• 株式会社シロク
  • 取締役/CTO
  • 片岡 直之

エンジニアこそカスタマーサポートを!CSツールとBotの連携が生んだ社内体制とは

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今回のソリューション:【Help Scount/ヘルプスカウト】

1人ひとりの顧客との関係性が深いBtoBビジネスでは、カスタマーサポートの品質は非常に重要になる。ビジネスの拡大に従いお問い合わせの件数も増えていくので、しっかりとしたサポート体制を構築することは急務になる。

スマートフォンアプリのプッシュ通知解析・配信サービス「Growth Push」を始め、アプリ開発者向けのサービスを提供する株式会社シロクも、カスタマーサポートに力を入れている企業の1つだ。

同社では、営業担当が顧客とやりとりを行う一般的な形から、エンジニアが直接サポートを受ける形式へ、更にはカスタマーサポート支援ツール「Help Scout(ヘルプスカウト)」と自前のBotを組み合わせた体制へとサポートの仕組みを効率化していった。

同社でCTOを務める片岡 直之さんに、エンジニアがカスタマーサポートを担当するに至った理由、そしてHelp Scoutを活用した問い合わせタスクの管理方法についてお伺いした。

学生時代に作ったアプリで起業⇒アプリ開発者向けサービスを展開 

弊社は元々「My365」というカメラアプリを運用していました。これはシロクの創業メンバー4人で学生時代に立ち上げたサービスです。

私以外の3人はサイバーエージェントのインターンで同じチームだったという繋がりで、私は1人で色々とサービスを作っていました。そんな中、たまたま知り合った社会人の人にお引き会わせいただき、ゴールデンウィークに4人で合宿をして作ったのが「My365」です。

当時、開発者は私1人でしたし、初めてiPhoneアプリを作ったので開発には半年ほどかかりました。でも、リリース後5日間で5万ダウンロードという実績を残すことが出来て。

その後サイバーエージェントの藤田社長から子会社として運営をしていったらどうかという話をもらい、2011年に創業しました。

現在は「My365」以外にも、「Growth Push」を始めとしたアプリ開発者向けのサービスを展開しています。プロジェクトが4つほど並行して動いており、私はCTOとして各プロダクトを開発から運用まで見るような役割を担っています。

運営者が自分自身でサービスを成長させられる未来を作りたい

私達が元々「My365」を運用していた経験もあり、今はアプリを運用しているお客様のメディア拡大や収益化をサポートするという形で、運営者が自分たちでサービスを成長させることができる未来を作っていきたいと考えています。

ユーザーを獲得し、離脱を防ぎながら、離れてしまったユーザーにも戻ってきてもらう。このようなサービス成長の一連の流れを、お客様自身が作れるようにしていきたいですね。

そのためにも、その流れの最初から最後までをサポートする複数のサービスを運営しています。まずは「Growth Link」で顧客を獲得し、「Growth Push」でユーザーの定着を図り、「Growth Analytics」や「Growth Message」で収益化を手助けするといった形です。

現在、ゲームアプリを提供されている企業様が多いですね。「Growth Push」を使ったプッシュ通知によってユーザーに戻ってきてもらい、収益につながったという明確な実績もあります。

最近ではゲームアプリ以外の比率も上がってきていて、様々なお客様にサービスをご利用いただいています。

サービスの成長に伴い、カスタマーサポートの形は変わる

今は多くのサービスを展開していますが、最初に開発したサービスは「Growth Push」です。「Growth Push」だけを運用していた期間が1年半ほどあったのですが、お客様の増加に伴ってお問い合わせの件数もどんどん増えていくようになって。

そこで課題になったのが、そのお問い合わせに対応するためのコミュニケーションコストでした。

当時は営業メンバーがフロントに立っていて、お問い合わせを受けたらエンジニアメンバーにそれを伝え、その回答をまたお客様に伝えるという流れでした。件数が増えたことで、営業がこの対応に追われるようになってしまったんです。

そこでまずは、お問い合わせにエンジニアが直接対応するような体制を新しく作りました。

そもそもエンジニアが直接カスタマーサポートを行った方が絶対に効率的なんですよね。弊社のサービスだと特に、技術的な問い合わせが半分ほどを占めるので。エンジニアがやり取りをしたほうが効率的ですし、正しい情報をお伝えすることができます。

ただ、まだ問題は残っていました。それは、誰がどのお問いわせを対応するのかを明確に割り振ることができていなかったことです。それが原因で対応漏れが出てきてしまうことがありました。

