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休憩するのは「甘え」じゃない? エンジニアの生産性を高める時間管理テクニックとは

〜25分作業して、5分休憩する「ポモドーロ・テクニック」の導入で、個人とチームの作業工数を可視化し、生産性を上げた事例〜

「25分間の集中した作業」と「5分間の休憩」を繰り返すことで、仕事の効率を上げる「ポモドーロ・テクニック」をご存知だろうか。

アニメや漫画など、日本のポップカルチャーを世界に発信するTokyo Otaku Mode Inc.。同社の開発チームでは、このポモドーロ・テクニックを取り入れた結果、個人の集中力や作業効率のアップを実現。

さらに、タスク管理ツールの「Trello(トレロ)」と時間管理ツールの「Toggl(トグル)」を連携して活用することで、個人だけでなくチーム全体の作業工数が可視化されたという。

また、他チームの業務効率化のための開発を行った際には、「改善の見込める業務工数」と「開発にかかる業務工数」の両面から、コストパフォーマンスの高い順に開発に着手することができたそうだ。

今回は、同社のエンジニアリングマネージャーを務める重岡 正さんに、ポモドーロ・テクニックの実践法や、開発チームでの生産性を上げる取り組みについて、詳しくお話を伺った。

開発の対象とフェーズに合わせて、最適な開発体制を構築する

僕は2013年に入社し、弊社の主力事業であるECサービスの立ち上げや、自社倉庫のシステム開発、社内ツールの開発など、幅広い業務に携わってきました。

そして、2017年の秋からは、開発チームのリーダーとして、エンジニア全体のマネジメントをしています。

現在、弊社には13名ほどエンジニアが在籍しており、目的別に大きく4チームに分かれています。

具体的には、各サービスをグロースさせるチーム、サービス運用とSREを担うチーム、プライオリティの高い経営課題に取り組むチーム、有料会員サービスに特化したチームの4つです。

各チームの開発体制は、スクラムを基本の思想にしつつも、何を開発の対象としているか、また開発のどのフェーズかによって、チームごとに適した形をとっています。

例えば、ECをグロースさせるチームでは、2週間のスプリントを設け、納期に合わせて見積り立てて進めていくスクラム開発の手法を取り入れています。

一方で、有料会員サービスに特化したチームでは、新規会員の入会率や継続率といった数字を日々追いながら、サービス全体をチューニングしていく必要があります。

そのため、こちらのチームではスクラムを組まず、各エンジニアが高速でPDCAを回すような開発を行っています。

25分作業・5分休憩は「甘え」じゃない?ポモドーロの時間管理術

昔から、個人的な趣向として「生産性向上」の類のことが好きで、色々と情報収集をしてきたのですが、そのひとつに「ボモドーロ・テクニック」という手法がありまして。

これは、「25分間の集中した作業」と「5分間の休憩」を繰り返すことで、作業効率や生産性を高める時間管理術なのですが、何年も前から知ってはいたものの、ずっと食わず嫌いしていたんですよね(笑)。

というのも、正直「25分働いて、5分休憩するなんて甘い」みたいに思っていて。

ですが、1年ほど前に、エンジニア界隈で有名な「Rebuild」というポッドキャストで取り上げられているのを聞いて、実際の業務に取り入れてみることにしました。

すると、逆に今までの仕事のやり方がむしろ甘えだった、と実感しましたね。

普通に仕事をしている分には、1日8時間の業務のなかで、普段どの作業にどれくらいの時間をかけているのか気にしないじゃないですか。

それだと、無意識のうちに休憩を挟んでいたり、作業も脱線したりするので、本当に集中した状態で25分・5分のサイクルを回そうとすると結構つらいんです。

始めた頃は1日が終わるとクラっとするぐらい疲れましたが、このサイクルに体が慣れてくると次第に疲れにくくなり、集中力が持続するようになりました。

また、25分単位で時間を区切るようになったことで、ミーティングなどの別業務との切り替えもしやすくなるので、以前より仕事全体の生産性が上がりましたね。


今では、僕が「作業効率をあげるいい方法があるよ」と紹介していることもあり(笑)、社内の他のメンバーも、ポモドーロ・テクニックを業務に取り入れています。

1日の始めにTrelloでタスクを棚卸し、Togglで作業時間を計測

そして、ポモドーロ・テクニックを実践する上では、タスク管理ツール「Trello(トレロ)」と時間管理ツールの「Toggl(トグル)」をChrome拡張で連携させることで、タスクごとの作業時間を計測しています。

例えば、Aというタスクを実行する際には、Aを記載したカード上の「Start timer」ボタンを押すだけで、簡単にその作業にかかった時間を計ることが可能です。

▼Togglと連携したTrelloのカード(画像は編集部作成のイメージ)

