- 丸紅株式会社
- 広報部 企画・ブランド推進課 主任
- 野溝 友美
「社内版」NewsPicksをどう使う? 丸紅が目指す、世界4万人の社員への情報共有の形
〜「社内版NewsPicks」の導入事例・第1弾!全世界約4万人の丸紅グループ内で、情報共有とコミュニケーションを促進する、社内広報の取り組みを紹介〜
創業から150年以上の歴史を誇り、日本を代表する総合商社のひとつである、丸紅株式会社。
同社では、社員一人ひとりが広報担当だという考え方から、従来からグループ内の情報共有に力を入れてきた。
▼同社オフィスにある、丸紅グループの動画コンテンツを放映する「デジタルサイネージ」
グループ広報誌「M-SPIRIT(エムスピリット)」と丸紅グループコミュニケーションサイトの「MS+(エムエスプラス)」は共に、経団連推薦社内報審査において、7年連続で入賞。
一方で、世界中を飛び回る社員を見渡した時、社内情報へのアクセシビリティには課題を感じていたという。
そこで、2017年7月より手軽に情報共有できるツールとして「社内版NewsPicks」のアプリを導入。
通常版のNewsPicksに丸紅専用タブが加わることで、社内情報と外部メディアの情報を1つのアプリで効率的かつタイムリーに収集できるようになった。
今回は、広報部の野溝 友美さんと髙木 瑛午さんに、社内広報のこれまでの歩みと、丸紅版NewsPicksの実際の活用方法から現在の課題に至るまで、お話を伺った。
紙媒体からWebサイトまで、丸紅グループをつなぐ社内広報
野溝 私は、入社から12年にわたり、IT関連の部署でシステム周りの業務に従事しました。2年前に広報部に異動し、現在に至るまで社内広報の制作を中心とした業務に携わっています。
髙木 私は、新卒で広報部に配属され、今年で3年目になります。各広報媒体の運用など実務周りを担当しています。
▼左:髙木さん、右:野溝さん
野溝 私たち企画・ブランド推進課は主に社内報や広告などの広報物の制作を担当しています。
弊社では、従来から丸紅グループ内での情報共有を目的としたインターナル広報に力を入れてきました。その代表的なものが、紙とWebの「グループ報」です。
紙媒体である「M-SPIRIT」は、1953年に「社内報まるべに」として創刊し、2001年に「M-SPIRIT」と名前を変えて今に近い形となりました。現在では、四半期毎に定期発行しています。
手元に届くという紙媒体の特性を生かして、特定のビジネスにフォーカスした記事や、敢えて匿名で掲載している社員の寄稿文など、じっくりと読める内容にしています。
▼丸紅グループ広報誌「M-SPIRIT」
一方、Web媒体の「MS+」は、2010年に開設されました。
こちらは毎日更新しており、経営メッセージから営業部のニュース、ちょっとしたコラムまで、多岐にわたる記事をタイムリーに取り上げています。
▼丸紅グループコミュニケーションサイト「MS+」のトップページ
MS+は、丸紅グループ社員であれば誰でも閲覧可能で、社外からもアクセスすることができます。月間UU数は約8,000で、人気の記事ですと週間PVが3,000近くなることもあります。
また、月に2回は、半月分の更新記事をまとめたメールマガジンの配信を行っています。
▼メールマガジンの冒頭部分(和文)
▼メールマガジンの冒頭部分(英文)
特に、海外スタッフ向けの英文版では、国内版の記事から海外に関連のあるネタを集めて、関心を持ってもらうような工夫もしていますね。
社内版NewsPicksを導入!スマホで手軽に、日々のニュースを確認
野溝 昨年度までは、報道課がクリッピングした新聞記事を、毎朝各部署にファックス送信して回覧していたんです。
それを今年度からは著作権契約を整備して、イントラネット上で確認できるようにしたのですが、特に社外からですと、一旦イントラネットにログインする必要があり、見るのに手間がかかっていました。
そこで、移動中でもスマホでクリッピングや社内記事を見られるように、アプリを自社開発しようと計画していました。
ちょうどその頃、社内の営業部の人から「NewsPicksさんが法人サービスを作りたいらしい」という話を聞きまして。
そして、実際にお話を聞いてみたら、まさにやりたいことが、NewsPicksさんのプラットフォームを借りて実現できそうだということがわかったんです。
社内用と社外用で、ニュースアプリを使い分けるのはユーザーの手間になってしまいます。そこで、社内版NewsPicksを使えば、社内のニュースだけでなく外部メディアのニュースもワンストップで見られるという点や、「Pick」「コメント機能」にも魅力を感じましたね。
そして、導入しようかどうか迷っていた時に、社内のエレベーターで前の人がNewsPicksを使っているのを偶然見かけて。それで、これはイケるんじゃないかと思いまして。(笑)
そして、2017年7月に、社内版NewsPicksのアプリを導入しました。
「丸紅」専用タブで、自社制作のコンテンツを配信!
