- 株式会社Fablic
- カスタマーサポートグループマネージャー
- 須賀 由希
IT初心者でもすぐ使える!メール対応を効率化するカスタマーサポートツールとは
今回のソリューション:【メールワイズ】
〜メール共有ツール「メールワイズ」の導入で、カスタマーサポートのスピードと質を向上し、顧客への対応フローの改善までつなげた事例〜
株式会Fablic が運営する「フリル(fril.jp)」は2015年1月時点でのアプリダウンロード数が400万を超える日本最大級のフリマアプリである。
同アプリには、1日数百件を超えるユーザーからの問い合わせがよせられるそうだが、それに対応するのは30 名以上の「元フリルユーザー」のチームだ。
同チームでは、以前はGmailを使ってカスタマーサポートを行って、ふたつの問題を抱えていた。まずは対応の振り分けが非効率的だったこと、そしてGmailがカスタマーサポートにとって、運用しづらかったことだ。
そこで同社ではサイボウズ株式会社が提供するメール共有ツール「メールワイズ」を導入したところ、サポートのスピードと品質が向上しただけでなく、対応フローの改善にまでつながったという。
同社でカスタマーサポートグループマネージャーを務める須賀 由希さんに、その運用方法についてお話を伺った。
フリルのヘビーユーザーから「中の人」へ転身したきっかけとは?
Fablicにジョインしたきっかけは、メールでのアルバイト募集だったんです。当時私は購入も出品も合わせて半年間で170回ほど取引しているフリルのヘビーユーザーでした。
それまでは飲食店の店長として働いていて、IT業界の経験はなかったんです。初めての経験で不安もあったのですが、大好きなサービスの運営に携われるという興味が勝ちました。
フリルの好きなところは、「自分のお店が持てる感覚」をアプリの中で体験できることです。現在はもう1名の社員と、カスタマーサポートグループのマネージャーをしています。
サポートメンバーは全員がフリルユーザーで、サービスへの愛着と知識が豊富な30名を超えるメンバーで構成されています。
1日約数百件の問い合わせに3チームで分かれて対応
現在、フリルのカスタマーサポートグループは3チームに分かれています。まずは管理チームで、お客様が困ったときのガイド作成や、お知らせブログの配信を担当しています。
次に問い合わせチームで、メールやSNSを使ったお問い合わせの対応をしています。さらにパトロールチームが、コミュニティの運営をスムーズにするために、違反商品などの不適切な行為を巡回してチェックしています。
1日数百件ほどの問い合わせがあるのですが、平日はそれに20名ほどで対応しています。一番多いのは取引に関しての内容で、取引相手との連絡や、発送の確認についてのご相談が多く寄せられます。
初めてフリマアプリを利用されるお客様からは、売り上げの振込の流れについてのお問い合わせを頂くことが多いですね。
メールベースでのカスタマーサポートに限界が…
私がカスタマーサポートに加わった2年前は、サポートにGmailを使っていました。当時の課題はふたつあって、まずは対応の振り分けが非効率的で不正確だったことです。
古い問い合わせから順番に返していくというルールはあったのですが、ひとつのドメインに来るメールに対して15名くらいのメンバーがそれぞれチェックして、口頭でコミュニケーションしながら振り分けて対応していたんです。
そうすると、どうしても対応に抜け漏れがあったり、ひとつのメールに同時に複数の人がとりかかってしまうことが度々ありました。
それに途中で気づいて「私がやるよー」と言っては、その度に他の人は書き途中のメールを破棄する、という感じで不必要な業務が発生していたんです。
ふたつ目はGmailがメンバーにとって使いづらく、返信までに時間がかかっていたことです。テンプレート機能がないので返信用のメッセージを下書きの所に保存していたのですが、メッセージ作成の際に下書き画面からコピペする作業が発生したり、自分の担当メールにラベルを貼る作業自体も不便で運用しづらかったんです。
当時は、1件の対応に10分以上かかっていたと記憶しています。
IT初心者でも使いやすく、低コストで導入できる「メールワイズ」
サービス自体が急成長して問い合わせの数も増えてきていたこともあり、これらの課題解決をしようと複数のメールツールの導入を検討しました。そして結果的に、2014年に「メールワイズ」を導入しました。
メールワイズを選んだ理由は主に2点です。ひとつ目は、IT初心者でも使いやすいUIになっていて、移行がしやすかったことです。カスタマーサポートのメンバーはITリテラシーが高い人ばかりではないので、使いやすさが一番の導入ポイントでした。
▼IT初心者でもわかりやすいUIの「メールワイズ」(※内容はイメージです。)
