- 株式会社IDCフロンティア
- 技術開発本部 UX開発部
- 渡邊 尚吾
保守的な社内文化を変えたい!ナレッジ共有の仕組みを作る、若手エンジニアの挑戦とは
今回のソリューション:【Qiita:Team/キータチーム】
〜暗黙知を減らし情報共有の文化を根付かせた「Qiita:Team(キータチーム)」の使い方〜
業務で困った時、何を見たらいいのかわからない。この仕事のやり方はあの人にしか分からない。このように情報やナレッジが共有されていない状況はどこの企業でも起こりうる。その課題の解決に向けて動き始めたのが、ヤフー株式会社のグループ企業でITインフラを提供する株式会社IDCフロンティアだ。同社では情報共有ツール「Qiita:Team(キータチーム)」の導入を進め、既に社内の暗黙知は減り、エンジニアを中心に情報共有の文化が生まれつつあるのだという。
社内の状況に危機感を感じ、Qiita:Teamの導入を進めたのは入社3年目の若手エンジニアである渡邊 尚吾さん。「情報を書いて蓄積する文化がない」状況を変えるために、戦略的に周囲を巻き込みながらQiita:Teamの全社導入を目指して奮闘中だ。渡邉さんに、導入から現在に至るまでの過程とその活用法を聞いた。
「リーディングエッジ」のチームメンバーは最先端を突っ走れ!
2013年に新卒で入社し、現在3年目です。振り返ってみると、色々なことを経験させてもらってきたなぁと感じます。エンジニアとして弊社のクラウドサービスの運用をしていた時期もあれば、自社サービスの立ち上げや開発技術の研究にも携わったこともあります。また、弊社主催の「サバフェス」というサーバーのチューニング速度を競うイベントの企画も行いました。様々な企業のエンジニア同士が遠隔で競いあったのですが、とても盛り上がりましたね!
2015年の1月からは、今在籍しているUX開発部におります。6名のエンジニアが2チームに分かれているのですが、クラウドサービスのUXを改善するチームと、僕たち「リーディングエッジ」です。日本語で言うと最先端。どれだけかっこいい名前なんだ、っていう(笑)。
弊社はインフラを扱っているというのもあって、社内の雰囲気がどうしても保守的になる傾向がありました。それを解消するために、サービス開発や社内インフラに新しい技術を取り入れる活動をしているのがリーディングエッジです。「最先端を突っ走れ!」というミッションをもらっています。4人のチームですが、皆新しいものが好きですし、それを試すのも好きなタイプです。自分達で勉強して、いいものがあったらすぐに取り入れるようにしています。
ナレッジを蓄積する文化がなく、情報が属人化
働く中で課題だと感じていたことが1つあって、それはナレッジを蓄積する文化が全然なかったことです。その人の仕事はその人しかできない、つまり属人性がすごく高かったんです。例えば困ったことがあって、「こういうことで困ってるんです」って相談したら、「それならあいつがやってくれるよ」と言われる。それだと、まずいじゃないですか。「その人がいなくなったらどうするの…?」ってなりますよね(笑)。
社内にも掲示板のような情報共有のツールはありましたが、少し使いにくかったんです。ツールに使いにくさを感じてしまうと、書く方にも全然モチベーションが湧かないんですよね。しかもそこに情報があるとわかっていても、見ずに聞いた方が早いので結局見られない、という状況でした。こういった状況を改善したいと強く思っていましたね。
運用コストをかけずに使えるQiita:Teamを選択
そこで良いサービスがないかと探していたところ、見つけたのがQiita:Teamです。最初は、無料でwikiのように使えるオープンソースを社内で立てて運用することも検討しました。そうすると全ての情報を社内で持てるので安心ですが、運用コストがどうしても発生しますよね。しかも「運用できる人がこの人だけ」という状況になりかねない。それでは本末転倒なので、費用が発生しても、既に完成したサービスとして提供されているQiita:Teamを使った方がいいと判断しました。
▼様々なナレッジを共有できる「Qiita:Team」
導入して、まずはナレッジとなる投稿記事の数を増やすことを考えました。Qiita:Teamはアカウント毎に課金されるので、一気に全社員で運用して上手くできなかった、というわけにもいかないんですよね。そこでまずは少人数で、記事を揃えるところからスタートしようと。
最初は「記事を書いてくれそうだな」を思った人に個別に声を掛けていきました。書くことに最も抵抗がなく、ナレッジを残していく文化に慣れているプログラマーと、プログラミングに興味を持っていそうなネットワークエンジニアからですね。あとは自分のブログを持っていたり、知識をたくさん持っていそうな人。弊社にはいわゆる「建物を建てる」インフラの技術者から、世間一般的に言うITエンジニアまで幅広い人がいるので、敢えて色々なところにいる人を狙って声がけしました。一緒に会社を「変えてくれそうな」仲間を増やしていったイメージですね。
社内導入は戦略的に!「盛り上がってる感」を演出
新しいツールを導入するときは最初の入りが肝心だな、と考えて戦略的に運用を始めました。仲間同士で毎日記事を書いたり、「いいね!」やコメントをしまくって盛り上がってる感を演出して(笑)どんどん周りを巻き込んでいきました。
記事の内容は、最初はITセミナーに行ったときのレポートなどを上げてもらっていました。エンジニアには非常に評判が良かったですね。それから作成した社内システムの共有、プロジェクトで困ったときの解決策、オープンソースを「使ってみた」記事といったものを増やしていきました。マニアックなものから全員に役立つものまで、計画的にバランスよく記事があがるようにしていましたね。おかげで今は記事の数も500弱にまで増えました。
▼Markdownで記事を投稿できるのが特徴
声をあげれば変えられる! 挑戦を奨励する風土
導入するにあたっては弊社の風土にも大いに助けられました。費用がかかるサービスなのでもちろん承認が必要なんですが、ナレッジの蓄積という課題を解決できるQiita:Teamというサービスがあって、世間でもすごく盛り上がっていますという話をしたところ、すんなり導入させてもらえたんです。やはり、会社として知識の蓄積ができていないという問題意識はみんな持っていたんですよね。
弊社のいいところだと思うのですが、声を上げれば採り上げてくれるんです。何かやりたいことがあれば社長のところに「こうしてください」と言いに行き、それが間違っていなければ採用してくれる感じです。挑戦を奨励する風土があるんですね。
Qiita:Teamで全社を盛り上げていきたい!
今はまだ技術者やエンジニアで使っているQiita:Teamですが、もう全社に導入したいと考えています。他社でも数百名で運用できているという事例も聞いているので、弊社でも可能だと思っているんですね。それにあたっての課題は非エンジニアメンバーをどう取り込んでいくかということです。営業メンバーの情報共有にも便利に使えると思うのですが、まだ社内システムに社外のサービスを使うことに抵抗感がある人もいるので、働きかけをして徐々に慣らしていく必要があると思います。
あとはQiita:Teamを使って何か面白いことをしたいですね。「いいね!」をたくさん集めた人のランキングを出したり、APIを使って盛り上がる仕組みを作ったりして、皆が楽しんで使える状態にしたいなと。ユーザーが盛り上がるサービスを作ることって、エンジニアリングの根幹にあるものだと思います。
エンジニアって結構、手段にこだわりすぎてしまったり、自己満足で開発をしてしまう人もいると感じていますが、やっぱり実際に作ったものを使ってもらわないと意味がないですよね。「どうしたらより多くの人が楽しんで使ってくれるか」ということを常に意識しながら、今後もQiita:Teamを社内に広めていきたいと思います。