また、当時はSkypeやメール、Facebook、ChatWorkなど複数の経路からお問い合わせが来ていたので、エンジニアは定期的にその全てを確認する必要があり、その度に開発が中断されて生産性も落ちていました。

そういった問題を解決するため、「Help Scout」をカスタマーサポートのツールとして導入することにしました。

Help Scoutでカスタマーサポートのコストを削減

ツールに関してはいくつか比較検討をしたのですが、Help Scoutに決めた一番の決め手は費用対効果の部分ですね。まず、Help Scoutは1アカウントあたり月額15ドル〜と他のサービスと比較した時に非常に割安なんです。

1アカウント5千円ほどかかる多機能なツールも検討はしたのですが、年間ベースで考えた時にスタートアップにはちょっときついなと(笑)。

####▼Webベースでの問い合わせの一元管理ができる「Help Scout」

また、導入の目的は「問い合わせを一元管理する」ということだったので、機能的にも必要十分でした。

Help Scoutの導入に合わせて複数あった問い合わせ窓口もメール1本に集約していったのですが、お客様にも「サポートの対応漏れを防ぐため、次回からはメールでお願いします」と伝えるだけでご理解いただくことが出来ましたね。

使い方としては単純で、メールボックス上で誰がどのお問い合わせにアサインされているかということを可視化し、タスク管理の要領で管理しています。シンプルであるが故に、非常にわかりやすいです。

Help Scout自体はあまりカスタマイズは出来ないのですが、APIは充実しているので、自前で作ったBotと連携することで問い合わせ対応のフローを作りました。

今は当時より更にお問い合わせ件数も増えたので窓口の人間を設けているのですが、最初は1分間隔で未アサインのタスク一覧を取得し、エンジニアメンバーが順番にローテーションでアサインされる仕組みをBotで作っていました。

Slackとの連携で協力しあうサポート体制を構築

現在弊社には20名程度のエンジニアがいるのですが、その中でも私を含めてプロダクト理解が深い7名ほどがサポート対応をしています。1つひとつのお問い合わせがアサインされたタイミングで、チャットツールのSlackに通知が来るようにしているんです。

問い合わせの内容によってはちょっと重いものもありますが、チャットツールならそのような時にも「これ難しいので誰かお願いします」というコミュニケーションも取りやすいですね。

また、Slackには2時間毎に対応が完了していない問い合わせの一覧が流れてくるようになっています。担当者別にタスクが一覧になっていて、更にそれぞれのお問い合わせが届いてからの経過時間が表示されるようになっています。

そうすることでお互いに「これはかなり時間がかかっているけれど大丈夫だろうか?」と確認し合うことが出来ます。過去にはそのレスポンスタイムをランキング化して、誰が一番早く返信しているかを見ていたこともありましたね。

####▼Slack上に担当者別の未完了タスクが通知される仕組みを構築

こういった仕組みを作ったのは、もちろんお問い合わせに対してできるだけ早く、きちんと漏れなく対応していくためです。

またエンジニアが能動的に「問い合わせは来ているかな? 」と、意識しながら開発をしなくてはいけない時間を、限りなくゼロにしたいという気持ちがありました。Slackであればエンジニアは常に見ているので、いちいちHelp Scoutを意識しなくても、しっかり対応していくことができるようになりました。

システムを理解しているエンジニアこそ、カスタマーサポートを

エンジニアって、売上にどれだけ貢献したか実感できるポイントが少ないですよね。新機能を実装したり、性能が上がったからと言ってそれが売上の実数にどれだけ貢献したかを可視化することは難しいです。

そのため、カスタマーサポートで直接お客様に触れるという事は非常に重要なポイントだと考えています。私はCTOという立場ですが、「時間がかかるカスタマーサポートは若手に任せる」ということは違うと考えています。

お客様と直接触れ合うことだからこそ、システムを理解しているメンバーで、しっかりと対応できる体制をこれからも作っていきたいです。

Help Scoutを使う以前は、3名ほどのエンジニアが朝から晩までサポートに追われていたこともありました。

当時と比較すると今は件数こそ増えていますが、7人程の体制で1人あたり1日数十分を使っている程度なので、Help Scoutの導入によって負荷は下がりましたね。弊社のようにBtoBの事業を展開していて、日々何千件もお問い合わせが来るような状況でなければ、シンプルで安価なHelp Scoutはオススメできると思います。(了)

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