• 住友林業情報システム株式会社
  • ICTビジネスサービス部 シニアマネージャー
  • 成田 裕一

ロボットが月320時間の業務を遂行!住友林業グループの、RPAを活用した業務改革の裏側

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〜RPAツール「BizRobo!」とExcel業務効率化ソフト「xoBlos」の合わせ技により、バックオフィス業務を大幅に改善。月320時間の工数削減に成功した、最先端の取り組み〜

近年、「働き方改革」や「生産性向上」といった声が、業界・業種問わず叫ばれるようになっている。しかし、具体的にどう実行すれば良いのか、頭を悩ませている企業も多いのではないだろうか。

住友林業情報システム株式会社は、住友林業グループの情報システム子会社として、時代に先駆けてRPA(※)に着目。2015年4月から、RPAツール「BizRobo!(ビズロボ)」のパイロット導入を開始した。

※Robotic Process Automation:PC操作などを、ソフトウェアのロボットによって自動化する技術

同社では、RPAツール導入以前から、Excel業務効率化のデータ基盤ツール「xoBlos(ゾブロス)」を活用した業務改革に取り組み、その相乗効果によって月320時間を超える業務工数を削減したという。

今回は、同社のICTビジネスサービス部でマネージャーを務める成田 裕一さんに、RPAを活用した業務改善について、詳しくお話を伺った。

Excelの業務委託に依頼殺到!バックオフィスの課題を実感

住友林業情報システム株式会社は、住友林業グループの情報システム子会社です。グループ内のシステムに関連する委託業務や、サービスの外販を行っています。

私は30歳の時に中途入社し、現在はICTビジネスサービス部で、RPAを活用したバックオフィスの業務効率化を推進しています。

この取り組みのきっかけは、Office 2013の登場によるExcelのバージョンアップでした。

当時、グループ各社にアップグレード作業とともに、Excel業務を請け負うという募集を出したところ、有料にも関わらず5,000以上もの依頼が集まったんです

この経験を通じて、Excel業務の効率化には大きな改善の余地があることを実感しました

そうした中で、Excel業務を効率化するデータ基盤ツール「xoBlos(ゾブロス)」を知り、2014年1月に住友林業本社の営業推進部でトライアル導入しました。

営業推進部では、展示場への来場数や契約状況の集計時にExcelを利用していましたが、xoBlosを使うことで煩雑な作業も驚くほど簡単になりまして。その評判から、2014年5月より全社への導入が決定しました。

一方、Excel業務の効率化とは別に、バックオフィスの現場では「入力」や「確認」などの単純作業においても、効率化の必要性を感じていました。

すると、2014年9月にたまたま、とあるセミナーでRPAツールの「BizRobo!(ビズロボ)」のリーフレットを見つけたんです。

そこで説明を聞いた時に、「これはいける!」という直感がありまして。

他社製品と比べ、BizRobo!は性能が優れていましたし、サポート体制や導入実績も多く安心感がありましたね。半年かけて起案を通し、xoBlos導入から約1年後の2015年4月に、BizRobo!のパイロット導入が実現しました。

ノンプログラミングでロボ制作!「三銃士」の活躍

パイロット導入にあたっては、まずロボットの制作コストを検証するため、あえてプログラミング経験のないメンバーを3名選びました。

その3人は、ホームページのメンテナンス担当、申請書をひたすら打ち込むパンチャーのような人、そして朝から晩までExcel業務を担当するExcelマスターでした(笑)。

しかし導入当初は、なかなか上手くいきませんでしたね。

例えば、データをダウンロードし、それをExcelに転記して、特定の人にメールで送る、という業務があったとします。

それをひとつのロボットで実現しようとすると、巨大ロボが出来上がってしまって、工程の中に少し難しい箇所がある度に挫折していくんです。

そこで、一連の「業務」を1つひとつの「作業」に分解して、ロボ化していく手順に変えました。そして、その作業ロボをつなぎ合わせることで、一連の業務を完結させます。

このやり方に変更してから、RPAで実現できることが飛躍的に増えましたね。

ロボ化自体は、作業の画面をキャプチャリングしながら、実際の手順を1つずつパソコン上に再現してつなげていくだけなので、プログラム言語も要りません。慣れてしまえば、ひとつのロボを数時間で制作できます。

パイロット期間は1年間にわたったのですが、21の委託業務で60以上の作業ロボを制作し、月間130時間以上の作業工数を削減できました

▼RPA(作業ロボ)が動いている様子 ※同社で活用されているものではなくイメージです

この初期メンバーの3人は「バックオフィス三銃士」として、現在もロボ制作の中心となってくれています。

xoBlosとRPAの合わせ技で、在庫管理の課題を解決

そして、2016年4月、いよいよグループ各社へBizRobo!のレンタルを開始しました。

最初のレンタル先として選んだのは、園芸用の土を製造販売しているグループ会社でした。

同社では、各地の営業所から送られてくる在庫の入出荷情報などがまとめられたExcelを、本社で集計し一元管理していました。そして、月次で棚卸しをして在庫照合を行っており、その一連のExcel業務におよそ3営業日もの時間をかけていたんです

