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技術者にも「顧客の声」との接点を! サービスのあるべき姿を導くチャット活用法

今回のソリューション:【Zopim/ゾピム】

どれだけ良いサービスを作っても、実際に使ってもらえなければその良さを伝えることは出来ない。そこでサービスの導入支援に力を入れる企業は多いが、Webサイトに訪ねてくるユーザーに対してはどのようなアプローチを行っているだろうか。

アプリ内のユーザー行動を解析し、プッシュ通知などのマーケティグ機能の改善を行うことができるツール「Repro」を運営するRepro株式会社。

同社では、リアルタイムチャットツール「Zopim(ゾピム)」を活用してカスタマーサポートを強化している。Zopimを使うことで、サイトに訪れたユーザーに対してプッシュ型のサポートを行うことが可能だ。

同社ではこの機能を活かし、Web上でのサービス導入手続きにつまづいているユーザーをサポートしているのだという。

「リアルタイムなチャットを使えば、ユーザーの本当の声が聞ける」と語る同社CTOの三木 明さんに、Zopimの活用方法と、エンジニア視点から見たカスタマーサポートの重要性について伺った。

▼リアルタイムで顧客サポートができる「Zopim」とは…

「世界で戦うチャンスを掴む」ためにReproにジョイン

私は現在ReproでCTOを務めているのですが、ここに辿り着くまでには数々の会社を転々としてきました。

最初はSIerでセールスマンをしていたり、その後立ち上げた会社ではプログラムだけを残してエンジニアがいなくなったためにエンジニアに転向したり(笑)。海外の会社で働いていたこともあります。

そのように何社か経た後、弊社の代表の平田に「今の会社を続けるのと、世界で戦えるチャンスを掴むのとどっちが良い?」と問われて。

世界で戦うチャンスって人生の中でもそう無いと思うんですよね。その少ないチャンスを取りに行きたいと思い、Reproにジョインし、CTOを務めています。

そもそも導入されなければ良さは伝わらない=導入支援は必須!

弊社のサービスReproは、ユーザーがアプリをどのように使っているのかを動画で確認することができるサービスです。

同時に提供しているアナリティクス機能と連動して 、 ユーザーにプッシュ通知やアプリ内メッセージなどを送信でき、アプリの定着率・コンバージョン率を改善することが出来ます。

これらを、弊社が提供するSDKをアプリ内に組み込むことで実現できるような仕組みになっています。

このようなサービスは、SDKを組み込む作業や、ユーザー体験への懸念点がちょっと出るだけで、導入自体をしてもらえなくなるというリスクをかかえています。

特に、導入されなければサービスの良さを感じてもらうことも出来ないので、導入支援のカスタマーサポートは必須なんです。

そのような理由から、まずはZendeskを導入してサポートを行っていました。ただZendeskの場合だと、ユーザーから問い合わせが来て初めてこちらで対応ができるんですね。

相手が困っている時にリアルタイムで対応することが出来ないなと。その課題を解決するために追加で導入したのがZopimです。

プッシュ型でユーザーをサポートできるチャットツール「Zopim」

Zopimは自社のWebサイトにチャット機能を埋め込むことで、訪れたユーザーとリアルタイムのチャットができるツールです。他にも似たようなサービスはあるのですが、当時はZopimだけがトリガー機能に対応していたんですよ。

トリガー機能は、ユーザーの状態に応じてこちらからプッシュ型でアクションを起こせる機能です。

例えば料金体系のページを見ているユーザーには、「何か料金体系で疑問はありますか?」ということをこちらから聞くことができるんですね。プッシュで聞くと「何も困っていません」という回答も多いのですが(笑)。

▼自社サイトにチャット機能を埋め込むことができる「Zopim」

Zopim導入後もZendeskは使い続けています。と言うのも、ZopimはZendeskの運営会社に買収されたこともあり、2つのサービス間の連携がスムーズなんです。

例えばZopimはチャットサービスなので対応できる時間に限界があります。その場で対応出来なかった人に後ほどZendeskからメールで回答を送ることが出来ますし、「後ほど回答します」というメールを自動的に送信することも可能です。

訪問者の状態や条件に応じて自動的にメッセージを送ることも出来ます。例えば一定秒数を超えてReproのセットアップページに滞在している人はどこかでつまづいている可能性があるので、こちらからメッセージを飛ばしています。

そこからユーザーが応答することでチャットが始まるのですが、その際にこちら側では訪問者の行動履歴も分かるようになっています。

その人が今までどのようなページ遷移を経て今いるセットアップページに辿り着いたのかが分かるので、対応もスムーズになりますね。

▼セットアップでつまづいているユーザーに「何かお困りでしょうか」と声掛け

また、これは全く想定していなかった使われ方なのですが、海外エンジニアがZopim経由で履歴書を送ってくる事があるんですよ(笑)。

彼らは凄く賢いので、ヘッドハンターの取り分を浮かせて自分の給料に上乗せしようとするんですね。そのためにZopim経由で直接コンタクトを取ってくる。向こうでは当たり前のやり方なのですが、日本では馴染みがないので最初は驚きました。

エンジニアにも「本当の顧客の声」を聞く機会は必須!

私は、たとえエンジニアであっても直接顧客の声を聞く機会があるべきだと考えています。営業やセールスの人が顧客から言われた内容を又聞きしても、そこにはビジネスサイドの意見が無意識のうちに介入している可能性があるんですよね。それをエンジニアは「それって本当の顧客の意見なの?」と勘ぐってしまうんです。

顧客にとって使いづらいことが分かっていても、面倒な作業をつい後回しにしてしまう。それがオンラインチャットなどで顧客から直接言われると、「はい!直しておきます!」となるんです(笑)。

チャットだけでは十分ではないと考えているので、ユーザーヒアリングに行くときもエンジニアは必ず行くようにしています。

技術だけはNG プロダクトのあるべき姿を決めるのは「顧客目線」

Webサービスを運営している企業であればどこでも、リアルタイムチャットは絶対に導入したほうが良いと思います。ユーザーが本当は何に困っているのか、正確に再認識できるので。弊社でも以前はサポートに対してのマインドは低い状態でした。

それが今では、エンジニアがテクニカルサポートを担当し、よくある質問はFAQとして整備、そのPVを全て計測して効果測定をすることまで行うようになっています。

ユーザーサポートって、Zendesk入れておけばいいんでしょとか、問い合わせフォームがあればいいんでしょとか、そういう事じゃないんですよ。

エンジニアとして、技術的なトレンドも重要ですが、顧客目線での方向性も見ていかなければ、プロダクトとしての「あるべき姿」の判断が出来ない訳です。

今後ユーザーが増えてくると全てにリアルタイムで対応していくことは難しくなると思いますが、今のフェーズでは出来る限り顧客の声を聞いていくようにしたいですね。(了)

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