• 株式会社リクルートライフスタイル
  • ネットビジネス本部 ディベロップメントデザインユニット
  • 梶原 成親

2,000人のタスクを一元管理する「JIRA」の使い方!全員の業務負担の可視化に成功

今回のソリューション:【JIRA/ジラ】

今、誰がどんなタスクをどのくらい抱えていて、それぞれの進捗はどのようになっているのか。プロジェクトの管理者やチームマネジメントを行う人であれば、その状況は常に把握しておきたい。

そこで力を発揮するプロジェクト管理ツールのひとつが、「JIRA(ジラ)」だ。開発からビジネスサイドまで、あらゆるタスクを「チケット」として整理し、パワフルなレポート機能によってプロジェクト進捗や各メンバーのタスクの消化率などを可視化する。

「HOT PEPPER」「じゃらん」「ケイコとマナブ」等のサービスを開発・運営する株式会社リクルートライフスタイル。同社でもJIRAを導入し、メールによるタスク管理から脱却したことで、業務フローの整理とコミュニケーションコストの削減に成功したという。

100→2,000と、社内のユーザライセンス数が急拡大したという同社でのJIRAの活用法を、社内への浸透活動を担った梶原 成親さんにお伺いした。

メールでのタスク管理は限界。ノウハウ属人化の課題も

2014年にリクルートライフスタイルにジョインし、現在はホットペッパービューティーの開発メンバー100名程のマネジメントを担当しています。また並行して、社内の生産性を向上させるための組織を立ち上げて、開発環境の整備も行っています。

個人的に、仕事を効率的に進めたいという想いが強くて。アナログで業務を行っている様子を見ると「そんな面倒くさいことやめなよ」って、つい言いたくなってしまうんです(笑)。

紙ベースの会社として50年以上も続いてきたリクルートは、Webの世界の中で立ち上がった企業とはバックグラウンドのカルチャーが異なる部分がやはりあります。

1990年台からWebサービスには参入を始めていますが、まだまだ組織としては脱皮を図っているフェーズにあると感じていて。それは業務効率化という面でも、当てはまる部分があると考えています。

例えば私が入社した当時は、ほぼ全てのタスク管理はメールを中心に行っていたんです。従ってToDoを確認する時には、該当するメールのスレッドをその都度探し出す必要がありました。1日約2,000通ものメールが来る中で、必要なスレッドを見付けて、会話を遡ってステータスをチェックして…正直かなり大変でしたね。

プロジェクトにまつわる知識も属人化していたので、突然離任が決まったりするとその人が持っていたノウハウが隔絶されてしまったり。「昔こんなことがあったんですよ」と長く在籍しているメンバーに言われても、「えっ?」みたいな感じでしたね(笑)。

「タスクの見える化」を推進するため、JIRAの拡大導入を決定

こういった課題を解決するために、ノウハウをメールに閉じ込めずに、チームメンバーに「全て見える化する」という習慣を社内に植え付けたいと考えました。

実は私は、前職で大手Webサービス会社に勤務していた時も、生産性を向上させるためのプロジェクト管理ツールの選定に携わった経験がありました。その時に導入したのがAtlassian社製のJIRAとConfluenceで、導入後は社内ユーザーのサポートも担当していました。

弊社でも以前から、社内の一部でJIRAとConfluenceを限定的に使ってはいました。そこでJIRAを使って「誰が、どこで、どのような内容のボールを持っているか」ということを見える化する提案をし、約1年前にJIRAの導入拡大が決まりました。

「何ができるようになるのか」を見せることで、社内への浸透を図る

ただ、導入を決めてから社内に浸透させるのは大変でした。やはり既存の仕組みを変更するとなると、どうしても面倒ですし嫌ですよね。

そこで、当時苦労している人が多かった「メール内のタスクを探す」という部分を改善しませんか? という提案をして、JIRAのカンバン機能を使って各メンバーのToDoがひと目で分かるようにしてあげたんです。

「今までこうだったものが、こう変わる」という型を1つ作ってあげて、設定の仕方や使い方のノウハウも共有するようにして。ここまでの仕組みを作ったことで、安心して使い始めてもらうことができたのだと思います。

1年前にはJIRAのアカウント数は100程度だったのですが、今では2,000名ほどが使っています。主な用途はプロジェクトの進行管理なのですが、新しく入社する社員向けの備品の手配のような庶務的なタスクも含めて、幅広く活用しています。

