• ピー・シー・エー株式会社
  • 事業戦略部 デジタルマーケティンググループ 課長
  • 富村 有弘

立ち上げ2年でMRR5倍を達成!マーケ×セールス連携で成果を最大化したデジタルマーケ実践

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企業におけるデジタルマーケティングは、かつてないほどに重要な位置付けとなっている。その取り組みにおいて着実に成果を出している企業と、そうではない企業の違いはどこにあるのだろうか。

「PCA会計DX」をはじめ、働き方改革や生産性向上など多様化するニーズにあわせた数多くの基幹業務ソフトを提供するピー・シー・エー株式会社

同社では、2018年にデジタルマーケティンググループを立ち上げ、まさにゼロから取り組みを開始した。しかし、従来より販売代理店がセールスを担う体制をとっていたこともあり、社内で行ったWeb施策が効果的なセールス活動に繋がっているか判断できない、という課題があったそうだ。

そのため、2020年末に統合型CRMプラットフォーム「HubSpot」を導入。2021年4月にはインサイドセールスを専門とする部隊も新設し、マーケ・セールスが強力に連携する体制を構築した。

実際の運用面においては、「システムによって自動化・効率化する」ことと、過去の受注から鍵となるアクティビティを紐解き、受注率の高いリードのみをマーケからセールスへ渡すといった「地道なデータ活用」を両立させているという。

今回は、ピー・シー・エー株式会社でマーケティングを担う富村 有弘さんと、インサイドセールスを担う石井 拓也さん、そして同社をコンサルティング支援する株式会社クリエイティブホープの篠原さんに、2年間に渡るデジタルマーケティングの実践と成長の軌跡について、詳しいお話を伺った。

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顧客との関係を管理できるHubSpotを導入し、インサイドセールスを強化

富村 弊社PCAは企業のマネジメントサポート・カンパニーとして、「会計」「給与」「販売管理」などの基幹業務ソフトを幅広く展開しているメーカーです。

私たちのビジネスモデルにおいて、セールスの主軸となるのは販売代理店様の活動です。その一方で私たち本部は、販売代理店様とお取り引きのない新規ユーザーのリード創出を担う形で、相互に協力しながら企業のバックオフィス業務を支援させていただいています。

▼同社が提供する基幹業務サブスクリプションサービスの全体図

富村 私はデジタルマーケティンググループ(以下、マーケ部)に所属し、主にWebサイトの運用管理やユーザーへのメール配信、Web施策の企画立案、セミナー運用などを担当しています。

マーケ部が発足したのは2018年です。最初は右も左もわからないような状態からスタートし、MAツールを導入していたものの、十分に使いこんではいませんでした。

まずはホームページを整えたり、新たにオウンドメディア「P-Tips」を立ち上げたりしてアクセスを集めるところから着手し、その後に問い合わせフォームの設計と広告運用を始めたことで、何とかリード創出ができるようになりました。

その頃はExcelでお問い合わせからの商談管理をしていましたが、昨今のDXの流れで弊社サービスに注目いただいたこともあってWebサイトへの流入は非常に好調で、体験版ダウンロードやお問い合わせといったユーザーアクティビティはものすごい量がありましたね。

ただ、お問い合わせをいただいた後のコミュニケーションや、契約までの営業活動は販売代理店様へお任せすることになります。そのため、私たち本部では「きっと対応してくれているだろう」と思いつつも、実際にどうなっているかは把握できていない状態だったんです。

そういった背景から「もっとうまくデータを活用しなければ」と、コンサルティング支援をしてくださっていたクリエイティブホープの篠原さんに相談させていただいたところ、MA・SFA・CRM機能が揃っていてコスト面もクリアできる「HubSpot」をすすめていただき、2020年末に導入しました。

▼ピー・シー・エー株式会社 デジタルマーケティンググループ 富村 有弘さん

篠原 弊社クリエイティブホープは、DXやデジタルマーケティングといった顧客企業の課題解決を目的として、HubSpotなどを活用した活動支援を行っている会社です。私は3年ほど前からPCA様の担当をさせていただいています。

当時、インサイドセールスチームがExcelマクロを使ってしっかりと商談管理をされているのを拝見しました。ですので、新たなツールとしてHubSpotを導入してもきっと使いこなしてくださるだろうと感じました。

