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LinkedInをどう使う? 世界に通用する人材に出会う、メルカリの採用戦略とは

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今回のソリューション:【LinkedIn/リンクトイン】

2013年7月に日本でローンチしたメルカリは、現在米国にも進出し、日米通算で2,000万ダウンロードを突破。 1日当たりの出品数は数十万品、月間流通額は数十億円にも上る。

このメルカリの急成長の背景で重要な役割を果たしたのは「人」に他ならない。同社では従来型の求人媒体は使わずに、自社媒体や社員紹介に代表されるリファラルリクルーティングを中心とした採用活動に注力している。

その理由は「メルカリへのエンゲージメントが高い人材を採用するため」だ。そこで活用しているサービスのひとつが、世界最大級のビジネス特化型SNSである「LinkedIn(リンクトイン)」。日本ではまだまだ知られていないLinkedInの活用法について、同社でHRを担う石黒 卓弥さんにお伺いした。

LinkedInの使い方を解説した記事はこちらです

入社を決めた理由は「人」

新卒でNTTドコモに入社し、10年ほど勤めました。営業から始まったキャリアですが、在籍した10年のうち約7〜8年は人事に関わる領域を担当していました。他にも新規事業や出資会社の立ち上げなどにも携わらせていただき、ドコモ時代の仕事は非常に充実していました。

そんな中、とあるきっかけで弊社取締役の小泉に会ったのが始まりでした。とても魅力的な人物で、シンプルですが「一緒にチャレンジしたい」と本気で思えたんです。最も印象的だったのは「中途半端な成功ではなく、大きな成功を目指そう」という言葉でした。

一方で子どもが3人いたこともあり、ドコモを退職してスタートアップに行くという選択肢はなかなか考えにくいものでした。

しかし、メルカリには、国内外問わずトップ企業でキャリアを積んでから飛び込んできたメンバーが数多くいて。単純に、眩しかったんです。このメンバーとの挑戦なら心からワクワク出来ると思えました。

年齢のこともあったのですが、キャリアの多様性を考えていく中でもこれは絶好のチャンスだと。それでもうやるしかない、やろう、と決めて入社しました。

採用における重要な要素は「共感」と「バリュー」

現在の私のミッションはHR領域における採用と制度企画で、採用がメインになっています。弊社のようなインターネットサービス企業においては、人と、カルチャーがすべてです。

当社のカルチャーをつくるコアな価値基準として、3つのバリュー「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」を定義しています。これは採用に関しても同様で、採用広報や採用時の評価もこの観点を軸にしています。

「採用の時に見ていることは何ですか?」と聞かれることがありますが、必要なポイントはシンプルに2つです。まず1つは共感

メルカリの事業や、理念、考え方に共感できること。もう1つは弊社で発揮できるバリュー(価値)を持っていること。何かしらのプロフェッショナリズムを持っている人に集まってもらいたいと考えています。

その上で「正当に評価をする」ということも大切にしています。「ベンチャーなので」を理由に給料や報酬面を適切に評価出来ないのは正しくないと考えています。

価値ある優秀なメンバーを集めることが私のミッションならば、ハード・ソフト両面で彼ら彼女らが思いっきり働ける環境をつくり、結果にコミットし、正当な評価をしていこうという考えでやっています。

採用媒体をやめ、リファラルリクルーティングにフォーカス

弊社でも以前、いくつかの採用媒体やエージェントを使っていたこともありましたが、ほとんどやめてしまいました。理由は単純で、ボタン1個やエージェントに背中を押されて応募してくる方は、基本的に弊社に対してのエンゲージメントが低いんです。

結果的に99%以上に不採用メールを送っているような状況だったので、これはやめようと。時間やリソースは有限なので、常に知恵を絞って行動することが重要です。

経営陣からもよく言われることですが「人事はこうあるべきだ」という常識は忘れ、全てゼロベースで考え、必要なことのみにフォーカスしています。

現在、採用に関して主に時間を割いているのはLinkedIn、Wantedly、コーポレートサイトからの応募です。つまりほぼ自社媒体に準ずるようなものにしか時間を割いていません。採用においてはスキル以前に、メルカリへの共感が大事な要素だと思っています。

どんなポジションの採用だったとしても、必ずプロダクトを利用した上で選考に臨んでいただいています。その理由は、プロダクトに我々の世界観が詰まっているからです。

メルカリへの愛着や熱量を高い水準で維持していくことを考えた結果、採用媒体は止めて、より共感を生みやすいものにシフトするという判断をしました。

「会ってみたい」人材に出会える場所が、LinkedIn

そういった経緯で、2015年の初め頃からLinkedInを使い始めました。いわゆるダイレクトリクルーティングという言葉がブームになっていた中で、LinkedInを使うべきだと考えていて。

ただ私達が意識していたのはいかにLinkedInを「リファラルに必要なダイレクトリクルーティングツールとしてどう使っていくか」ということでした。

LinkedInはまだ日本では登録数が多くないというイメージがありますが、それでも100万人以上が登録しています。

更に、アメリカはじめグローバルに進出している弊社のような組織ですと、求めている人物像もマッチする事が多いです。登録されている多くの方は英語ができますし、豊富なキャリアをお持ちの方も圧倒的に多いです。他の媒体では出会うことが難しい層へのアプローチを考えた際、外せない選択肢のひとつでした。

