PDCAサイクルを回す時に「ありがちな」ハードルとその解除法【事例8選】
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことで、業務を改善するPDCAサイクル。
その概念はわかっていても、「いざ実践しようとすると、様々なハードルが発生し、うまくいかない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、SELECKで取材した500社以上の事例から、PDCAサイクルを回す上で「ありがちなハードルとその解決策」をご紹介します。
本記事でピックアップする課題は以下の通りですので、皆さんのチームで、何かしら当てはまるものがあれば、ぜひチェックしてみてください。
<課題一覧>
- Plan時におさえておくべき項目に抜け漏れが発生する
- Planに対して、メンバーが理解・納得できていない
- Planを実行した際のインパクトがわからず、Doに踏み出せない
- Doに関する進捗がブラックボックス化され、状況把握が困難
- 細かいタスクに時間がかかり、フォーカスすべきDoが進まない
- PlanとDoに対するCheckが行われない
- 忙しさを理由にActionをなかなか進めることができない
- Actionを起こしたいが、最初の1歩を踏み出すハードルが高い
1. 設計フォーマットを使って抜け漏れのない「Plan」を立てる
【参考記事】ロジカルシンキングを社内にどう浸透させる? 顧客の声を活かした、PDCAの回し方(オイシックスドット大地株式会社)
▶︎解決する課題:Plan時におさえておくべき項目に抜け漏れが発生する
計画を立てる際に大切なことは、「なぜやるのか?」「どれくらいやるのか?」「どのようにしてやるのか?」を抜け漏れなく設計することです。
同社では、これらの項目を記入する専用フォーマットを運用することで、新しい施策を始める際の計画の精度を高めています。
しっかりとPDCAを回すために、社内で新しいデジタル施策を立案する際には、起案の際に共通のフォーマットを使うようにしています。
フォーマットを作った背景としては、新しい施策を進める際に、だんだん目的がズレていってしまうケースが見られたことです。
特定のユーザーの声に引っ張られてしまったり、頭が整理されない状態でとにかく突っ走って、結果「なんだっけ」みたいな。
▼Planの段階で、施策の検証項目と目標値をクリアにしておく
2. 目標管理メソッド「OKR」を用いて「Plan」を立てる
【参考記事】優秀な人が失敗するのは、目標が曖昧だから。敢えてトップダウンでOKRを運用する理由(株式会社ココナラ)
▶︎解決する課題:Planに対して、メンバーが理解・納得できていない
計画の対する理解や納得が得られていなければ、その後のDoをスムーズに進めることが難しくなります。
同社では、「全社」「事業部」「個人」の目標をリンクさせる目標管理メソッドOKR(Objectives & Key Results)を用いて、組織内へのPlanの浸透を実現させています。
弊社では将来的な組織の拡大を見越して、今のうちに目標管理や評価制度を仕組み化しておきたいという背景から、OKRを導入しています。
全社目標を達成するために必要な戦略は、部門ごと、人ごとに分解できるはずですよね。それをOKRで設定して、メンバー全員が達成したら、全社目標も自然と達成されるという筋道を立てることは、経営陣の責任だと思うんです。
▼会社→チーム→個人で目標をブレイクダウンして考えるOKR
3. まずは自分で試してみて、Planを実行した際のインパクトを証明する
【参考記事】報告資料を「半分」にしても、受注単価は150%増!顧客の期待に応える、ムダのなくし方(株式会社Speee)
▶︎解決する課題:Planを実行した際のインパクトがわからず、Doに踏み出せない
「それってやる意味あるんですか?」という反発から、Planに賛同されないケースもあるかと思います。
そんな時は、まず起案者が自分で試してみて、数値的な裏付けをとった上で、全社に展開していくとスムーズです。
同社では「資料作成に時間がかかり過ぎているのではないか?」という疑問を持った社員が、「一部のメンバーに業務を5分刻みで記録してもらう」という取り組みを始めました。
チームにも、「なんとなくの」課題感はあったものの、それを裏付けるデータもなかったので、なかなか業務改善には結びついていなかったんです。
ですのでまず、担当者がそれぞれの業務に、どのくらい時間がかかっているのかを、全て「見える化」するところから着手しました。
▼すべての業務を5分単位でGoogleスプレッドシートへ記録
4. タスク管理ツールを活用して「Do」の進捗をクリアにする
【参考記事】全メンバーがプロジェクト進捗を直感的に把握!カンバン方式✕画像というタスク管理術(クリニカル・プラットフォーム株式会社)
▶︎解決する課題:Doに関する進捗がブラックボックス化され、状況把握が困難
仕事をスムーズに進める上では情報共有が必須です。
しかし、メールやチャットだけでコミュニケーションを行っている場合、どんどん情報が流れていってしまい、どこに何の情報があるのかがわからなくなってしまいます。
そこで、同社ではタスク管理の定番ツール「 Trello(トレロ)」を活用して、Doの進捗をクリアにしています。
メールでの情報共有はフローとストックの情報が共存しにくい作りのため、プロジェクト一連の流れが俯瞰できず、非常にフラストレーションがたまります。
そこで、何か最適なツールがないか探していたところ、出会ったのが「Trello(トレロ)」です。
▼カンバン形式でタスクを管理するTrello
5. 業務をアウトソースして、フォーカスすべき「Do」に集中する
【参考記事】月間100件の業務をアウトソース!よりコアな業務へ集中するためのランサーズ活用術(株式会社ガイアックス)
▶︎解決する課題:細かいタスクに時間がかかり、フォーカスすべきDoが進まない
いかにしてスピーディに進めるか? がDoのポイントです。ただ、どうしても細々としたタスクに時間をとられ、本質的な業務を始めるのが夕方から…なんていう方もいるのではないでしょうか?
