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SEO対策は不要になるか?「海外SEO情報ブログ」運営者が語る、Googleの進化とは

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〜2007年からSEOの最新トレンドを発信し続ける、「海外SEO情報ブログ」の運営者、鈴木 謙一さんが、「SEOのこれまで、いま、これから」を徹底解説〜

Web時代の集客手段として、「検索エンジン」を無視することは誰にもできない。ただそれだけに、SEOについてはさまざまな情報が錯綜しているのが現状だ。

「海外SEO情報ブログ」の運営者として、SEOの最新情報をずっと追い続けているのが、株式会社Faber Company取締役の鈴木 謙一さんだ。

鈴木さんはSEOについて、「小手先の技術はどんどん不要になってきた」「検索クエリ(キーワード)ではなく、検索意図が重要」などの見解を持っているそうだ。

今回は鈴木さんにこれからのSEOを考える上での指針を、存分に語っていただいた。

「アフィリエイター」を目指した時代に、SEOに出会う

まずは、私がSEOに出会うまでの経緯をお話しします。大学卒業後はずっと会社員をしていたのですが、あるタイミングで「会社員はもう疲れたな」と思うようになって…。

それで会社を辞め、当時の流行りにのって「自分もアフィリエイトで一攫千金を狙おう」と考えました。ただ、結果としては、成績はぜんぜん大したことなくて、一攫千金にはほど遠い状態でしたね(笑)。

Faber Company 鈴木謙一さん

SEOと出会ったのは、このときのことです。ただ、SEOを勉強するうちに、そっちの方がどんどん面白くなってしまって(笑)、2007年に「海外SEO情報ブログ」を始めました。海外のSEO情報を日本語で発信するものとしては、最初期のものだったと思います。

そこに弊社Faber Companyの創業者の古澤が目をつけてくれ、いまは取締役という形で弊社に加わり、SEO関連の情報発信を担当しています。

SEOの歴史は「Googleが自らの理想に追いついていく」過程

SEOの歴史についてお話しすると、Googleが言っていることは昔から変わっていなくて。「ユーザーにとって役に立つコンテンツをどんどん発信していきなさい」ということなんです。

ただ、僕たちがやるべきことは変わってきています。昔はいくらユーザーにとって良いコンテンツを作っても、それだけでは上位表示はできないし、ユーザーも集まりませんでした。

いわゆる、「検索エンジン向けのテクニック」のような、ユーザーにはあまり関係のない小手先の手法を実行しなければ、上位表示は難しかった。

Faber Company 鈴木謙一さん

けれど今はそのような技術は、だいぶ関係なくなってきています。ユーザーに役立つ良いコンテンツをまずしっかり作らなければ、Googleに評価されなくなっていますね。

Googleは、「ユーザーに役立つコンテンツを高く評価する」という、自分たちの理想に着実に追いつきはじめているんです。

「検索クエリ」ではなく、「検索意図」を考えることが重要

そのため、現在のSEOでは「役に立つコンテンツ」を作ることが何より大切です。そこでのポイントは「検索クエリ(キーワード)」ではなく、ユーザーの「検索意図」を考えることですね。

この違いを説明するために僕がよく使うのは、「掃除機が壊れた」という例です。「掃除機が壊れた」と検索するユーザーが知りたいのは、「自分の掃除機が本当に壊れているのかどうか」「壊れているとしたらどこが壊れているのか」ですよね。

でも昔のGoogleだったら、クエリの文言にとらわれて、「掃除機が壊れた」という言葉が入ったページを上位表示していました。例えば、「掃除機が壊れた」ことを報告する日記ブログなどです。でも、これはユーザーの知りたいことではない。

しかし、最近のGoogleはユーザーの意図が分かるようになってきたので、いま「掃除機が壊れた」で検索すると、「故障かな?と思ったら・・・・・掃除機」という、掃除機が本当に壊れているのかを調べるためのページが1位に表示されます。

▼「掃除機が壊れた」の検索結果(2016年7月20日)

掃除機が壊れた

この例から分かるように、現在のSEOで重要なのは、あるキーワードで検索するユーザーの検索意図を考え、それに対する答えとなるコンテンツを提供することです。

簡単に言えば、「掃除機が壊れた」というワードで上位を取りたいとき、「掃除機が壊れた」という言葉の入ったページを作るのではなく、ユーザーの知りたいことを汲み取り、「本当に故障したかを調べられる」ページを作ろうと発想できることが大事なんです。

急増している「音声検索」に対応するアルゴリズムとは?

このようなユーザーの「検索意図」の理解の実現に役立っているもののひとつが、いわゆる「ハミングバード」という特に音声検索を意識して開発されたアルゴリズムです。すでにアメリカでは、全検索の20%が音声検索だと言われています。

これも例を挙げると、先日AndroidのGoogleマップを使っていたら、コンパスの表示がおかしく、自分が後ろ向きに歩いていることになっていて。

とっさに「Androidの方向がおかしい」と音声検索したところ、コンパスの調整についてのGoogleマップのヘルプページが上位に出てきたんです。

▼「Androidの方向がおかしい」の検索結果(2016年7月20日)

Androidの方向がおかしい

これには感動しました。「おかしい」にもいろいろな意味があるのに、Googleはしっかり「正しく動作していない」の意味だと理解し、検索結果に、クエリと字面的には全く一致していない、コンパスの調整のページを出してきた。

