
- 株式会社リクルート住まいカンパニー
- 企業統括室 統括部 総務グループ
- 原澤 豊
オフィスがリノベーションで生まれ変わる リクルート住まいカンパニーの新空間とは

今回のソリューション:【DRAFT/ドラフト】
〜築25年のオフィスビルをインテリアデザイン会社の「ドラフト」と共に、リノベーションによって生まれ変わらせた事例〜
【目次】
- 丸の内の高層ビルから築25年のビルへ移転 懸念されたのは…
- 社員が幸せになるオフィスを「リノベーション」で実現する!
- 実現したいことの「1歩先」を提案してくれた株式会社ドラフト
- より愛着を持つために 社員がDIYでオフィスづくりに参加!
- 扉を開けると新しい世界が広がる、コミュニケーションスペース
- 「新しい働き方」を実現できるオフィス環境をつくっていく
全国の不動産売買・住宅購入・賃貸情報ポータルサイト「SUUMO(スーモ)」を運営する株式会社リクルート住まいカンパニー。同社オフィスは、2015年夏に丸の内のグラントウキョウサウスタワーから現在の日東紡ビルディングに移転した。
駅直結の新築・高層ビルから、平成元年に施工されたビルに移る、ということで懸念されたのが、社員のモチベーションの低下だ。
そこで同社では「社員が働きやすい」オフィスづくりにこだわり、株式会社ドラフトと共に「リノベーション」によって新しいオフィスを創りあげた。
さらに社員により愛着を持ってもらうために「DIYチャレンジ」という企画を実施し、社員が職人と共に柱の切り出しや、床材を貼るといった作業工程に参加したのだという。今回は同社で総務を務める原澤 豊さんに、今回のオフィスづくりに関するこだわりをお伺いした。
▼社員も参加した「DIYチャレンジ」で生まれた空間とは…
丸の内の高層ビルから築25年のビルへ移転 懸念されたのは…
私がリクルートに中途入社したのは、2005年のことです。まだ分社化が行われる前で、2008年からはリクルート住まいカンパニーの前身である「住宅カンパニー」という部署に在籍していました。2012年に分社化があってリクルート住まいカンパニーが誕生し、その後2015年の4月から総務とコンプライアンスを担当しています。
現在の総従業員数は1,700名ほどになりますが、総務は5名のグループでオフィスのファシリティの整備、BCP対応、各種総務サービスをはじめとする、組織全体に関わる業務を行っています。
弊社のオフィスは、今年の5月まではリクルートホールディングスと同じ丸の内のグラントウキョウサウスタワーにありました。2015年のGWに、弊社はこの日東紡ビルディングともう1箇所に移転になりました。
サウスタワーという駅直結の新築・高層ビルから、平成元年施工のビルに移る、ということで、ひとつ懸念点がありました。それは、社員のモチベーションの低下が起こらないか、ということです。そこで今回は、いかに社員にとって働きやすい環境を作るか、ということを軸に、オフィスづくりを考えていきました。
社員が幸せになるオフィスを「リノベーション」で実現する!