各メンバーのタスクの可視化で、リソースの適正分配が可能に

使い方としては、まずは各メンバーがタスクを「チケット」として申請し、その後は進捗に応じてステータスや担当者を更新していきます。チーム毎に、現在抱えているタスクやプロジェクト全体の状況などがリアルタイムで追える状況になっていますね。

例えばユーザーサポートであれば、お問い合わせ1件1件の進捗がJIRAで可視化されているので、チームがしっかりと全てのサポートに対応できているかどうかひと目で確認できます。

JIRAはレポート機能がパワフルで、CSVをダウンロードして集計するといったことをしなくても、自動的に各メンバーのチケットの消化割合を算出してくれます。

画面上で簡単に確認できるので、誰かがちょっとサボっている、なんていうこともすぐに分かりますね(笑)。「Aさんに業務が偏っているからBさんに割り振ろう」というような判断も、以前より素早くできるようになりました。

▼JIRAのレポート機能によって、様々な数値が可視化される

個人のタスクが可視化されていない場合、例えば抱えているタスクが少ないBさんに「今すごく忙しいんです」と言われてしまうと、「そうですよね…」と反応するしかなくて。

でもJIRAを導入したおかげで「誰の手が空いているのか」ということが明確になったので、工数配分を適正化するための1つの起点ができたと思います。

タスクの進捗はプロジェクト単位でも確認できるので、「ここに人が足りていない」というように、リソースが適切に分配されているかを確認することもできます。

タスク管理を楽にする、様々な機能も活用

JIRAにはプロジェクトの進捗管理を助ける様々な機能がありますが、最も使っているのは「JIRAアジャイル」という機能です。カンバン形式のボードを使って、プロジェクトの進捗を見える化しています。

▼「JIRAアジャイル」機能を使いカンバン形式でタスクを管理

また、「ダッシュボード」という必要な情報だけを選んで集約できる機能も、効果的に使うためにカスタマイズを重ねています。それぞれの社内ユーザーにとって「自分にとって必要な」情報が、ダッシュボードを見るだけで全て分かるようにしていますね。

特に開発者の場合は自分宛てのチケットを素早く見つけたいという気持ちがあるので、できるだけ見やすい形で自分のタスクやそれに関連する情報をダッシュボード上にまとめるようにしています。

▼ダッシュボード上には必要な情報だけをまとめることが可能

Confluenceで企画書⇔JIRAでタスク管理 双方向の連携を実現

また、同時期に拡大導入をした情報共有ツールのConfluenceとJIRAを、互いに連携させています。

Confluenceは日報や、申請手順、企画設計書といった情報を蓄積・共有するために使っていて、例えば企画を立ち上げる時にはビジネスサイドの人間が企画書をConfluenceに書き、その場で詳細なディスカッションを行っていきます。更にConfluenceでは「タスクリスト」という機能を使って、ユーザーにタスクを割り当てることができます。

またJIRAと連携する事で、Confluence上のテキストをハイライトすれば、JIRAのタスク登録用のアイコンが表示され、そのままタスク登録されるようになっています。そしてJIRAで進捗を更新すれば、それがそのままConfluenceでも更新されます。

ビジネスサイドのメンバーが企画毎にステータスを確認したい時にはConfluenceを確認すれば、誰がどんなタスクを抱えているのか、それぞれの進捗はどうか、ということを簡単にチェックできる仕組みができています。異なる職種間のコミュニケーションの効率化にも繋がっていますね。

タスクを割り当てるプロセスの統一化で、業務進行もスムーズに!

JIRAを導入したことで属人的だった情報が可視化され、「誰に聞いたらいいのかわからない」といった状態はなくなりました。また、タスクの依頼自体をスムーズにするためにJIRA上に依頼フォームを作り、タスクをアサインするプロセスを分かりやすいものにしました。

▼タスク依頼をスムーズにするためのフォームも作成

以前は誰かに業務の依頼をしても、「メールでお願いします」とか「必要事項が書かれてないのですが…」なんて言われることもあったんです。そんな時は「すみません…」という感じでもう一度依頼し直していました。

フォームという形で予め依頼に必要な要件を定義しておけば、依頼に必要な項目が足りないから突き返される、ということもありません。今後は全社により一層JIRAを使うことを浸透させ、タスク管理を更に効率化していきたいと思っています。(了)

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