音声検索は話し言葉なので、クエリの字面との一致にこだわって検索結果を出すと不適切なページが出てきやすい。だからこそユーザーの意図を理解することが大切になるのですが、それを可能にしているアルゴリズムのひとつがハミングバードなんです。

「方向がおかしい」のクエリでコンパス調整のヘルプページが上位表示されたのが、本当にハミングバードの力によるものかどうかはわかりません。でもそれはどうでもいいことで、大切なことは、Googleの検索意図の理解力が数年前と比べると、飛躍的に向上しているという事実です。

Googleは「ユーザー体験」も重視するようになってきた

さらに最近のGoogleの方向性について大きいのは、「ユーザー体験」を重視する姿勢です。「良いコンテンツだけではなく、使いやすいサイトも作りなさい」という考え方になってきています。

例えば、スマートフォンなどのモバイルで使いづらいサイトは、モバイル検索での順位を落とすと明確に言っています。

もうひとつ、Googleがユーザー体験の評価軸としているのが、サイトの読み込みスピードです。GoogleがAMP(Accelerated Mobile Pages)という、普通より数段読み込みが速いモバイルページを推奨し、検索結果の上部に特別枠で表示させているのも、その流れの中でのことです。

▼Googleは最近、「モバイルフレンドリー」と「ページスピード」を同時に計測できるサイトをリリースした

SNSの拡大で、SEOはどうなっていくのか?

近年、SEOについてよく言われることのひとつが、ソーシャルメディアが台頭し、検索エンジンだけがインターネットではなくなったということですよね。

私のブログでも流入の15%くらいはソーシャルですし、いまやソーシャル抜きでは、SEOは語れません。ソーシャルメディアとSEOの関係でいうと、大きく3点のことが言えるかなと思っています。

ひとつは、あるコンテンツがソーシャルメディア上でいくら拡散されても、検索順位は直接には上がらないということです。ただ、そのようなコンテンツには人が大勢来ますし、結果として、外部サイトからリンクを張られる機会も自然と多くなります。

その結果として被リンクが増えるので、間接的に順位が上がることはあります。実感として、ソーシャルで広く拡散された記事は、検索にも強いことが多いです。その意味で、SEOのためにもソーシャルでの活動は積極的に進めるべきだと思います。

Faber Company 鈴木謙一さん

もうひとつは、ソーシャルと検索では「強いコンテンツの性質」が違うということです。ソーシャルですと、やはり最新の情報、ニュース系が強い。逆に検索で強いのは、ずっと変わらない普遍的な情報です。

サイト運営をする上では、このふたつのコンテンツをバランス良く作るのが最良だと思います。

最後は、ソーシャルが強くなったからといって、検索がなくなるわけではないということです。例えば最近では、レストランなどをソーシャルで調べる人も出てきていますよね。でも、現に私たちは検索し続けています。ソーシャルと検索は、使い分けられるようになるだけだと考えていますね。

スマホアプリの広がりに対して、Googleも様々な策を講ずる

もうひとつよく言われるのが、スマホの普及により、コンテンツは「アプリ」からアクセスされるものとなり、「ブラウザ」と「検索エンジン」の役割は小さくなっていくという話です。

このことはGoogleも意識していて、対策を打っています。そのひとつがApp Indexingと呼ばれるもので、現在のGoogleは、スマホアプリのコンテンツもインデックスできるようになっています

例えば、トリップアドバイザーのアプリがインストールされているスマホのブラウザでホテルを検索したとします。そのとき、検索結果に現れたトリップアドバイザーのページをタップすると、ウェブページではなく、アプリのなかのコンテンツに直接アクセスできるんです。

このように、「ユーザーが検索エンジンをスルーしてアプリに直接行ってしまう」ことを防ごうとしているんですよ。ユーザーとしても、ブラウザからどんなアプリにも移動できるなら、その方が便利ですよね。

もうひとつが、「Progressive Web Apps」と呼ばれるものです。これはアプリのような機能をもつWebサイトのことで、Googleも推進しています。

そのようなWebサイトは、スマホのホーム画面にアイコンを置けますし、プッシュ通知を打てたり、オフラインでもある程度利用できるなど、アプリのような特徴を持っているんです。

Googleの収入の多くはAdwordsというリスティング広告なので、やはりGoogleにとって検索・Webサイトは非常に大切なんですね。

小手先の対策は不要になっていくが、SEOはなくならない

最後に、SEOの「これから」ということでいえば、やはりユーザーの検索意図に答える「良いコンテンツ」を用意することが大前提です。

それに加えて、検索エンジンに分かりやすいサイトを作ること。titleやh1のタグなどは、やはり検索エンジンにとってページの内容を判別するヒントになるので、今のところは無視するべきではない

ただ、これは「あるに越したことはない」程度のものです。そんなことよりも、ユーザーにとってどのようなサイトが良いのかを考えていくと、そのうちGoogleが追い付いてきてくれます。そういった意味で、小手先のSEO対策はどんどん不要になっていく。

Faber Company 鈴木謙一さん

他方で言いたいのは、SEOの重要性自体はなくならないだろうということです。いくらソーシャルが強くなっても、私たちは検索も使いますし、サイト運営者からすれば、検索は確実に安定したトラフィックをもたらしてくれます。

私個人としては、日々進化していくGoogleとSEOについての情報を集めることが好きなので、今後とも、SEOに関する情報収集と情報発信を行っていくつもりです。(了)

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