一部で「LinkedIn=スカウトツール」という誤った理解があるようですが、「ビジネス特化型SNS」という特徴を最大限に活用したいと考えました。

「スカウトメールをとにかくたくさん送る」という手法ではなく、このツールをリファラルに活かしたい。そのように考えて導入検討をしていた矢先、そのタイミングでLinkedInのセミナーの案内があって、これは行くしかないと。

そこでLinkedIn Japanの方とお話させていただいて、具体的に使っていくことになりました。

メルカリという組織の「ファンづくり」のために行うミートアップ

弊社が今、注力している採用手法のひとつにミートアップ(Meetup)があり、LinkedIn上でいいな、と思った方にも「ミートアップに来ませんか?」というメッセージを積極的に送っています。

ミートアップは2015年4月から弊社が定期的に開催しているイベントになります。こちらで「エンジニア」「デザイナー」のようなテーマだけ設定した上でオープンに参加者を募集する一方、それに合った経歴の方をご招待しています。

イベントの内容はノウハウの共有というと格好がいいですが、気軽に飲みながら話しましょうというものです。

弊社のメンバーとの交流や社内見学なども含めて体験していただく機会になっています。これまで10回ほど開催していますが、注力している理由はメルカリの「ファン」を作りたいからです。

▼気軽に飲みながら交流できる、メルカリの「ミートアップ」

弊社では社員の紹介によるリファラル採用を積極的に行っています。ただ社員紹介は当然ですが「社員の知り合い」までにしか広がらないということになります。

社員からのつながりを「円」に例えた場合、その輪を大きくしていくことで、リファラルリクルーティングの輪が拡がり、つながりを増やせると考えました。

その輪を大きくするために必要なのが、弊社自体のファンだと考えています。いくらプロダクトが好きでも、働く場所にはならない場合がありますよね。

例えばコーヒーが好きでも、コーヒーショップで働くのはちょっと違う、という感じで。そこで、ミートアップを通じて弊社の「働く場所としての魅力」を伝えていこうと思いました。

来場者からはミートアップイベントが非常に良かったという声をいただくことが多いです。その後の動きとして、次の機会に同僚を誘ってくれて、またその方が違う方を連れて遊びに来てくれたり。ブログやSNSで「メルカリのイベントに行きました!」と書いてくださったこともあります。

どんどん拡散され、明らかにファンの方が増えていっている様子がみられています。ミートアップの参加者に弊社のファンになっていただくことで「メルカリが仲間、募集しているらしいよ!」と、自然な形で広めてもらうことが大切だと思っています。

LinkedInを通じて「決め打ち」でミートアップに招待

LinkedInに関しては、使い始めて数ヶ月、まだまだトライアンドエラーを繰り返しているフェーズです。

現状としては、例えば10名にミートアップの招待を送って、返信があるのが7割くらい、参加率ではそのうち半分ほどですね。多くのメッセージを送るというより、候補を絞って数人の方のみに送付しています。

ミートアップは満席のことも多いのですが「ご経歴を拝見しました。ミートアップの場の質を高めるためにも特別にぜひ遊びに来てくれませんか」という感じでお誘いしています。

その際「面接」や「スカウト」的にならないよう心がけています。想定外に良かったこととしては「当日は参加できないのですがぜひ別の機会にお会いしたいです」といった好意的な返信をいただくことが多いことです。

実際にミートアップイベントから選考に進んで頂いて、内定に至った方も数名います。十数回開催した中でこの数字なので、ファンを作る目的外の「採用コスト」だけで考えても効率的だと思っています。

候補者の情報共有も可能なデータベースとしても活用

LinkedInにはプロジェクト(職種)毎に気になる方をプールしておける機能があるので、データベース的にも活用しています。

LinkedInで直接検索してプールする場合もありますし、他の媒体や、記事・その他の登壇者等を拝見し「いいな」と思った方のお名前をLinkedInで再検索することもあります。

プールさせて頂いた方に対して、社内のメンバーにレビューを依頼(Ask for review)できます。我々のチームで例を挙げると、上長である小泉に「Please review」と送ることができます。

本来であればLinkedInはプロフィールページにアクセスしたことが分かるように設計されていますが、ライセンスを契約することによりレビューに関してはそれが全くわからないようにも設定可能です。

小泉は私が送った方のページを見て、「Great」「Good」「Ignore」などのレビューをし、それが私にも共有されます。そこで評価が良かったら、次回のイベントやランチにでも誘おうかな、と考えたりしますね。

グローバルのトップ企業と遜色ないチームを目指す!

リファラル採用のためのダイレクトリクルーティングを続けていくにあたり、社員の誰が表に出ても、会社の魅力を語れるようにしていきたいです。例えば弊社には採用会食という制度があります。

採用のためであれば会社の費用でご飯を食べていいよ、というものなのですが、こういったものをもっと活用してもらえるようにしていきたいです。

媒体や紹介フィーと比較すると費用的にもリーズナブルですし、何より自分の会社のことを話すことで、より会社のことを好きになりますよね。そしてリファラルで進んだ方は内定率も高いです。

まだまだ足りない部分として、もっと採用広報に注力していく必要があると考えています。本当に欲しい人材がメルカリに振り向いてくれるような会社にしていかなくてはならないんです。

グローバルで勝負できる人を集めていくためには「本当にいいメンバーが集まっているな」と思ってもらうことが大事だと思います。

自信を持って言えますが、現時点でも弊社の人材レベルはグローバルなトップ企業と大差はないと感じています。今後はこのような弊社の魅力をもっとしっかり表に出して、伝えていく。そういった活動をこれまで以上に行っていきたいです。(了)

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