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【Netflix・他】最強の企業文化の作り方! 8社の「Culture Code」まとめ(翻訳アリ)

自社の企業文化を誰にでもわかりやすいように「明文化」し、それを「Culture Code」「Culture Book」といった形で公開する企業が増えてきています。

その特徴としては、自社が大切にする文化やバリュー(行動規範)をただ単語ベースで記載するだけではなく、より具体的に「自社のメンバーにどういった行動を求めるか」を表現している点です。

例えば、FacebookのCOOシェリル・サンドバーグに「シリコンバレーから生まれた最高のドキュメント」と絶賛された、Netflixの「Culture Deck」は、その中でも最も有名なもののひとつですね。

▼2009年に公開された最初のスライド

最新版は同社の採用ページに掲載されていますが、例えば「コミュニケーション」については、下記のように記載されています。

Communication

  • You are concise and articulate in speech and writing
  • You listen well and seek to understand before reacting
  • You maintain calm poise in stressful situations to draw out the clearest thinking
  • You adapt your communication style to work well with people from around the world who may not share your native language
  • You provide candid, helpful, timely feedback to colleagues

参照元:https://jobs.netflix.com/culture

翻訳してみますと、以下のようになります。

(※本記事における翻訳は、一部記載のあるものを除き、当編集部が独自に作成したものになりますのでご了承くださいませ)

コミュニケーション

  • 会話と文書の双方において、簡潔・明瞭であること
  • 相手の話に反応する前に、よく話を聞き、理解するよう努めること
  • ストレスのかかる状況下であっても冷静さを保ち、最も明確な答えを導くこと
  • 自分と異なる母国語を持った世界中の人と共に働くために、コミュニケーションのスタイルを柔軟に変化させること
  • 率直で役に立ち、かつタイムリーなフィードバックを同僚に伝えること

このように、「Netflixで働く上で、従業員はどうあるべきか」ということが具体的に、かつ明確に書かれています。

最近では日本の企業でも、自分たちのカルチャーを明文化することで、組織内に自社のバリュー・価値観を浸透させる動きが加速しています。

参考:「DO」と「DON’T」で自社のバリューを明文化。ユーザベース「31の約束」の存在意義

そこで今回は、このように企業カルチャーを明文化している海外企業の中から、特にCulture Codeが秀逸なもの【8選】を紹介いたします。

一部翻訳もしておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

【目次】今回紹介する8社

  1. 映像ストリーミング配信会社「Netflix」(既述)
  2. 顧客主義を徹底するアパレルEC事業会社「Zappos
  3. 中小企業向けのCRM・MAを展開「Hubspot
  4. 世界最大級のビジネスSNSを運営「LinkedIn
  5. アジア最大級のベンチャーコミュニティを展開「Tech in Asia
  6. SNSマネジメントツールを運営するスタートアップ「Buffer
  7. 元Facebookのエンジニアがタスク管理ツールを開発「Asana
  8. 家事代行プラットフォームの先駆け「Handy

※2、3、8は特に分厚く解説しています!

顧客主義を徹底するアパレルEC事業会社「Zappos」

アメリカ・ラスベガスにて靴を中心としたアパレルEC事業を手がけ、「返品は何度でもOK」といった独自のビジネスモデルを編み出したことで有名なZappos

最近では「ホラクラシー」組織の導入に踏み切るなど、その組織づくりにも注目が集まっていますね。

そんなZapposでは、自社サイトに「Culture Is」というページを設け、会社のカルチャーを定義しています。

具体的には、Happiness・People・Being Yourself・Unique・Fun・Perpetual・Not Always Measured・Work-Life Integration・Partnerships・Real・Core Values・Your Brandの12の項目にわたって、自社のカルチャーを説明しています。

この中でもZapposらしさが出ていて面白いな、と思ったのが「Not Always Measured」です。

Not Always Measured

A strong culture means lower employee burnout and therefore, lower turnover. It leads to higher employee engagement and higher profitability. But really, companies should focus on their culture because it matters. Because it’s just the right thing to do. To quote Tony Hsieh, “Just because you can’t measure the ROI of something doesn’t mean you shouldn’t do it. What’s the ROI on hugging your mom?”

参照元:https://www.zapposinsights.com/r/culture-is

翻訳してみます。

数字で全ては測れない

強いカルチャーは、従業員の疲れを減らし、結果的には離職率を下げる。そして、従業員のより高いエンゲージメントと、高い収益性をもたらす。

しかし、企業が文化にフォーカスすべき本当の理由は、ただそれが重要だからだ。それがただ「正しい」ことだからだ。

Tony Hsieh(CEO)の言葉を借りるなら「ROIが測れないからと言って、それをやるべきでないということではない。母親を抱きしめる時に、ROIを考えると言うのか?」

数字だけを追うのではなく、シンプルにやりたいと思うこと、正しいことをやりましょうということですね。

データ・ドリブンを大きく掲げるスタートアップも多い中で、特徴的と言えるのではないでしょうか。

中小企業向けのCRM・MAを展開「Hubspot」

SMB(Small and Medium Business)をターゲットとしたMA・CRAツール等を提供するアメリカ企業Hubspot。最近は日本でも、導入企業が増えてきましたね。

同社のCulture Codeには、これまでに25回以上のアップデートが行われてきたそうです。(同社のブログより)

なお、こちらに日本語版も公開されています!

