• 株式会社サーチフィールド
  • 代表取締役
  • 小林 琢磨

経営陣と現場の「ズレ」を是正する!第三者目線で行う、抜本的な人事改革とは

今回のソリューション:【人材研究所】

ベンチャー企業が成長していく時には数多くの壁にぶつかる。時にそれは売上の壁であり、より根深い「人材育成」の壁もある。

イラスト領域に特化した製作、クラウドソーシング等を展開する株式会社サーチフィールド代表の小林 琢磨さんもその「人の壁」にぶつかった。

その時に選択したのは、「人材研究所」というプロの力を借りることだった。結果として見えてきたのは、経営陣と現場の間に事実として存在する「ズレ」だったのだという。

今回はこちらの取り組みの経緯について、小林さんに詳しくお話を伺った。

まずは想いだけがあった 仲間と始めたクリエイターを支援する会社

大学時代から「クリエイターを支援する事業を起こしたい」と考えていたので、新卒で入った会社を1年と少しで退社して仲間5人で起業したんです。

今だからこそ言えますが、当時は何もわかっていなかったと思います。営業という強みはあったのですが、それ以外は全く(笑)。今では信じられないのですが、当時はPhotoshopさえ知らなかったんですよね。

ただひたすらクリエイターと企業を繋ぐことを考え続け、今ではおかげさまでメイン事業のイラスト制作以外の事業も拡大中です。「FAAVO(ファーボ)」という日本発の地域に特化したクラウドファンディングや、「トリガー」というマンガサロンがオープンに向けて動いています。

売上の壁は自力で乗り越えた 本当に難しいのは「人」の壁

これまでを振り返ってみて思うのは、ベンチャーって頭ひとつ抜けたい時に、必ず売上と人の2つの壁にぶつかるなと。弊社も例外ではなく、両方の壁にぶつかりました。売上の方は自分たちの力で乗り越えられたんですが、本当に難しいのは人の壁でした。

社員数だけで言うと30人くらいまでは一気に増えましたが、その後ここ1年ずっと35人前後でほとんど変わっていなくて。

入ってきても同じだけ「卒業」して出て行ってしまう。これはどうしようかと。

ここから先、会社を大きくしていくためには何をすればいいんだろうかと、本当に悩みました。よく聞く話かもしれませんが。

マネジメント層を育てるため「エース量産計画」を行うも…

最初は自力で人の壁を乗り越えようとしました。社内を見て「何が足りないんだろう」と考えたんです。その中で僕たち経営陣に見えてきたことのひとつが、マネジメント層を育てきれていない、ということでした。

そこで採用を強化して優秀な新卒を採って、育てようとしたんです。

でもそれで「エース量産計画!」をやってみても、できない。経営陣に続く次の世代が育たない。そういう人が育っていかないので会社自体の雰囲気もなんとなくぬるくなってしまう。

最初の「どベンチャー」みたいな状態から会社が成長した事もあって、中途入社の人もこの会社は安泰だってのんびり構えていたり。「これじゃあダメだ、会社が良くならないぞ」と思いました。

眼前の高い壁を越え、会社を成長させるために全てを変えるという決意

ここで、優秀な人を採用するだけではダメだということに気が付いたんです。

採用の方針なのか、会社の価値観なのか、人事評価なのか、どこを変えれば僕らの求めるマネジメント層が育つのか考えました。すごくわかりにくく根が深い、高い壁にぶつかっていると実感しました。

ただ、だからこそ変えていかないといけない。この壁を乗り越えたい。会社を大きくしたい。だから全部、大々的に制度を変えようと

そうであれば、もう自分たちでやらないで社外の方に入ってもらおうと決めました。会社が7期目に入ったタイミングです。「人」の壁を乗り越えるなら、今しかないのではないか、と考えました。

知らなかった現場の声。「経営陣はイラストを愛していない」と思われていた!

そこで出会ったのが人事系コンサルティングの株式会社人材研究所です。人の壁を乗り越えられる抜本的な人事改革を、ベースの部分から一緒に進めています。

まずは全社員と面談していただいて、客観的な課題を洗い出してもらいました。さらに、僕たち経営陣の悩みも聞いて頂いています。

すごく良かったのが「僕たち経営陣と現場の認識にズレがある」ということを客観的に教えてもらえたことです。

「どっちが正しいというわけではないですが、客観的な事実としてズレがあることを受け入れて、直すべきところは直していきましょう」と。

例えば、僕の伝え方が数字に偏って話していたせいか、現場からは「経営陣がイラストを愛していない。」という声も(笑)。

イラスト、大好きですよ、僕は!でも客観的事実としてそれが伝わっていないということを見せられて。だから伝え方を変えていきましょうと言われたわけです。

難易度の高い評価方法の提案も 進んでいく改革に確かな手応え

今は、月2回コンサルティングに入ってもらっています。課題や解決策のブレストをして、宿題を出してもらって。入ってもらって一番変化を実感しているのが、評価制度としてグレード制を導入したことです。

今までは絶対評価だったので、仕事内容や職種がさまざまな中で明確に評価できていませんでした。グレード制は相対評価で、グレードの階層によって評価基準を作っています。

実際に導入してみると、仕事の責任もはっきりしましたし、「個人の役割」とその「達成度」が紐付いた納得感のある評価制度ができました。今までの「ぬるい」雰囲気も変えられると思います。

このグレード制の導入についてもたたき台を作ってもらいました。この「たたき」までしっかり作って頂けることがすごく助かっています。

評価制度を作る上ですごく難しい点は、簡単に間違ったものを作れない、という点です。メンバーに直結しているので、責任が非常に大きいのです。

結果を出した人がきちんと評価される、納得感のある仕組みづくりがすごく難しくて。だからこそ、実際にプロの方にたたき台を作ってもらえることは本当にありがたかったですね。

「外の人に何がわかる!」ではなく、外の人にしかできないことがある

実を言うと、最初はコンサルティングを入れることに抵抗も感じていました。いわゆる「外の人に何がわかる!」というやつです(笑)。

でも、外の人にしかできないことがあるんです。今では非常に信頼していますし、毎回毎回のミーティングに多くの価値を感じています。

まだ改革途中ではあるのですが、良い方向に進んでいると確信していますね。自分たちでは何をすればいいのかわからないことに関して、百戦錬磨のプロがアドバイスをくれる、そんな感覚です。

この改革は大きな判断でしたが、本当に良い選択だったと思っています。

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