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ITで働き方は本当に変わる? クラウドツールで実現した「場所に囚われない」弁護士業

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今回のソリューション:【チャットワーク、MFクラウド会計、Google Apps、他】

〜複数のITツールの活用で、顧問先の企業とのやりとりや、社内業務を効率化・自動化。自由なワークスタイルを実現した「IT弁護士」の事例〜

近年、FinTechをはじめとする「クラウドによって業務を効率化するツール」が、様々な分野でリリースされている。しかしその一方で、IT以外の業界においては、そのようなツールの活用がなかなか進んでいないのも事実だ。

IT企業の法務支援に特化した弁護士法人ファースト法律事務所を運営する、弁護士 藤井 総さん。藤井弁護士は、顧客とのコミュニケーションにチャットツール「チャットワーク」を使い、さらに「MFクラウド会計」などを用いて、自社のバックオフィス業務もほぼ自動化している。

そうすることで、「事務所にいないときでも、どこでも業務ができる」状態を実現できたそうだ。例えば平日に海外旅行をしながら、現地で顧客の相談に応じることができるという一面も…。

ITは、人の働き方を大きく変えてくれる」と語る藤井弁護士に、業務におけるクラウドツールの活用について、具体的にお伺いした。

IT弁護士 クラウドツール

高校生のときにサイト運営 IT企業の支援に特化した弁護士に

弁護士法人ファースト法律事務所 藤井 総さん

私は「世界を便利にしてくれるサービスを生み出すIT企業をサポートすること」をミッションに掲げて、IT企業の法務支援に特化した仕事をしています。

もともと高校のときに自分でサイトを運営していて。Webに関する知識がある程度ありましたし、面倒な物事を便利に解決してくれるITが好きなんですよ。

弁護士になりたての頃は、まずは弁護士事務所に入って、企業の法務支援の経験を積ませていただきました。その後、自分自身のキャリアを選択するにあたり、IT企業への法務支援をしたら面白いなと思って、その分野の仕事に積極的に取り組んでみました。

今では約60社と顧問契約を結んでいますが、90%以上がIT企業です。スタートアップから上場企業まで、幅広く支援をさせていただいています。

ITツールを駆使すると、旅をしながら仕事ができる!?

現在お受けしている案件は、顧問先の企業様からの法務相談がほとんどです。十分な数の顧問先を持てるようになり、経営も安定しているので、今は世界中を旅しながら弁護士をしています(笑)。

ここ1年間で、タイ3回、台湾2回、ベトナム2回、それから香港、マカオ、マレーシア、ハワイ、ハンガリー、オーストリア、オランダ、セルビアなどに行きました。来月はイギリス、フランス、ベルギー、オランダと周遊する予定です。

これだけ海外へ行って、仕事は大丈夫なのかとよく聞かれるのですが、クラウドツールをうまく活用すれば、世界中どこにいても仕事ができるんですよ

実際、ホーチミンのカフェや香港の食堂、バンコクの寺院やムエタイ会場でも仕事をしていました(笑)。

▼実際に「世界を旅しながら」仕事をしている様子

弁護士法人ファースト法律事務所 藤井 総さん

もちろん、ITツールを使うことでお客様の満足度が下がってしまっては意味がありません。ただ、うまく活かすことができれば、むしろ業務をスムーズに進めることができます。

具体的に私が使っているのは、チャットツールの「チャットワーク」、会計ソフトの「MFクラウド会計」、請求書発行の「MFクラウド請求書」、クラウドグループウェア「Google Apps」、情報蓄積ツール「Evernote」、そしてクラウド契約管理ツール「CloudSign」などです。

「 チャットワーク」の活用で、いつでも、どこでも法務相談が可能に

私の業務のハブになっているのが、チャットワークです。顧問先のほぼすべての企業様と、チャットワークでコミュニケーションをとっています

弁護士法人ファースト法律事務所 藤井 総さん

一般的な弁護士の法律相談は、お客様に事務所にお越しいただいて対面で話したり、電話で対応することが中心です。

けれど、それでは気軽に相談できませんし、連絡がつきにくいこともあります。アポの調整も面倒ですし、事務所に行くための移動コストもかかります

しかも、弁護士の話ってわかりにくいことが多い(笑)。さらに相談ですと、「口で伝えるだけ」で成果物もとくにないので、社内に持って帰ってもシェアできない。

コミュニケーションがどうしても、事務所ベースになってしまいます

ではメールは、と言うと、内容的にどうしても長くなりがちで、伝わりにくい。しかも弁護士からすると、事務所のPCを開かなければ、結局見ることができない。

そんな問題を解決してくれたのが、チャットワークの導入でした。まず、「チャット」でコミュニケーションをとることで、お客様は気軽に相談しやすくなります

▼チャット形式で気軽にやりとりができる「チャットワーク」

チャットワーク 画面

さらにスマホのアプリをお互いに活用すれば、それこそ「いつでもどこでも法律相談ができる」んです。それが顧問契約の継続、さらには満足度の向上からのプランアップにもつながっていると思います。

そして、チャットのログとして文字が残るので、「言った言わない」問題も起こりません。一度投稿したものは編集できるようになっていますが、いつ編集したのかわかるようになっています。

顧問先の企業様とは、基本的に業務に関わるメンバーの方と私で、チャットのグループを作っています。企業様の担当者の方からの相談もすべて可視化されているので、組織内での情報共有も容易です。

ITツールは、「導入のしやすさ・使いやすさ」が重要

チャットツールの中でもチャットワークを使っている理由は大きくふたつあります。1点目は、お客様に導入してもらいやすいことです。

顧問先の企業様には、法務に関わる方の年齢層が高かったり、ITリテラシーが決して高いとは言えない企業様もあります。けれどチャットワークは、エンジニアでない普通のビジネスマンが使えるようにデザインされているので、マニュアルなどを読まなくても、誰でもいきなり使うことができます

