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「インスタ映え」のコツも伝授!? STORES.jpのカスタマーサポート

〜オンラインストア「STORES.jp」のユーザーの声に基づいたサービス改善と、社内で「気になるサービス」をシェアする文化をご紹介〜

昨今ではインターネットサービスが普及したことで、企業のみならず、YouTuberを筆頭に「個人が持つ影響力」が大きくなっている。

この流れの中、誰でも簡単にオンラインストアを開設できるサービス「STORES.jp」は、2012年のリリース以降成長を続け、現在は70万ものユーザーを持つサービスに拡大したという。

▼70万人のユーザーを持つオンラインストア「STORES.jp」

同サービスの「ストア開設→商品の販売開始→集客→収益化」という一連のユーザー体験の中で、ストアオーナーの成功を支えるのがカスタマーサポートの存在だ。

今回はストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社にて、マネージャーを務める鬼沢 芙美子さんに、ユーザーの声に基づいたサービス改善と、そのヒントを得るために実施している「気になるサービスをシェアする文化」についてお話を伺った。

メールベースで「1日約100件」の問い合わせ対応を行う

弊社では、誰でも簡単にオンラインストアを開設できるサービス「STORES.jp」を運営しています。

2012年にリリースしてから、主婦や学生、あるいはECを始めたい企業を中心に、アパレルや雑貨、食品などを販売するストアが多数開設されています。

私は社員4人とアルバイト2人で構成されるチームでカスタマーサポートを担当しつつ、機能改善のディレクションを行っています。

メールベースで1日約100件いただいているお問い合わせに対しては、社員がサポートしつつも、アルバイトが中心になって返信をしていますね。

そして、FAQの改善と、自社メディア「STORES.jp MAGAZINE」での機能紹介を通して、お問い合わせの数を減らすことを重視しています。

また、いただいたお問い合わせは、全社員が入っているSlackの専用チャネルですぐに共有されるので、そこでディスカッションを行いながら、サービスの改善を進めています。

「不明点が解消できずにストア開設を諦める」ユーザーを減らす

STORES.jpは、ストアの売上に対する手数料と、機能拡張ができるプレミアムプランを有料で提供することで収益をあげています。

そのため、全社的なKPIとして追っているのは、「流通額」と「プレミアムプランのユーザー数」です。そして、これらを成長させていくには、できるだけ多くの方にストアを開設していただく必要があります。

そこでカスタマーサポートでは、「ストアを開設したいのに、不明点が解消できずに諦めてしまう」というユーザーを減らす役割を担っています。

例えば、最近では「決済手数料などサービス利用に必要な費用がわかりにくい」「改めて費用について説明してほしい」というお問い合わせが多くありました。

無料で簡単にオンラインストアを開設できるサービスはここ最近増加しており、手数料などの「コスト」を、サービス選びの決め手としている人も多くいます。

つまり、ここが明確化されないとSTORES.jpを利用してもらう機会損失につながる可能性があります。

そこで、よくある質問のTOP に「サービスの利用料はいくらですか?」という項目を設け、そこから新たに作成した利用料金に関するページに飛べるようにしました。

そして、このページでは余分なスクロールをしなくてもコストがパッと目に入るような、シンプルで見やすいデザインにすることを意識しました。

▼シンプルなデザインで作られた利用料金に関するページ

実際にこのページを作成してからは、コストについてのお問い合わせはほぼ0件になりましたね。

ストア公開までのステップをカードでナビゲート

ストアを開設してもらってからは、「ストアのデザイン」「アイテムの登録」「購入者に向けたストアの公開」というステップで準備を進めていただきます。

感覚的に操作を進められる点がSTORES.jpの特徴なのですが、それでも「次に何をしたら良いのか?」といったお問い合わせをいただくこともありました。

そこで、ストアの管理画面に「アイテム登録してみよう」「送料設定をしよう」「割引機能を使ってみよう」という風に、次にやることを案内するカードを掲載しています。

▼STEP1〜3で、ストア公開に向けたナビゲートを行う

このカードは、公開準備のステータスに応じて自動で表示内容が変更されるシステムになっています。またスマートフォン・パソコン・タブレットどの端末から見ても、管理画面のトップに3枚のカードが1ページで表示されるデザインになっています。

このように、システム面とデザイン面からストア公開のフォローアップを行う改善を行いました。

「集客のつまずき」を解消すべく、SNSの活用事例をシェア

こうしてストアの公開までを進めてもらうのですが、STORES.jpは、Amazonのように全てストアが一覧化されて公開されている「モール型」ではなく、個々のストアが開設されている形態なんですね。

そのため、せっかく開設したにも関わらず、集客でつまづいてしまうオーナーさんも多くいます。

そこで、この集客の悩みを解消していただくために、人気ストアのオーナーさんにインタビューをして、自社メディア「STORES.jp MAGAZINE」上で成功事例をシェアしています。

