサイドセールス(内勤営業)」という「訪問しない」新たな営業の形が広まってきている。

即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」をはじめとする、人事・採用領域を軸とする10個のインターネットサービスを展開する株式会社ビズリーチ。

同社では、複数のB2Bプロダクトのマーケティング機能をひとつの部署に集約し、インサイドセールスの組織を拡大することで、月間の商談件数を1年で約4倍に伸ばすことに成功した。

▼マーケティングと営業をつなぐ、インサイドセールス(画像は編集部作成)

その裏側では、「フィールドセールス(外勤営業)との溝を生まない仕組みづくり」「インサイドセールス専用のトレーニングプログラム」「独自の『ポイント制』によるKPI管理」といった、様々な取り組みを行ったそうだ。

今回は同社でマーケティングとインサイドセールスを統括する茂野 明彦さんと、インサイドセールスを務める松永 圭世さんに、そのノウハウについて詳しくお伺いした。

更なる成長を目指し、インサイドセールスの拡大を決断

茂野 僕は、前職でインサイドセールス(以下、IS)の組織づくりに関わり、専属のトレーニング部門の立ち上げなどを経験しました。

そして、ビズリーチでISの組織強化を任せてもらうことになり、2016年12月に入社しました。

現在はビジネスマーケティング部で、ISグループとマーケティンググループを統括しています。そしてこの部署では、弊社の大半のB2Bプロダクトのマーケティングを担当しています。

松永 私は入社して以来、ISグループで実務を担当しています。

ISグループは、全部で6つのチームに分かれています。「商談支援」のチームが4つと、大企業のお客様を専門とする「総合企画」、ISでクロージングまで行う「オンラインセールス」です。

茂野 僕が入社する前は、ISの組織自体はあったものの、取れるリードの数が少なく、アウトバウンドがメインでした

「パスをもらう側」との役割分担を試行錯誤しているフェーズでしたので、そこに改善の余地を感じていましたね。

2016年頃からプロダクトの数も増えており、営業も更に強化しようとしていたため、これはもうISやマーケティングに注力して生産性を上げた方が、全体の成長に繋がると考えました。

そこで経営陣に、ISの組織拡大の提案を行い、本格的な組織づくりに取り組むことになりました。

結果的に、もともと6名ほどだった組織が、約1年間で50名ほどまでに拡大しました

最重視するのはスピード!I「熱い」うちにアクションを起こす

茂野 弊社の場合、リード(見込み顧客)の獲得経路は多岐に渡ります。例えばオウンドメディア上のコンテンツや人事系のホワイトペーパー、各サービスの価格表ダウンロード、問い合わせのお電話などです。

その中で大切にしているのは、「顧客と接点ができたら、できる限り早いタイミングでISからリアクションをする」ということです。

弊社では、マーケティングオートメーションツールの「Pardot」を導入して、リードのスコアリングを行っています。

獲得経路別に見込み顧客をポイント化して意向の高さを可視化し、どの情報提供をするべきか、どの商材の提案が良いかを判断するものです。

ただ、リードのスコアだけではなく、それと同じくらいスピードを大事にしています

と言うのも、一概にスコアが高まるのを待つのが最良かと言われると、僕はそうではないと思っていて。

実際にInsideSales.comという米企業が公表しているある統計では、リード獲得から電話するまでの時間が「5分以内」だった場合、「10分以内」の時と比べて、お客様と話せた際のコンバージョン率が400%になるという結果が出ているんですよ

※参考資料はこちら

ですので一番良いのは、なるべく熱いうちにリードをISに引き渡し、IS自身がスコアを目安にした対応をするということです

弊社の場合は商材がいくつかあるので、「このお客様は『ビズリーチ』が〇点、『キャリアトレック』は〇点、『HRMOS採用管理』は〇点…」というような情報さえ頭に入っていれば、良いと思っています。

案件のハンドリングは現場に任せる。お客様に適した商材を判断

松永 新しいリードが入ってくると、それは商材別に仕分けされることなく、Salesforceのシステムから自動でISへと振り分けられます。

そして、私たちISが電話でお客様の状況をヒアリングした上で、リードの獲得経路に依らず、課題に合った適切な商材をご案内しています

例えば、即戦力人材の採用に適した「ビズリーチ」のリードとして接点を持った場合でも、実際にお話を伺うと若手の人材を非常に求められているようなケースがあります。

そうした際には若手向けの「キャリアトレック」のご提案に変更したり、状況によっては両方ご提案させていただくこともありますね。

茂野 こうした案件のハンドリングは、全て現場のISの判断に任せています。ヒアリングによって温度感が高いと判断すれば、商談アポイントを取得してフィールドセールスに引き継ぎますし、逆の場合はナーチャリングフローに回します。