例えば3つめに「常識やぶりな透明性(remarkably transparent)」という言葉があるのですが、Hubspotではこれにならい、全員に自社の財務状況や、経営会議のプレゼンテーションなどを共有しているそう。

また全体として、「顧客第一主義」とでも言えるほど、非常に顧客の方を向いたCulture Codeになっています。

意思決定の判断基準としては「USE GOOD JUDGEMENT」という基準を設け、顧客>チーム>個人 という大原則のもとで、あくまでも「結果」を重視することを定めています

個人的には、情報の「透明性」についてきちんと定義をされているのが良いなと思いました。情報はオープンにするけれど、全員がすべての意思決定に参加できるわけではない、ということを明示するのは大事だなと。

スライドは100枚以上あるのですが、全体的に非常にわかりやすかったです。

これからCulture Codeを作りたいと考えている企業さんは、まずこちらを読んでみるといいのかな、と個人的には思います!(日本語版もありますし)

なお余談ですが、Hubspotは「Customer Code」というものも作っているんですよね。これは、Hubspotの従業員が「顧客とどう向き合うべきか?」を具体的に示すものです。

例えば「顧客にとって本当に価値のあることを提案できないのなら、何も話すな」「顧客はペルソナではなく人間だ」といったことが書かれています。ここまで徹底して明文化しているのは、本当に良いなーと思います。

 

世界最大級のビジネスSNSを運営「LinkedIn」

皆さまもお馴染み、世界で5億人以上が使うビジネスSNSであるLinkedIn

同社も自社のCulture Codeをスライドシェア上に公開しており、その再生回数は1,400万回(※2018年12月時点)を越えています。

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具体的には Transformation・Integrity・Collaboration・Humor・Resultsの5本立てになっています。

例えばTransformationの項目は3領域に分かれており、自己、組織、そして世界をTransform(変化)させていこうということがうたわれている形です。

特徴としては、SNSを運営している企業だからなのか、全体的に「人」の写真を使って作られています。こういったデザインを用いたい場合、参考になるかもしれません。

 

アジア最大級のベンチャーコミュニティを展開「Tech in Asia」

2011年にシンガポールで立ち上げられ、今やアジア最大級のベンチャーコミュニティに成長したTech in Asia

同社はこれまで3版のCulture Codeを公開しているのですが、その最新版がこちらです。

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スタートアップらしく、スピード感やデータドリブンな意思決定を大切にしていることが伝わってきます。

同社ではCulture Cloudをいうものを作っていて、自社に根付く文化を単語ベースで、クラウド形式で可視化しています。

これは、社内チャットに出てくるワードなどを分析すると作れそうですね。自社に根付く価値観を明らかにするためには、面白いかなと思います。

SNSマネジメントツールを運営「Buffer」

TwitterやFacebookといったSNSに予約投稿ができるアプリケーションを運営するBuffer。同社は、自社のカルチャーを「6 Values」として公開しています。

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6 Valuesは下記の通りになっています。

翻訳してみると、透明性は当たり前(デフォルト)、前向きさを身につける、感謝を示す、内省を訓練する(繰り返す)、不変性を高める、自分自身を越える、といったことになります。

元Facebookのエンジニアがタスク管理ツールを開発「Asana」

元Facebookのエンジニアが開発したことでお馴染みのタスク管理・ドキュメント管理ツールの「Asana」。

こちらのスライドには、同社のミッション、創業のストーリー、バリュー、ブランドガイドライン、顧客、に加えて、「team of peers(仲間とのチーム)」として互いにあるべき姿勢が書かれています。加えて、社内制度なども紹介されています。

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こうしたスライドをひとつ作って公開しておくと、多くの人に自社の魅力をわかりやすく伝えることができるかなと感じます。広報の方などは真似してみてもいいかもしれないですね。

▼「水曜日はミーティングなし!」といった社内制度も紹介

 

家事代行プラットフォームの先駆け「Handy」

Handyは、家事代行のためのマッチングプラットフォームを運営するスタートアップです。設立は2012年で、同業界では先駆け的な存在となっています。

Handyが公開しているCulture Deckは、2018年10月に公開された第二版が最新版です。

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自社のカルチャーを「Handy way」と呼び、8つの柱を定義しています。

翻訳してみると、

  1. チャレンジを歓迎せよ
  2. 賢く、情熱のある人をサポートせよ
  3. 今日は明日ではない(今日を大切に)
  4. 愛のために創る
  5. 常に成長せよ
  6. データは意見に勝る
  7. 少しの資源で大きなことを成し遂げよ
  8. 人生を楽しめ

という感じでしょうか。また上記それぞれのHandy wayについて、具体的にはどんな状態を指すか、またいつそれに立ち戻るべきなのか、ということを定義しています。

例えば8番目の「Enjoy the Journey(人生を楽しめ)」については、「会社に来るのが楽しみな状態の時こそ、最良のアイデアやプロダクトが生まれる」「周囲の人があなたと働くことを楽しみにしている」といったことが書かれています。

以上、8社の事例を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。より良い組織をつくるためには、自社に共通するカルチャー、価値観の醸成は欠かせません

ぜひ上記を参考に、自社のCulture Codeを作ってみる or 見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

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