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  • 村田 諒

新しい市場は「文化形成」で切り拓く!3年で1,000社が導入した、キャスターのマーケ戦略

〜未開拓の市場で勝つためには、文化形成とイメージ形成が大事。オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」のマーケティング戦略とは〜

近年、リモートワークや副業などの新しい働き方が広まってきている。

この時代の流れに先駆けて、オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」を2014年9月から展開してきたのが、株式会社キャスターだ。

同社は、まだ「オンラインアシスタント」の認知がほとんどない頃から、文化形成を中心としたマーケティング活動を行ってきた。

具体的には、「業種×依頼内容」での事例づくりや、著名人とのタイアップなどを通じて認知を高めつつ、あらゆる場面で「オンラインアシスタント=キャスター」をセットにして発信。

潜在ユーザーの、「第一想起」となるようなイメージ形成に取り組んだという。

そして、事業成長のためのマーケティング戦略の核は、LTVを最上位においたKPI設計とチーム体制作りだと、同社取締役CMOの村田 諒さんは語る。

今回は村田さんに、キャスターのマーケティング立ち上げから現在に至るまでの変遷と、その戦略について詳しいお話を伺った。

最初の壁は「オンラインアシスタント」という文化の形成だった

僕のキャリアのスタートは、大学を1年で中退してインターンとして入った、創業2年目のスタートアップでした。その後、海外で1年ほど生活してから、前職の会社に正社員として入社しました。

社員数名の会社だったので、ディレクターやセールス、マーケティングまで幅広く経験できました。その後、子会社の立ち上げを経て、2016年の5月にCMOとしてキャスターに入社しました。

当時のキャスターは、オンラインアシスタントサービスの「CASTER BIZ(キャスタービズ)」をリリースして1年半ほど経った、社員数30名ほどの組織でした。

リリース後の反響と代表のリファラルで、少しずつ契約数を伸ばしていたような状況だったのですが、マーケティングに関してはほとんど取り組めていなくて。

僕が入社した直後に資金調達が完了したこともあり、そこから本格的にマーケティングの仕組みを構築していきました。

ただ、最初に感じた壁が、そもそも「オンラインアシスタントに業務を依頼する」という文化がない、ということでした。

今でこそ類似サービスもありますが、当時はうち1社しかなかったので、「オンラインアシスタントって何?」という世間に対して、新しい市場を作っていく必要があったんです。

そこで、まずはとにかく導入事例を作って、提供サービスの利用イメージを持っていただくことを意識していましたね。

CASTER BIZは、秘書・人事・経理・Web運用の業務など、「なんでもできる」オンラインアシスタントサービスなので、企業によって活用の仕方も様々です。

そこで、なるべく多くの企業に刺さるように、企業の「業種」と「依頼内容」の掛け合わせで、幅広いケースの事例コンテンツを作っていきました。

▼導入事例ページ

また、サービスのLP作成だけでなく、外部メディアさんと連携して事例を展開していくことで、徐々に「オンラインアシスタント」の認知を形成していきました。

「オンラインアシスタント=キャスター」の発信で第一想起を狙う

また、ここで大事なのが、オンラインアシスタントとキャスターを必ずセットにして発信する、ということで。いかに「オンラインアシスタント=キャスター」を第一想起してもらうか? を常に考えていましたね。

そこで、事例コンテンツだけでなく、広告バナーのクリエイティブやサービス説明資料、著名人とのタイアップ記事など、あらゆる発信において「オンラインアシスタントのキャスター」という冠をつけていました。

初期の頃は、社員数名のスタートアップを顧客の中心として展開していたのですが、こうした発信を重ねていくうちに、徐々にIT・ベンチャー界隈の、いわゆるSMBの企業にも広まっていって。

特に、アシスタントへの業務依頼は、基本的にチャットツールを使って行うので、SlackやChatworkなどのITツールをすでに活用している企業の方が相性がいいんです。

それが見えてきてからは、Chatworkさんと業務提携をしたり、積極的にチャットやクラウドツールのユーザーに対してアプローチしていきました。

今振り返ると、市場のないサービスを広めるにあたって、周辺領域の市場を形成している先行サービスと連携する、ということはすごく大きかったと思います。

特にクラウドツール同士だと、相互に依存関係ができやすいので、その後の継続率も高い傾向にありますね。

こうした施策によって、オンラインアシスタントでの検索や、社名・サービス名での指名検索が増え、自然流入による問い合わせ数も増加しました。

また、導入企業が100社を超えた辺りから、CACやチャーンレートなどのKPIを安定して計測できるようになったことが、ひとつの転換点になりました。

たとえCPAが多少高くても、CACやチャーンを抑えてLTVを最大化する、というロジックが立つようになってきたんです。

今まで手探りだったものが、LTVを元にした投資判断ができるようになり、会社としてこのサービスに踏める、という意思決定が可能になりました。

依頼業務を細分化し、バーティカルなプロダクトを立ち上げ

そして2017年から、CASTER BIZの中でもニーズが高い採用や経理の業務に特化したオンラインアシスタントサービスを、バーティカルに立ち上げていきました。

様々なプロダクトを展開していく中でも、新サービスを大きく打ち出さずに「CASTER BIZ」を訴求し続けています。

なぜなら、すでに認知が取れているサービスに一点投下した方が、効率よくリードが獲得できるじゃないですか。

CASTER BIZに問い合わせいただいて仮にニーズがマッチしていなかったとしても、別サービスの紹介に繋げることで、会社全体への跳ね返りは大きくなります。

一方で、他のSaaSと違って気をつけなければならないのが、「リードを獲りすぎても良くない」ということで。

というのもアシスタント側のリソースがあるので、例えば100件という目標に対して200件獲得できたとしても、すぐに供給できないんです。工場と同じで、在庫がないのにオーダーをいただいても、結局お客様を待たせてしまうんですよね。