ナーチャリングでは、メールマガジンを起点として、Webサイトや弊社セミナーに来ていただくような施策を行っています。

また、一度営業に渡したリードであっても、ご成約に至らなかったり、ご解約になったような時は、再度ISの管轄に戻します

この「失注リード」に対しては、ISが理由などを確認の上、適切なタイミングを待って再アプローチしていますね。

事業部の達成はISが責任を持つ。KPIは、商談数と「ポイント」

茂野 ISやマーケティングの活動をする上で、フィールドセールスとの連携は非常に重要です。


よくある「溝」を生まないようにするためには、「同じデータを見て会話をする」ことが大切だと考えています

例えば、ダッシュボードであっても、レポート条件が変わるとすぐ数字がズレたりするじゃないですか。そうすると認識の齟齬が生じてしまうので、全く同じものを見て、同じ数字の目線で会話するようにしています

▼実際に同社で使っているダッシュボードの一部

松永 また、ISからフィールドセールスへの引き継ぎでは、電話で得られた「副次的な情報」もセットで伝えることを意識しています

例えば、お客様のお立場や採用に対する姿勢など、得られた情報は全てSalesforce上にメモを残し、フィールドセールスに伝えています。

茂野 僕らは、「各事業部の成長も停滞も、僕らの成果に大きく起因する」と思っているんです。

そのような考え方をするために、ISチームのKPIとしては、商談数だけでなく「ポイント」という独自の仕組みを作っています

と言うのも、例えば「ビズリーチ」と「HRMOS採用管理」では、それぞれ商談機会を獲得する難易度が違うんですよ。そこでKPIを商談数だけにしてしまうと、人間の心理として、どうしても難易度の低い商材に流れていってしまうんです

ですので、契約単価や成約率などの過去推計に基づいて、各商材のポイントを算出し、個人のKPIにも紐付けています。

そして、商談数とポイントの2つのKPIを達成すれば、部門全体が予算を達成するような目標を置いているんです

こうして、ISとマーケティング、そしてフィールドセールスとの連携を強化した結果、およそ1年で商談件数を4倍にすることができました

「ペーシング・ミラーリング」「SPIN」を使ったトレーニング手法

茂野 さらに、ISの個人スキル向上のため、基本的なトレーニングメニューも作成しました。


例えば電話でのコミュニケーションに関しては、「ペーシング」や「ミラーリング」といった基本技法を習得してもらいます。

これは、声の高低やテンポ、喜怒哀楽などを電話越しの相手に合わせることで、対面でなくても聞き取りやすく、お客様に不快感を与えない話し方の基本となるものです。

また聞く力を高めるため、「SPIN」というヒアリング手法もトレーニングのひとつとして実施しています。

「S(= Situation)」は状況質問と言って、企業規模や年間の採用人数など、お客さまの現状を理解するための質問です。

「P(= Problem)」は問題質問で、その状況に対して「このようなことが起こっていませんか?」といった質問をして、お客さまの抱える課題を明らかにします。

ここで提案に持っていきがちなのですが、次に「I(= Implication)」の示唆質問をします。

例えば、「営業部長のポジションが空いている」という課題があれば、「部下が育たなくなり、売上が伸び悩むことに繋がりませんか」といったように、その問題の重大性を認識いただくための質問をします。

最後は、「N(= Need payoff)」の解決質問と言って、お客さまに理想の状態をイメージしていただきます。

松永 このSPINは、実際のヒアリングでもすごく意識していますね。他にも、業務で使うツールの使い方や、PDCAの回し方などの研修も行われています。

ISの立ち上げを担う人へ。成功させるための「3つのポイント」

茂野 長年ISに携わってきた経験から、その立ち上げを成功させるためには「3つのポイント」があると考えています。

第一に、「組織上のトップに、フィールドセールスで活躍しているメンバーをアサインする」ということです。

よくある失敗例として、あまり営業成績の良くないメンバーを集めてしまうことで、ISがヒエラルキーの下位組織になってしまうことがあります。

そうすると、当然ながら良い結果は生まれませんので、そこは会社として「強いISをつくる」と意思決定することが重要です。

次に、「きちんと数値を計測できる体制を作る」ことです。具体的には、「営業のフェーズ管理」「商談管理」「パイプライン管理」のルールを整備します。

弊社では、営業のフェーズを8段階に分けています。例えば、ISが商談の見極めをする時は「01」となり、営業がそれを成約が見込める案件だと判断すると「02」になります。

こうすることで、どこまでがISで、どこからがフィールドセールスの担当範囲なのかが明確になり、後から成果を振り返る際にも、建設的な議論や適切な改善活動につなげることができます

最後に、「ルールを作る前に、カルチャーを作る」ことです。どんなにルールを作ったとしても、結局カルチャーの方が強いんですね

そこで、僕らの部では「Customer makes Bizreach」というフィロソフィーを作りました。これはプロフェッショナルとして行動するという「基本原則」と、それに則った3つの「行動指針」から成っています。

そして、カルチャーの浸透のため、いつでも手元で見返せる「カード」にして配布したり、社内SNSとして使っている「Workplace by Facebook」でも掲示していますね。

今後も、マーケとISを進化させて、複数商材のカスタマージャーニーを構築し、より多くのお客さまに最適なサービスを届けていきたいと思っています。(了)

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