- コラボレーター
- SELECK編集部
- 舟迫 鈴
オンラインで「接客」できる!Web上における顧客対応の進化とツールを紹介
いま注目の「オンライン接客」ってどういうこと?
近年、リアルな店舗と変わらないレベルの接客をネット上で行える「オンライン接客」が注目を集めています。
実際の店舗でモノを販売するときに、欠かせないのが「接客」。その対応次第で、顧客の来店数が大きく変わると言っても過言ではありません。その一方でオンラインとなると、1対1での顧客対応はなかなか難しいのが実情でした。
例えば購入履歴のある顧客に対して、類似する属性のアイテムを「オススメ」として表示・紹介する程度が一般的でした。しかし、それはあくまでシステム上に組み込まれたリストに過ぎず、個別の顧客それぞれに適した商品を提案できているわけではありません。
その課題に対応するために登場したのが、「オンライン接客ツール」です。サイトにアクセスした顧客の属性に合わせて、チャットやDM・ビデオ通話などを介し、個別にリアルタイムでアプローチができる新しいソリューションになります。
では、実際にオンライン接客をWebサイトに実装すると、どのような変化が期待できるのでしょうか。
オンライン接客を導入することで、収益が20%以上アップする!?
オンライン接客の導入でどの程度売上などの数値が伸びるのか、それがサイト運営者にとっては最も重要なポイントです。
世界で18,000社が導入するオンライン接客ソリューション「Live Person」を導入した小売店では、以下のような数値の伸びが確認されています。
- コンバージョン率:約15%~30%の増加
- 購入数:約10%~15%の増加
- 収益:全体収益が約12~25%の増加
- 平均購入額:購入1件あたり約35%増加
- 顧客満足度:85%以上が満足と回答し、さらにリピーターが増加して商品返品は減少。
これは米Live Person社が報告している、Webの小売店がオンライン接客を導入した際の結果レポートです。
全体的なパフォーマンスが平均で約20%前後増加しているだけではなく、85%以上の顧客がサポートについて大変満足であると回答しています。それに伴ってリピーターも増加し、商品の返品も減少したそうです。
実物を手に取って確認できないネット上だからこそ、「何かお困りですか?」という、ショップからのリアルタイムなサポートは、顧客に大きな安心感を与えると言えます。
ECから教育まで。日本におけるオンライン接客導入の導入事例4件
最近では、日本でもオンライン接客を導入する企業が増加しています。代表的な事例をいくつかご紹介できればと思います。
ファッション系ECサイト「BEAMS Online Shop」
紳士服、婦人服、バッグ、靴、雑貨等の販売を行う株式会社ビームスが運営するBEAMS Online Shopでは、2015年6月に、父の日のキャンペーンサイトにて「チャットコンシェルジュ」を初めて導入しました。
このサービスを利用すると、ユーザーはスマートフォン上でオンラインショップの運営側と1対1でリアルタイムにチャットを行うことができます。
ファッション系ECサイト「SHIBUYA109 Online Store」
同じくファッション系のECサイトでは、SHIBUYA109をはじめとしたファッションビルを運営する株式会社東急モールズデベロップメントがオンライン接客ツール「Flipdesk(フリップデスク)」を導入しています。
今後ECサイトにとって大切なのは、「ただ物を売るだけ」ではなく、コミュニケーションを楽しめるようなエンターテイメント性を持つことだと考えています。リアルとネットの境目が無くなりつつある今、リアルの世界と同じような接客をネット上でも行っていくことが必要です。
ベネッセが運営。勉強や進路を相談できる「勉強なんでも相談室」
通信教育「進研ゼミ」などを提供する株式会社ベネッセコーポレーションでは、オンラインチャットツールを導入し、2014年12月より「勉強なんでも相談室」という育児・勉強・進路などの相談をリアルタイムに受け付けるサービスを開始しています。
ITに強い求人サイト「Green」
株式会社アトラエが運営する転職サイトGreenでは、オンライン接客ツール「KARTE(カルテ)」を導入し、訪問者の属性に合わせた個別の顧客対応を実現しました。結果的に、ある経路からのコンバージョン率は30%改善したそうです。
顧客への提供価値を考えたときに、オンラインだからリアルに比べて価値が下がるということはあってはならない。むしろ同等以上を実現することが可能だと思います。
そう考えたときに、最近ECサイトで実行されているWeb接客を見て、ピンときたんです。これはGreenにも絶対に必要だと。リアルな場所でのキャリア面談で体験できる良さを、Web上でもユーザーが享受することが可能になると思ったんですね。
このようにオンライン接客のソリューションは、いまやECサイトだけではなく、教育や採用といった幅広い分野で活用されるようになっています。
国内で人気が高い、オンライン接客のソリューション3例
オンライン接客の概念は日本ではまだ新しいものですが、海外ではアメリカを中心に幅広く浸透しています。その中でも、いくつか実績のあるサービスを紹介します。
KARTEは他のソリューションと比べ、来訪者の属性や履歴・使用しているデバイス・過去の購入履歴などをリアルタイムに解析することが特徴です。
解析・収集したデータをもとにして、それぞれの顧客属性に合わせたクーポン発行・バナーの表示などで、コンバージョンに繋げることができます。
Flipdeskは元々はスマートフォン向けのソリューションとして始まりましたが、現在ではマルチデバイス対応のWeb接客ツールとして人気を集めています。
KARTEと同じく、来訪者の属性別にクーポンやポップアップの表示、リアルタイムでのチャットサポートなどが特徴的です。
Zopimはカスタマーサポートの色合いが強いサービスになります。リアルタイムチャットに多言語対応・スマホ対応、さらにはチャット履歴はいつでも閲覧可能となっています。
以上が、日本国内で人気の高いオンライン接客ソリューションになります。
現段階ではまだ導入している企業は僅かですが、将来的にはWebサイト上での「接客」は当たり前になる時代が訪れるのではないでしょうか。