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脱Excel・脱「あの書類がない!」 業務の属人化を防ぎ、ペーパーレスも実現する方法

今回のソリューション:【kintone/キントーン】

〜「kintone」の導入によってワークフローを一元化・ペーパーレス化し、3ヶ月で業務効率を大幅に改善した事例〜

あの書類がどこにもない」、「上司が出張中だから、決裁を翌週まで待たなければならない」、といった経験をしたことはないだろうか?

ワークフローの属人化と紙への依存が進むと、そのような事態が起こりがちだ。企業内コミュニケーションの改善コンサルティングを主要事業とする株式会社ソフィアも、同様の課題に悩まされていた。

同社では事業拡大に伴って契約の種類が多様化したこと、仕事の進め方が担当者によりバラバラになっていたことから、結果的に管理部の負担が大きく増加していた。

ERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務システム)の導入も検討したが、大規模システムであるが故の複雑さがネックになっていたという。

そこで導入したのが、クラウド型の業務管理サービス「kintone(キントーン)」だ。結果的に8個もあった契約のヴァリエーションはひとつに統一され、1週間かかることのあった決済プロセスは即日で完了するようになったという。

今回は同社の山口 孝弘さんに、kintone導入の背景から具体的な運用手法まで詳しくお話を伺った。

▼様々なアプリを手軽に作成できる「kintone」

事業の拡大に伴ってワークフローが多様化し、属人化

もともとはプログラマをしていて、20年ほど前にWebの仕事をしたいなと東京に転勤してきました。そこで今の弊社社長の廣田と出会いました。

弊社はもともと、企業のIR活動、つまり、企業の投資家とのコミュニケーションのコンサルティングを主な事業としていました。それを糸口に事業領域が広がっていき、今では企業のインナーブランディングのコンサルティングに特化しています。

多くの会社でも起こっていることだと思うのですが、弊社で問題だったのは事業の拡大に伴って仕事の進め方がばらばらになってきていたことです。

インナーブランディングということで幅広くコンサルティングをしているので、お客様も様々なんですね。コンサルティングの主題が「研修」であれば人事部の方とやりとりをしますし、「理念浸透」であれば広報部や経営企画部がお客様になってきます。

そうすると、プロジェクトによって契約や、取引の方法が違ってくることも多いです。まずは見積もりを出して金額を合意し、それをもって受発注契約を交わしてスタートするケースもあれば、最初にざっくりと予算をとっておいて、最終的に稼働した分の金額を請求する場合もあります。

請求の仕方もまちまちなので、契約の種類だけでも8種類以上あったんですね。そのような複雑な契約への対応が、管理部の負担になっていました。

新規採用とリモートワークの開始で、業務システムの導入を検討

このように仕事が属人化していたことで、業務フローも非効率化していました。このままうちが人も増やさずに、事業も拡大せずにいくのであれば、それぞれが自分なりのやり方を把握していれば大丈夫だったと思います。

ただ、去年から新卒の採用を始め、中途でも何人かが入社してきました。そうすると、それぞれがバラバラに働いているのでは、新しい人への教育がまちまちになってしまいます。現場もなかなか混乱してきてしまっていたので、それをなんとかしたい、と考えていました。

また、2年前からリモートワークを始めました。弊社はコンサルがメインなので、お客様先に訪問する必要があります。他方で、社内でしかできない仕事は打ち合わせくらいで…。「なんでみんな会社に来ているんだろう?」となって、リモートワークを取り入れたんですね。

そうするとネックになるのが紙なんです。稟議を上げるために会社に来ないといけないとか、承認するために会社に来ないといけないとか…。このような状態を変えるために、業務システムの導入を検討することになりました。

シンプルで分かりやすく、カスタマイズ性が高いkintoneを選定

そこでいろいろなソフトを検討してみたのですが、ERPは一般的に、色々なことができる多機能なものが多いんですね。そうすると、弊社では必要ない機能も覚えなければ使えなかったり…あまりユーザーフレンドリーではないものが多いなと。

そこで今回は、シンプルで使いやすく、PaaSなので自分で要件の拡張ができる「kintone(キントーン)」を選びました。kintoneは、顧客管理や契約書管理など、様々なワークフローに合わせた業務用のアプリを簡単に作成できるクラウドサービスです。

選定の理由としては、我々ユーザーがシステムに歩み寄るのでなく、システムをこちらにとってやりやすい形にカスタマイズできることが大きかったですね。導入してから3ヶ月ほどかけて、少しずつ自分たちに合うように構築していきました。

決裁が即日に!ペーパーレス化で業務が大幅に効率化!

本格導入後、具体的には主に受注と発注のワークフローに活用しています。現場があまり混乱しないように基本的なワークフローは変えていないのですが、kintoneの柔軟なカスタマイズ性のおかげで、8パターンあった契約を一元化することができました

仕事の進め方を一本化することで管理部の効率が上がり、新しく入った社員への教育もやりやすくなったと思います。

もうひとつ良かったのが、ペーパーレス化を進めることができたことです。例えば以前はExcelで見積書と受発注申請書を作って印刷し、それぞれに承認者の判子をもらっていました。

提出された紙を置く場所があったのですが、大量に置いてある中から見つけることができず、その度に一生懸命探したり(笑)。

▼Excelでの見積書

今回はそれをkintoneで作成できるようにしたのですが、基本フローは変えていないので、Excelの時と記載する内容は同じままなんです。

▼kintoneで入力して見積書を発行

ただ、見積もりを作成して受注申請をすると、もともと書いたものが転記されていくので、同じことを2回も3回も書かなくていい。さらに捺印までがWebで完結していることで、稟議のスピードが圧倒的に上がりました。

▼Web上で捺印も可能

以前は決裁者がリモートワークで会社にいないとか、海外出張だとかで決裁まで1週間かかることもあったのが、今は基本即日か翌日中には決裁が終わります。また、kintone上で申請書類の一覧で見ることができるのも便利ですね。

請求書アプリも作成して連携させているので、自動で転記されて請求書もkintone上で起こせます。

kintoneでExcelを置き換えていく

今のkintoneを使った仕組みが軌道に乗ってきたら、他の業務もどんどん移行していきたいですね。結構、今でもExcelで色々な書類を作成されている会社さんって多いと思います。確かに、本来Excelが持っている表計算の機能、ピボットテーブルなどはkintoneでは難しいです。

ただ、表組みや一覧を作る、というExcelの主たる機能ではない部分に関しては、ほぼkintoneで代替できると思います。Excelはたしかに便利ですが、共有がしづらいとか、誰かが使っていると見られなかったり、いろいろと問題はありますよね。

kintoneならこういった部分が解決されるので、全員で同じフォーマットを使うような業務に関しては、できるだけkintoneに移行していきたいと考えています。(了)

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