登録も、メールアドレスひとつで簡単です。使いやすい上に、無料プランでも結構いろいろなことができるので、導入提案がしやすいですね。例えば英語ベースのチャットツールだと、なかなかこうはいきません。

チャットログは、「データベース」としても活用できる

もう1点は、チャットのログがナレッジデータベースになることです。顧問先の企業様の相談内容と私の回答内容がどんどんチャットの中に蓄積されていくと、それが「ナレッジ」の役割を果たします。

以前の相談と関係するものや、似たような相談が来たときに、その過去ログを検索して参照すれば、すぐに回答できてしまいます。

顧問先の企業様自身も、以前と同じような問題が発生したときは、私に改めて聞くまでもなく、過去ログを見ることで解決できます。業務を行えば行うだけ、データベースが充実していくということがチャットワークの良いところかなと思います。

検索もオプションが充実していて、グループ別、新着順、に検索結果の表示を分けたり、発言者や発言日で絞った条件検索もできます。キーワードを除外することもできるので、精度の高い検索ができますよ。

▼「検索オプション」も充実している、チャットワーク

ちなみに、私が顧問契約を締結する際には、チャットワークを使っていただくことを条件にしています。入れてもらえないなら契約しません、という感じです。

業務効率をここまで重視しているからこそ、いまのような「相談にはいつでも回答する」というスタイルが実現できています

資料の保存には、「Google Drive」と「Evernote」を活用中

当事務所では、顧問先の企業様とのやりとりだけではなく、さまざまな業務をクラウドツールの活用によって効率化しています。資料も紙で保管せずに、Google DriveとEvernoteを使っています

書類に関しては、以前は印刷してファイリングするか、スキャンして事務所のPCにデータを保存していました。でも作業が面倒でしたし、事務所のスペースも消費しますし…。

その書類が必要なときにすぐに確認ができなかったり、どれが最新のファイルかわからなくなってしまうこともありました。

そこで導入したのが、Google DriveEvernoteです。ネットさえ繋がっていれば、自宅PC・スマホ・タブレット、どれからでも、いつでも書類を確認できます。書類そのものや、データを紛失してしまう心配もありません。

▼クラウドサーバー上に書類を保管できる「Google Drive」(内容はイメージです)

Google Drive 画面

Google Driveは、外付けハードディクス代わりに使っています。ファイル名に日付を付け、完成品も仕掛品も区別せずに、全部投げ込んでおく箱ですね。

一方でEvernoteには、テンプレートのような後から繰り返し使うものだけを、検索しやすいようにインデックスをつけて保存しています。例えば、顧問提案のスクリプト、顧問契約を開始する時の説明文、よくある質問と回答、契約書の雛形、参考資料やサイトといったものです。

実際にEvernoteに保存されている、テンプレートの一部

Evernote 画面

ちなみに、チャットワークを導入してもらうときの、導入案内の文章もEvernoteに入っています。それをコピペして送るだけなので、導入をお願いする際の手間もかかりません。

Evernoteに保存されている、チャットワークの導入案内

Evernote 画面

MFクラウド会計・請求書の導入で、面倒な会計業務も簡単に

また、事務所を運営していく上では必須の会計業務や、請求業務も自動化しています。

以前は自分で四苦八苦しながら、確定申告や決算のための書類を作成したり、請求書を送ったりしていました。今ではそれらの作業が、非常に簡単になりました。

会計ツールにはMFクラウド会計を使っています。オンラインの銀行口座やカード決済と連携しているので、入出金は自動で取得され、記帳も仕訳も自動で完了します。手入力する手間を削減できましたし、ミスも起こりにくくなりました

▼記帳や仕訳を自動化できる、「MFクラウド会計」(内容はイメージです)

クラウドツールなので、どのパソコンからでも、いつでも会計情報をチェックできます。また、アカウントを顧問税理士と共有しているので、あちらでもリアルタイムに確認ができるようになっています。システムも使いやすく、直感的に状況が把握しやすいのもいいですね。

そして請求書の作成には、MFクラウド請求書を使っています。

顧客情報や請求内容を項目通りに入力するだけで、源泉徴収まで自動で計算した請求書が出力されます。そしてボタンひとつで、押印されたその請求書をメール・郵送で送ってくれます

顧問料のような、定期的に請求が必要になる請求書は、支払いサイトを登録することで自動作成をしてくれるので、請求漏れも防ぐことができます。

ITは働き方を変え、人生も変える

さらに最近は、オンラインで契約書の締結と管理ができるCloudSignを使い始めたので、それでバックオフィスの自動化が完成されました。

事務所で印刷して押印して郵送する契約書だけがボトルネックだったのですが、ついに全ての業務がオンラインでできるようになりました。

弁護士法人ファースト法律事務所 藤井 総さん

現在、裁判をあと1件だけ抱えているのですが、それが終われば私は完全に自由です(笑)。

ITは、人の働き方を、それどころか人生を変えてくれると思います

以前は、弁護士というと毎日遅くまで事務所に残って仕事をするものと自分でも思っていましたし、業務もある程度スタッフにお願いするのが当たり前。「人力」で回す側面の強い仕事だと考えていました。

けれどITを活用すれば、どこにいても仕事ができる。非生産的な雑務もいらなくなる。本質的な業務に集中できるのです

導入するか悩んでいる暇があったら、まずは「使ってみる」ことをオススメします。より多くの方に、新しい働き方をどんどん実現していってもらえれば、と思います。(了)

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