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テレビCMの効果測定まで!フリルの「数値をもとに全員が意思決定する」組織づくりとは

〜ミッション別のチーム+委員会制度によって、職務にとらわれず誰もがデータを活用できる組織づくりに成功!フリマアプリ「フリル」運営の裏側とは〜

最近では、スタートアップであっても、テレビCMをマーケティング手段として選択する企業も多い。

しかしWeb系のサービスを展開する会社にとって、テレビCMの「効果」をどのように分析するかは、非常に難しい課題だ。Web上で展開する広告等と異なり、「CMを見てアプリをダウンロードした人」はトラッキングができないためだ。

日本初のフリマアプリ「フリル (FRIL) 」の企画・運営を行う、株式会社Fablic。同社は創業当時から「ユーザーファースト」を掲げ、ユーザーインタビューをはじめとする定性情報の分析に非常に強みを持ってきた。

しかし近年では、ユーザー属性の拡大に伴い、定性情報だけではなく、定量データの分析にも非常に力を入れている。例えば同社では、エンジニアだけではなくマーケターやデザイナーまでもが、自らSQLを書き、データ分析を行っているのだ。

そのような環境を整備すべく、データ分析基盤として、BigQueryFirebaseRedashといったツールを採用している。

今回は同社でエンジニアを務める井坂 彰太さんに、同社のデータドリブンな組織づくりから、Firebaseを活用したテレビCMの効果測定の仕組みまで、詳しくお話を伺った。

フリルを支える、ミッション別のチーム ✕ 委員会制度の組織体制

僕は約3年前に、Fablicに入社しました。フリルがまだ、女性向けのファッションに特化したアプリだった頃です。その後、男性にもサービスを開放して、オールジャンルに展開していく過程にも関わってきました。

現在はエンジニアとして、主にiOSの開発と、数値分析を担当しています。

弊社の組織は今、ミッション別のチーム構成になっており、各チームが異なるKPIを追っています。僕が所属しているのは、アプリでの取扱高を上げることをKPIとする「チームB」です。

チームBはおよそ10名ほどで構成されていますが、半数以上がエンジニアです。それに加えて、マーケター、ディレクター、デザイナーといった役割を持ったメンバーが所属しています。

以前は、チームはエンジニア、マーケター、といった職能別に分かれていました。しかしそれですと、「依頼があって仕事をこなす」状況になりがちだったんです。特にエンジニアはどうしても、受け身の姿勢になってしまっていました

そうした背景から、チーム構成をミッション別に変えました。さらにそれに加えて、「委員会制度」を設けています。

各委員会は、「サーバー委員会」や「デザイン委員会」といった形で、専門スキルを持った人たちが集まっています。チームを横断する形で、チームのミッションに紐付かない業務を受け持っています。

例えば僕自身は、チームBに加えて「クライアント委員会」と「分析委員会」に属しています。

分析委員会の主な業務としては、チームのKPIには直接紐付かないような細かい数値分析と、分析ツールや基盤の整理、そして社内で皆がSQLを書けるようにするといった、教育的な役割があります。

もともと強みのあった「定性情報」だけでは、情報が偏る…

数値分析に関して言うと、もともと弊社は、定量より定性的な分析の方に強みを持つ会社でした

「ユーザーファースト」ということを大きく掲げて、アプリを作り始めた当初からユーザーインタビューを実施するなど、ユーザーの声を非常に大事にしてきたんですね。

例えば、フリルのカスタマーサポートのスタッフは、全員「元ユーザー」を採用することにしています。そうすることで、社内で直接ユーザーの意見を聞くことができるからです。

▶同社のカスタマーサポートチームに関しての紹介記事は、こちら

ですが、サービスが大きくなるに従って、ユーザー属性が拡大していきました。それに伴って、定量的な分析も大事になってきたんです。

以前は「ファッション好きの女性」というひとつのユーザー属性だったのが、ジャンルの拡大によって様々なユーザーの方に使っていただけるようになったんですね

そうすると、カスタマーサポートのメンバーにインタビューをしているだけでは、情報が偏ってしまうという課題がありました。

そうした背景から、定性的な情報も引き続き大切にしつつ、定量的な分析にも力を入れるようになってきました。

より複雑なアプリのログ集計の必要性から「Firebase」を導入

ただ、分析自体は、以前からかなり行っていました。しかし、一部の分析が得意なメンバーがそれを受け持ってKPIを分析し、改善案をエンジニアに伝えて実装する、というようなスタイルだったんです。

