• 資生堂ジャパン株式会社
  • ダイレクトマーケティング部 Web推進室
  • 吉本 健二

資生堂ジャパンがDMPを使う理由?Webとリアルのデータ統合で見える新たな可能性

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今回のソリューション:【Intimate Merger/インティメート・マージャー】

〜資生堂ジャパンが、Intimate Merger、Treasure Dataを活用し、Webと店舗のお客様データを統合している事例〜

近年、企業によるビッグデータの活用が進んでいる。Web上の行動データだけでなく、リアル店舗のPOSデータとの連携がなされるなど、そのデータの収集と活用の範囲は年々広がってきている。

化粧品大手の資生堂ジャパン株式会社。同社が運営するWebサービス「ワタシプラス」は、化粧品や美容、取扱い店舗に関する情報や、オンラインショッピングを提供している。同社では、同サービスを、お客様により豊かな化粧体験を届けるための「デジタルプラットフォーム」と位置付けているという。

そして同社では、ワタシプラス上のデータと店舗での購買データを連携させるため、クラウド型データ蓄積サービス「Treasure Data(トレジャーデータ)」と、データマネジメントプラットフォーム(DMP)の「Intimate Merger(インティメートマージャー)」を導入した。

これらのツールの活用を推進しているWeb推進室の吉本 健二さんと小林 篤史さんにお話を伺った。

リアル店舗とWeb上のデータを扱う分析チーム

吉本 新卒でIT系のマーケティング調査会社に入り、2年半ほどリサーチを担当した後、ネットイヤーグループで4年半ほどWebマーケティングの分析業務に携わりました。

2012年5月に資生堂に入社してからは、デジタルプラットフォーム「ワタシプラス」や、店舗のPOSデータの分析を担当しています。

資生堂ジャパン株式会社 吉本 健二さん

小林 私は、もともとWebシステムの開発に6年ほど関わっていました。その後、ヤフーで4年ほどデータ分析の仕事に就いて、データの可視化やレコメンドエンジンの分析に携わりました。

資生堂に入社したのは、リアルな「モノ」について、何かしらデータを活用する仕事がしたいと感じたからです。

資生堂ジャパン株式会社 小林 篤史さん

店舗に来られないお客様との接点を提供する「ワタシプラス」

小林 ワタシプラスは、「資生堂グループの商品・サービスとコンシューマーを結びつけ価値を届ける」デジタルプラットフォームです。化粧品や美容の情報、店舗情報、さらにオンラインショッピングなど、さまざまなコンテンツを提供しています。

弊社では、製品の使い方の説明や美容法の提案から得られる、「知識や満足感」も商品のひとつだと考えています。これらを提供できるように、店舗での接客にはずっと力をいれています。

ただ、店頭まで来られない方には、そういった部分を充分にお伝えできません。そこでWebを活用して、より多くの方と接点を持てるように作られたのが、ワタシプラスです。

資生堂ジャパン株式会社 小林 篤史さん

ワタシプラスを接点として、商品に興味を持ってもらうこと。そこからWeb上での購入や、リアル店舗に足を運んでいただくこと。それが、Webでコンテンツを発信することの狙いでした。

マーケティングの施策には、ユーザーの「モーメント」が重要

吉本 このような位置づけで運営してきたワタシプラスですが、2016年から、ワタシプラスに集まっているデータをもとに、各ブランドのマーケティングのサポートを強化することになりました。そのため、サイトにアクセスしているお客様への理解を、より深める必要性が出てきました。

それまでは、例えば化粧水が何個売れたか、といった商品ごとの分析がメインで、ユーザー単位の分析はできていませんでした。そうすると、「どういったユーザーに、どのような情報提供を行うか」、というところまで落とし込めない部分があったんですね。

そこで、分析の単位を「商品」から「」に変えることにしました。例えば、「ある化粧品のロイヤルユーザーが、この施策によって何人増えた」といった情報の分析ができるようになることを目指しました。