そうすると失注に繋がってしまうので、事業部側とすり合わせた目標数を、計画通りに達成することが求められます。

そこで、広告予算のうち8割を、CPAが安定しているGoogleやYahooなどの既存媒体の運用に回し、残りの2割で新しい施策を試すようにしていますね。

先を見据えて一部だけ先行投資をしつつ、安定的なリード供給ができる体制をつくっています。

「入り口」のハードルを下げるため、オンラインセミナーを開始

さらに、1つひとつのリードの「質」を高めるため、問い合わせに至る「入り口」のところで、サービス理解を十分にしていただくことが大切だと考えています。

例えば、導入事例コンテンツの拡充も、サービス理解を深めていただく施策のひとつですね。

一方で、Webからの問い合わせは、少し入り口のハードルが高いなと感じていたので、2019年2月からはより気軽に参加できて、サービス理解も深まるオンラインセミナーを始めました。

これは、「ウェビナー」というWebセミナーツールを活用して、毎週開催しています。誰でも匿名で参加でき、チャットを通じたインタラクティブなやり取りが可能です。

▼ウェビナーの画面(運営側と参加者のチャットが可能)

例えば、参加者の企業規模や職種、依頼してみたい業務内容などをチャットで質問して、その場で回答していただいていますね。

基本的なサービス説明以外は、当日の参加者によって内容の違うコンテンツを出し分けすることで、お客様がより知りたい情報をお伝えできているかなと思います。

実際、セミナー後に実施するアンケートでは、多くの方に「より詳しくサービスを聞きたい」と回答いただいており、そこから個別相談会をご案内しています。

オンラインセミナーを取り入れたことで、Webの問い合わせではあまりいなかった属性の方も増えました。例えば大手さんで、2〜3名一緒にセミナーに参加されて、導入検討するようなパターンも増えてきましたね。

また、過去に検討したけど導入に至らなかった方々に対し、アップデートした情報と併せてオンラインセミナーをご紹介することで、契約につながるケースも出てきています。

すべてのチームが、LTVを最重視するKPI設計と体制づくり

こうした施策が打てるようになった背景には、事業部全体としてのチーム体制の構築があります。

以前、ホワイトペーパーの施策をした時に、CPAは下がってもCACが良くなかったんですね。というのも、マーケティングで獲得したリードを、契約にもっていくまでの中間ステップがなかったんですよ。

今は、マーケティング5名、セールス5名の体制になっているので、リードの間口をさらに広げつつ、複数サービスの中から適切な商材を提案できるような体制を徐々に構築しています。

そしてもうひとつ重要なのが、すべてのチームがLTVに関わるKPIを持って活動するということです。

よくマーケティングでありがちなのが、マーケの予算に対して何件以上のCVを獲得する、といったCPAばかり追ってしまうことだと思っていて。

もちろん、CPAやリード数はマーケチームのKPIではありますが、どれだけCPAが下がっても、CAC、つまり契約率まで見たときに数値が悪化すると意味がないので、必ずセットで見るようにしています。

また、セールスチームも同様で、契約率だけでなく、契約した後のチャーンレートも指標にして活動するようにしています。これらのKPIは、僕が統括してみているので、一貫性のある施策が打ちやすいですね。

また、メンバー1人ひとりがそれを意識しやすいように、経営情報や全チームのKPIは常にオープンにしています。さらに部署によっては、全社の目標が個人目標の一部に紐づくような形で、評価制度に組み込んでいますね。

弊社はリモートで働く従業員ばかりなので、すべての議論が基本チャットで行われるんです。そこで新しい施策を始めるまでの一連の流れも見える状態になっているので、他チームの動きを自然とキャッチアップしやすい部分もあるのかなと思います。

ミッションの実現に向け、新しい施策に挑戦していきたい

弊社には「リモートワークを当たり前にする」というミッションがあるのですが、新しい働き方を提唱していく中で、もっと多くの人に興味や関心を持っていただけるようになるといいなと思っていて。

そのために、例えば4コマ漫画のようなライトな形式のコンテンツ作りなど、新しい施策にも挑戦していきたいと考えています。

オンラインセミナーなどの施策によって、アプローチ可能な母数が増えてきた今だからこそ、施策を打った時の跳ね返りが全然違うと思うんですよね。やりたいことは数えきれないです(笑)。

今後も、セールスやカスタマーサクセスとの連動を高めていって、ミッションの実現に向けてアクセルを踏んでいきたいですね。(了)

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