- RIZAP株式会社
- マーケティング本部 新規事業ユニット ユニット長
- 小野 博
脱エクセル!RIZAPのマーケチームが「ノータイム」のデータ分析を実現した方法とは
〜マーケターの役割は「データ作成」ではない。ダッシュボードツールの導入で、エクセル作業をゼロにしたチームに起きた変化とは?〜
クリエイティブ制作のディレクション、代理店との打ち合わせ、施策結果の振り返り…。様々な業務に追われる中、マーケターが本来注力すべき役割とは何だろうか?
「分析データを作成している時間、そのもの自体には価値はない」と話すのは、RIZAP株式会社の新規事業ユニットにて、マーケティング施策の実行を率いる小野 博さんだ。
同社では「目標進捗」「キャンペーン実施後の反響」などのデータを、都度、複数のデータベースから抽出し、エクセルで作る業務に多くの時間を要していた。
そのため、「結果を評価して、次の施策に活かす」という本質的なアクションを十分に打てずにいたという。
そこで、データ・コミュニケーションツール「Datadeck(データデック)」を導入し、見たい情報が常にグラフで可視化される状態を実現。データの作成時間ゼロで「それを見た上で何を変えるか」という思考に、より時間を割けるようになったという。
今回は、小野さんにDatadeck導入前後のチームの変化について、お話を伺った。
「良い営業マン」となるクリエイティブ作りがマーケターの使命
私は2015年に新卒で入社しまして、現在はRIZAP GOLFとRIZAP ENGLISHのマーケティングユニットリーダーを務めています。
具体的な施策で言うと、オンラインはWeb広告の運用やLP改善、オフラインはCMや交通広告への出稿が中心です。
そしてそれらを通じた、「問い合わせ獲得→店頭での無料カウンセリング申込→入会」といった、ユーザーを獲得するステップの改善を日々進めています。
成果を上げるために意識しているのは「施策の結果を振り返って、次の施策に活かすサイクルをいかに素早く回すか」ということです。
弊社の社長は「良い営業マンはどこに行っても結果を出すことができる。マーケターはどこでも結果を出すことができる広告を作らなければならない。そのために、どんどんクリエイティブのテストをしなさい」と言っておりまして。
サービスを営業マンから紹介される場合、ユーザーは営業マンとの会話を通して意思決定をしますが、マーケターにとっては、広告のクリエイティブ自体が、ある意味「営業マン」の役割を果たします。
ですので、私のチームの使命は、サービスを利用したビフォーアフターがシンプル且つリアルにわかって、「私も変わりたい」と思えるようなクリエイティブを作ることなんですね。
そのためには、クリエイティブの制作に十分な時間をかけることはもちろん、過去に実施した施策結果をしっかりと評価して、次の企画に活かすことが重要です。
ただ以前は、そもそも施策結果の分析データを作成する業務に、膨大な時間がかかるという課題がありました。
常に次のキャンペーンに向けた準備に追われる中で、数字を出すのが精一杯で。結果に対して深い振り返りをして、その後に活かしていくアクションにはなかなか時間を使えていませんでした。
「今どうなってる?」と聞かれる度に、エクセル作業が発生…
例えば、月の目標に対する進捗を把握するために「複数のデータベースからデータを抽出」「それをエクセル上で結合して分析する」という作業に、毎日1人あたり約1〜2時間ほどかかっていました。
入会者数はもちろん、お問い合わせ獲得後に、無料カウンセリングの「未予約」「予約待ち」「予約済」といったステップごとのお客様ステータスを日々、チェックする必要があったんです。
このように複数の工程の数字をまとめてエクセルのシートを作っていたので、どこかでミスが発覚すると、連動しているシートを全て最初から作り直すという悲惨な状況に陥ることもありまして…。
上司から「今どうなってる?」と聞かれる度に、他の仕事を一旦止めて分析データを作らなければならなかったり、目玉キャンペーンの際などには、朝一・昼・夜で速報値の共有を求められることもありました。
他にも「エリアやチャネル別の問い合わせ数」「施策の費用対効果」など、分析の項目は多岐に渡り、とにかくデータ作成の業務に追われていたんです。
また、Google Analyticsからデータを抽出する際、オフラインマーケの担当者だと、普段ITツールを触ることに慣れていないこともありました。そうすると数字を正確に抽出できず、データの定義がバラバラになってしまうという問題もありました。
このような状況だったので、エクセル上でグラフを作るのがやっとで、そのデータに対して「なぜこうなったのか?」「次はどう改善するのか?」という十分な振り返りができていなかったんですね。
「Datadeck」を導入し、データ作成業務をゼロに
そこで、2017年11月に、データベースにある情報を自動的にグラフ化できるツール「Datadeck(データデック)」を導入しました。
既に活用していた顧客管理ツールがあったのですが、そのダッシュボード機能だと、Google Analyticsなど、他のデータソースとの連携ができなかったんですね。
その一方で、Datadeckは様々なデータソースとの連携が可能な点が魅力的でした。
そして、毎回エクセルで分析していたデータを、一度Google Analytics上でセグメントを作ってAPIで繋げることで、その後は一瞬でわかるようになり、分析データ作成の業務がゼロになりました。
▼ダッシュボードの画面イメージ(数値はサンプル)
そのおかげで、施策を打った際の反響を社内で聞かれた時も「こうなっています」という回答がすぐにできるようになりました。
社内コミュニケーションツール上で、ダッシュボードのキャプチャーを撮って共有するだけで皆が状況把握できるようになったので、とても楽ですね。
このように、分析データの作成時間ゼロで議論の前提となるファクトを積めるようになったので、「データを見た上で何を変えるか」という思考や会話に時間を使えるようになりました。
代理店の方と打ち合わせる際も、どういう人から問い合わせが来ているのかすぐにわかるようになったので、「現状こうなっているのですが〜」という会話を、以前よりしやすくなりましたね。
また、普段からツール上でデータを見慣れているオンラインマーケの担当者と違って、オフラインマーケのメンバーだと、施策を打った際の効果をリアルタイムに実感するのが難しいという課題もありました。
ただ、「今日、数字が上がったね」という会話ができるようになり、メンバーのモチベーションも高められていることは、Datadeckのおかげかなと感じています。
分析データを作成している時間、そのもの自体には価値はない
今後は、成果を正確に測りづらいオフラインマーケの効果検証を行うスキームを作ったり、コンバージョンに至るまでにお客様が接触した施策の間接貢献も、ちゃんと見ていきたいと考えています。
こういった意識を持てるようになったのも、エクセル作業から解放されて、ノータイムでデータを出せるようになったおかげだと思いますね。
私はマーケターがやるべきことは「データを見て何を変えるか」「変えた後に何が起きたかを見る」ことであって、分析データを作成している時間、そのものには価値はないと感じています。
まだまだ課題だらけではありますが、本質的な業務に時間を使えるようになったので、よりお客様に興味をもってもらえるような施策を考えていきたいです。
そして、「『人は変われる。』を証明する」をコンセプトとしたRIZAPのサービスの価値を、少しでも多くの人々に届けていきたいですね。(了)