リモートワーク先進企業に学ぶ、成功させる「5つのコツ」と役立つ海外ツール【6選】
多様な働き方のひとつとして、日本でも近年注目が高まっている「リモートワーク」。
多くの企業がその導入に取り組んでいる一方で、先進的な米ヤフーや米IBMがリモートワーク制度の「廃止」を発表するなど、「リモートワークって本当に上手くいくの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、リモートワークのメリット・デメリットを解説し、企業事例から学ぶ「リモートワークを成功させる5つのコツ」、そして役立つ海外ツールまでを、まとめてご紹介します。
リモートワークの導入をお考えの方や、既に導入しているけど課題を感じている方は、ぜひご参考にしてみてください。
<目次>
- リモートワークのメリット
- リモートワークのデメリット
- 【企業事例から学ぶ】リモートワークを成功させる「5つのコツ」
- リモートワークに役立つ!海外ツール【6選】
リモートワークのメリットとは?
「リモートワーク」は、オフィスに限定しない勤務形態のことを指し、「テレワーク」や「ノマドワーク」とほぼ同義になります。
また、「在宅」に限定した働き方である「在宅勤務」も、リモートワークの一形態であると言えます。
大企業からベンチャーまで、多くの企業が導入するリモートワークは、企業側・従業員側にとって、どのようなメリットが存在するのでしょうか?
【企業側】
- 電気代・印刷代など、オフィスの間接経費が節約できる
- 地方や海外にいる優秀な人材も確保できる
【従業員側】
- 自分の好きな場所・時間で、集中して業務できる
- 通勤ラッシュや天候の影響を受けない
- 育児・介護中でも、プライベートと両立しながら勤務できる
- 地方や海外などオフィスに出社できない環境でも、働くことができる
このように、リモートワークは双方にとって十分なメリットがあり、仕事の生産性を上げ、1人ひとりに合った働き方が実現できる仕組みだと言えます。
実際に、Tokyo Otaku Mode Inc. では、リモートワークを取り入れることで、育児中の社員もフルタイム勤務を実現しています。
私自身、リモートという形を許されなかったら、こんなにフルタイムで働くことはできなかったと思います。
私も、将来子どもが大きくなれば出社して、仕事をしてもいいと思っています。その時には私の後輩が、出産・育児でリモートワークになるかもしれませんし、今の後輩が育児が落ち着き出社できるようになったら、今度は私が両親の介護などでリモートワークになるかもしれませんね。
気をつけるべき、リモートワークのデメリットとは
その一方で、リモートワークを実践する際には、以下のような課題があるのも事実です。
- コミュニケーションの量が減る
- 仕事の進捗が把握しづらい
- データや情報の管理にリスクがある
- 会議が非効率になる
- リモートワークにかかる経費申請・処理が大変になる
- 自律的に働ける人でないと、業務の生産性が下がる
そのため、株式会社Gunosyでエンジニアをしている大曽根 圭輔さんは、「敢えてリモートワークを取り入れず、オフラインのコミュニケーションを大切にしている」と語ります。
弊社では、基本的にリモートワークは取り入れておらず、全員オフィスに出社するようにしています。
やはり、エンジニアでも、「どうやってユーザーを獲得したのか」「そのユーザーに使い続けてもらうためにはどうするか」という話をするなら、マーケティングの人と話す必要がありますよね。分析の話をするときも、「こういう結果になるよね」というグラフをホワイトボードに書くことが多いので、オフラインのコミュニケーションは重要です。
【企業事例から学ぶ】リモートワークを成功させる5つのコツ
このように、リモートワークには多くのメリットがある一方で、解決すべきデメリットがあると言えます。
そこで、先進的にリモートワークを導入し、その定着に成功している企業の事例から、「リモートワークを成功させる5つのコツ」をご紹介します。
① 働くリズムをつくる
時間や場所に制限されない働き方だからこそ、オン・オフのつけ方は重要です。