まず、オフィス移転のテーマに掲げたのは「Office for Smile」です。背景にあるのは弊社のスローガン「Sumai(住まい) for Smile」なのですが、社員がより幸せになれるようなオフィスを目指していこうと考えました。
それを実際に表現するための機能として、やりたいことが実現できること、集まれること、選べること、つながれること。これら4つを設定しました。
そして次に、デザイン設計上のコンセプトを「リノベーションTOGHTHER!」に決めました。私たちは住まいのビジネスを展開していく中で、古いものを活かす「リノベーション」に関しても発信を続けてきています。
そんな我々が築25年のビルに移るということになった時に、そのまま使っては私たちの会社の魅力が薄れてしまう。少しでも私たちの社風を伝えたい、ということで、リノベーションを取り入れていくことに決めたんです。
実現したいことの「1歩先」を提案してくれた株式会社ドラフト
この「リノベーションTOGHTHER!」というコンセプトの元に「Office for Smile」を実現する4つの機能を入れる、という要件で、デザイン会社さんでコンペを行いました。
どの会社さんも、 私たちの会社の位置付けや、実現したいことを体現してくださっていた提案だったと思います。ただその中でも、私たちの目指すものの1歩先を、最もリアリティーのある形で提案していただいたのがドラフトさんでした。
ドラフトさんの提案で面白かったのが、「社員がDIYでオフィスをつくる」という企画でした。プレゼンテーションの一番最後に別の資料が出てきて「これ、実はさっき考えてきたんですけど…」って。
社員みんなでオフィスを作ることで、オフィスに愛着が湧くだけではなく、リノベーションの価値をみんながわかるようになるのでは、という提案でした。
「ドラフトさんはこういった企画を過去にされたんですか?」と聞いたら、「いや、ないです」って(笑)。面白いな、と思いました。賃貸物件に住んでいる従業員も多いですし、リノベーションって、なかなか体験できるチャンスがないじゃないですか。
このような機会に提供できたらいいなって。 そこでドラフトさんにオフィスデザインをお願いすることも決まり、DIYの企画も進めていくことになりました。
より愛着を持つために、社員がDIYでオフィスづくりに参加!
実際には、「DIYチャレンジ」という社内企画を立ち上げて、メールで参加者を募りました。思った以上に反応は良かったですね。住宅の会社なので、このような企画はネタにもなりますし、商品・サービス企画の担当者からの応募は特に多かったです。
もちろん社員が施工全体に関わると納期が遅れて大変なので、実際には工期の中の3日ほどを使って、1人1時間、のべ30名ほどが参加しました。ほぼ内装工事のような感じで、柱をノコギリで切ったり、フローリングの床材を貼ったり、壁紙やタイルを貼ったり。
職人さんにサポートいただきながら一緒に作業をさせていただきました。なかなか自分でする機会もない作業だったので、みんな楽しんでいましたね。個人のSNSで拡散している社員もいましたよ。
▼実際の「DIYチャレンジ」時の様子
▼社員が切り出した柱を使った天井部
扉を開けると新しい世界が広がる、コミュニケーションスペース
今はこの日東紡ビルディングの3〜6階、そして12〜14階を借りているのですが、今回のコンセプトを特に表現しているのは12階に設けた「コミュニケーションスペース」かと思います。
元々社員から、少人数の打ち合わせや、集中したい時にこもって作業ができる場所がほしい、という要望があったので、このようなスペースを作りました。
まず入り口の扉が特徴的です。 リノベーションというテーマにも沿うように、廊下側は敢えて古いままで残し、そこを開けると一気に新しい世界が広がっている、という構造にしました。
▼コミュニケーションスペースの入り口
▼社員が集まる「コミュニケーションスペース」
「ファミレス」と呼んでいるスペースには、液晶モニターとして利用しつつ、同時に白いペンで画面上にホワイトボードのように書くこともできるようにしています。
▼社員が向かい合って作業をする、通称「ファミレス」 間には集中スペースも
また、一面の壁には可動式の4枚のホワイトボードを設置しています。これを合わせて使うことで、プロジェクターで映せるスクリーンの役目も果たす仕組みです。この場所ができたことで、勉強会やクライアントさんを招いたセミナーなどを実施できるようになりました。
▼ホワイトボード兼プロジェクターを設置し、セミナーなどの実施も可能に
「新しい働き方」を実現できるオフィス環境をつくっていく
コミュニケーションスペースは全体的にはオープンな作りになっているのですが、集中スペースも設けることで、1人で働くか、みんなで打ち合わせをするかを選ぶことができます。そして1人で作業をしていても、他のみんなの声も聞こえるので、つながっている感覚もある。そんな場所になりました。
他の会議室とは違って予約をとらなくても使えることもあって利用率は非常に高く、時間帯によっては席がすべて埋まっているような状況です。この場所にも現れているのですが、弊社では、座席にフリーアドレス制を一部で採用したり、「新しい働き方」を取り入れているところです。
今後も社員にとって働きやすい環境を実現していきたいと思っています。(了)