今思うと、そのような運用のベースがあったことが、その後のHubSpot運用が軌道に乗った要因のひとつだったように思います。

マーケ・セールス連携を強化。週次会議で現場の声を伝え、施策に反映

石井 私はPCAに入社した後、マーケ部でのインサイドセールス活動を経て、現在はカスタマーサクセス部 カスタマーエクスペリエンスセンター(以下、CXセンター)に所属しています。

先ほど富村がお話しした課題感から、2021年4月に新設されたのがCXセンターです。ここでは新規リードへのインサイドセールスと、販売代理店様へ繋ぐ前段階であるオンライン上のクロージングまでを、フェーズごとに管理・可視化する役割を担っています。

CXセンターができて間もなくは明確なKPIが定まっておらず、「まずは受注件数を上げてそれが数値として可視化されれば、何か見えてくるものがあるよね」とチームで話したのを覚えています。

ただ、Webから体験版を申し込んだ後、初期設定やセットアップでつまづくお客様のサポートをスピード感を持って行ううちに、やるべきことが見え、実績がついてきたという感じでしょうか。

▼ピー・シー・エー株式会社 カスタマーサクセス部 石井 拓也さん

富村 CXセンターの新設とHubSpotの本格運用の時期が重なったことで、その頃からマーケティングを担うマーケ部と、セールスを担うCXセンターの連携も始めました

その中でまずマーケ部で行ったのは、対応すべきリードの「数」を集めることです。最初は「体験版ダウンロード」「価格シミュレーションの実施」といったコンバージョンポイントを定義するところから始めましたが、数にフォーカスするうちにリード数が増えすぎてしまいました。

その結果、CXセンターの人数では対応しきれない状況になり、しかも電話したところで繋がらないケースも多くあったのです。

そこで、優先度を分けたアプローチを実施するため、商談や受注につながりやすそうなユーザー情報のみをマーケ側で判断し、CXセンター側に渡すという取り組みを始めました。

具体的には、Webアクティビティから、情報だけ取得するユーザーか製品に興味を持っているユーザーかを分析し、さらに目視でそれぞれのアクティビティの詳細を見に行って、一つひとつのリードを精査するという流れです。

この作業についてはHubSpot上のデータだけではなく、社内の別システムで企業規模や販売代理店様のセールス履歴なども確認する必要があってとても大変ですが、パスするリードの「質」にこだわる上では欠かせない作業になっています。

ここまで行うとCXセンターに渡せるリードはかなり減りますが、だからといって以前のように数だけを増やすことはしません。そして、さらに精度を高めるために、マーケメンバーが週次のCXセンター会議にも参加しています。

そこでCXセンターに渡した後の商談進捗をヒアリングすることで、商談や受注に繋がったリードに共通するアクションを導き出せるので、マーケ部からパスするリードの精度をどんどんブラッシュアップできるようになっています。

石井 CX側でも、受注から逆算したプロセスを紐解いて営業戦略を組めるようになったので、リード全体の中で受注確度の高いものがどのくらい見込めるかと、そのリードの温度感をより高めるにはどんなコンテンツが必要かといった現場の声をマーケ側に伝えるようにしています。

例えば、CX側としては「自社のWebサイトで訴求するメッセージや掲載するコンテンツは、セールスがターゲットとしているユーザー層に響く内容に絞ってほしい」といった希望があります。

そういった声を伝えるとともに、マーケ部と既存のペルソナを見直す議論をしたり、新しく作ってもらったコンテンツの反響をフィードバックしたりと、活動の改善にも意識的に取り組んでいます。

このように双方が密に連携することで、スピード感を持って細やかな打ち手を講じることができているので、非常に重要な場になっていると感じますね。

篠原 私が立ち上げ初期からご支援をさせていただく中で感じたのは、マーケティングチームが単体でデジタルマーケティングを実行することの難しさです。

サッカーで言う、ミッドフィルダーの役割がマーケチームだとすると、フォワードを担うセールスチームがいなければボールのパス回しだけで終わってしまう。それがゴールに繋がるかどうかは、マーケチームだけではわからないんです。

実際にPCA様でも、当初のマーケチームが正解を持たなかった一方で、セールスチームと連携できてきた2年前から、急激にチーム全体の目的とやるべきことが見えてきたように感じました。