Tokyo Otaku Mode Inc.のバックオフィスチームでは、「仕事モード」のスイッチを入れるため、Web会議サービスの「appear.in(アピアーイン)」を活用して、PC上で対面での朝会を行っています。
▼「appear. in」での朝会の様子(画像は編集部のイメージ)
きちんとチームの「働くリズム」を作るために、いくつかのルールを決めています。まずリモートワークであっても、コアタイムの開始時刻を、社内の始業時間に合わせています。
そして、「appear.in(アピアーイン)」を使って、朝会を行っています。音声やメッセージだけでなく、実際に顔を見ることで「出社したような」気持ちになり、働くモードになることができますね。
② リモートワーク手当の支給
また、リモートワークをするには、カフェ代やコワーキングスペース利用料など、どうしても個人に金銭的な負担がかかる上、経費申請・処理作業も大変です。
そこで、シックス・アパート株式会社では、全社員に一律の額で「SAWS(※)手当(テレワーク手当)」を支給することで、その問題を解決しています。
※SAWS(サウス):Six ApartらしいWorking Styleの略。
「予算内で自己管理する」という仕組みにすることで、1人ひとりが自分の働きやすい環境をカスタマイズできる、という点が、この制度のポイントだそうです。
そこで弊社の場合は、「SAWS手当(テレワーク手当)」という、働きやすい環境を整えるための手当を支給することにしました。
特徴としては、全員一律の額を支給しており、その使途は自由であるという点です。通信費やカフェでのコーヒー代、コワーキングスペース利用料など、リモートワークに必要な様々な費用に当てることができます。これにより、頻繁に発生するリモートワークのための、経費申請の作業が不要になるのです。
③ テレビ会議システムの導入
さらに、リモートで会議を行う際、ハードルとなるのが通信の問題です。
複数拠点での分散開発を行うサイボウズ株式会社では、テレビ会議システムの「Cisco(シスコ)」を活用することで、遠隔でもスムーズなコミュニケーションを実現しています。
▼「Cisco」を使ったテレビ会議の様子
例えば、テレビ会議にはCiscoのテレビ会議システムを使用しています。
SkypeやGoogleハングアウトなどの無料サービスも試したのですが、やはり声がちゃんと聞こえるかであったり、遅延が無いかといった「コミュニケーションの取りやすさ」が重要になるんですよね。
④ 自律分散型の組織をつくる
ITツールの発達により、どこでも、オフィス環境と同等に働くことのできるようになってきた一方で、マネジメントに苦労している企業も多いのではないでしょうか。
株式会社Everforthでは、「マネジメント(管理)」ではなく、「オプティマイゼーション(最適化)」の考え方のもと、メンバーに権限を移譲し、自律分散型の組織をつくっています。
「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」という働き方を目指す中で、マネジメントが課題になるとよく言われます。
ですが私たちの場合は、マネジメントという言葉は使わないようにしています。マネジメント(管理)ではなくオプティマイゼーション(最適化)をして、権限をメンバーにどんどん委譲して、自律的に動けるようにしています。
⑤ 対象者を限定する
リモートでも高い成果を出すためには、前提となるセルフマネジメントができる人だけに、対象者を限定することも一つの方法です。
ほぼ全ての社員がリモートで働く株式会社ソニックガーデンでも、社会人経験のない新卒だけは、「自立性を身につけるまで規則正しく出社する」というルールを決めています。
新卒は一人前になるまで「弟子」と呼び、リモートワークではなく決まった時間に、ワークプレイスで仕事をしてもらっています。
弊社で働いているエンジニアは、市場の中で見てもかなり優秀なエンジニアばかりです。プロフェッショナルの集団なので、リモートワークでセルフマネジメントをしながらも、高い成果を出せます。
ただ、新卒は違います。社会人経験のない彼らにとっては、規則正しく出社して、自立性を身につけてもらうことが重要だと思っています。
このように、リモートワークに成功している企業の事例を参考にして、自社でも実践してみてはいかがでしょうか?
