• 楽天株式会社
  • 総務部 ファシリティマネジメント課 課長
  • 高橋 朋之

社長室ナシ!楽天の新拠点「楽天クリムゾンハウス」で実現した、1万人規模の情報共有(後編)

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〜楽天の新拠点「楽天クリムゾンハウス」で実現されたことは? 約1万人の社員が同じオフィスで情報を共有することで、グループ全体のシナジーを高めることに成功〜

組織力を高める上で、重要になるのは情報共有だ。しかし企業規模が拡大するにつれ、部署や支社、子会社などの数が増え、全社レベルでの情報共有は難しくなってくる。

そんな中で、情報共有への取り組みを積極的に行っているのが楽天株式会社だ。従業員約1万2千人、子会社約100社、海外主要拠点約28を含む同社では、週に1度は必ず全社の朝会を行っているという。

同社は、2015年夏に移転した二子玉川の新拠点「楽天クリムゾンハウス」に移転した。こちらでは、2,000人規模の人数を収容する朝会会場だけでなく、情報共有とオープンなコミュニケーションが最適な形でなされるように随所で工夫がなされているそうだ。

同社のファシリティマネジメント課で課長を務め、「楽天クリムゾンハウス」の構築に携わった高橋 朋之さんに、詳しいお話をお伺いした。

▼エントランスのスクリーン

楽天クリムゾンハウス_エントランス

※「楽天クリムゾンハウス」のコンセプトや、従業員に提供したかった価値についてお伺いした前編記事はこちらです。

家とオフィスの中間!?楽天の新拠点クリムゾンハウスが提案する新しい働き方(前編)

社長室もなし オープンコミュニケーションを大切に

二子玉川の新拠点、クリムゾンハウスには社長室も役員の個室もありません。その代わり、役員にはオープンスペースに座ってもらっています。個室自体をできるだけ無くしていて、会議室もガラス張りです。

その理由は、とにかくオープンなコミュニケーションを大事にしたいと考えているからです。会議室にこもって会議をするだけではなくて、オープンスペースで自然に話し合いが行われることで、新しい何かが生まれやすくなると思っています。

▼ワーキングスペースの隣には、オープンスペースが設置されている

楽天クリムゾンハウス_オープンスペース

楽天では、周りの人が何をしているのか考えながら仕事をするのが、ベーシックになっています。 過去にはパーテーションで仕切ったオフィスを作っていたこともあったのですが、数週間でやめようという話になりました。情報が遮断されてしまうことが廃止の理由でした。そういった経験も活かし、極力オープンなオフィス作りをしています。

会社全体で「何が起こっているのか」の共有を徹底する文化

また、弊社は情報共有をとても重要視している会社で、オフィスも社員が情報共有をしやすいように作られています。それぞれの従業員が会社全体のことを知った上で行動してほしいという考え方が根底にあります。

経営にとって重要な情報を、いわゆるマネージャー以上の役職の人に限定するのではなく、全ての従業員に共有するような文化があります。

自分の部署だけでなく、他部署で起こっていることも常に社内に共有されます。その前提のもとで、社員1人ひとりが「自分が何をすべきか」、「どういう判断をすべきか」、ということを考えてもらいたいというのが会社の方針ですね。

▼会議室にはビデオ会議システムが標準装備

楽天クリムゾンハウス_会議室

社内では、ビデオ会議システムと大型モニターをほぼ全部の会議室に導入していて、どこでも他拠点との会議ができます。同じビル内で離れた場所にいてもすぐにビデオ会議ができるような環境を用意しています。

▼ワーキングスペースでも情報共有がなされる

楽天クリムゾンハウス_ワーキングスペース

また、ワーキングスペースやエレベーターホールにもモニターがついていて、こちらでも社内の情報が共有されるようになっています。

▼エレベーターホールにもモニターが!

楽天クリムゾンハウス_エレベーターホール

2,000人を収容する朝会の会場 海外オフィスも含め全社員が参加

情報共有に関して特に力を入れているのが、全社の朝会です。2,000人ほど収容可能な朝会用の場所を社内に用意しています。そして朝会では50拠点以上が同時に接続し、リアルタイムで参加できるようになっています。以前は月曜日に実施していましたが、海外拠点からの参加者の時差も考慮し、今は毎週火曜日の朝に行っています。

▼他の拠点ともリアルタイムにつながる朝会会場

楽天クリムゾンハウス_朝会会場1

「このためだけにこの広い場所を空けているんですか?」と驚かれることもありますが、我々はそのくらい、朝会の重要性が高いと考えているんですね。

▼約2000名を収容可能

楽天クリムゾンハウス_朝会会場2

45分ほどの朝会の冒頭で、三木谷が世界中の全社員に向けて毎回10分ほどでスピーチをしています。海外含めて様々な企業へ行って感じたことや、経営について今思っていることなど、直接全社員に届けたいメッセージを発信していますね。

その後、各事業部の代表者より発表があります。業績にフォーカスしているときもあれば、新しいテクノロジーに関する発表や、英語化の進捗状況についての共有など、毎週中身を変えて、社員が幅広い情報を共有できるようにしています。

また、弊社では、成功事例の横展開を重要視しています。例えば、「楽天市場」のビジネスから会社の成長が始まったのですが、そこで成功した施策を他の事業で同じように試してみれば、失敗の可能性が低くなりますよね。

従って朝会でも、他の事業部で何が起きていて、どんな状況なのかを共有しています。我々はグローバルで活動しているので、日本で成功した事例の共有が、海外で展開する際のヒントになることもあります。

そういった意味で、情報共有を促進している朝会は、楽天の成長を支える大事な役割を果たしています。

バラバラのオフィスから「ひとつ屋根の下 同じ釜の飯」に

移転の大きなメリットとしては、ひとつのビルに東京の楽天グループ企業をほとんど集約できたことです。楽天グループの人と仕事をしようと思えばこちらで全部できるようになったので、来社いただく方にも大きなメリットが生まれたと思います。

品川シーサイドの時はビルが2ヶ所に分かれていただけでなく、グループ会社もバラバラの場所にあり、結果的に事業間のシナジーを生みづらいところがあったかと思います。離れていると一体感もないので、三木谷もその状態を変えたいという思いがあったようです。「ひとつ屋根の下、同じ釜の飯」に楽天の強みがあります。

高橋 朋之さん

実際に社員が同じ場所にいると、他の事業部の社員にふと出会う機会が多くなります。そこから新しいアイデアや気付きが生まれることがあると考えていますね。

別々のオフィスだとどうしても、ミーティングで設定されたアジェンダに沿って議論をすることに終始しがちで、それ以外の偶然の出会いから生まれるひらめきのようなことはなかなか起こりません。

同じところにできるだけ人を集めて、一体感がある中で様々なプロジェクトを進める、というのが楽天のスタイルだと考えています。事業部やカンパニーごとにオフィスを構えている企業も多いと思いますが、弊社は基本的になるべく一つに集約して、どんな事業でも同じ環境で行うことを大切にしています。

今回の移転では、「ひとつ屋根の下」の戦略を自分達で実現させた、という感じですね。オフィスを統一したことで、グループ全員が楽天の一員だと実感できるような環境の象徴ができたと思います。ここまで来るにはグループ各社への説得も含めて、すごく力を入れてきました。

今後も「楽天クリムゾンハウス」の環境をより良いものにしていきながら、楽天グループとしての一体感をより感じられる場所にしていきたいと思います。(了)

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