髙木 実際の機能としては、通常のNewsPicksと基本的には同じです。
社内版のアカウントは通常版との連携も可能で、例えば私用端末でピックしたニュース記事を、社内版アプリの「マイピックス」で閲覧することもできます。
では、何が違うかと言うと、社内版には「丸紅」専用タブがあるんです。このタブにあるコンテンツは全て自社で作成したもので、1日2~3本、朝と昼に記事を配信しています。
▼「社内版」NewsPicksアプリ画面
アプリには、プッシュ通知機能も備わっています。そこで、配信した記事をより多くの社員に見てもらうため、スマホを手に取りやすいランチタイムと帰り際に、プッシュ通知も送っています。
また、コンテンツ自体は、MS+に掲載している記事をアプリ用に少しアレンジしたり、そのまま転載して使用しています。
実際にアプリを使用している社員からは、「移動中にニュースクリッピングを確認できて便利」だとか、「NewsPicksとこんな取り組みができて面白い」といった声も聞いていますね。
まずは「認知」から。社内での知名度を上げていくことが課題
野溝 社内版NewsPicksは、MAM(※)を利用して社用端末や社員の個人端末に配信・管理しています。そのため、「インストールしてもらえるかどうか」という部分は最初からクリアしているんです。
※Mobile Application Management:業務アプリケーションとそのデータを適切に管理するシステムのこと。
ただ、まだまだ利用者数が少ないので、社内版NewsPicksの存在をどうにか「認知」してもらうよう試行錯誤している段階です。
現在、国内・海外含めた社員約4,500名にアプリを配信しているのですが、その内、月間UU数は約1,500〜1,600人です。つまり、まだ30%くらいの人しか使っていないんですよね。
特に、もともとNewsPicksを使用したことがない人にとっては、急に「丸紅版NewsPicks」と言われても戸惑ってしまうと思います。
そのため、「NewsPicks入門編」といったメールを出しながら、少しずつユーザーを増やしていきたいと考えています。
NewsPicksを活用して、社内コミュニケーションを活性化していきたい
野溝 今後は、社内版NewsPicksの社内認知をさらに拡大し、コメント機能などもより活用して、情報発信だけでなく社内コミュニケーションの活性化にも役立てられたらと考えています。
その施策の一つとして、ある社内プロジェクトに関する記事を掲載し、社員からの意見の吸い上げ・フィードバックの場として活用するという試みを、今始めようとしているところです。
また、今回の社内版NewsPicksアプリのように情報発信・コミュニケーションのツールを整えることも大切ですが、コンテンツの充実にもさらに力を入れていきたいと考えています。
例えば、昨年からは世界に広がる丸紅グループの事業を動画で紹介する「SCOPE(スコープ)」というシリーズをスタートし、現在までに15本配信しています。
多岐にわたるグループ内のビジネスを理解して、新しいビジネスのヒントにしてもらおうというのが、この企画の目的です。
▼「SCOPE 」#15のページ冒頭部
紙とWebのグループ報、そして、社内版NewsPicksといった媒体を使い分けてグループの情報を発信していくことで、丸紅グループの一体感を醸成し、より社内コミュニケーションを活性化していけたらと思っています。(了)