お客様の年齢や性別といった属性データに加えて、行動データを分析することで、「お客様は今何を考えているのか」ということを理解できるようになります。お客様が何かに興味を持った「モーメント(瞬間)」を把握できれば、マーケティングに反映しやすいからです。

課題は、データの統合・活用にあった

吉本 しかし、それまでのデータ分析には課題がありました。

資生堂ジャパン株式会社 吉本 健二さん

ひとつ目は、データの「統合」です。ワタシプラスのサイト閲覧データ、購買データ、会員データと、店頭のPOSデータなど、各データはすでに結びついているものの、お客様の行動にあわせて分析をしきれていなかったという点です。

ふたつ目が、データの「取得」が十分ではなかったことです。以前は、ワタシプラス上のアクセス履歴だけに注目していたため、特定の訪問者の方が、ワタシプラスの他にどんなサイトにアクセスしているのか、という情報がありませんでした。

ただ、化粧品について調べているときって、資生堂のサイト以外の口コミサイトなどもチェックしますし、リアルの店舗にも足を運びますよね。お客様を正しく理解するためには、ワタシプラス以外の場所における行動データも、取得する必要がありました

DMPを導入してお客様データを統合し、お客様の行動を「見える化」

吉本 そこで、クラウド型データ蓄積サービス「Treasure Data」と、データマネジメントプラットフォーム(DMP)の「Intimate Merger」を導入しました。

目的はまず、お客様データを統合し、お客様の行動を「見える化」すること。さらに、ワタシプラスにアクセスするお客様の、サイト外での行動データを取得することでした

資生堂ジャパン株式会社 吉本 健二さん

Treasure Dataを選んだ理由として最も大きかったのが、膨大なデータの入力に耐えられることです。

以前も他のDMPを使ってはいたのですが、カラムの制限により、必要なデータを全て入れられなかったんですよね。弊社には大量のデータがあるため、カラムの自由度が必要でした。

その自由度が一番高かったのが、Treasure Dataです。でっかい箱の中に全部データを入れて統合しようという考えです。

またTreasure Dataは、外部サービスとの連携に優れているという点も魅力的でした。例えば、弊社が使っているマーケティングオートメーションツールと連動させて、特定のセグメントにメール配信をするといったことも可能ですし、BIツールともつなげることができます。

そして、そのTreasure Dataと相性が良かったのが、Intimate Mergerです。Webサイトにタグを埋め込むだけで、サイト外のデータを結びつけることができます。また、Treasure Data上のデータと連動させて、Intimate Mergerで広告ASPの配信をする、といった使い方も可能であったため、導入を決めました。

4Rを追求し、「追いかけ型」から「伴走型」のCRMへ

吉本 今は、DMPを活用してデータの取得とつなぎ合わせを始めているところで、これまでのCRMをさらに強化させ、お客様の行動をベースにシナリオを新たに設計している段階です。

小林 個人的には、位置情報とデジタルサイネージを絡めてみたいですね。例えば、店舗のビューティーコンサルタントが持つタブレット端末と連携したり、そのあたりで大きく活用していきたいなと思っています。

DMPを使ってやろうとしていることはシンプルで、「ライトターゲット、ライトタイミング、ライトチャネル、ライトメッセージ」の4Rの実現です。適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切なチャネルを通じて、適切なメッセージを届けるという、それだけなんですよ

資生堂ジャパン株式会社 小林 篤史さん

今までは、ECでカートに入れたけど購入に至らなかった人に対して、商品情報についてのメールを送信するなど、売り手視点のアプローチが中心でした。

今後は、ワタシプラスとユーザーの関与が高まるような情報を提供するなど、お客様のモチベーションにあった情報発信ができるように、CRMを構築していければと思っています。

ECの売上でも店舗誘導でもなく、「ユーザーの満足」を活動のゴールに置いて活動していきます。追いかけ型のCRMから伴走型、一緒に走っていくCRMを目指していきたいですね。(了)

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