リモートワークに役立つ!海外ツール【6選】
最後に、リモートワークでよくある課題ごとに、それらの解決に役立つ海外ツールをご紹介します。どのツールも無料でトライアルができるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
※正確な価格情報などは、各ツールの運営会社にお問い合わせください。
①【チャットツール】Slack(スラック)
▶︎解決したい課題:コミュニケーションの量が減る
リアルタイムなコミュニケーションができるチャットツールは、リモートワークにおける最重要ツールと言っても過言ではありません。
そのなかでも、オススメなのが「Slack(スラック)」です。botを活用すれば、Slack上で朝会なども簡単に行えます。
▼「geekbot」を使ったSELECKチームの朝会
Slackの詳しい解説は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
②【タスク管理ツール】Trello(トレロ)
▶︎解決したい課題:仕事の進捗が把握しづらい(チーム)
リモートワークでは、一緒の空間で働いている時よりも、仕事の進捗が把握しづらくなります。
そこで、チームのタスク管理にオススメなのが、無料で使えるタスク管理ツール「Trello(トレロ)」。
個々のタスクを「カード」として登録し、「ボード」と呼ばれる場所で管理します。そして、タスクの進捗ごとに、未着手・着手・確認待ちといった「リスト」に移していくことで、簡単にステータスを管理できます。
Trelloの詳しい解説は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
- 無料&日本語化!「Trello」でタスク管理がラクになる!使い方・始め方を解説します
- ついに日本語化!「Trello」の便利なChrome拡張・Slack連携を紹介します!
- タスク管理ツール「Trello」をもっと使い倒す!ガントチャートも作れる応用編を紹介
③【進捗共有ツール】iDoneThis(アイ ダン ディス)
▶︎解決したい課題:仕事の進捗が把握しづらい(個人)
チームのタスク管理だけでなく、個々のメンバーの進捗も把握しておきたい、といった方にオススメなのが、UberやAirbnbといった海外の有名企業も利用している進捗共有ツール「iDoneThis(アイ ダン ディス)」です。
このツールはとてもシンプルな機能で、各メンバーの日々の業務進捗を、チームで共有することができます。
- ベーシックプランで、1ユーザーあたりの月額4$〜
- 各自がメールで実行済みのタスクを返信すると、カレンダー上に反映される
- チームのマネージャー向けに、進捗レポートが自動で作成される
④【テレビ会議システム】Zoom(ズーム)
▶︎解決したい課題:会議の生産性が落ちる
リモートでTV会議をする際、無料ツールのGoogle Hangoutやappear.inも便利ですが、通信が不安定で会議にならない…といった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方には、国産ツールの「V-CUBE(ブイキューブ)」や、サイボウズ社も導入している「Cisco(シスコ)」もオススメですが、海外で圧倒的な人気を誇るのが、この「Zoom(ズーム)」です。
4つの料金プランがありますが、無料プランでも、十分すぎるくらいの機能が使えます。
▼「Zoom」の画面
- 無料プランでは、最大50人までの同時通話が可能
- URL共有でワンクリック接続でき、録画も可能
- データ通信量が小さいため、スマホアプリからも接続できる
⑤【組織可視化ツール】Team Mood(チーム ムード)
▶︎解決したい課題:マネジメントがしづらい
リモートワークでは、オフラインのコミュニケーションに比べるとどうしてもメンバーの心身状態の変化に気付きづらく、モチベーションが下がってしまう…といった課題も少なくありません。
この「Team Mood(チーム ムード)」は、毎日の業務後に簡単なアンケートをメールで配信し、メンバーに回答してもらうことで、チームの状態を可視化できるツールです。
▼チームメンバーの状態をグラフで可視化
- 1ユーザーあたりの月額1$
- 全社、部署、チームなど、複数のセグメントでグラフを見ることができる
- 社員は匿名でのコメントが可能
⑥【適度な休息を…】Break(ブレーク)
最後に、リモートで仕事をしていると、ついつい時間を忘れ、長時間座ったままになってしまうこともあるかと思います。
そんな方におすすめなのが、時間管理ツールの「Break(ブレーク)」。日々のタスクマネージャーとしても使えますが、ブレーク(休憩)の時間を予め設定しておけば、決まった時間になると休憩をお知らせしてくれます。
- ベーシックな機能は無料(すべての機能を使うには月額9.99$)
- きれいなUIで、1日のタスクマネジメントができる
- 休憩の機能があり、設定した時間になると休憩をお知らせしてくれる
リモートワークの、マネジメント工数を下げたいあなたへ
当媒体SELECKでは、これまで500社以上の課題解決の事例を発信してきました。
その取材を通して、目標を達成し続けるチームは「振り返りからの改善が習慣化している」という傾向を発見しました。
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