実際の時間を計測することで、どの作業にどれだけの時間がかかっているか認識できるので、似たような開発での工数見積りの精度がかなり上がりました。

また、ポモドーロ・テクニックでは、25分単位で次の作業に移るようにしているので、1日の始めに、必ずタスクの洗い出しと優先順位づけを行っています。

具体的には、その日にやるべきタスクを洗い出した上で、Trelloのボード上で「Todoリスト」を作り、プライオリティの高い順にタスクを記載したカードを並べます。

僕の場合ですと、機能実装やコードレビューにかかる時間が自分で把握できるようになったので、1日の始めに今日やるべきタスクと消化できそうなタスクをリストアップしておくんですね。

そして、急な依頼が発生してタスクがオーバーフローしそうになった場合には、依頼期限を調整したり、他のメンバーにタスクをお願いしたりしています。

チーム全体の工数を可視化!開発チーム以外でもTogglを活用

さらに、Togglはチームで利用することもできるので、同じプロジェクトに関わるメンバーをグルーピングして、全体の作業時間の集計にも活用しています。

これまでも、プロジェクトにかかるエンジニアの工数は計測していましたが、Togglを使うとウィークリーメールや管理画面から数値を誰でも確認できるようになります。

▼Togglから届く、ウィークリーメール

全体の工数が可視化されたことで、「ミーティングに時間をかけすぎだな」「どうすれば会議の時間を減らせるだろう?」といったことを、チームで考えるきっかけにもなりました。

さらに、開発チーム内だけでなく、別のチームの業務効率化をエンジニアがサポートした際にも、Togglを活用しました。

当時、まずは現状把握のため、業務内容のヒアリングを行ったのですが、「この業務がこういう風に大変で…」という定性的な説明はできても、実際にどの作業に何時間使っているのか、といった定量面がわからなかったんですね。

というのも、そのチームでは、EC商品の買い付けという営業に近い業務をしながら、その合間で仕入れ商品のシステム登録や発注書の作成といったバックオフィス業務をしていたので、本人たちも作業にかかる時間を把握できていなかったんです。

ですが、業務改善をする側としては、どこから着手すべきなのかが判断しづらかったので、そのチームにTogglを導入してもらい、作業時間をトラッキングしてもらいました。

これによって、各業務にかかっている合計時間を把握することができたので、「改善の見込める業務工数」と「その開発に必要な業務工数」の両方の観点から、コストパフォーマンスの高い順に、開発に着手することができました。

エンジニアの半数がリモート!Web会議ツールZoomで朝会を実施

このように、様々な場面でポモドーロ・テクニックを活用し、仕事の生産性を高めていますが、開発チームではリモートで働く社員も多いので、他の施策にも取り組んでいます。

現在、弊社のエンジニア13名のうち、海外拠点を含めた常時リモートが4名と、週1出社・週4リモートが1名います。なので、開発チームの半数近くがリモート勤務なんですよね。

リモートワークは、場所に制限されず個人の事情に合わせた働き方ができる一方で、孤独感があるし、どうしてもコミュニケーションが取りづらいじゃないですか。

そこで、毎日必ず、Web会議ツールの「Zoom(ズーム)」を利用して、画面越しでの対面ミーティングを行っています。たとえ数分でも毎日顔を合わせることで、やはりチームのコミュニケーションが円滑になると感じています。

▼「Zoom」の画面越しで行う、ミーティングの様子


また、海外拠点のポートランドとは16時間の時差があるので、Zoomでのミーティングは必ず録画するようにしています。

もちろん、会議の議事録はesaGitHubなどにも書き残してはいますが、テキストだと抜け落ちてしまう部分もありますし、少し複雑な内容だと文字より動画で見た方が理解しやすいんですよね。

また、リモートで働くメンバーの理解を深めるために、フルリモートワークをしているエンジニアの提案から、渋谷のオフィスに出社するメンバーも定期的にリモートワークをする、という取り組みを始めました。

実際に自分で体験することで、イヤホンやマイク、通信環境がすごく大事なんだなといったことも実感しましたね。

このように各メンバーが経験することで、ミーティング内容を口頭だけでなくきちんとテキストにも残す、といった細かい心掛けも自然とできるようになりました。

エンジニアだけでなく、会社全体の生産性を高めていきたい

ITツールやテクニックを活用して、業務の生産性を高めることも大切ですが、僕は、チームの生産性を高めるためには、やはり日々のコミュニケーションが大切だと最近改めて感じていて。


「エンジニア」と一言でいっても、色んなタイプの方がいるので、人によって喜びを感じるポイントが違うんですよね。そのため、マネージャーの立場として、チームのメンバーが本当にやりたいことをできているのか? ということを重視しています。

例えば、ユーザーさんが使ってくれることに喜びを感じる人や、目の前の同僚が困っていることを解決することに喜びを感じる人もいる一方で、ただ技術的に面白いことをしたい、といったタイプの人もいます。

なので、なるべく1人ひとりの志向性や要望を1on1などでヒアリングした上で、業務内容やチームの配属を考えています。

また、「生産性向上」と言うと、エンジニアみたいな職種であれば比較的、興味を持って自主的に取り組む人も多いのですが、もっと会社全体に浸透させていきたいと思っていて。

今後も、ITツールの導入や現場での活用をサポートして、社員みんなが快適に働ける環境を作ることで、会社全体の生産性を高めていきたいです。(了)

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