同社では、「少額であれば社内稟議は不要」というルールのもと、社員一人ひとりがクラウドソーシングを活用して、フォーカスすべき仕事に集中できる環境を実現しています。
私は週に2、3件程度発注しています。弊社の良い所が、5万円以下の支払いであれば、上長の承認がなくても発注できるところです。
少額でも稟議を通さないといけないとなるとスピード感が落ちてしまうので、この仕組みがあることでクラウドソーシングと弊社は相性が良いのかなと思います。
6. 強制的に業務を止めて「Check」を行う振り返り会を実施する
【参考記事】人が集まっただけ、ではチームになれない。強いチームを作るための「自己組織化」とは(株式会社エウレカ)
▶︎解決する課題:PlanとDoに対するCheckが行われない
Planは立てるものの、「果たしてそれが実行されたのか?」「よいPlanだったのか?」をCheckすることを怠ってしまうことは多いのではないでしょうか?
同社では、2週に1回の頻度で「振り返り会」を実施し、KPT方式で課題とそれに対するActionを決定しています。
2週間のスプリント単位で業務を強制的に止めてでも、立ち止まって、このプロセスは良かったのか? を話し合う「振り返り会」を通して解決策を議論しています。
そして、適切な解決策を考えるためにも、意見ではなく、まずは事実を述べるようにします。「こうすればいいのに」という話をすると、Howから始まってしまい、それが事実に基づいているのかどうかわからないからです。
▼振り返り会の様子
この「Checkが行われない」という課題に共感された方は、ぜひ、こちらのソリューションもチェックしてみてください。
7. 「Action」に集中する時間枠を意図的に設ける
【参考記事】つい後回しにしがちな「第二領域」にチームで挑む!生産性を本当に上げる組織の作り方(株式会社モバイルファクトリー)
▶︎解決する課題:忙しさを理由にActionをなかなか進めることができない
Actionを実行するには、どうしても定常業務に加えて、プラスアルファの行動を起こす必要があります。
そのため、なかなか時間がとれない…という課題がしばしば発生します。そこで、同社ではActionを積極的に進める時間枠「精神と時の部屋タイム」を設けることで、行動を喚起する工夫を行っています。
会議の場で進捗を確認するようになると、今度は「第一領域が忙しくて第二領域に全然着手できない」という人が出てきました。
そこで、月曜、水曜、金曜にそれぞれ1時間、集中できる時間として「精神と時の部屋タイム」を設けることにしました。
この時間はSlackや会話、電話や離席を禁止にしています。
8. まずは簡単な「Action」から小さく始める
【参考記事】社内タスクの抜け漏れを防ぐ!非エンジニアが「GitHub」を活用する組織の作り方(株式会社ジェネックスソリューションズ)
▶︎解決する課題:Actionを起こしたいが、最初の1歩を踏み出すハードルが高い
PDC…までが進み、やるべきActionがわかっているものの、「周囲が協力してくれるかわからない」「効果が出るか不安」というハードルから、最初の1歩が進みづらいケースもあるのではないでしょうか。
同社では社内のタスク管理を、エンジニアが使う開発管理ツール「GitHub」を使って始めようとした際に、同様の課題を抱えていました。
そこで、もっとも簡単な一部の業務に絞って運用をスタートさせたことで、その後の定着を成功させることができました。
最初は、まず導入して成果を見せないといけないと考えました。そこで、最初は管理部への依頼の窓口だけをGitHubに変えました。
とにかくシンプルにわかりやすく、複雑にならないように、入口をものすごく柔らかくしたんですね。
PDCAを回すためには、「Check」を習慣化させることが重要です
当媒体SELECKでは、これまで500社以上の課題解決の事例を発信してきました。
その取材を通して、目標を達成し続けるチームは「振り返り(Check)からの改善が習慣化している」という傾向を発見しました。
そこで「振り返りからの改善」をbotがサポートする「Wistant(ウィスタント)」というツールを開発しました。
「目標達成するチーム」を作りたいとお考えの経営者・マネージャーの方は、ぜひ、チェックしてみてください。
チームを目標達成に近づけるコーチングロボ「Wistant」無料トライアルはこちら