ふたつ目は、コスト面です。メールワイズのスタンダードコースは1アカウント月500円で利用できます。つい最近その他ツールも検討したのですが、求める用途に対して多機能すぎることと、コスト面でも高くなることから、メールワイズを使用し続けています。
メールワイズ導入で二重対応や抜け漏れが解消された
メールワイズを導入してから、対応の重複や問い合わせが放置される問題に関してはほぼ解消することができました。
まず、メールワイズは一度送信したメールへ返信がくると、送信者に戻るようになっているので、二度目以降のメールの振り分けでミスが発生することがほぼなくなりました。
次に、メール内の特定のキーワード毎にフォルダ分けできる機能があるので、こちらを活用して問い合わせの種類ごとに「不具合」「取引」「登録」という感じでメールをフォルダ分けするようにしました。
そして、メールワイズの掲示板で各自の担当フォルダをその日ごとに連絡するようにしています。
▼問い合わせの種類ごとにフォルダで区分け
出社したメンバーは掲示板を見れば、その日の担当フォルダが分かるようになっています。取引についてのお問い合わせが一番多いので、対応する人数を増強したり、登録のお問い合わせといった速やかな対応が求められるものについても人員を厚めにしておくなどの調整をしています。
また、掲示板にはアプリの不具合の改善リリースやキャンペーン情報も載せ、メンバーに情報共有ができるようにしています。
対応状況も細かくラベル分け コメント機能で引き継ぎも円滑に
さらに、対応状況に応じて「処理中」「未処理」「保留」といった形で、メンバーがカスタマイズしたラベルをお問い合わせメールに貼るようにしました。
「大至急」「至急」と緊急度に応じたラベルもつけられるので、お支払いに関する問い合わせといった期限のあるものや、時間が経過してしまっているものにラベルをつけて、全員で情報共有をするようにしています。
▼処理状況に応じ、メールごとにステータス管理ができる
また、処理状況に応じて、色をつけたりして見やすくしています。途中まで対応した内容についてはコメント機能を使い共有することで、しっかりと引き継ぎを行えるように運用しています。
▼引き継ぎがある場合には、コメント欄を使って共有
また、メールワイズでは返信用のテンプレートが登録できるので、対応のスピードも格段にあがりました。
今は約800件のテンプレートが登録されています。テンプレートは、メンバー全員が追加修正できるので、常に最新の内容に更新されています。今では早いメンバーだと1件あたり数分で対応できています。
尚、テンプレートの中でも頻繁に利用するものは、アプリ内のFAQに用意するようにして、お客様が手元で問題を解決できるようにしています。
各自が成果を確認し、日報で共有⇒モチベーションアップに
メールワイズでは集計レポートが出せるので、カスタマーサポートの業務改善につなげています。例えば、各自の1日の受信件数と送信件数が分かるようになったので、業務終了時に各メンバーにはGoogle+の日報で共有してもらうようにしています。
そうすることで他のメンバーの対応件数も見れるようになり、お互いに競い合うようになったりして、モチベーションアップにつながりました。
また、効率よく対応しているメンバーには対応のコツを聞いてチームに共有したり、まだ業務に慣れていないメンバーには添削してフィードバックしたりしています。
こうした活動の結果、対応スピードが向上しただけでなく、新人の育成コスト削減にもつながりました。
ユーザーファーストの文化のもとで、さらなる改善も
メールワイズからの数値分析がきっかけで、お客様への連絡経路も変わりました。特定のキーワードが含まれているメールの件数を調べることができるので、「再登録」や「退会」といった種類ごとにどれだけお問い合わせがきているかを洗い出しました。
すると、全体の受信件数に対して、取引や登録に関するものだけでなく、コミュニティに対する問題のご報告も多く寄せられていることを把握することができました。
そこでさらなる改善施策として、商品に問題があった際に、管理画面からボタンひとつで違反連絡ができる機能を実装しました。いちいちメールワイズで商品名やお客様の名前を手入力していたのを、自動で入力されるように設定することで工数削減につなげたんです。
これらのサービス改善の背景には、弊社で掲げている「ユーザーファースト」という、エンジニアもデザイナーも含めた全社の共通理念があります。フリルではカスタマーサポートに専任のエンジニアがいるので担当間の温度差も無く相談しやすい環境で、改善のための提案が反映されやすい風土になっているのでやりがいがありますね。
オフィスでもエンジニアとは仕切りがなく、相談しやすい雰囲気になっています。例えば数字でがっちりと根拠を固めなくても、優先度の高い要望があった際に、口頭で相談してサービスの改善策として組み込んでいただいたケースもあります。
お客様の声が最初に届くのがカスタマーサポートですので、私たちがその声をしっかりと社内に伝えていく使命があると思っています。(了)