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  • 野添 塁

候補者の「本音」からCXを改善!「3種類のアンケート」を採用プロセスに導入した理由

〜企業と候補者の「双方向のコミュニケーション」にアンケートを活用。候補者の「本音」をもとにCX(候補者体験)の最大化を目指す、スペースキーの取り組み〜

採用面接をより有意義な場にし、CX(※)を向上させるためにはどうすれば良いのだろうか。

※CX…「Candidate Experience」の略で、応募から入社に至るまでの、採用プロセスにおける候補者体験のこと

生活者・事業者・環境のトリプルボトムアップを実現し、すべての人がアウトドアレジャーを豊かに楽しめる社会の実現を目指す、株式会社スペースキー。

同社は、この4年で30名から100名へと組織を急拡大させてきた一方で、マネジメント人材の不足や、メンバーが自走しづらい業務環境などが課題になっていたという。

そこで、2019年夏以降「入社したい人から採る」から「入社してほしい人を採りにいく」採用方針へと転換し、CX(候補者体験)の改善に着手。その核となる施策が「候補者アンケート」だ。

具体的には、自社からの情報発信の強化と並行して、カジュアル面談後、一次面接後、内定後の3段階に分けてアンケートを実施

候補者が必要としている情報をその都度把握することで、採用ブログの制作や選考後のフォローなどに活かしつつ、候補者の自社への理解度を高めることを重視しているそうだ。

また、同社で採用を担当する野添 塁さんは「アンケートはCXの改善に役立つだけではなく、候補者とのコミュニケーションのきっかけにもなる」と語る。

今回は野添さんに、アンケートを軸にしたCX改善プロセスの全貌について、詳しくお伺いした。

「入社してほしい人を採りにいく」方向へ、採用手法を転換

私は2014年10月に、当時まだ社員数7名だったスペースキーに入社しました。それから約5年間、複数の事業で営業を経験した後、2019年から採用人事を担当しています。

弊社は、新規事業の立ち上げに伴い、2016年から2019年にかけて組織が30名から100名へと一気に拡大してきました。

当時は専任の人事は不在でしたが、事業領域の「アウトドア」に関心のある層に対しては、Wantedlyを中心に一定以上のアプローチできていました。直応募の数も多く、社長直下で意思決定スピードも早かったため、組織の急拡大には有効な採用方法でした。

一方、事業や組織のフェーズが移っていく中で、マネジメント人材の不足やメンバーが自走しづらい環境が問題として表出し始めました。

そのタイミングで、それまで社長が中心となって行っていた採用業務を人事部として組織化する方針が決定され、2019年7月から私が広告営業部から人事部に異動になりました。

従来の「入社したい人から採る」採用は、端的に言えばアウトドア好きな人をポテンシャルで採用していました。しかしメンバーの役割が細分化・明確化するフェーズにおいては、必ずしも最適な手法ではなくなっていたのかもしれません。

そこで、私達の求めていることを明確かつオープンにした上で、「入社してほしい人を採りにいく」に採用の方針を転換することにしたんです。

私が人事に就任し、最初に取り組んだのが「採用の効率化」と「選考体験の向上」です。

まず、選考データがほとんど残っていない状況だったので、採用管理クラウドの「HRMOS(ハーモス)」を導入し、選考ステップの通過率や、面談の記録などを蓄積していきました。

すると、カジュアル面談から一次面接に進む割合が、職種によって異なることが判明しました。この原因を調べてみると、候補者をうまくアトラクトできていないことに一因があったんです。

というのも、当時は「カジュアル面談ではこういうことを伝えてほしい」といった人事からの共有も十分でなく、現場の面談担当者が候補者の質問に答える「表面的な疑問を解消するための場」になっていました。

また、選考プロセスも明確に決まっていなかったため、応募経路によってはカジュアル面談から始まる人もいれば、最初から一次選考の人もいて、候補者によって会社に対する理解度に差がありました。

そこで、どの経路でも会社に対して一定の理解をした上で選考に臨んでもらえるよう、選考前に必ずカジュアル面談を実施するフローに変更しました。さらに、カジュアル面談の均質化のため、最初は人事が同席して、ミッション・ビジョン・バリューといった会社の思想を伝えるようにしました。

これによって「アウトドアが好きだから関心がある」という状態から、「なぜその事業をしているかに共感できる」といった状態に引き上げて、選考に進んでいただけるようになりました。

カジュアル面談後に「NPS」を導入。不足情報はnoteで補う

ただ、こうした取り組みによって本当に候補者をアトラクトできているのかは、実際にはよくわからない部分もあります。

そこで2019年の8月頃から、「スペースキーを友人や知人に勧めたいと思いますか」という質問に10段階で回答するNPS(※)を、カジュアル面談後に取り入れました。

※NPS…「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤリティを測る指標のこと。

その後、徐々に「何をきっかけに弊社を知ってくれたのだろう」といった「聞きたいこと」を増やしていき、現在は15項目からなるカジュアル面談後のアンケートとして運用しています。

▼実際に使用されているアンケート

具体的には「スペースキーがなぜ、現在の事業を展開しているかについて理解は深まりましたか?」「スペースキーが今後、目指すものについて理解は深まりましたか?」といった設問に対して、10段階でスコアをつけていただく形です。