▼株式会社クリエイティブホープ 執行役員 篠原 誠さん

HubSpotの機能を最大限活用し、最適なタイミングで顧客と繋がる

石井 近年はコロナ禍によってリモートが広がった影響や、マーケとの連携がうまくできていることもあって、インサイドセールスは非常に高い成果を創出することができています。その活動を下支えしてくれているのがHubSpotです。

Excelで管理していた時とは違い、ほぼ自動で必要な取引データが揃いますし、HubSpot Sales Hubでは過去の対応履歴や見ているコンテンツが一目瞭然なので、やはりインサイドセールスにおけるコミュニケーションの質が格段に上がったように思います。

例えば、企業の上層部の方々は直接アプローチする難易度が高いのですが、日々のデータから行動傾向を深掘りして見ると、いつも定例会議前の隙間時間にメールを開いてくださっているな、といったことまで見えてくるんですね。

そのタイミングを見計らって連絡することで直接会話できる確率を上げられているので、私は「メール開封通知」をリードの心の声として捉えているほどです。

富村 そういった地道なアプローチを続けながらも、当然ながらCXセンターのリソースには限りがあるので、さらにセールス全体の効率を高める工夫も行っています。

具体的には、HubSpot Marketing Hubの自動メール配信機能を使って、特定のアクションがあったリードに対して、担当営業の名前で個別メールを自動配信できるように設定しています。例えば、打ち合わせを必要とされている方が、スムーズに担当営業との日程調整へ進められるように案内する内容です。

さらに、その自動メールに対するリアクションがあれば担当営業が直接対応する仕組みにすることで、効率化を図りつつ一斉配信のメルマガとは違う「人を感じられる」対応ができていると思います。

とはいえ、うまくいっていることばかりではありません。優先的にアプローチするリードを絞ることで受注率を上げられている一方で、その手前のリードや、CXセンターにパスした後に連絡が取れずに終わってしまったリードをどうやって次のステップに繋げるかが課題になっています。

また、マーケ部からCXセンターへ繋ぐリードを判断するステップも、将来的には「リードスコアリング」によって簡略化したいです。ただ、すでに販売代理店様が密にセールスしているかどうかがスコアからでは判別できないので、クリアすべき壁がいくつかありますね。

石井 CXセンターとしても、ゆくゆくは企業規模に加えて「決算月の○ヶ月前」でターゲットをセグメントできるくらいに、HubSpotと社内のシステムを連携できたら良いなと思っています。

デジタルマーケティングの成功には、自分ごと化するコミット力も重要

石井 この2年ほどの活動の成果として、受注実績と解約を記録しているHubSpotの「収益アナリティクス」で振り返ると、2021年9月~2023年2月でMRRが5倍にまで成長しました。

▼実際の「収益アナリティクス」の画面

やはりグラフでパッとわかる形でチームの成果が見える化されたことで、「ここまで実績が積み上がってきたから、みんなでまた頑張ろう!」という士気の向上にも繋がっています。

また、HubSpotに蓄積したデータから、「体験版ダウンロード」といった10個ほどのコンバージョンポイントごとの受注率の違いも明らかになってきました。

この分析結果を生かして、より受注率の高いコンバージョンポイントからリードに入ってきてもらうにはどうしたら良いかも探求していきたいです。

篠原 PCA様におけるデジタルマーケティングの立ち上げが成功した要因は、「マーケ部、CXセンターの全員が自分ごと化して行動できていること」にあり、私から見ると従来の2倍のスピードでデジタルマーケティングを進化させていらっしゃると思います。

やはりゼロからデジタルマーケティングを始める場合は社内に成功体験がなく、新しいことに取り組まないといけません。会社から言われて「やらされてる感」で動くのでは、なかなか成果が出ないものです。

しかしPCA様の場合は、会社の理解と協力のもと、皆さんがデジタルマーケティングに本気で使命感を持って取り組んでいらっしゃるので、とてもご支援させていただきやすいです。

PCA様のようにメーカーと販売代理店という関係性を持つ企業はたくさんあるので、「契約は代理店にお任せして、その手前の部分は本部が全部やる」といった、メーカーとしての理想的なセールスモデルを一緒に磨き上げていけたらと思っています。(了)

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