そこで我々は、このExcel業務を全て、xoBlosとRPAの組み合わせで代行できないかと考えました。

まず、現場に2回ほど足を運んで、実作業のヒアリングを行いました。そして、それを元に弊社で用意したデモ環境の中で、ユーザーの業務を1ヶ月半かけて1つずつロボ化していったんです。

この工程では、すべてをRPAに任せず、xoBlosの特性を活かすことでメンテナンス性の高いロボを制作しました

例えば、営業所の入出庫データをExcel集計する作業は、Excel業務が得意なxoBlosを使いました。そして、そのExcelをデータベースにアップロードし、受払い処理を実行する一連の作業はRPAを使って自動化したんです。

こうして、xoBlosとRPAを、それぞれに適した作業に活用することで、今まではExcelで3日間かかっていた受払い業務が、最終的には約15分で完了できるようになりました。

住友林業グループ全体で、予算策定の作業を月120時間削減!

また、年次の予算策定でも、xoBlosとRPAの組み合わせによって業務が大幅に効率化しました。

例えば、売上実績や経費のデータを、それぞれの基幹システムからダウンロードして、Excelシートにカットアンドペーストする作業があります。

毎年、予算実績の項目が一定していれば、何も問題ありません。ですが実際には、事業の変化に応じて勘定科目が変わったり、組織が増減したりするわけです。

そこで、今までのExcelシートにカットアンドペーストではめてしまうと、項目がずれてしまいます。ロボというのは、ある意味「忠実」なので、この作業をRPAで代替すると人間と同じミスを繰り返してしまうんですね

これを防ぐには、年に一回、全ての関係部署に昨年からの変更箇所を聞いて、影響する全てのロボをメンテナンスする必要があるのですが、これはさすがにやっていられないと思いまして…。

それを解決したのが、xoBlosでした。xoBlosでは、1つのセルが1つのデータとしてバラバラにデータベース化されるので、位置ではなく「名称」で判断して、Excel上に展開してくれるんです。

例えば、組織が増えた場合には、組織テンプレートを1つ追加するだけです。あとはxoBlosが同じ名前の情報を基幹システムから拾ってきて、勝手にポンポンいれてくれます。

こうして、基幹システムの起動やCSVダウンロードはRPAに、そこから先のExcel業務はxoBlosに連携させることで、人の手をほとんど介さずに予算策定の集計業務を自動化することができました。

結果として、住友林業グループ全体で月120時間分もの作業工数を減らせましたね

上司ロボットでロボを監視?長期的な運用を目指して

こうして成果も出てきた頃、住友林業本体にも「働き方改革」の風が吹いてきまして。本社の業務刷新委員会の前でBizRobo!を披露したところ、「是非うちでもやってほしい」というお声掛けをいただきました。

ですが、実は現在、BizRobo!のレンタル販売は一旦ストップしています

今、立ち止まった理由というのは、もっとロボットの管理を強化して、長期的にRPAを運用できる体制を整えたいという思いからなんですね。

そのために、現在取り組んでいることが3つあります。ひとつは、ロボットの「履歴書」の作成です。ロボを起動する権限やメンテナンス履歴といった情報を、全てのロボでデータ化するというルール整備を行っています。

次に、ロボットの「勤怠管理」です。このロボは誰が起動して、いつ動いているのか、エラーでいつ止まったのか、といった情報をログから管理しています。

最後に、上司ロボによる「監視」です。例えば、ロボ1号がサーバー上でスタンバイできたら、「出勤しました」と上司ロボに伝えるんです。エラーが生じた場合でも、そのロボ本人にアラートを出させるのではなく、上司ロボが代行することでスムーズな対応が可能になります。

我々は、今後RPAは必ず発展していくと考えています。ですが、最近のRPAの盛り上がりをみると、パッと飛びついて導入してみたものの、運用が伴わず上手くいかないケースも散見されると思っていて。

長期的な活用のためには、やはり実際に使う現場の方々のモチベーションが非常に重要です。そして、少しずつ成功体験を積み上げた後は、一旦立ち止まって運用を整理することも必要です。

それから、最終的には経営上にどう波及させ、業務スタイルをどう変えようかといったところまで考えたいですね。

今後も、長期目線でRPAを活用した業務改革に取り組んでいきたいと思います。(了)

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