このアンケートは、募集職種ごとに集計し、月次で管理しています。全社的にスコアが低い項目や、実際の声については、広報ブログとして活用しているnoteのコンテンツ制作の参考にしていますね。

例えば「会社の雰囲気はつかめましたか?」という設問のスコアが相対的に低かったので、雰囲気が伝わるような企画を行い、コンテンツの拡充に役立てました。

▼「会社の雰囲気」を伝えるために実際に制作されたnoteの一例

実際、個別のアンケート結果をみて、スコアが低かった項目に対しては「よかったらこの記事を読んでみてくださいね」といった形でnoteをご案内しています。

また、次回面談の担当者へのインタビューが載っている記事を事前に送付しています。これは、候補者の方の理解度の向上にも、人事と候補者の方とのコミュニケーションの機会創出にも有効ですね。

3つの候補者アンケートを「コミュニケーション手段」として活用

こうしてアンケートの運用を続けているうちに、情報提供の改善に役立つだけでなく、候補者とのコミュニケーションツールにもなることがわかってきました。

例えば、回答のリマインドでさえも、会話のきっかけになるんですよね。単に「選考に進みませんか?」と確認するのではなく、「アンケートにご回答いただけそうですか?」と連絡したことがきっかけとなり、次のステップに進んだケースもありました。

こうした効果を感じ、2019年9月頃から、一次面接と二次面接の後にもアンケートを導入しました。

一次面接後のアンケートでは、「スペースキーの選考を受けようと思った決め手は何でしたか?」「カジュアル面談や一次選考を通じて、スペースキーで活躍するイメージはもてましたか?」といった質問を設けています。

もし活躍するイメージの数値が低ければ、二次面接ではより具体的な働き方を面接官に話してもらったり、必要に応じて、メンバーとのオンラインランチを選考外で挟んだりして、アンケートをもとに対応を調整しています。

こうして選考ステップごとに異なる種類のアンケートを実施することで、候補者が抱く不安や疑問を、フェーズごとに解消するコミュニケーションが取りやすくなりました。

さらに、社内のコミュニケーションにおいても、これらのアンケート結果が役立っています。

というのも、選考通過率などを見せて、面接官に「〇〇さんの部署の数値が悪いのですが…」という話をしても、どう改善したら良いのかわからないですし、反感を買ってしまいかねません。

ここから、候補者の声をもとに「こういう意見があるので、ここを改善してみませんか?」という伝え方ができるようになったことが、大きな変化だと思います。

企業と候補者がフラットな関係になって初めて「本音」が聞ける

一方で、やはり選考中は企業優位になりがちなので、本音を聞き出せているかと言われると、正直わからない部分もあるかなと思っています。

私は、内定オファーを出してようやく、企業と候補者がフラットな関係になるのかなと思っていて。そのタイミングにおける意見が、一番正直なものだと考えています。

そこで2019年の10月から、二次面接の後に実施していたアンケートを内定後に変更することにしました。

この内定後アンケートで「選考プロセスにおける印象」や「内定承諾の決め手」を聞くことで、その意見をもとに、他の候補者のアトラクト強化にもつなげることができるようになりましたね。

また同時期に、候補者の評価している点や、自社とマッチしていると考えている部分、また今後より力をつけてほしいところなどを直属の上長から伝える「内定者へのお手紙」という施策を始めました。

▼内定者への手紙(一部)

というのも、以前、二次面接後のアンケートで「自信をもって弊社で働けるかどうか」のスコアが相対的に低かったんですね。

このお手紙を始めてから、内定後アンケートでも「すごく自分のことをわかってもらえてると感じたので、一緒に働きたいと思いました」といった言葉をいただくなど、効果を感じていますね。

「納得して働く」ことが一番大事。期待値のギャップを埋めていく

一連の施策を通じて、候補者にとっても社内の面接官にとっても、選考の質を向上できてきたと思います。実際、候補者アンケート導入後の内定承諾率は、8割を超えていますね。

私は採用において、十分に情報交換をした上で、納得して内定を承諾してもらえるか、ということが一番大事かなと思っています。疑問や不安を抱えたまま内定承諾をして、入社後にギャップが生まれるとお互いに不幸じゃないですか。

なので、一次面接後のアンケートでも希望年収を必ず聞くようにしていますし、社員の給与や残業時間など、気になるけど聞きづらいような話題もすべて会社紹介資料やnoteでオープンにしています。

労働時間や評価体制などについては、候補者も気になっているけど聞きづらい部分なので、メールやチャットで積極的に人事からも候補者さんに追加質問を促すことで、さらなるコミュニケーションのきっかけにもなっています。

情報をオープンにすることで、事前情報をベースに、選考の場では本当に聞きたいことや対面でしか確認できないことに集中できますし、より自分の価値観と合うかどうかをしっかり見極めてもらえるようになったと思いますね。

また社内で面接官を担当するメンバーからは、「候補者アンケートの回答がアイスブレイクのネタになって話しやすい」といった声もあり、総じて良い反応をもらっています。

今後は、この候補者体験が入社後のオンボーディングにもつながるようにしたいと思っています。正直、入社して馴染むまでの1年くらいが一番大変だと思うんです。

面談時の相互の期待値調整を起点にして、入社後のお互いの期待値がズレていないか、もしズレているのであれば面談などでフォローして、入社した人が活躍できるような組織をしっかり創っていきたいですね。(了)

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