このような形ではなく、メンバー全員が自ら数値を元に分析や仮説検証を行えるように、分析基盤を整え、必要な人が必要なデータにアクセスできる環境を整えていきました

現在の数値基盤としては、基本的にはBigQueryと、Redashのダッシュボードを組み合わせたものを使っています。

▼実際に同社が使っている、Redashで作成したダッシュボード

エンジニアだけではなく、マーケターからデザイナーまで、色々な職種のメンバーが自らSQLを書いて数値分析を行っていますね。

▶同社のデータドリブンなデザイナーチームをご紹介した記事はこちら

このように仕組みが整ったことで、現在では、事業責任者やマーケターが自らSQLを書いて数値を分析し、事業の意思決定に使うようになりました。

ただその結果として、以前より一層複雑な数値を取る必要性も出てきたんです。例えば、「直近1週間で初めて購入した人だけにキャンペーンを打つ」といったことですね。

そのため、アプリ側の分析基盤として、新たにFirebaseを使うようになりました。

▼実際に同社が使っている、Firebaseの画面

Firebaseの良いところは、アプリのイベントログが全部生のデータで見られることです。BigQueryと組み合わせれば、そのまま僕たちが必要な生データを集計できます

これで複雑な条件にも対応できるようになったので、今は本当に、各チームが自分たちに必要なデータを自分たちで分析して、チームを回していけるようになりましたね。

Firebaseの活用で、テレビCMの効果測定を行う仕組みを構築

Firebaseを導入したことで、僕が所属する分析委員会でも、新しい取り組みが行えるようになりました。例えば、テレビCMの効果測定です。

もともとは、CMを打つに当たって、既存の分析をより詳しくしたいという相談を受けたんです。と言うのも、テレビCMの効果測定って難しいんですね

以前はGoogleトレンドで、CMを放送した地域の検索数が増えたか、ということを測るしかありませんでした。ですがそれですと、結局は「検索回数」なので、アプリのインストール数等とCMの関連性を、しっかりと計測できていませんでした。

また、CMは地域別に打つことができるので、各地域における効果測定も実施したかったのですが、それもできていない状態でした。

そこで、Firebaseの生のイベントログを、BigQueryで集計し、アプリの地域別アクセス数を10分単位でRedash上で可視化する仕組みを作りました。(※詳細は、こちら

現状は、CM前とCM後で、地域別にどこが一番効果が高かったかということを分析しているところです。これから曜日別、時間別といった領域にも、分析軸を拡大していきたいですね。今はまだ途上にある感じです。

ただ、Googleトレンドでは「傾向」しかつかむことができなかったのが、より詳細にデータを見られるようになりましたね

今後はより詳細なデータ分析ができる仕組みと、組織を作っていく

今後の分析委員会の取り組みとしては、まずFirebaseを使った仕組みをもっと整えていきたいですね。

例えばCMを見て新規でアプリをインストールした人が、出品や購入をしたか、ということを分析できるようにしていきます。

Firebaseのデータだけですと、ユーザーが実際にフリル内でどういう行動をしたかまでは追えないので。Firebase上で記録できていない、フリルの持っている詳細なデータを紐付けて、より詳細な分析ができるようにしたいと思っています。

また他にも、社内への教育にももっと取り組んでいきたいと思っています。

最近は、職種問わず皆が複雑なSQLを書くことによって、新しい課題も出てきているんです。例えば難しいSQLを書いたときに、本当にそれが正しいのか、若干怪しかったり…。要するに、SQLの品質の部分ですね。

全員がデータにアクセスできることで、もちろんPDCAを早く回せるようになったという大きなメリットがありました。これからは次のステップとして、より社内全体のレベルを上げていけるような活動もしていきたいと考えています。(了)

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