▼集客ノウハウについての事例をシェア

集客方法としては、インスタグラムを活用されているケースが多いので、その使い方をお伺いしたりしていますね。

例えば、プロフィールの下に3列で表示されるインスタグラムの特徴を活かして、全体的な見栄えを良くするための工夫を紹介させていただいたことがあります。

具体的には「寄りと引きで撮影した写真を交互にアップする」「同じような写真が連続しないようにする」「写真の色味を統一させる」といったイメージですね。

こうした集客方法は、基本的には地道でコツコツと取り組んでいただくことになるのですが、投稿がバズって人気ストアになったオーナーさんもいらっしゃいます。

その中でも、クリエイティブユニットTENTさんのショップでは、お客さんがツイートした投稿が大反響を招き、たった3日間で在庫の10倍以上ものオーダーが入ったそうなんです。

▼Twitter上での反響(詳細に関するブログ記事

このように成功事例をシェアすることで、 「私もやってみようかな」と思っていただけるようなきっかけ作りを行っています。

ストアオーナーの意見を踏まえて、UI改善を実施

また、ストア運営の体験を改善するために、いただいたお問い合わせ内容に基づいて、細かいUI改善も行っています。

例えば、売上の振込日を早める「スピードキャッシュ」という機能があるのですが、オーナーさんの意見を踏まえて、申し込みボタンの横に表示されているテキストをわかりやすく変更しました。

通常、売上は月末締め・翌月末払いで振り込まれるのですが、スピードキャッシュを使うと、振込手数料を追加するだけで、申し込み時点までの売上が翌営業日に振り込まれます。

しかし、「いつまでの売上金が振り込まれるのか?」といったお問い合わせを多くいただき、申請時に「どの期間の売上が振り込まれるのか」を把握されていないケースが多いことに気がつきました。

そこで、今まではボタンの隣に「詳しく」というアイコンで、よくある質問へのリンクを貼っていたのですが、「現時点までの未振込額が入金されます」というメッセージに変更しました。

▼入金対象となる期間を説明する文言を追加

これらの改善を行った結果、今ではスピードキャッシュの入金額に関するお問い合わせは0件になり、他の業務や機能改善について考える時間が持てるようになりました。

「気になるサービスをシェアする文化」がサービス改善のヒントに

また、これは社内の取組なのですが、弊社では気になったサービスを社内のSlackチャネルで共有する文化があります。流れの早いIT業界の中で、情報をキャッチアップする習慣をつけようということで始まった取組です。

元々は毎週メールで1人3件のサービスをピックアップし、どんな所が気になったのか? という理由も添えて提出し、担当者がまとめて社内で共有していました。

ただ、それとは別にSlackでも気になったサービスを投稿するチャネルがあったので、今は全てSlack上にて、社員が好きなタイミングで自由にシェアしています。

▼気になるサービスやニュースがシェアされるSlackチャネル

情報源としては、「TechCrunch」「東洋経済」「Fashionsnap.com」「WWD」「ECのミカタ」などをはじめとした様々なサイトを利用していますね。

最近シェアされた中では、カスタマーサポートツールの「Tayori(タヨリ)」が気になりました。

導入するしないに関わらず、お問い合わせのサポートツールとしてこのようなものもあるんだと興味が湧きました。

また、こういったツールがあることを知っておくと、ストアオーナーさんからお問合わせ対応の機能について意見をいただいた時に、「こんなツールもあるんですよ」とツールを紹介をするサポート体制も取れます。

さらに、 このようなIT系のサービス情報に加えて、「こんな食品が出たらしいよ」「この会社、こんな勤務形態をとるらしいよ」「こことここがコラボするらしいよ」というような情報もシェアされています。

色々な会社さんが出されている数値情報は参考になりますし、社内でも誰がどんなことに関心をもっているのかを知れるのは面白いですね。

少しでも多くの「私もやってみようかな」を生むために

このような地道な改善を通して、70万ものユーザーに利用してもらえるサービスにまで成長させることができました。

ここ最近では、YouTuberのグッズ販売、お笑い芸人さんのライブチケット販売、タレントさんやアイドルの方が手掛けたアパレル商品の販売などに利用していただく機会が増え、サービスが浸透してきたのだなと感じています。

また、サービス開始当初はSTORES.jp全体で売り上げていた額を、今では1つのストアで作り出すことができている点にも、サービスとしての成長を感じますね。

今後も改善を続けて「こんな機能もあるんだ」と驚いてもらえたり、他サービスと比較をした時に、「STORES.jpを選んで良かった」と言ってもらえるようにしていきたいですね。

そして、「こんなに簡単にできるなら私もオンラインストアをやってみようかな!」と思っていただける人を増やし、「すべての人にオンラインストアを」というSTORES.jpのコンセプトを実現していくことができればと思います。(了)

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